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この記事は、前後編に分けてお届けしている。後編にあたる今回は、コンテンツマーケティングを成功に導く10のヒントのうち、「コンテンツマーケティングのリンクの意味」「コンテンツの宣伝」「関係の重要性」「編集長として考えること」「他人のコンテンツを参考にすること」について見ていく。
6.コンテンツにはリンク以上の意味がある
コンテンツマーケティングは、以前からある古典的なSEOリンクビルディング戦術をはるかに超えたものだ。
近頃では、リンクの価値を考える場合、リンクがもたらす(またはもたらさない)かもしれないSEO上のメリットという観点ではなく、むしろリンクから獲得できる直接的なトラフィックという観点から考えた方がよさそうだ。
私がここで言いたいのは、被リンクがもはやSEOにとって重要ではなくなったということではなく、被リンクに対する発想を転換すべきだということだ。いずれにしても、自分のサイトにトラフィックを呼び込んでくれるリンクは、SEOにとってもありがたいリンクなのだから。
とはいえ、リンクジュースを得るための手段としてコンテンツマーケティングを考えるとしたら、それは間違いだ。コンテンツ作成は、エンゲージメントや信頼の構築がすべてであり、SEO上のメリットとは切り離して考えよう。エンゲージメントや信頼の向上に役立つものは、SEOにとっても有益なのだ。
評判の高いサイトからのリンクに価値があるのは、たくさんの人々がそのリンクをクリックし、あなたやあなたの会社についてより詳しく知ってくれるからだ。検索エンジンが評判の高いサイトからのリンクを好むのも、まったく同じ理由による――つまり、ウィンウィンの関係だ。
コンテンツマーケティングは、リンク獲得よりもはるかに大きな意味を持つ。潜在顧客に進んでもらいたいファネル(じょうご)間をつなぐ役割を果たしてくれるからだ。だからこそ、見込み客がサイトを訪問するし、購入に至る経路をどんどん進み、商品を購入し、何度もサイトに戻ってくる。
- キーラン・フラナガン氏(seomoz.org)
7.コンテンツマーケティングにおける「マーケティング」を忘れないこと
ここまでは、主にコンテンツの作成に関して述べてきたが、コンテンツマーケティングというパズルにはもう1つ重要なピースがある。それは、コンテンツの宣伝(コンテンツのことを知ってもらうマーケティング活動)だ。
本当に驚くべきことなのだが、私が遭遇する最大の問題の1つは、小規模事業者が自分のコンテンツを紹介することを恥ずかしがっているように感じられることだ。コンテンツの中で製品やサービスを宣伝することについては何の抵抗もないようだが、完成したコンテンツについて人々に知らせる段になると臆病になってしまう。
考えられるのは、自分のコンテンツに誇りを持っていないということだ。おそらく、自分の書いたものがすばらしいと思えないとか、自分のコンテンツが退屈だとか、そんな風に感じてしまうのだろう。もしそうだとしたら、私が少しだけ背中を押してあげよう。
一般的に、有益なサイトであれば、書き方が多少荒削りであっても、人はあまり気にしない。たとえ欠点のある文章であっても、人々が求めている情報や答えを提供しているなら、簡単に許してくれる。実際、不完全なほうがむしろ人間的だと感じさせることも実に多い。
そのうえ、文章は書けば書くほど、うまくなっていくものだ。誰しも最初から優れたライターやブロガーだったり、卓越したコンテンツマーケターだったりしたわけではないが、「練習」を始めるのが早ければ早いほど上達するのも早くなる。本当に書くことがあっと言う間に楽になってくる。実を言うと、私も多くの人たちと同じで、書くことには結構苦しんでいる。その辺りの詳しい話は、「ブログなんて大嫌い」という私の記事を読んでもらいたい。
決して完璧である必要はない。求められているのは、読者を手助けしたり、楽しませたりすることだけだ。それを心がけて文章を書き続けていけば大丈夫。
しかし、ここで忘れてはいけないのが、コンテンツの宣伝だ。あなたの作ったコンテンツは、宣伝しなければ誰も読まないし、読む人がいなければ誰の役にも立たない。新しいコンテンツを投稿して、あとは人々が検索で見つけてくれるのを待つだけ(さもなければ、そのコンテンツに対して山のようなスパムリンクを張って待つ)、などという時代は、とうの昔に終わっている。
10のヒントの1つ目「他人のドメイン名にコンテンツを置かない」でも述べたとおり、ここで活躍するのが、ソーシャルメディアや、あなたのソーシャルメディア上でのつながりだ。ソーシャルメディアのチャネルを使って、作りたてのコンテンツにトラフィックを誘導しよう。ソーシャルメディア上であなたを気に入っている人たちは、あなたについてもっと知りたいと思うだろう。彼らにその方法を教えてあげよう。
SNSを通じてコンテンツの共有を始めたばかりの人は、こんな風に呼びかけるといいだろう。
作ったコンテンツをシェアする際の呼びかけの例
こんにちは、みなさん。最近私が集めてきた地元のお役立ち情報について、先ほどちょっとした投稿を掲載しました。時間があるときに覗いてみて、感想を聞かせてください。
コンテンツマーケティングを本格的に始めて間もないので、フィードバックをいただけると大変助かります。
リンクはこちらです。どうぞよろしく!
