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Twitterが動画広告ファーストビューの成果発表、アクセスから30秒間は記憶に残りやすい状況

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Twitterは3月5日、昨年4月の動画広告枠「ファーストビュー」の提供開始から1周年を迎えるにあたり、ファーストビューの動画広告を広告主がどのように活用しているのか、広告の検証結果とあわせて発表した。

ファーストビューは、ユーザーが1日のなかで初めてTwitterにログインしたときのタイムライン上に表示される動画広告。

Twitterの調査によれば、ファーストビューを活用した体験は、ユーザーの好意的な共感を生むことのほか、購買意向や認知形成の向上につながるという。たとえば、あるブランドでは指標とする値(KPI)が、タイムライン上の通常の動画広告に比べて22%上昇したという。

また、Twitterのユーザーは、アクセスを始めた直後の30秒間がコンテンツを最も受け入れやすい状態にあり、アクセス直後に見る動画は、タイムライン上で見る動画よりも反応率が高まる傾向にある。

活用事例では、「@AbemaTV」が昨年にオリジナル特別番組のプロモーションとしてファーストビューをモバイルアプリ向けのビデオアプリカードを活用して配信。リツイートによる拡散、トラフィックで高い数字を獲得し、プロモトレンドでの広告配信と比較して、CPIは50%以下、コンバージョン数も6倍獲得したという。

この記事の筆者

Web担当者Forum編集部 池田真也

 

家電量販店の法人通販から、Web担当者Forumの前身である『インターネットマガジン』(2006年5月号で休刊)の編集部へ。休刊までの半年ほど雑誌編集を経験し、Web坦の立ち上げを機にネットマーケティングにかかわりはじめ現在へ。編集兼Web担当者。

企業のWeb活用が当たり前になったとはいえ、ビジネスの歴史からすればまだ10数年ほど。それを支えるWeb担当者の仕事がもっと世の中に広まり、ユーザーともどもよりハッピーになれれば、と考えつつ日々勉強中。


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[対談]2017年のSEOはどうなる? 楽天市場のSEOマネージャー近谷氏とアイレップ吉野氏が語る3つのポイント

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スマホ重視や評価アルゴリズム変更など、2016年も話題に事欠かないSEO(検索エンジン最適化)界隈だったが、2017年のSEOはどうなるのか。

特にECサイトにおけるSEOのポイントについて、楽天株式会社で「楽天市場」のSEOチームでマネージャーを務める近谷康氏と、株式会社アイレップでSEOの責任者を務める吉野五十也氏に、「勝てるECサイトのためのSEO」をテーマに対談してもらった。

「ベーシックなことをやりきる」「ROIで判断する」「時代の変化に対応する」の3つのポイントを挙げた近谷氏がいま一番重要だというのは、やはり「スマホ優先」だ。

2017年のECサイトにおけるSEOのポイント

吉野 五十也 氏
株式会社アイレップ
執行役員

吉野五十也氏(以下、吉野) まず、お互い簡単に自己紹介しましょう。アイレップは広告代理店ですが、日々の業務では広告を扱わず一貫してクライアントウェブサイトの改善に携わってきた経歴を持っています。

おもに、SEOとコンテンツの領域の責任者をしていて、クライアントのサイトの自然検索をいかに伸ばすかという部分をお手伝いしています。

近谷康氏(以下、近谷) 私は楽天でSEOチームのマネージャーをしていて、チームには数名のSEOコンサルタントがいます。楽天市場はモール型ECモデルで、SEOチームが担当するのはモールの部分です。

私自身は、システム開発の会社でSEをやったあと、楽天に入社してポータルサイトのインフォシークでサービスプロデューサーを担当しSEOを経験しました。2年半くらいたったころでSEOを極めようとアイレップに転職し、2010年からふたたび楽天に戻って現在の仕事をしています。

近谷 康 氏
楽天株式会社
楽天市場事業 マーケティング部
サーチエンジンマーケティンググループ
マネージャー

吉野 お互いにSEOの経験は10年以上ですが、2017年のSEOで大切なポイントは何だと考えていますか。

近谷 それを解説する前にまず、SEOの根本の部分についてお話しさせてください。

「楽天市場のSEO(検索エンジン最適化)」というとすごいノウハウやテクニックがあるんじゃないかと思われるかもしれません。でも実際には「スペシャルなことは何もしていない」というのが、一番伝えたいことかもしれません。

「何か裏技を知っているんですよね」とか「奇策があるんですよね」といわれますが、楽天市場のように大規模なサイトで継続的に成長させていくためには、一過性の効果しかない、テクニックに偏ったSEOはやりません

実は、SEOで本当に大事なのはそういったテクニックではありません。継続的に価値を生み出すSEOに大切なことは、

  • 奇策ではなく、ベーシックなことをきちんとやりきる
  • SEOは売上を上げるためなので、仮説を立て、ROIで優先順位を判断する
  • 時代の変化に対応する

この3つくらいでしょうか。

「何か裏技を知らないか?」とか「奇策はないか?」といわれるが、楽天市場のように大規模なサイトで継続的に成長させていくためには、一過性の効果しかない、テクニックに偏ったSEOはやらない。

「スマホ優先」は決定事項なので「対応する」の一択

吉野 「時代の変化」でいうと、最近は何を一番重視していますか?

近谷 いまならスマホ優先ですね。

楽天市場に限らず世のなか全体でPCよりスマホが使われているという流れがあります。グーグルはその流れに対応してスマホページを優先してインデックスし始めます。

だから、スマホ優先やそれに付随したスマホフレンドリーをきちんとやること、それが今の時代で大切なこととして最初に見る点ですね。

この重要性はすでに数字でも出ています。たとえば楽天市場では流通の60%近くがスマホから生まれている状態です。

吉野 アパレルやアクセサリーなど、特定のカテゴリではさらにスマホの比率が高くなりますね。

でも、ウェブ担当者のみなさんは、仕事でデスクトップPCを使っているでしょうから、以外とスマホサイトを見落としがちでは?

近谷 いまは、社内に向けて「PC向けページはスマホ向けページの補完であると考えましょう」というメッセージを出しています。実際に、売上の6割がスマホですし、「PC用のサイトを作ったから、次はスマホ版も作らなきゃ」という時代は終わったといえるのが2017年でしょう。

吉野 世のなか的には、「モバイルファーストインデックス」を非常に重くとらえている会社が多いようです。

※:グーグルの「モバイルファーストインデックス」が導入されると、基本的にスマホ向けページの内容をインデックスや検索結果での順位決定に使い、PC向けページの内容は(ほとんど)見なくなる。
参考:グーグルがPCサイトを見なくなる? モバイルファーストインデックス(MFI)で大切なこと(Web担当者Forum)

「全部スマホ版で評価されるなら、むしろビジネスチャンスなのではないか。競合より上にいくために何かできませんか」という相談がありました。ただこれは、検索対象がPCからスマホに変わるだけで、スコアリングには影響しないとグーグルはいっています。それでも、「スコアリングに影響するのでは?」「順位が動くのでは?」と懸念される方も多い。

代理店であるわれわれとしては、次の2パターンを用意して選んでいただいています。

  • 保守案: PC版の情報をすべてスマホ版に盛り込む(情報を取捨選択して失敗すると怖いので、PC版をそのままスマホ版に)
  • スタンダード案:スマートフォンでの情報取得に必要な要素を選定して、十分なコンテンツを入れる

ただ、グーグルとしてはウェブの実態に合わせてくるのが一般的なので、保守案でやると過剰かなというのが正直なところです。

スマホの技術的な面では、「AMP(Accelerated Mobile Pages)」や「PWA(Progressive Web App)」もあります。

AMPは、スマホでのページの表示高速化をめざして複数の企業が参画しているプロジェクトで、グーグルは非常に推しています。PWAは、ウェブでアプリの体験を実現するものですが、こちらは経験のある技術者がまだ少ないので、一般的に認知されるようになるのはまだ先の話でしょう。

近谷 われわれは、スマホを早くから重要視していたという経緯もあって、PC向けとスマホ向けのページは必ず対で存在するということが実現できています。

ですので、「モバイルファーストインデックス」だからとあわてる必要はないですね。

いま課題として残っているのは、「PCはスマホを補完するもの」というように発想を切り替えることですね。以前はその逆だったので、PC向けページに比べて文字や要素を減らしたスマホ向けページもあります。そうしたページはチューニングしていく必要はありますね。

AMPやPWAについては、SEOに直接的な効果があると証明されていない段階なので、選ぶかどうかは各社の判断です。われわれとしては、ページを速く表示する技術としてAMPをとらえた場合、それはユーザーにとって良いことなので、ポジティブにキャッチアップしておくべきと考えています。

仕様も含めてどんどん変化するいまの段階で導入の是非を判断すべきではないし、前もって触れておかないと、仕様が固まったときに初めて取り組んでいるようでは遅いですから。

