この記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。後半となる今回は、前回紹介しきれなかった残り5つの動画活用法を紹介しよう。 →前編をまず読んでおく
5動画を使って製品ページを改善し強化する
商取引に注力したページの品質を動画を使って向上させるだけで、自然なリンクを全体的に増やせる可能性が高い。これは、いくつかの実例が示唆していることだ。
Appliances OnlineとZappos.comに関するMajestic SEOの「Historic Index」のスクリーンショットを見てほしい。どちらのサイトも、ページ改善のために製品動画へ重点的に投資してきた。
- Zappos.comの参照元ドメイン名数
- appliancesonline.co.uk:の被リンク数(累積表示)
必要な種類のコンテンツ:
程度の差はあれど、僕らがここで論じているのは、製品動画だ。つまり、特定の製品やサービスに関する情報を提供するために作られた動画についてだ。
製品動画が最も効果的なのは、よくある質問に答えたり興味をもってくれた人たちの不安を解消したりすることだ。そうすることで、ユーザーとパーソナルな関り合いをもち、それによって、関心をもってくれた最初の地点からさらに先のコンバージョンへと誘導するときだ。
そのような動画は、たいてい宣伝ではなくインフォマーシャルであり、「テレビ広告」より「ショッピング番組」に近いはずだ。
必要な技術的実装:
サイトの特定のページを改善し強化するための動画(たとえば特定製品の動画)を制作する場合、そうした動画は当然、自分でホスティングするか、または前述のようなサードバーティのプロバイダ(たとえばWistia)を使って安全にホスティングすべきだ。
なぜなら、このような動画は目的とするページ上で見てもらわないと意味をなさないことが多く、そのため、YouTubeの検索やお勧めで発見してもらってもそれほど価値がないからだ。
それに、このようなコンテンツをYouTubeでホスティングすることにはリスクもある。というのも、動画で取り上げている製品やサービスに関連するブランド名が検索されたときに、自分のサイトよりもyoutube.com上の動画のほうが検索上位に来ることがあるのだ。この問題について、詳しくは動画SEO戦略の構築に関する僕の記事をチェックしてほしい。
また、この種のコンテンツでは、動画のリッチスニペットが表示されるよう努力すべきだ。そうすることで、検索結果ページからのクリックを増やせる。そのためには、schema.orgのマークアップの実装や、XML形式の動画サイトマップの送信が有効だ。実装の詳細はこちらを参照してほしい。
6ブログ戦略の補強
必要な種類のコンテンツ:
ブログのための動画は基本的に、適度に落ち着いたブランディングを添えた情報提供であるべきだ。
それには「人物がカメラに向かって語りかける」動画が最適だ。また、可能ならば、コンピュータ画面の映像やアニメーションを動画に挿入すると、往々にして気分転換を促したり関心を高めてもらったりする良い方法になる。
では、拡張性があって編集が最小限で済む動画にするにはどうすればいいのか。
僕が通常勧めているのは、撮影前の脚本を最小限にして、1テイクで撮るようにすることだ。Wistiaのすばらしい動画を見てほしい。ここでは進行役のランド・フィシュキン氏が、Mozがホワイトボードフライデーの制作を最小限の労力でやり遂げる制作プロセスをどのように管理しているのかを正確に説明している。
必要な技術的実装:
ブログ用動画のホスティングは、次の2つの質問への回答から決めるべきだ。
次の2つのどちらを重視するのか?
- コンテンツの露出の最大化
- 自サイトでのみコンテンツを見せること
この2つは、根本的に対立する戦略だ。
露出を最大化したい人は、YouTubeでホスティングするべきだ。動画が検索結果で上位に入るし(通常は自サイトではなくyoutube.com上のもの)、YouTubeのプラットフォーム内でも目立つ。
一方、YouTubeではなく自サイトに、すなわち自分のコミュニティの枠内にコメントを残してもらえればいい場合や、訪問者をPPCでリターゲティングすることを重視する場合は、自分のサイトでホスティングする方がより適切な選択肢だろう。
取り上げる予定のトピックに対し、YouTube上に検索ボリュームがあるか?