ここで、コンテンツマーケティングにおけるあなたの運命を決定づけるかもしれないアドバイスをしておこう。
コンテンツのプロモーションが恥ずかしくてできないのであれば、コンテンツマーケティングという考えを一切捨てて、PPC広告に切り替えるべきだ。
コンテンツマーケティングが何故うまくいかないのか? それは、優れたコンテンツが書けないからではなく、実はコンテンツをどう宣伝すればいいかを知らないからだ。
優れたコンテンツを書く方法は習得できる。しかし、誰もコンテンツを読んでくれず、リンクも張ってくれないのであれば、そもそもコンテンツを公開する意味はない。
- ニール・ペーテル氏(quicksprout.com)
8.関係こそがすべて
あなたがコミュニティに積極的に参加して仲間として活動しているところを見せれば、他の人も相応に扱ってくれるだろう。つまり、チームの一員として見てくれる(ここだけの話、それこそが狙いだ!)。
要するに、ソーシャルの世界ではチームの活発なメンバーになる必要がある。自分のコンテンツを仲間内でシェアしてもらいたかったら、コンテンツを公開する1日か2日前に顔を出してちょこちょこやり取りするだけでは不十分だ。積極的に、チームの一員としてコミュニティに参加する必要がある。いるのかいないのかわからないような参加の仕方では意味がない。必要なのは、参加するコミュニティへのコミットメント(積極的な関与)だ。
あなたのネットワークの成否は、仲間があなたの力になってくれるのと同じように、あなたが仲間の力になってあげられるかにかかっている。
だからと言って、一日中ソーシャルサイトに張り付いている必要はない。自分が使っているソーシャルネットワークのメンバー全員をチェックして、それぞれが作成したすべてのコンテンツを宣伝する必要もない。それでも、日頃から継続的に参加して交流する必要があるのは確かだ。
あなたが積極的に情報を共有したり他の人を宣伝したりしている姿を見せれば、人々はその分だけ、いざという時にあなたのコンテンツを共有したり宣伝したりしてくれる可能性が高い。ソーシャルメディアというチャンネルで友だちを作るべきタイミングは、実際に友だちが必要になる時点よりずっと前にある。
私はこの教えを何度も耳にしていたが、実際にやってみて初めて、関係というものがどんなに重要か実感できた。
最終的にコンテンツに何らかの貢献をしてくれた人は、僕が最高の関係を築いた人たちだった。ブログ投稿に対するぼくのコメントに返信をくれたり、初期に僕のツイートにリプライしてくれたりした人たちだ。
この人たちとは、メールで個人的にやり取りする相手でもある。彼らも今では機会や露出を喜んでいて、将来また僕と一緒に仕事をすることを楽しみにしてくれている。
- マイク・アーネセン氏(mikearnesen.com)
9.編集長の立場で考える
どんなビジネスに身を置いていようと、あなたのウェブサイトなりブログなりは、今やその業界やニッチ分野における「現場」だ。これはもう紛れもない事実で、どうすることもできない。ただし、うまくやりこなすコツはある。そうした視点を持てるよう自分の脳を鍛え直すことだ。
近所の書店に立ち寄って、目についた雑誌を何冊か手に入れて読み込んでみよう。雑誌のフォーマットやレイアウト、着目点を調べてほしい。好むと好まざるとにかかわらず、コンテンツマーケティング行っているあなたは今や「オンライン雑誌」の編集長なのだ。ここで楽しいのは、自分がすでに専門としている内容について話せるということだ。
自分のサイトを使って交流し、楽しませ、情報を伝える。本当にやらなければならないのはそれだけだ。
いちばん大変なのは、机に向かって新しいコンテンツを書くたびに、忘れずにそれを実践すること。そのための最も速くて簡単な方法の1つとして、顧客からよく聞かれる質問に答えたコンテンツを用意しておこう。単純に聞こえるかもしれないが、答えを探している人たちにとってはものすごく便利で魅力的なものになる。それを楽しくおもしろい読み物にできればさらにいい。
あなたは広告主ではない。広告主は邪魔をするが、パブリッシャーは双方向のコミュニケーションによって知識を与えてつながり合う存在だ。
自分のブランドを強調しすぎないように。目的は訪問者と交流することであって、いずれはあなたのブランドもそれなりに認識されるようになる。
常にコンテンツに価値を持たせること。正確に言うと、コンテンツが王様なのではなくて、価値が王様なのだ。読みやすくて文法の間違いがないコンテンツを用意するだけでは十分ではない。重要なのはコンテンツの中身だ。
そのコンテンツは、訪問者にとってどんなメリットがあるだろうか? どんな価値が得られるのだろうか?