UX改善はSEOのためでなくユーザーのために

吉野 AMPの話で少し触れましたが、ユーザーエクスペリエンス(以下、UX)についてはどう考えていますか。

近谷 SEOでいう「UX」は、「検索エンジンから来て、モールのなかの店舗で物を買うまで」という外部から内部回遊までの一連の流れ全体を指していると考えています。

一方、社内一般的に「UX」というと、楽天市場トップページからの内部動線に限った話になることが多い印象があります。「トップページを見て、特集を見てから、楽天市場の検索ボックスに何かのワードを入れて検索し、見比べて、アイテムページに行って買う」という、楽天市場内でのメインの動線を改善するという話になるのです。

そういう「理想のサイト内動線」を考えるときは、「まずこのページを見て、次にこれを見てもらう」という流れになっていますよね。でもSEOの場合は、そうした想定ルートと関係なく、グーグルの検索結果から直接店舗さまのページや楽天市場内の検索結果、ランキングのページに行くことがあります。そこが大きな違いで、社内でUXの話をしていると、その話が抜け落ちていることが多いです。

たとえば、トップページからジャンルを絞ってアイテムに行くという流れをスムーズにできるように最適化したとします。そのとおりにユーザーが動いてくれれば非常にわかりやすい導線設計ができあがります。

でもグーグルから来る人は、ジャンルで絞り込んだページに直接、流入することがあります。その人は自分でジャンルを絞った覚えがありません。ですので、そのページではこのページはこういう条件で絞り込んだ内容なのだということが表示されていないと、「何かよくわからないけれど並んでいる」という状態になります。それでは、スムーズに買い物をしてくれるとは限りませんよね。

検索エンジンから訪問するユーザーは前述のような理想の流れを経てそのページを見るのとは前提が違うので、SEOのUXを理解してもらう必要があります。

吉野 なるほど。

近谷 また、SEOでは「クローラビリティ」も無視できません。クローラーも1人のユーザーととらえて、UXの話のなかにクローラーを含んでいるという考え方です。

クローラーも1人のユーザーととらえて、UXの話のなかにクローラーを含めて考える。

吉野 ただ、グーグルのクローラーに対するSEOだけを考えていると、効果がない施策ばかりになってしまうのがいまの時代です。

たとえば、それなりにきちんとナビゲーションが設計されているのに「内部リンクを追加すると良いらしいから」とフッターに無理矢理内部リンクを追加しても、ほぼ意味がないですよね。昔は、そうした行為や、それこそ「タイトルでキーワードをもっと前に置く」といった施策でも結果が出ていました。でもいまは、そうした施策はほぼ意味がありません。だから私は、「ユーザーに向けて、ユーザーに影響がある施策」にと常にいっています。

SEOで行う施策には、「検索エンジン向け」と「ユーザー向け」の2種類あります。もし、読者の方が管理しているサイトで、すでに立ち上げ期を過ぎていてしっかりベースができているのに、やっている施策の8割が検索エンジン向けのものだというならば、内容を見直してみるといいでしょう。フッターやサイドバーにリンクをいくら並べても、ユーザーはそこを見ていません。ユーザーにとって意味のある施策を考えたほうが、結果は出るでしょう。

近谷 そうですよね!

吉野 SEOの世界は変化が激しいのですが、実は2010年前後に大きく変わっています。

以前はテクニカルな要素が強かったんですよ。5年以上前なら外部リンクがすごくSEOに効いていました。また、内部リンクの設計をきちんとやればある程度の結果が出ていました。

しかし、いまは、そうした施策では、ほとんど結果が出なくなってしまっています。もちろん、全然できていないサイトでやれば結果が出るので、「マイナスをゼロにする」という意味では悪くない施策なのですが、100%以上をめざすにはいっさい効かなくなっています。

近谷 グーグルはどんどん進化していますからね。

吉野 それもあるのですが、グーグルが機会学習等の技術を取り入れてきているのが、大きく影響しているのではと私は思います。

グーグルの検索事業の責任者が、アミット・シンハル氏からAI部門の責任者であるジョン・ジャナンドレア氏に変わったことからも、機会学習の活用が進んでいるだろうと推測されます。

つまり、SEOでは4年前の情報、特にテクニックについては効かなくなっていて、以前いわれていたグーグル向け施策は、いまはほとんど効果が出ません

SEO担当になったばかりの人は、いろいろと調べてそれをやってみようとしますよね。その際に、ネットで検索して見つけたやり方や、制作会社の人が教えてくれたり、セミナーで講師が話していたことを試すこともあるかと思います。

でも、その情報が古いものじゃないかと必ず疑わないとまずい時代になっています。とはいうものの、SEOに詳しくないと、その情報が新しいのか古いのか判断できませんよね。

だから、近谷さんが社内に出すといっていたメールの件と似ていますが、グーグルのためではなくユーザーのためにという考え方で判断するようにしていくのが正しいやり方だと伝えるようにしています。

そもそも、UXをうまく改善できれば、検索トラフィックが増えて、さらに検索以外のチャネルから来た人もスムーズにコンバージョンしてくれるようになるなんて、ROIの観点でもすばらしいじゃないですか!

SEOでは4年前の情報、特にテクニックについては効かなくなっていて、以前いわれていたグーグル向け施策は、いまはほとんど効果が出ない。

近谷 そうですね。われわれもUX専門チームがいるので、A/Bテストをしながらトライ&エラーでいろいろやっています。

社内でも「UXを改善すると検索からのトラフィックが増える」といういい方で推進することはしません。UXはSEO以外のあらゆる成果につながるものですからね。

注意したいのは、「SEOのためにUX改善をする」とは考えないことです。そうではなく、あくまでもユーザーのことを考えて課題であるならUXを改善します。もちろんSEO担当ならば、検索エンジンにも関係するUXはほかの人よりも気にしなければいけませんが。

「SEOのためにUX改善をする」とは考えないこと。あくまでもユーザーのことを考えて、課題であるならUXを改善する。

吉野 スマホのECサイトで他に注意すべき点を紹介するなら、すごく各論になりますが、ページのラベリングを見直したほうがいいというのがありますね。

スマホは画面が狭いので、長い文字列が改行されて見にくいため、省略することが多い。ただし、あまり省略し過ぎるとそれが何のページかわからなくなります。

たとえば、ECサイトのサイト内検索結果ページです。

スマホで見ると、ページに大きく表示しているタイトルが「検索結果」という4文字になっていることが、けっこうあります。4文字ならどんなスマホでも崩れることなく表示できますからね。

でも、検索エンジンからそのページに直接来た人にとって「検索結果」というページタイトルはどうでしょう。何の検索結果かわからないと、ユーザー体験としては良いとはいえませんよね。

だからスマホ向けページでも、「ナイキの検索結果」とか「シルバージュエリーの人気ランキング」とか、最低限の情報は盛り込むべきです。

あとは、細かいことですが、モバイルファーストインデックスのテストと推定される事象も確認されており、PCでグーグル検索したときの検索結果のタイトルに「スマートフォン版」と出て格好悪く見えてしまっていることもあります。

どういうことかというと、スマホ向けサイトのタイトルが「株式会社インプレス 企業概要(スマートフォン版)」のように入れているのが、モバイルファーストインデックスのクローラーの影響でそのまま出てしまっているんですね。

ECサイトのSEOは売上貢献が目的。となると大切なのはROIの意識

吉野 楽天市場のSEOの体制はどうなっていますか。

近谷 ページの仕組みを作っている「開発チーム」と、ページのコンテンツやクリエイティブを作っている「編成チーム」があり、それぞれとSEOの専門家であるSEOチームが一緒にやっていく体制を作っています。

編成チームは、モールでの催し物の場を企画・制作します。季節の特集やジャンルの特集などのページを作って、そこに参加する店舗さまをモール内から募ります。リアルのショッピングモールで広場で催し物を企画してセールをするようなものですね。

たとえば季節の特集では、コンテンツをしっかり作ることが軸になるので、幅広くニーズにあったページをきちんと用意して、それに対して集客していくことが重要になります。どれだけユーザーマッチしたページを用意できるか、ライティングのアドバイスを含めてやっています。

吉野 編成チームが企画したページを作るかどうかは、最終的にSEOチームが決めるのでしょうか。またその場合の判断基準はどのようなものですか。

近谷 われわれは事業としてやっているので、直接的に売上を生むかどうかがページを作成するうえでの基準になります。

一方で、幅広くニーズにマッチしたページを作ることは、購買に直接かかわらない、買うまでに時間のかかるコンテンツを作ることにもなります。購買ファネルでいうとかなり手前の段階なので、われわれの「サイト訪問後24時間でコンバージョンするか」という軸で考えると、なかなか作りにくくて苦労しました。間接的な効果を数字で示しながら、お互いに認識を合わせながら新しいことにチャレンジしています。