この質問には、YouTubeのキーワードツールを使って回答できる。YouTubeのキーワードツールのデータがかなり不正確であることには留意すべきだが、得られる検索ボリュームの関連指標によって、作ろうとしているコンテンツに需要があるのかどうか、だいたいの感じはつかめるはずだ。
検索ボリュームがあるのならば、それはすばらしいことであり、YouTubeでホスティングすることを希望する場合、動画はYouTubeプラットフォームでおそらく相当の影響力を獲得するだろう。検索ボリュームがない場合は、YouTubeに動画を置いても価値の増加にはおそらくそれほどつながらない。後者に当てはまるのならば、動画は自分でホスティングするのが賢明だ(あるいは、すでに説明したようにサードパーティの安全なソリューションを使う)。それによって、youtube.comではなくて自サイトにすべてのトラフィックを呼び込むことができるのだから。
一般に、両方を行うことは考えるべきではない。仮に、コンテンツを自分でホスティングしつつ、YouTubeにもアップロードするとしよう。この戦略で得られるのは、君のサイトではなくYouTube上でコンテンツを視聴してリンクするという選択肢だけであり、YouTubeでの順位を上げることにつながる重要な行動、すなわち、君のYouTube動画を埋め込んで、その埋め込み動画を通じて再生回数を増やすということにはつながらない。両者の「良いとこ取り」になるどころか、実際には両者の「悪いとこ取り」になる可能性がある。
7外部サイト向けに動画コンテンツを制作
動画コンテンツには、トップクラスのゲストによる投稿とリンク機会の獲得につながる可能性がある。
あなたがすでに価値ある興味深い動画コンテンツを自分のサイトや外部サイト向けに作ってきたならば、その実績を示せれば、型通りの味気ないアプローチよりもずっと容易に、有名サイトがゲスト投稿の申し出を受け入れてくれる。
必要な種類のコンテンツ:
ゲスト投稿に活用するコンテンツは、さまざまな意味で、自分のブログに普通に載せるような動画と基本的な諸要素がよく似てくる。つまり、「カメラに向かって語りかける」スタイルが中心だ。
この場合、業界の顧客や権威へのインタビューがよい結果になる多い。というのも、そうした動画はエゴベイトにもなるからだ。相手が自分ではできないようなやり方で、カメラ上で実に専門家らしく見せることができれば、それによって相手からすばらしいリンクを獲得することが非常に容易になる可能性がある。
リソースかスキルがあるのならば、取引先のために製品動画を作ったり、他者が作ったコンテンツの広告を作ったりもできる(これをわがDistilledに無償でやってくれた人たちがいて、僕はいくつかのリンクを進呈した)。
必要な技術的実装:
最終的には、リンクを得られる限り、外部のサイトに動画を埋め込む方法は問題にならないはずだ。
しかし、ターゲットが君にリンクすることにそれほど協力的ではない場合もある。
そんな人に働きかけるよい方法として、動画ファイルそのものではなく、コンテンツの埋め込みコードだけをウェブマスターに渡すというのがある。つまりWistiaなどのプラットフォームにコンテンツを安全にホスティングして、ドメイン名制限を有効にし、その上で自サイトへのテキストリンクを埋め込みコードの最後に入れるのだ(第2のアイデアで取り上げたように、動画をリンクベイトとして利用する)。
大多数のケースで、ウェブマスターがわざわざ埋め込みコードを修正してリンクを削除することはないだろう。これに対し、ウェブマスターがソーシャルプラットフォーム(YouTubeやVimeoなど)にある動画から自分で埋め込みコードを入手する場合は、通常その埋め込みコードには君のサイトへのリンクは含まれない。
8ソーシャルメディアプラットフォーム向けにコンテンツシリーズを制作する
BlipとDailymotionでは、コンテンツシリーズがプラットフォームに認められて、適切なユーザーステイタスがあれば、非常に高いドメインオーソリティ(DA、それぞれDA93とDA97)とフォロー付のプロフィールリンクを得られる。
必要な種類のコンテンツ:
どちらのサイトも、ブランド名やコマーシャル性を排除した特定のテーマを扱うコンテンツを、定期的に公開することが必要になる。また、プラットフォームごとに違う動画を作ることも必要だろう。
どちらのサイトにも承認ための厳格な編集プロセスがあり、コンテンツがターゲットの視聴者に合っていなければ、DailymotionのMotionmakerの地位(フォロー付のリンクを含む)やBlipのチャンネルプロフィールは認められない。
1つのリンクのためにコンテンツのシリーズを作るのは、明らかに時間と金の大きな投資だが、ブランド認知が得られ、さらにうまく行けば参照トラフィックという恩恵があることは、覚えておこう。
君がもし、リンク構築が難しい特に「トリッキー」なニッチ分野にいて、しかし社内に多くの専門知識の蓄積がある場合、それを効果的に活用する便利なテクニックになるかもしれない。
必要な技術的実装:
なし。
コンテンツを16:9のきちんとしたフレームサイズで書き出してから(1280×720のHDをお勧めする)、各プラットフォームにアップロードするようにする。
9動画ニュースリリースでPR活動を強化する
必要な種類のコンテンツ:
動画ニュースリリースの目的は、取り上げる話題にまつわる付加的な情報を加えて、プレスリリースを補足することだ。
動画のニュースリリースは、どのようなPRキャンペーンにも極めて有効だ。というのも、動画ニュースリリースがあると、ジャーナリストがほかの記事よりも優先してくれるからだ。
記者は、興味をもったものすべてを記事にする時間があるわけではない。しかし、動画リリースならば、事実上、記者の仕事の半分をこちらでやることになる。編集者はリリースに添える文章をまとめて動画を埋め込み、公開ボタンをクリックするだけでいい。
必要な技術的実装:
動画ニュースリリースはYouTubeでホスティングすること。大多数のサイトは、サイト上にYouTube動画を問題なく埋め込めるし、youtube.comにある動画から埋め込み用コードを入手する方法を知っている。
ベストプラクティスとしては、最初の働きかけの電子メールに、YouTubeに上げている動画へのリンクを含めるだけでいい。接触した相手から前向きな連絡があったら、動画に君のサイトへの「クレジットリンク」をつけるよう依頼できる。
- 内容カテゴリ:SEO
- コーナー:Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:被リンクを増やすために動画を活用する9つの方法 (後編) [Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報] | Web担当者Forum
Copyright (C) IMPRESS BUSINESS MEDIA CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.