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メルマガの効果をもっとくわしく分析したい! 5種類のダミーパラメータを有効に活用した流入分析[第45回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

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Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

今回は、メールマガジンやリスティング広告・ディスプレイ広告の集客施策の効果を「ダミーパラメータ」というテクニックを使って測定する方法と、その結果の活用について解説する。

みなさんは自分のWebサイトに対する集客をする際に、どのような施策を行っているだろうか? 集客施策には、大きく分けて長期的な施策と短期的な施策がある。SEO(検索エンジン最適化)のために、コンテンツを充実させたり、サイト内部のリンク構造を整理したりするのは、効果が出てくるのに時間がかかる長期的な集客施策だ。

一方、短期的な集客施策としては、次のような施策が考えられる。

  • メールマガジンによる集客
  • 検索連動型広告
  • キャンペーン・バナー広告

今回は、これらの集客施策の効果を測定するための「ダミーパラメータ」という手法と、そのデータの活用について解説する。

「参照元」情報は精度が低いのでダミーパラメータを使う

自社サイトへの流入原因については、「参照元」情報を利用することを第42回~第44回で解説してきた。

ただし、そもそも「参照元」の情報は、「どこから訪問してきたか」を特定するには少々精度が低い

たとえば、メールマガジンに記載されているリンクをクリックしてサイトに訪問した場合、メーラーを利用したときは参照元が「なし」になるのに対して、Webメールから訪問したときには、参照元がそのWebメールのドメインになる。つまり、同じメールマガジンからのサイト訪問でも、一方は参照元なしで、一方は参照元があるという2つの状態が混在することになる(詳しくは第24回の「じつは特殊なGoogleアナリティクスの「参照元」」を参照してほしい)。

そのため、参照元の情報とは別に流入原因を判別するための方法が、広告トラッキング用に付与する「ダミーパラメータ」だ。これについても、概念的には、第25回「Googleアナリティクスの「参照元」は、どこが特殊なのか?」で解説しているが、改めてここから解説を始めよう。

ダミーパラメータとは?

ダミーパラメータとは、静的なWebページのファイル名(.htmlや、ディレクトリを表す「/」)の後ろに「?」に続く任意の文字列を付けても、「?」以降は、ページ表示の際には無視されるという性質を利用したパラメータのことだ(動的なページでも、事前に決められたパラメータ以外は原則として表示の際に無視される)。

たとえば、「Yahoo! JAPAN」のトップページのURLの最後に「?」と適当な文字列を付けてみたURLアクセスしてみよう。

何事もなかったかのように、「Yahoo! JAPAN」のトップページ(図1)が表示されたと思う。

図1:「Yahoo! JAPAN」のトップページ(URLにダミーパラメータを付与)
図1:「Yahoo! JAPAN」のトップページ(URLにダミーパラメータを付与)

リダイレクトもされずに、URL表記はこの「?ad=xyz」という意味のないパラメータが付いたままだ。これがダミーパラメータというものだ。意味がなく、無視されるパラメータということで「ダミー」という名が付いているのだろう。ちなみに、ダミーパラメータは「&」でつなげば、複数付与できる。

表示の際には無視されるこのダミーパラメータだが、アクセス解析にとっては重要な意味がある。Googleアナリティクスをはじめとする多くのアクセス解析ツールでは、アドレスバーに表示されるURL情報を取得する仕組みを採用している。よって、同じページへのアクセスであっても、ダミーパラメータが付いたURLへのアクセスを区別できるのだ。

Googleアナリティクスの広告トラッキング用パラメータ

Googleアナリティクスは、広告トラッキングを計測する仕組みとしてダミーパラメータを用いている。広告トラッキング用に付与するパラメータのパターンは決まっていて、広告トラッキング用のパラメータを付与したURLは下記のようなものだ。(本来は1行。わかりやすいように改行してある)。

http://www.example.com/lp.html?
utm_source=google
&utm_medium=cpc
&utm_campaign=ad1
&utm_term=kw
&utm_content=xyz

これらのうち、最初の2つ、utm_sourceとutm_mediumは必ず付与しなければいけないが、それ以外は付与しなくてもよいオプションだ(Googleの提供している「URL生成ツール」を使うとパラメータの指定が楽になる)。

ただし、このツールではutm_campaignも必須になっているので要注意。[2013-03-14追記]

そしてトラフィック系のレポートで表示されるディメンションとの対応は以下のとおりである。

広告トラッキング用パラメータ必須かどうか対応するディメンション
utm_source必須参照元
utm_medium必須メディア
utm_campaignオプションキャンペーン
utm_termオプションキーワード
utm_contentオプション広告のコンテンツ
広告トラッキング用パラメータとディメンションの対応