われわれは「売り場」「ノウハウ系」「ソーシャルに向き合ったコンテンツ」の3つを、必ず作りましょうという話をしています。特に新しくチャレンジしているのは3つ目のソーシャルの部分で、検索のニーズだけでなくツイッターやはてなブックマークを見て、どういうネタがおもしろいのか話をしながら、編成チームとSEOチーム合同で企画を考えています。

SEOの領域を少し越えますが、そうでないと、おっしゃるとおり差別化できないし、モール型のECは全部一緒という形は避けたいです。

吉野 編成チームとSEOチームの役割分担は、どういうかかわり方をしていますか。

近谷 楽天市場の場合は、企画を考える段階からSEOのコンサルがかかわっています。

たとえば「母の日特集」を作るときに、「母の日」に付随するユーザーのニーズが何なのか、どういうモチベーションの人たちがそこにいるのか、そこからキーワード出しをして、どのようなページをいくつ用意するか決めます。つまり、どのようなページを作るかを決めるためのキーワード出しからやるので、企画が始まる前のキックオフの段階からSEOチームが寄り添って併走する形です。

吉野 SEOチームはキーワードとニーズを出すわけですね。具体的に、どういうものを提供するのですか。

近谷 ぺルソナやシチュエーション、それに対する個々のモチベーションなどからキーワードを類推して、キーワードの検索のボリュームやキーワード同士の関連性を提供します。

キーワードの数でいうと、多分200個くらいは渡しますね。それを「どういう検索モチベーションか」という軸でグループ分けして、サイトマップに落としていきます。

吉野 「母の日」だけや1ワードかけあわせのような単純なキーワードが提供されるわけではないのですね。「このコンテンツは、このキーワードを主軸にこれとこれをこういう構成で入れて」といった指示はしますか。

近谷 コンテンツにキーワードを入れるというより、まずキーワードがあって、そのキーワードのためのコンテンツはこういうテーマだという考え方をします。

「このキーワードで検索された場合にランディングページとなり得るのは、こういうテーマですよ」という形で伝えています。ライティングについては、できあがった文章に対して文字校正をしたり、SEO観点での書き方のチューニングをしたりしています。

編成チームに対するSEOチームのかかわり方
  1. 「キーワード(ニーズ)A、B、Cを満たすコンテンツとしてページ(テーマ)αを作る」「D、Eを満たすコンテンツとしてページβを作る」という感じで、数十ページ作るようにと編成チームにテーマを提示。
  2. できあがったコンテンツを文字校正して、検索エンジンが評価しやすいようにチューニング。

どういう切り口のページを作るのかという、粒度とテーマのバランスをとるのが最初の仕事です。

企画によって違いますが、切り口の数は数十、キーワードなら100や200になります。1つの企画につき、数十のコンテンツを作るということです。広く網羅するほど全体のコンテンツの質は上がることになりますが、ページを作るにはコストがかかりますから、そのバランスをとるのが難しい。どのくらい売れるのか予測しながら考えるわけです。

ちなみに、こうした作り方には1つ、意外なメリットがあります。アクセス解析で検索エンジン流入キーワードが見えなくなってしまったという問題がありますよね。でも、この作り方ならばキーワードを前提にテーマを決めてページを作るので、そのページに来たのはそのキーワードからの流入だと見なせるのです。正確ではありませんが、分析には足る情報だと思います。これができるのは、そもそもページを作るときにキーワードありきだからですね。

吉野 では、開発チームに対してSEOチームはどのように取り組んでいるのでしょうか。

近谷 開発に対しては、

  1. SEO自体の課題抽出をする
  2. 課題を具体的な施策、たとえば「リンクの張り方を変える」といった施策に落とし込む
  3. その施策を実施した場合のSEO効果を試算する
  4. 他の開発案件との優先順位をつけ、優先度が高いものから着手する

という流れです。どれだけSEOチームが「やるべきだ」と思っていても、ビジネスインパクトという観点で他の案件のほうが大きい場合は、そちらを優先します。

吉野 個別の店舗への影響がハードルにはなりませんか? 編成の施策の場合は店舗にとっても嬉しいだけですが、開発の場合は影響が出るケースもあると思います。

近谷 もちろん、各店舗さまのページの基盤となる部分は、非常に慎重に調整しながらやります。ただ、店舗さまのページは店舗さまが自由に編集し工夫されているので、そこに踏み込むことはありません。

吉野 ということは、開発の部分でハードルになるのは、工数とROIがメインということですね。

近谷 ROIですね。

吉野 開発領域のコンテンツには「楽天内の検索結果」と「ランキング」という大切なページがありますが、最近の検索エンジンの傾向として、これらのページに対するトラフィックは変化していませんか?

というのも、楽天に限らずですが、グーグルがコンテンツ感のあるページの順位を上げるしくみになった影響がここに出ている印象があるのです。

昔はグーグルの検索結果で「そのキーワード関連のモール内検索結果ページ」がよく上位にきていたのですが、最近はランキングページの方が上位にくるようになっていますよね。

ビジネス的には、サイト内検索結果ページに入ってきてほしいところでしょうが、どうアジャストしますか。

近谷 SEOの仕事は、すべてのページの順位を上げようとすることです。

もちろん、グーグルのアルゴリズムがどうなっているかは重要な話です。でも、検索上位になってほしくないコンテンツなら消せばいいんですよ。

とはいえ、消すわけにいかないページが検索上位にくることもあります。ですから考え方としては、グーグルは常に変化しているのだから、それに適応するためには、すべてのページが上位になるよう状態にして、アルゴリズムが変化してもいいようにしています。あとは、経営陣も含めて現状と傾向の説明をしっかりすることですね。

もうちょっと現場の話でいえば、上位になっているページがビジネス的に上位にきてほしいページではない場合、「こっちのページをSEOでなんとか上位にする」以外の解決策のほうが現実的なことも結構あります。具体的には、いま検索エンジンで上位にきてるページを工夫して、リンクやバナーをうまく使って露出したいページに誘導すればいいのです。

楽天でいうなら、ランキングのページがグーグルで上位にくるのならば、グーグルで検索したユーザーはそのランキングページに来てもらいます。そこからサイト内検索結果ページへの誘導をしっかりすればいいのです。そのほうが、サイト内検索結果ページがグーグルで上位になるように努力するより自然ですよね。

「カテゴリ」から「タグ」への変更でUXが向上

吉野 楽天市場の開発領域の大きい案件で、「カテゴリ」から「タグ」への移行というリリースが出ています。「タグ化はやりたいけれど、店側に負荷をかけるのでできない」という会社が多いのですが、どのように取り組んだのですか。

近谷 楽天市場というモール全体で考えると、検索して商品にたどり着いてもらうという流れは非常に重要です。しかし、新しい検索体験を提供しようと思っても、いまの検索のしくみのままでは実現できないという課題がありました。そこで手法としてフォーカスが当たったのがタグ化です。

吉野 SEOではなく、UXのためだったということですか。

近谷 そうです。タグ化は、グーグルでの検索順位を上げるためというよりは、UXのために必要な機能としての取り組みです。検索結果ページは、どこから入ろうがみんな通る場所なので、そこを良くしようという話です。

タグ化とはどういうことかというと、たとえば以前の楽天は、ブランド内でカテゴリを横断して探すことができませんでした。

ナイキのスニーカーを探すには「靴」のカテゴリから探します。それは自然です。でも、ナイキには靴以外のファッションもありますよね。しかし以前の楽天市場のサイト内検索では、ナイキのトレーナーを探したければ、「靴」のカテゴリから戻って「ファッション」のカテゴリで検索する必要がありました。ナイキには靴もアパレルもサングラスもスマートウォッチもありますが、それらを「ナイキ」という軸でまとめて探すことができませんでした。

しかし、各商品に「ナイキ」というタグをつけて、タグを軸に検索できるようにしました。これによって、ジャンルを横断した検索ができるようになるのです。

また、タグを使うと、商品に対して簡単に属性を追加でき、意外な絞り込み検索としても使えます。たとえばミネラルウォーターに「500ミリリットル」「36本セット」のような属性をつけられるのです。こうした条件で絞り込むことは、タグ化しなければできませんでした。

これによって「検索から商品へのたどり着きやすさ」が大きく改善しました。

吉野 もちろんカテゴリの仕組みでも要件をつめて開発すればできなくはないけれど、楽天のように大規模だと難しいでしょうから、タグ化はいいしくみだと思います。

近谷 タグ化によっていままでできていなかった機能が実現できると、新しいページが「面」として増えます。このように、機能的に新しいページが増える場合は、必ずSEOチームが入るようにしています。タグ化は、面が増えることでSEOのためにも非常に効果が高い施策になっています。

吉野 タグへの移行はもう完了したのでしょうか。

近谷 しくみとしてはできていますが、データという意味では進行中です。今年いっぱいである程度は完了する予定ですが、楽天は毎日新しい商品が増えるし、属性は常に変化・進化します。

たとえば「以前は業務用で一般の人が使わない物だったのに、突然広く使われるようになった」というように、製造元が意図したのとは違う目的で使うことがブームになることもあります。そういうときにも、新しいタグを柔軟に追加できるのは良いところです。

タグを推進するうえで一番の課題は、各店舗さまがいかに手間をかけずにタグを設定できるかということです。

商品の情報はもっているものの、店舗さまごとで粒度が全然違うので、それをいかに適切に正規化するか、その属性を店舗さま自身で入れられるかというのが、やはり課題です。われわれモールとしては各店舗さまのデータありきなので、いかに入れてもらうかがポイントです。

ECサイトを悩ます「コピーサイト」「詐欺サイト」はどう対応?