- マーク・アクセイ3世(webbythoughts.com)
(強調は引用者)
10.他のサイトを見て、どんなコンテンツが求められているのかを探る
これを最後に取っておいた理由は、小規模事業者にとって常に大きな障害になっているようだし、読者にはこの記事を読み終わったときに鮮明に心にとどめてほしいからでもある。
「私は、何も言うことがなく、書くこともない」と考えている人が小規模事業者には多い。
この点については前編の2番「顧客をだますのではなく、顧客の役に立とう」で取り上げたし、さらに9番「編集長の立場で考える」でも、楽しくおもしろい方法で顧客の質問に答えろと述べたけれど(これで良いスタートが切れるはず)、あなたもいずれはトピックに関する発想を少し広げた方がいいだろう。そのために最も良い方法は、ライバルたちが何について書いているか、さらには、あなたの業界と関係の深い他の業界では何が話題になっているか見てみることだ。
自分が書こうとしているトピックに関する他の優れたブログを読み、それから同じトピックについてあなた自身の意見や知見を盛り込んだ同じような記事をとにかく書いてみて、それをさらにブラッシュアップしよう。よそのコンテンツを露骨にコピーしろと勧めているわけではなく、とにかく他人からインスピレーションを得てほしい。これは、すでに説明した4番「業界のインフルエンサーに言及しよう」と8番「関係こそがすべて」を実践するのにもすばらしい方法だ。
これは誰もがやっていることだ。どこかで見た(あるいは読んだ)ものからインスピレーションを得るということは、どんな人でもやっているし、世の中とはそういうものだ。インスピレーションは、これまでに得たものをベースにして、それをさらに積み上げていくことで得られるものだ。
この記事自体がまたとない好例で、私はここで発言を引用した人たちからインスピレーションをもらった。彼らの記事を読んで、それぞれから自分が気に入ったヒントを拾い、そのトピックに関する自分自身の考えを付け足した。本当は彼らを取り上げたり引用したりする必要などなく、私の文章だけでも十分だっただろうけれど、私があえて彼らに言及して引用したのは、その方がもっと興味深くて魅力的な記事になるからだ。それに、上で書いた他のヒントにも役立つということもある。
人々が何について読みたがっているのか、時にはよくわからないこともある。
これを見つける方法の1つは、自分の業界のサイトをいろいろ見てみることだ。他人のブログをチェックして、どんな記事が最もツイートされているか、またはシェアされているか見てみよう。
インターネットマーケティングの分野では、ソーシャルメディアが大人気だ。フェイスブックやツイッターに関する記事を書けば、シェアされる数は確実に増える。
ちょっとリサーチをして、自分の業界ではどういう種類の投稿が人気なのか調べてみたら、今度は自分でその手のコンテンツを書いてみよう。そういう記事を毎回書く必要はないけど、公開スケジュールにはまるなら、トラフィックを増やすにはうってつけの方法だ。
- ジョセフ・パットナム氏(kissmetrics.com)
まとめ
小規模企業のオーナーになるには、今はすばらしい時代だ。インターネットやコンテンツマーケティングのおかげで、私たちはメディアを追いかけるのをやめて、代わりに自らがメディアになれる。
あなたは今や、自分自身の業界(さらには地域のニッチ分野)の雑誌の編集長だ。あなたの声は、自分の好きなように大きくも小さくもなる。最初は小さくて、それから大きくなることもある。あるいは、ずっと小さいままでいることもあるけど、それでも構わない。その点については、あなたが完全にコントロールできる。あなたがプロセスをコントロールしているのだから、そのプロセスを恐れる必要はない。
とにかく忘れないでほしい。コンテンツマーケティングやその仲間であるソーシャルメディアマーケティングの目的は、見込み客にしかるべき理由から信頼してもらえるようなやり方で情報を伝えたり楽しませたりすることだ。
必要なのは、正当で価値のある、自力で勝ち取った心からの信頼だ。将来何かを買うことになったら、彼らは自分が信頼する人から買う。つまりあなただ。すでに何度か触れたかもしれないけど、それこそが、この記事で最も重要なポイントだ。
信頼、信頼、信頼。これを頭に焼きつけてほしい。「コンテンツは王様」ではない。信頼こそが王様だ。コンテンツは、そこにたどり着くための手段にすぎない。
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