指定が必須のディメンションである「参照元」と「メディア」の組み合わせで見ることができる「すべてのトラフィック」のレポート表示例が図2だ。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面の左側にあるメニューで、[トラフィック]をクリックする
  3. メニューが開くので、[参照元]をクリックし、[すべてのトラフィック]をクリックする
図2:[トラフィック]>[参照元]>[すべてのトラフィック]レポート下部の一覧データ表示部
図2:[トラフィック]>[参照元]>[すべてのトラフィック]レポート下部の一覧データ表示部

「メディア」が「(none)」は参照元なしを、「organic」は検索エンジン(検索エンジン連動型広告を除く)を意味し、「referral」がその他の参照元という割り振りになるが、ダミーパラメータの指定があった場合は、その指定が最優先で利用されるのが注意点だ。

特定のツールを利用している場合に、自動的にパラメータが付与される場合もある。たとえば、図2青枠部分はFeedBurnerというツールを利用してRSSフィードを行っている場合の「参照元/メディア」の表示だ。FeedBurnerを利用すると、

utm_sourcefeedburner
utm_mediumfeed

という値がFeedBurnerによって設定され、リンクのURLに自動的に付与される。

また、twitterfeedというツールを利用してFacebookにRSSフィードを流している場合は、

utm_sourcetwitterfeed
utm_mediumfacebook

という値がtwitterfeedによって設定され(図2緑枠部分)、そのリンクのURLに自動的に付与される。

この2つの例は、ツールを利用したときに自動的にそのツール側で付与するパラメータだ。自分が発行しているメールマガジンなどでは、どのようなパラメータを付与するのかは、使う側の裁量に任されているため、分析しやすいように、自分で考えなくてはならない

  • メールマガジンのパラメータの設定例
  • パラメータ付与ルールの原則は逸脱しないようにしよう
  • 特定のキャンペーンの内訳を見たい場合
  • メールマガジンの効果を発行日別に確認したい場合

メールマガジンのパラメータの設定例

前述のように、自分が発行しているメールマガジンなどでは、分析しやすいように、自分で考えてパラメータを設定しなくてはならない。

たとえば、複数のメールマガジンを発行している場合に、いつ発行した、どのメールマガジンのリンクURLをクリックして訪問してきたのかを区別したいとする。この場合、URLの最後に次のようなパラメータを付与して、メールマガジンの中に記述する。

http://もともとのURL?utm_source=20130311a&utm_medium=mail

この例では「参照元」ディメンション(utm_source)にはメールマガジンの発行日(20130311)とメールマガジンの種類(a)を指定し、「メディア」ディメンション(utm_medium)には「mail」と指定することで、まとめてレポートを見るといった意図がある。

ディメンションパラメータ意味
参照元utm_source20130311aメールマガジンの発行日(20130311)と種類(a)
メディアutm_mediummailメディアの種類

パラメータの指定方法に絶対的な正解はない。たとえば、上の例では日付とメールマガジンの種類を「utm_source」でまとめて指定したが、これを別のパラメータに分けて指定するという方法もありだ。

?utm_source= maila&utm_medium=mail&utm_ campaign =20130311

この例では「参照元」ディメンションにはメールマガジンの種類(maila)を指定、「メディア」ディメンションには「mail」を指定、「キャンペーン」ディメンションにはメールマガジンの発行日(20130311)を指定という表示でレポートを見るといった意図になる。

ディメンションパラメータ意味
参照元utm_sourcemailaメールマガジンの種類
メディアutm_mediummailメディアの種類
キャンペーンutm_campaign20130311発行日

メールマガジンのパラメータ設定の例を2つ挙げたが、自分の裁量に任されているだけに、どうパラメータを付けるのかは事前にしっかりと考えたい。ポイントはレポートをどういう軸で見るのかというのをしっかり想定しておく必要があることだ。パラメータの利用パターンをしっかり考えてから運用に入るようにしよう。

パラメータ付与ルールの原則は逸脱しないようにしよう

また、パラメータの付与ルールは自分が決めてよいとは言っても、原則的な利用法を逸脱するパラメータを付与すると、他のレポートへ悪影響を及ぼすこともある。一定のルールの範囲内での利用をお勧めしたい。

たとえば、検索連動型広告に関しては、「メディア」ディメンションに「cpc」「ppc」「cpa」「cpm」「cpv」「cpp」の6つのどれかを使用しておけば、図3のように検索サマリーのレポートでは、まとめて「paid」という形で、検索連動型広告をまとめてくれるし、「有料の検索トラフィック」のレポート([トラフィック]>[参照元]>[検索]>[有料検索])のレポートにも自動的に取り込まれる。そのためこれ以外を利用するのはやめよう。