吉野 楽天に限らずECサイト全体での困りごとですが、スパムというか、ミラーサイト、詐欺サイトの問題がありますよね。

楽天から情報を全部コピーして、別のサイトに載せているが、実際にそこで買おうとしても商品が届かないというようなサイトです。しかも、ちゃんとサイトを持って運営するのではなく、どこか別のサイトのセキュリティホールをついて、勝手にそのサーバーにコピーしたコンテンツをアップロードしているような……。

もちろんブランドの毀損(きそん)という死活問題もありますが、SEO的には、コンテンツをコピーしているからそのページから楽天に向けたリンクができてしまい、そのリンクが検索エンジンから「よろしくないリンク」だと判断されるリスクがありますよね。

どういう対応を取っていますか。

近谷 われわれはグーグルの検索結果をモニタリングしていますが、見つけた詐欺サイトはすべてグーグルにスパムとして申請しています。かつ、ユーザー向けに楽天市場の詐欺サイト一覧として公開して、注意喚起もしています。

グーグルへ申請をしたら、ハッキングされているサイトだと判定して検索結果に出ないようにしてくれます。

本来グーグルにインデックスされないのが良いですがが、われわれもきちんと監視しています。

さらに、セキュリティソフトでフィッシングサイトとしてアラートを上げてもらうため、セキュリティベンダーとも連携しているんですよ。

吉野 最後にECのSEOに大切なことは何か、簡単にまとめましょう。

私からは強く伝えたいのは、「人に向けた最適化をしていきましょう」ということですね。

近谷 グーグルの最近の傾向からもわかるとおり「スマホが重要」なので、楽天市場ではスマホの重要度を上げて引き続きやっていきます。あとは冒頭で述べた3つのポイントですね。

  • 奇策ではなく、ベーシックなことをきちんとやりきる
  • SEOは売上を上げるためなので、仮説を立て、ROIで優先順位を判断する
  • 時代の変化に対応する

吉野 ありがとうございました。

近谷 ありがとうございました。

この記事の筆者

柏木 恵子
ITジャーナリスト

【撮影】
渡徳博

アフィリエイター向けのイベントって何をするの? 何をゴールにすればいいの? | アフィリエイトの効果が出ていないEC事業者のためのアフィリエイト再入門講座

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アフィリエイト広告の取り組みはオンラインだけではありません。ASPが主催する展示会形式や、広告主が企画する自社セミナー&体験会のように、広告主とアフィリエイターが直接交流できるアフィリエイター向けイベントが全国で開催されています。イベントでどのような取り組みが行われているのかご紹介します。

イベントでできることとは?

アフィリエイター向けイベントでは、主に①商品説明②商品体験③商品撮影④アフィリエイターとの交流という、4つの取り組みを行います。

①商品説明 ②商品体験 ③商品撮影 ④アフィリエイターとの交流
アフィリエイター向けのイベントでできることは、①商品説明、②商品体験、③商品撮影、④アフィリエイターとの交流……の4つ

①商品説明

自社の商品ページで伝えきれない商品の良さや活用法を、セミナーや対面で直接アフィリエイターに伝えます。自社開催セミナー形式イベントでは、パワーポイントなどを用いてより詳細な情報を提供しています。

ショップの歴史や商品の特徴だけでなく、サイトに訪れるユーザーの属性(年齢や家族構成など)、購入単価、どの時間帯に購入が多いか……などなど、ショップサイト上で公開していない、販売や成果につながりやすい情報が喜ばれます

株式会社レッドビジョンの自社開催セミナーイベントの様子

②商品体験

アフィリエイターに商品を直接自由に見て、触って、使ってもらい、その体験を紹介記事にしてもらう取り組みです。

通常、ネットショップの商品は手にとって試すことができませんが、アフィリエイトイベントでは基本的に「自由に商品を使って試せる」場を用意しています。広告主スタッフが商品説明をすることで、より商品理解を深めてもらいます。

見たことも使ったこともない商品を紹介するよりも、実際に体験することで、アフィリエイター自身に商品の価値を実感してもらえます。

ショップジャパンのイベントの様子

「体験者の声」は、購入を検討している見込み客にとって有益な情報です。

例えば「写真で見るより生地が柔らく温かい」「思った以上に高級感のある黒だった」「150cmの自分には少し大きかった」「女性でも持ち運びができる重さだった」といった、ショップの画像やテキストに含まれない生の声を掲載してもらえます

ただバナーを貼っただけの紹介記事より、体験レビューを掲載したサイトからの紹介を増やすことで、「キャンセルが減った」という広告主もいます。

株式会社ディープインパクトのイベントの様子

当日の体験だけではなく、イベント参加者に試供品をプレゼントとして配布できれば、自宅でも体験してもらえます

※ただし、試供品やサンプル提供については「無条件に配布しない」「レビューを書くと約束してくれたアフィリエイターにだけ提供する」など、一定のルールを持って配布することをお勧めします。特に大型の展示会形式イベントでは、単にサンプル品が欲しいだけの来場者も一定数いるからです。

③商品撮影

商品を展示し、デジタルカメラやスマートフォンで、アフィリエイターに自由に撮影してもらいます。

写真は商品を伝えるための重要な要素です。アフィリエイターは通常、広告主が提供するバナーやテキストなどの広告素材しか利用できませんが、イベントで撮影した写真や動画は、自身が商品紹介に利用する限りは自由に使えます。商品の特徴や利用シーンを、写真を活用して紹介しているアフィリエイターから特に人気です。

株式会社ディープインパクトの自社開催イベントの様子

服飾品の場合は商品を身に付けた「着画」が人気のため、スタッフが商品を着用していれば素材として好まれます。企業の顔として積極的に顔出ししているアフィリエイト担当者もいるため、注意がなければそのまま公開されます。

担当者の中には「顔出ししたくないのに……」という方もいるかと思いますが、その場合は「人物が写った写真は、顔は加工して利用してください」というように、その場で一言添えると良いでしょう。

スタッフだけではなく、アフィリエイター同士の撮影にも配慮が必要です。副業で取り組んでいて、顔出しは厳禁としているアフィリエイターも多いので、広告主側で注意を促すなど配慮をしましょう。

株式会社ディープインパクトの自社開催イベントの様子

④アフィリエイターとの交流

オンラインの取り組みが中心のネットショップにとって、エンドユーザーに近い立場のアフィリエイターと接点を持つことは、「やり取りが煩雑になる」「どんな問い合わせが入るかわらない」といった理由で躊躇する広告主もいますが、実はアフィリエイトでは、アフィリエイターと対面することで信頼が生まれ、優良な紹介に結びつくことが多いのです。

株式会社レッドビジョンのイベントの様子

アフィリエイターにとって、リアルイベントは実際に商品を使って試せるだけではなく、直接ネットショップ担当者に質問できる貴重な機会です。

アフィリエイトは多くの広告主が利用しており、有力なアフィリエイターは引く手あまたです。自身のアフィリエイトサイトに親和性の高い商品を自ら選んで掲載していますが、似た商材で優劣付けがたい場合は、「担当者と懇意にしているから」といった理由で紹介する場合が多々あります。

イベントの目標は「優良な紹介記事を増やすこと」

ASPが企画する展示会形式のイベントでも、自社開催セミナー&体験会イベントでも、目先の売り上げだけを目標に動いてしまいがちです。ですが、まずはアフィリエイターに自社の商品に興味を持ってもらい、長く活動してもらうためのリレーションを作ることが重要です。

でも、それだけだとなかなか社内で企画を通すことが難しいと思いますので、「良質な紹介記事を増やす」ことを、イベントの目標にすることをおすすめします。

掲載例①「あやぴいんふぉ」
掲載例②「キャリアアップ・ファッション戦略」
掲載例③「35-45WOMAN」

アフィリエイターは、成果につながってはじめて報酬を受け取れます。単にバナーを掲載しただけでは送客に結びつきにくいので、商品を撮影できて、広告主と直接コミュニケーションがとれるイベントは、アフィリエイターにとっても貴重な機会です。

良質な記事からは送客も生まれやすいと予想できます。1記事でも多く掲載してもらえるように、イベント前後に積極的にアフィリエイターに働きかけていきましょう。

ですが、前回お伝えしたように自社開催のイベント&体験会は、数多く開催されています。

テレビなどで話題になったようなメジャーで掲載するだけで売れるような、アフィリエイターにとって紹介しやすい・売りやすい商品であれば自主的に参加したいというアフィリエイターを集めることも可能ですが、多くの広告主はイベント集客に苦戦をしています。

来場者限定で報酬アップキャンペーンを用意する、可能なら試供品などを渡す、遠方の有力アフィリエイターに参加してもらうため交通費を負担する……といったことを検討する場合もあります。

◇◇◇

商品やサービスにより大型の展示会形式が適しているのか、個別にメールをした方が良いのか、投下するリソースの使い分けは必要ですが、ASP主催の大型イベントが近いうちにあれば、まずは一度、アフィリエイターとしてエントリーしてみる事をおすすめします。

熱心に活動するアフィリエイターから多くの刺激をもらえるだけではなく、アフィリエイターとして参加することで、他の広告主がどのような情報提供をして、アフィリエイターとどのようなコミュニケーションをとっているのか学べます。

アフィリエイターに「参加したい!」と思ってもらえる企画するためには、当日だけではなく、事前・事後に多くの準備が必要になります。開催時期を含め、じっくり検討するとよいでしょう。

次回は、イベント効果を高めるための準備についてお伝えします。

オリジナル記事はこちら:アフィリエイター向けのイベントって何をするの? 何をゴールにすればいいの?(2017/02/10)

この記事の筆者

2004年よりギフトメーカーのWebショップ担当を経験。「モノを売る楽しさ」「アフィリエイトの楽しさに目覚め、2008年よりファンコミュニケーションズ、そしてリンクシェア・ジャパンにて、ネットショップ運営者やアフィリエイトサイト運営者に向けた教育・啓蒙活動に従事。その後、売れるネット広告社にて新規媒体営業と通販事業者向けのコンサルティングを行う。

日本アフィリエイト協議会による、アフィリエイト業界関係者が選ぶ「アフィリエイト業界MostValuable Player(MVP)」2012、2013、2014の3年連続の受賞など、受賞歴も多い。共著にて「成功するネットショップ 集客と運営の教科書」を出版。

現在フリーにて、ネットショップ(通販企業)向けのコンサルティングを開始。

無法地帯の大学研究室Webサイトを何とかしろ! IPAが学術組織の放置サイトに警告 | 編集長ブログ―安田英久

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「大学などの学術組織は、研究室やサークルのWebサイトをちゃんと管理するように」と、IPA(情報処理推進機構)が注意喚起を行いました。実際には、企業でも同様の問題がまったくないわけではありません。

学術組織のWebサイトは集中管理するように

学術組織を狙ったウェブサイト改ざんに注意」「放置サイト一掃のため、学術組織のウェブサイトは集中管理を」――IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は、こうした注意喚起を2月27日に発表しました。

2016年末から2017年1月にかけて、大学の研究室などのWebサイトが多数改ざんされたことをうけてのものです。

その原因は、研究室やサークルなどのサイトのような、学生や在籍期間が限定されている教員が管理しているサイト。大学などの学術組織では、オフィシャルなWebサイト以外にも、研究室やサークルなどさまざまなWebサイトが開設されています。しかし、それらのサイトは、使われなくなったあとも放置されていたり、管理が引き継がれずに管理者不在状態になってしまうことがあるのです。

そうしたサイトは、管理されなくなったあともインターネットには残っています。

では、たとえばそのサイトがWordPressのようなCMS(コンテンツ管理システム、サイト管理システム)を使っていたとするとどうでしょう。

サイト管理システムのぜい弱性から機密情報の漏えいのリスクも

通常、WordPressにぜい弱性が見つかったならば、管理者が最新版にアップデートするなど対応することで、攻撃を受けないようにします。しかし、前述のような放置されたサイトは、CMSを管理する人がいないため、悪意のある者の攻撃を受けるままになってしまうのです。

攻撃を受けたサイトは、内容が改ざんされたり、場合によっては訪問者にコンピュータウイルスを送り込むサイトになってしまったりします。

それどころでなく、もっと悪い結果も有り得ます。そのWebサーバーのシステムを自由に使えるようになるようなぜい弱性を攻撃者が突いた場合です。

この場合、Webサーバーやデータベース内のデータを攻撃者が流出させることも可能となります。また、ネットワーク構成によっては、学内の他のシステムに侵入する裏口となり、Webサーバーと関係のない機密データを盗まれたり流出させられたりする可能性もあるのです。

IPAは、「学術組織では、研究室単体の情報のみでなく、企業との共同研究などの知的財産といった貴重な情報を保有しています」として、こうした情報漏えいによる関係組織へのダメージや組織の評判悪化にも言及しています。

集中管理を前提とした体制と管理を

では、どうすればいいのでしょうか。IPAは「集中管理を前提とした体制と管理」が必要だとして、次のようなことを提案しています。

  1. ソフトウェアの更新や脆弱性解消等のセキュリティ対策は個々のページの管理者(研究室やサークル単位)に極力任せず、組織のシステム管理部門による集中管理とする。

  2. 公開しているページにセキュリティ上の問題が確認された場合に、組織のシステム管理部門が公開停止等を実施できるよう、あらかじめ周知しておく。

  3. 組織内に散在するウェブサイトをアンケート実施により把握する。
    →URL、設置目的、管理者の連絡先、ウェブサイトの公開見直し時期などを収集

大学Web担当者のみなさん、もしまだこうした管理を行っていないようでしたら、早めに進めておかないと、いつかまずいことになってしまうかもしれませんよ。

これは大学だけの問題ではない

また、こうした問題は、学術組織だけの問題ではないことを、IPAは指摘しています。

例えば、個々の“独自のポリシー”だけで一切が仕切られているような組織でも、学術組織と同様の問題を抱えていると認識し、集中管理によるウェブサイトの管理・運用を徹底する必要があります。

昔は企業でも同様のことがありました(20年前ですが)。企業のオフィシャルサイトがないにもかかわらず、一部の熱心な人が勝手にサイトを立ち上げていた時代ですね。

さすがに今は、企業の関連サイトは主管部署が把握しているでしょうし、勝手にサイトを立ち上げられないようになっているでしょうから、ここまでの状況はなくなっていると思います。今はキャンペーンサイトもしっかりと管理されているでしょう。

でも、各サイトでどんなCMSを利用しているのか、そのバージョンはいくつなのか、そのアップデートなどの管理をだれがいつしたかまで、しっかりと管理できているでしょうか。

意外と、「情報システム部が責任をもつのはOSとApacheまで」で、CMSのアップデートは事業部の責任になっていたりしないでしょうか。

学術機関向けの注意喚起ではありますが、企業のWeb担当者さん(特にWeb全体を統括する立場の方)は、改めて管理体制を見直してみるのはいかがでしょうか。

この記事の筆者

安田 英久(やすだ・ひでひさ)

株式会社インプレス
Web担当者Forum 編集長

プログラミングやサーバー、データベースなどの技術系翻訳書や雑誌『インターネットマガジン』などの編集や出版営業を経て、現在Webサイト 「Web担当者Forum」編集長。ビジネスにおけるWebサイトの企画・構築・運用と、オンラインマーケティングの2軸をテーマにメディアを展開してい る。

個人としては、技術とマーケティングの融合によるインターネットのビジネス活用の新しい姿と、ブログ/CGM時代におけるメディアのあるべき姿を模 索し続けている。趣味は素人プログラミングと上方落語と南インドカレー。

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Yahoo!ショッピング年間ベストストア全94店舗発表、「Joshin web」が7年連続総合グランプリ

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Yahoo! JAPANを運営するヤフーは、「Yahoo!ショッピング」に出店する全ストアを対象に、2016年1月~12月の1年間の取扱高・成長率・顧客評価などの視点から総合的に評価をし、優れた店舗を選出・表彰する「ベストストアアワード2016」を3月3日に開催し、年間ベストストア全94店舗を選出した、と3月6日発表した。総合グランプリは、昨年に引き続き「Joshin web」で、7年連続の受賞となった。

ベストストアアワード2016は、「総合賞」5店舗、「特別賞」全6部門各1店舗、「部門賞」全35部門各3店舗、「Yahoo!ショッピング大賞」1店舗を選出した。総合グランプリ2位は「コジマYahoo!店」、3位は「家電と住設のイークローバー」、4位は「カメラのキタムラ」、5位は「チャームcharm(チャームヤフー店)」だった。また、eコマースの発展に寄与した店舗を表彰するYahoo!ショッピング大賞は「ヒマラヤYahoo!店」が受賞した。

電通デジタルとシナラ、オンライン行動データの来店・購買効果測定サービスを共同提供

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電通デジタルと位置情報を活用したインターネット広告のシナラシステムズジャパンは、協業してWeb広告への接触や自社サイトへの来訪が店舗への来店・購買に与える影響を包括的に測定するサービスを開発し、3月6日より提供を開始する、と同日発表した。サービスで実現する匿名化した個別の顧客単位でオンラインと店舗を横断した行動データの計測は国内初となり、大手自動車メーカーや消費財メーカーで試験導入し、取得データの精度の高さを実証している。

新サービスは、Web広告全般や自社サイトなど、タグの埋め込みが可能なすべてのオンライン上の行動を横断して計測できる特徴があり、これによりオンライン上のカスタマージャーニーと店舗への来店データを匿名化した上で個別の顧客単位で連結することが可能になった。顧客の来店行動の計測にはシナラのパートナー企業の持つ大量のWiFiデータを用いており、シナラ独自の検知技術で信頼性の低いデータを排除することで、量と質の両面で高いデータ品質を実現しているという。

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「NPS」って顧客満足度調査とは何が違うの? NPSは業績に直結する指標です[第1回] | 顧客ロイヤルティを高める「NPS」のはじめかた

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「○○を友人や同僚にお薦めしますか? 0~10の11段階でお答えください」

「その理由を教えてください」

「NPS(ネットプロモータースコア)」という言葉をご存じでしょうか?

これは顧客ロイヤルティを把握するために「企業やブランドに対してどれくらいの愛着や信頼があるか」を数値化する指標のことで、日本でも認知度が高まってきています。上記のような質問で「他人への推奨度」を聞くことが特徴です。NPSの特徴は、何といっても業績に直結することです。

この連載では、顧客のロイヤルティを上げるために使われる新しい指標「NPS」について解説していきます。第1回のこの記事では、NPSの特徴とその算出方法を解説します。

NPSでは他人への推奨度を11段階で答えてもらう
NPSでは他人への推奨度を11段階で答えてもらう

企業に成長をもたらしてくれる「ロイヤルカスタマー」という存在

将来の収益の80%は既存顧客の20%がもたらす

出典:Gartner Group and "Leading on the Edge of Chaos", Emmett C. Murphy and Mark A. Murphy

調査会社のガートナーグループは上記のように言っています。つまり、成長の鍵を握るのは既存顧客で、その価値を高めるためには顧客ロイヤルティを上げることが重要です。顧客ロイヤルティとは、企業やその企業の製品・サービスといったブランドに対する顧客の信頼度・愛着度のことを指します。

顧客ロイヤルティは、大きく「理性」と「感情」に分けられます。

「理性」は、「その企業が最良の製品やサービスを最良の価格で提供している」ことでロイヤルティが形成されます。性能や価格といった現実的な要素に対して抱くロイヤルティです。

一方「感情」は、「企業との関係性が良い」「自分のことを理解してくれている」「価値観と合っている」と感じることでロイヤルティが形成されます。たとえば、一流のホテルでは顧客の好みを覚えていて、1年に1回訪れただけでも最適なサービスを提供してくれます。

このように「理性」と「感情」という異なる2つの側面が複合的に絡み合うのがロイヤルティなのです。これは一体どうやって測ればいいのでしょうか? そこで登場したのが「NPS」です。

NPSは「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いて算出する

NPSは、日本語で「推奨者の正味比率」を意味します。測定方法は非常にシンプルです。自社の顧客に対して「この会社を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」と質問し、0点~10点の11段階で評価してもらいます。

9~10点を付けた顧客を「推奨者」、7~8点を「中立者」、0~6点を「批判者」と分類し、回答者全体に占める推奨者の割合(%)から、批判者の割合(%)を引いた値がNPSのスコアとなります。

NPSは推奨度で顧客を3つのタイプに分けて分析する
NPSは推奨度で顧客を3つのタイプに分けて分析する

たとえば、100人の回答のうち「9~10」の推奨者が30人で「0~6」の批判者が50人だった場合、NPSは30-50で「-20」となります。実際には、統計的な観点から、400サンプル以上を確保することが望ましいといえます。この場合の誤差は±5%となります。もし誤差を±2%に抑えたい場合は、2000サンプル以上が必要となります

NPSのポイントは「業績との相関が高い」こと

NPSが昨今注目されている大きな理由は「業績との相関が高い」ことです。これまで多くの企業が「満足度」を答えてもらう顧客満足度調査(CS調査)を行ってきましたが、従来の顧客満足度は必ずしも実際の再購入や購買金額の増加といった行動につながらないことが明らかになっています。

Satmetrixが実施した調査では、解約した顧客の約8割が、直前の顧客満足度調査で「満足」と回答していたという結果が出ています。これは、次のことを表しています。

  • 「満足」していてもリピートしてくれるとは限らない
  • 「満足」していてもロイヤルカスタマーではない

このような背景から、業績との相関が高いNPSに関心が集まっています。それでは、NPSと企業の業績はどのような関係があるのでしょうか。

NPSと業績の成長率は比例する。推奨者が企業に与えるポジティブな影響

NPSを開発した1社であるSatmetrixのホワイトペーパー「THE POWER BEHIND A SINGLE NUMBER」では、複数の業界の400社以上の企業/ブランドに関して、延べ1万人以上からの評価を分析した結果、NPSは企業の売上高成長率と高い相関があることが明らかだとしています。特に航空業界の主要企業において、NPSと5年間の売上高成長率では、相関係数「0.89」と強い相関が見られます。

航空業界主要企業における5年間の売り上げ成長率とNPSの関係
航空業界主要企業における5年間の売り上げ成長率とNPSの関係

NPSが向上するということは、すなわち批判者が減って推奨者が増えることを意味します。これにより企業の業績に次のようなポジティブな影響を与えます。

  • 再購入・継続購入・高頻度での購入
  • 追加購入・アップセル・クロスセル
  • 他者へのポジティブなクチコミ・友人や同僚への積極的な推奨
  • 企業への建設的なフィードバック・プロダクト開発やサービス改善へのアイデア提供

たとえば、2016年6月にNTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションが実施した生命保険業界のNPSベンチマーク調査では、推奨者は批判者に比べて7倍超えのクチコミを発信しているという結果が出ています。

ロイヤルティ別にポジティブなクチコミの数を比較したグラフ。推奨者は批判者に比べて7倍を超える口コミを発信している
ロイヤルティ別にポジティブなクチコミの数を比較したグラフ。推奨者は批判者に比べて7倍を超える口コミを発信している

推奨者のライフタイムバリューは批判者の約2.4倍ある

この調査結果をもとに、顧客のライフタイムバリュー(顧客が取引期間を通じて企業にもたらす価値=顧客生涯価値)を算出したのが次の図です。

推奨者と批判者のライフタイムバリューを比較すると、推奨者は2.4倍の価値がある
推奨者と批判者のライフタイムバリューを比較すると、推奨者は2.4倍の価値がある

推奨者は批判者に比べ約2.4倍価値が高いことがわかります。つまり、批判者を減らし推奨者を増やすことで、業績向上が期待できるのです。

このようにNPSは、シンプルな測定方法でありながら業績と強い相関があることから、欧米では公開企業の3分の1以上が活用しているといわれています。しかし、実際の導入にあたっては、考慮しなければならないポイントは多岐にわたります。

単なるスコアの測定にとどまらず、具体的な改善アクションやロイヤルティの獲得に結びつけるためには、自社の顧客接点(=Moment of truth)を洗い出し、ロイヤルティに影響の高い要因をとらえた調査票を作ることが重要です。

では、どのように調査票を作ればいいのでしょうか? 次回は調査票の設計方法について解説する予定です。

この記事の筆者
光安 史枝氏
光安 史枝(みつやす ふみえ)

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
リサーチ&CRM本部  担当部長・シニアコンサルタント

大手通信会社にて金融業界向けSI営業、戦略担当を経て、金融庁の外郭団体である金融情報システムセンター(FISC)へ出向。欧米の資金・証券決済システムに関わる最新動向調査研究業務に従事。ネット調査gooリサーチ(現:NTTコムリサーチ)のアナリストとして業界動向・市場分析、ブランド調査、CS調査、ツイッターによる市場予測モデル開発等に携わった後、現職。NPS認定資格者。

フェイクニュースの見破り方――Web・広報担当者が押さえておくべき基本 | 企業ホームページ運営の心得

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心得其の494

超嘘ニュースと指摘

cbies/Thinkstock

今すぐ、今年のネット流行語を決めたなら間違いなく「フェイクニュース」が入賞するでしょう。いわゆる「嘘ニュース」「デマ情報」を指し、米国大統領選挙期間中、数多くのフェイクニュースが流布され、それがトランプ大統領を誕生させたというフェイクニュースまで流通しています。このように断定できるのは、米国のSNSをたどれば各種報道と違う熱い「トランプ支持」を確認できるからです。

トランプ大統領はCNNを名指しでフェイクニュースと呼び、記者会見でCNNの記者に発言を問われた大統領は、「違う」と否定した後に「超フェイクニュース(very fake news)」だと上書きしてみせます。

フェイクニュースは対岸の火事ではありません。「実際にありそうで実は存在しない」ネタを掲載するジョークサイト『虚構新聞』のことでも、忌まわしき「Welq」でもありません。すでに大手メディアが堂々と拡散しています。

今回はフェイクニュースをめぐるトリビアと、その見破り方を紹介します。

マスコミの体質をチェックに利用

大統領選挙における代表的なフェイクニュースは、次のようなものでしょうか。

ローマ法王がトランプ氏を支持

ヒラリー・クリントンのメールサーバー疑惑を調査していたFBI捜査官が自殺

それぞれグーグルニュースのヘッドラインを飾り、Facebookでは数十万件単位で拡散されました。前者は「WTOE 5 News」、後者は「The Denver Guardian」という嘘ニュースサイトによる仕業です。

フェイクニュースを見破る方法は簡単です。たとえば、ローマ法王のデマ記事には「バチカンがリリース」とあります。ならばリリースを入手した他のメディアも報道しているはず。ニュースの見出しでググって、別の媒体からの報道が見つからなければ「怪しい」と留保します。マスコミの「横並び体質」を逆手に取って確認するのです。

注意しなければならいのは、個人ブログやキュレーションサイト(もどき)。これらのサイトは「噂」を「噂」として伝え、デマをそのまま拡散します。チェック対象から外すか、かならず本文で確認しなければなりません。

フェイクニュースの目的

さて、フェイクニュースは誰がなんの目的で作るのでしょうか。

過去にはトランプ氏がロシアのプーチン大統領に弱みを握られているという前提に基づき、「トランプ氏に有利に働くフェイクニュースが、ロシアの情報機関により捏造された」という、これまた根拠があやふやな情報がありました。

しかし、米国のWebメディア「BuzzFeed」は、マケドニア共和国に住む10代の若者たちが、金儲けのためにフェイクニュースを制作していると伝えます。

フェイクニュースの裏にあったのは陰謀や政治的背景ではなく金儲け。トランプ有利というネタのクチコミ効果が高かったという理由です。

19世紀のフェイクニュース

法令遵守を課せられた上場企業が、金儲けのためにデマの拡散に加担した「Welq事件」を見れば、我々がマケドニアの若者を叱ることもできませんが、今後もフェイクニュースが撲滅されることはないでしょう。

1989年におきた「珊瑚落書き事件」などは、報道を担う朝日新聞所属のカメラマンの捏造によるフェイクニュースです。

これほどまでに『フェイクニュース』にあふれた記事が出現することを誰が予想しただろうか

と嘆くのは、1896年のアイオワ州の新聞「ダベンポート・デイリー・リパブリック」の論説記事です(2017年2月28日読売新聞「偽ニュース席巻 120年前にも」より引用)。フェイクニュースは今に始まったことではなく、いつの時代にもあるものと諦め、そして見破る力が求められます。

さらにネット時代となり、既存メディアがネットを理由にフェイクニュースを拡散しています。

事実をすり替えるメディア

麺をすする音は外国人にとって不快。だからそれはヌードル・ハラスメント(いやがらせ)、すなわちヌーハラだ

とするフェイクニュースがあります。

発端は、あるツイッター民による論拠やファクト(事実)の一切ない、Togetterのまとめ記事です(現在は削除)。当初、あまりの妄想ぶりにネット民が嘲笑していたに過ぎないできごとでしたが、「ネットで話題」と某教育系出版社のWebサイトが紹介したことでデマが広がります。さらに出版社から記事提供を受けていた毎日新聞のサイトが転電し、これらの報道をもとにテレビ各局が報じたのです。

この件は、発端となったデマがすでに削除されたことで「火元」にたどり着くことが困難な上に、「報道された事実」という、事実のすり替えを論拠として各方面でいまでも拡散されています。これは単純な検索では見つからない「中ボスレベル」のフェイクです。

集合知はあなどれない

あるジャーナリストはフェイクニュースの日本上陸を懸念していました。しかし、懸念は杞憂です。日本のネット界には「鬼女」がいて、たちどころにフェイクニュースだと暴かれてしまうからです。

鬼女とは「2ちゃんねる」のスレッドの1つ「既婚女性板」から転じた「ネット民の総称」です。男女を問わず有名無名のネット民が、わずかな情報を集積し、仮説と検証を繰り返しながら、野次馬精神をそのままに真実を暴いていくことから「特定班」とも呼ばれています。

中ボスレベルのフェイクニュースを見破るには、該当キーワードと「嘘」や「デマ」を組み合わせて検索すること。ヒットする内容は、個人のブログや「まとめサイト」が大半ですが、時系列で「証拠」が並べられているので、フェイクかどうかを判断するには十分な情報を見つけることができます。

ヌーハラ以外でも「ネットで話題」という切り口のフェイクニュースが数多く確認されています。仮に自社の製品サービスのあらぬ噂が立ったのなら、それが真実か嘘か見抜いた上で対応することが求められます。これに釣られるのは、Web担当者としては少し恥ずかしいこと。くれぐれもご注意ください。

今回のポイント

マスコミの横並び体質を利用する

そのマスコミがフェイクを拡散していることもある

この記事の筆者

宮脇 睦(みやわき あつし)

プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。

制作、営業の双方の現場を知ることからウェブとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供し、一業種一社、制作案件は足立区内のみという営業施策をとっている。本業の傍らメールマガジン「マスコミでは言えないこと」を発行。好評を博す。著書に『完全! ネット選挙マニュアル』(Kindle版)、『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)、冷静な視点からのIT業界分析に「週刊ポスト」など、様々な媒体から情報発信を続ける。

自動コンテンツ作成AIツールArticooloのCEOが語ったAIとライターの未来 | デジマラボ出張所

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こんにちは、ひろきです。

Articoolo社との提携を発表させて頂いてから、早くも約2か月が経ちました。

Articooloとは
キーワードを入れるだけで人工知能がいい感じに記事を使ってくれる魔法のようなツール

現在も変わらず運用させて頂いておりますが、2、3か月前に使い始めた頃と比べると性能が格段に良くなっています。

今回のは新機能が追加されたということで、Articoolo Inc. CEOであるDoron Tal氏に裏話や今後の展開を聞いてみました。

Articooloが考える、AIライティングの今後とは。それではスタートです。

“writer’s block”を解決する。文章のアウトラインを考えてくれる新機能

CEOへのインタビューにいく前に、ちょっと今回の新機能について説明させてください。

みなさん“writer’s block”って言葉ご存じでしょうか?

米国なんかではライター界隈がよく使う用語らしいのですが、要するに、何について書くかは決めてるけど、「いい感じの文章始め方や展開の仕方が思いつかん!」という感じで創作に行き詰まることらしいです。

ストレートに言えば、作家が突き当たる障壁、スランプ状態のこと。

僕自身ライティングをしていても、正直あります。。気持ちはすごくわかります。

そこで登場したのが今回のツール“Writer’s Little Helper”

使い方は従来のArticooloの記事生成とあまり変わらず、キーワードを入力するだけ。ただここからが違います。例えば今回は“digital marketing”と入力してみたところ、

どうでしょう。入力したトピックに関する数段落付きのライティングコンセプトを秒でいくつか用意してくれています。

もし気に入ってしまったものがあれば、後半パートもその流れで生成してくれちゃったりもします。

すごくないですか?

で、ここまでが新機能の話。ここからが本題で、CEOにいろいろ聞いてみました。

コンテンツ生成を可能にした、気になる中身

正直言うと、初期の頃のArticooloが生成するコンテンツはまだまだ人間が書くものとは遠いものでした。

キーワードの認識が上手くいかなかったり、生成した文章に文法のエラーや意味不明な記号や単語が入ることもしばしば…。

構成もぶっとんだものがあったりして頭を悩ませたときもありましたが、今は素晴らしい進化を遂げ、たまにどこかから丸々コピペしてきたんじゃないかと心配してしまうほどの記事が出てくるようにまですごいツールになっています。

―新機能すごくいいですね。その話も後ほど聞きたいんですが、Articooloの仕組みについて改めて教えてもらっていいですか?

―Doron Tal
ありがとう。新機能はけっこう好評だよ。

Articooloは簡単に言うと、人間の脳が記事を書くときのように動いているんだ。
まず、トピックのコンテキストを分析して理解する。

例えば、「Appleのアプライアンスの種類」に関する記事を書くことを希望する場合、このコンテキストでは「Apple」は果物ではなく企業の名前であることがアルゴリズムで最初に理解される…といった感じだね。

アルゴリズムは入力したトピックのコンテキストを理解した後、それに一番合ったベースとなるリソースを探し、その中からセンチメントと重要なキーワードを抽出するんだとか。

リソースは独自のオフラインリソース(約1/2TBの学術論文)を使用しているらしいのですが、トピックに十分関連するリソースがアルゴリズムで見つからない場合は、自動的にWebを検索しにいくそうです。

ここを含めた簡単な流れとしては、

センチメントと重要なキーワードに基づく関連するコンテンツを検索、

全てを1つのテキストに再構築。

マルチレベルセマンティック識別のためにNLPエンジンを使用してテキストを書き換え、

読みやすさを検証

という感じで実際にコンテンツは生成されるそう。さすが全コンテンツ100%オリジナリティを謳っているだけありますね。

さらに、アルゴリズムは機械学習能力を有しているらしいので、これまでのユーザーによる数えきれないくらいの記事作成のおかげで実際に時間の経過と共に性能があがってきていて、アウトプットも改善しているんだとか。Articoolo恐るべし。

ライターはやっぱり自分で記事を書きたいことがわかった

―さて、新機能について質問させてください。どういった経緯でこの機能を追加したんですか?

―Doron Tal
プロの作家やライター(ジャーナリスト、コンテンツマーケター、ブロガーなど)を対象に調査をおこなって、結果的にほとんどが「アルゴリズムに代わりに書いてもらう」ことより「自分で記事を書く」ことを好んでいることがわかったんだよね。

それが今回の機能を追加した理由だよ。

そういうことなんですね。用途にもよるとは思いますが、やはり仕事の全てをAIにまかせることには抵抗がある人が多いんですねー。

一方、調査のなかではほとんどの人たちがライティングに関する最大の問題としてさきほど説明したwriter’s blockを挙げていたそう。そこで開発されたのが今回の新機能。

気になるその中身ですが、独自のコンテンツを作成するのではなく、関連するコンセプトを見つけるために、ユーザーが書きたい話題について文脈的に分析し、それを外挿する……という手法を使っているんだそう。

そうすることで、元のトピックに関連する課題の範囲が広がり、ユーザーに新しいアイデアを提供することができるんだとか。

なるほど、関連トピックの情報が自動で上がってくれば、ライター側はインスピレーションを得ることができますもんね。

ストレートに「この話題について書きたい」というよりは「ざっくりこのあたり書きたい」ってこともよくある話。そういったときに多いに役立つ機能です。

―Doron Tal
発想の部分をAIが手伝い、その先は人がやる。将来的にもみても良い関係図なのかなあと思ってる。

いかにうまくアイデアの部分を提供できるか、そういう部分は今後も強化していこうと思ってるよ。

なるほど。全てをAIに任せるというより、人間がもっとライティングに集中できるためのツール…のような感じなんですね。

試しに新機能を使ってみたのですが、ほんとうに書き始めに悩むことなく進められるので、とてもオススメです。発想ツールとしてのAIは今後もいろいろな分野で出てきそう。

AIと人が協力して、いろいろなコンテンツを生み出す時代になってくるのかもしれません。

英語コンテンツの7割はアジアで作成されている

現在少なくとも1回Articooloを利用してコンテンツ生成したことがあるユーザーは世界中に約33,000人いるらしいのですが、なんとデジマラボとの提携により、顧客の15%は日本からとのこと。というわけで、同CEOより一言。

“We are looking for investors from Asia because the Asian market is very strategic for us, and we would like our investors to be able to help us reinforce our penetration in countries like Japan, India and China. More than 70% of English content created globally every day is created in Asia, and most of our clients, both B2C and B2B, are from this part of the globe.”

『我々はアジア市場が非常に戦略的であるため、アジアからの投資家を募集しており、是非投資家に日本、インド、中国などの国々への我々の技術の浸透を支援してほしい。世界中で毎日作成されている英語コンテンツの70%以上がアジアで作成されており、B2BとB2Cのクライアントのほとんどがこの地域から来ているからだ。』

ということで、アジア進出に向けて投資家大募集!とのことです。ご興味がある方は是非こちらから。

とりあえず、日本語対応とかできませんかね?(笑)ぜひともやってみて欲しいです。

これからもArticooloの情報追っていきたいと思います。乞うご期待。

ではまた。

ひろき by
日本生まれのカンボジア&エチオピア育ち、英語はビジネスレベルでペラッペラという謎に満ちた21歳。途中で文転した元ゴリッゴリの理系脳という、このメディアのために産まれてきたかのような男。

「BITA デジマラボ」掲載のオリジナル版はこちら自動コンテンツ作成AIツールArticooloのCEOが語ったAIとライターの未来

この記事の筆者

AI(人工知能)やbotなどの最新技術とデジタルマーケティングの現場をつなぐデジマラボの出張所です。

BITAが運営する「デジマラボ」の情報を、許諾を得てWeb担の読者向けにお届けしています。


[ユーザー投稿] ソーシャルPLUSがエクスペリアンジャパンのCCMPと連携開始!~LINEの「Official Web App」とMAツールを組み合わせてID連携率の向上や精度の高いOne to Oneコミュニケーションを実現~

[ユーザー投稿] Webガイドライン策定に向けた5つの重要なポイント

パソナと日本IBMがサイバーセキュリティ人材育成で協力、研修プログラム4月開講

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人材派遣サービスのパソナと日本IBMは、セキュリティ技能を持つ人材を育成する研修プログラム「Cyber Security Intelligence Academy -Standardコース-」の参加者募集を3月7日から開始する、と同日発表した。パソナと日本IBMは、2016年12月にセキュリティ技能を持つ人材育成に関する協業を開始し、サイバーセキュリティに関する最新の技術を幅広く学習し、関連法規等のセキュリティ管理の知識を身に付ける研修プログラムを4月から開始することになった。

Cyber Security Intelligence Academy -Standardコース-の対象は、パソナに登録しているエキスパートスタッフ。内容は「CompTIA Security+ カリキュラム」が、セキュリティの基礎、暗号化、認証、ネットワークセキュリティ、脅威と対策、ホストセキュリティ、セキュリティマネジメント。「情報セキュリティマネジメントカリキュラム」がリスクアセスメント、関連法規、関連分野となっている。これらの受講終了後に修了テストがあり、合格者のみ「IBMセキュリティー・オペレーション・センター(SOC)」の見学ができる。e-learningによる受講となり、受講期間は2週間から3ヵ月程度。

ヤフー、「3.11」と検索すると寄付できる復興支援サイト「3.11応援企画」公開

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Yahoo! JAPANを運営するヤフーは、「3.11」と検索すると1人につき10円をYahoo! JAPAN復興支援に携わる団体に寄付する「Search for 3.11 検索は応援になる。」など、復興支援を目的に誰でも参加できる4つのチャリティーアクションと、防災や減災について考えるきっかけの提供を目的とするコンテンツなどを紹介する特集「3.11応援企画」を3月7日公開した。特集は3月11日に改めて被災地に想いを寄せ、震災の記憶の風化防止と継続的な復興支援につなげることが目的となる。

Search for 3.11は、3月11日に「Yahoo!検索」で「3.11」と検索すると、1人につき10円をYahoo! JAPANが東北復興に携わる団体へ寄付するチャリティー企画。今年寄付を行う6団体の紹介と、2016年に寄付を実施した10団体の活動レポートや東北への想いを描いた「Search for 3.11」のコンセプトムービーも公開している。このほか3.11応援企画では「チャリティーオークション」「くじ付き募金、返礼品付き募金」「ふるさと納税」「東北エールマーケット」「ショッピング10円募金」などのコンテンツがある。

アビーム、4種の機能を備えたオムニチャネル支援ソリューション「ABeam Digital QEP」提供開始

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総合マネジメントコンサルティングのアビームコンサルティング(アビーム)は、ビジネスソフトウェアのSAPジャパンが提供するオムニチャネルプラットフォーム「SAP Hybris」と、アビームのカスタマー・エクスペリエンス向上を支援する「ABeam Digital QEP」の提供を3月3日開始した、と同日発表した。顧客の購買行動が複雑化し、一貫したカスタマー・エクスペリエンスの提供が必要となったことから提供することにした。ABeam Digital QEPは、フロントチャネル管理、デジタルマーケティング、課金、カスタマーサービスなどで構成する。

ABeam Digital QEPは、ビジネスイノベーションプラットフォーム「ABeam Cloud」を通じたサービス提供により、企業においては短期間・低価格で個々に必要なベストプラクティスの導入が可能になる。また、SAP S/4HANAなど基幹システムとの連携や、関連する業務改革/IT支援までも一貫して提供することで、企業内バリューチェーンをシームレスにつなぐオムニチャネル実現を支援する。

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