図3:[トラフィック]>[参照元]>[検索]>[サマリー]レポート下部の一覧データ表示部
図3:[トラフィック]>[参照元]>[検索]>[サマリー]レポート下部の一覧データ表示部
この他にも、[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[コンバージョン経路]レポートで、流入チャネルが自動的に分類されているパターンから考えると、冒頭に紹介したメルマガの「メディア」ディメンション(utm_medium)には「mail」としてあるが、実際にはこの代わりに「email」としておけば、「メール」というチャネルに自動的に分類してくれるので、「email」とするのがベストだろう。
その他にも「ソーシャル ネットワーク」などの流入チャネルの定義がそれぞれ規定されているので、Google アナリティクスが自動的に判別するルールに準じてこれらのダミーパラメータを利用するのがべストだろう。この詳細については、[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[コンバージョン経路]レポートについて解説する際に触れたい。[2013-03-14追記]

ダミーパラメータで指定できる種類は

  • 参照元
  • メディア
  • キャンペーン
  • キーワード
  • 広告のコンテンツ

の5種類なので、さまざまな軸の組み合わせでデータをドリルダウンできる。たとえば「キャンペーン」レポートで見られるのは、「キャンペーン」のパラメータ(utm_campaign)が付与されている訪問に絞られているのだが、これをさらにドリルダウンして「参照元」「メディア」「参照元/メディア」の軸(図4赤枠部分)で見ることもできる。それには図4赤枠部分のリンクをクリックすればよい。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面の左側にあるメニューで、[トラフィック]をクリックする
  3. メニューが開くので、[参照元]をクリックし、[キャンペーン]をクリックする
図4:[トラフィック]>[参照元]>[キャンペーン]レポート下部の一覧データ表示部
図4:[トラフィック]>[参照元]>[キャンペーン]レポート下部の一覧データ表示部

たとえば、表示された4つのプライマリディメンションのうち、「参照元/メディア」(図4緑枠部分)をクリックしたのが図5だ。

図5:[キャンペーン]レポートで、プライマリディメンション「参照元/メディア」を選択
図5:[キャンペーン]レポートで、プライマリディメンション「参照元/メディア」を選択

このケースでは、「参照元/メディア」の組み合わせが、「email/email」「google/cpc」「yahoo/cpc」なので、それぞれ、メールマガジン、Googleの検索連動型広告、Yahoo!の検索連動型広告からの訪問を表示しているということだ。

特定のキャンペーンの内訳を見たい場合

一方、特定のキャンペーンに絞ってその内訳を見たい場合は、キャンペーンの1つ(図4青枠部分)をクリックしよう。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面の左側にあるメニューで、[トラフィック]をクリックする
  3. メニューが開くので、[参照元]をクリックし、[キャンペーン]をクリックする
  4. 表示されたキャンペーンの1つ(図4青枠部分)をクリックする
図4:[トラフィック]>[参照元]>[キャンペーン]レポート下部の一覧データ表示部
図4(再掲):[トラフィック]>[参照元]>[キャンペーン]レポート下部の一覧データ表示部

選択したキャンペーンに絞りこまれたうえで、「参照元/メディア」ディメンションで見ることができる(図6)。

図6:ある「キャンペーン」を選択してドリルダウンした画面
図6:ある「キャンペーン」を選択してドリルダウンした画面

この場合のように、選択できるディメンションが「参照元/メディア」だけとなっているため、すぐには別のディメンションにドリルダウンできないこともある。たとえば上記の[キャンペーン]レポート(図6)のプライマリディメンションには、「広告のコンテンツ」(対応するパラメータはutm_campaign)の表示がない。

そんなときは、プライマリディメンションの「その他」(図6青枠部分)をクリックしてみよう。

図7:プライマリディメンションの「その他」をクリックしたプルダウン表示
図7:プライマリディメンションの「その他」をクリックしたプルダウン表示

出てきたプルダウンから、「広告のコンテンツ」(図7青枠部分)を選択することができる。こうすればキャンペーン別かつ広告コンテンツ別でデータを深掘りすることが可能だ。

メールマガジンの効果を発行日別に確認したい場合

メールマガジンの集客効果を、発行日別に一覧して評価したいとしよう。この場合、「キャンペーン」ディメンションにはメールマガジンの発行日を指定(utm_campaign=20130301)、「メディア」ディメンションには「email」というパラメータ(utm_medium=email)を設定しておく。

ディメンションパラメータ意味
キャンペーンutm_campaign20130311発行日
メディアutm_mediumemailメディアの種類

この場合、まず表示データを、メールマガジンからの訪問に絞り込む。それには、[トラフィック]>[参照元]>[キャンペーン]レポートを表示して、プライマリディメンションで「メディア」を選択し(図8)、メールマガジンを意味するメディアの「email」(図8青枠部分)をクリックすればよい。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
  2. 画面の左側にあるメニューで、[トラフィック]をクリックする
  3. メニューが開くので、[参照元]をクリックし、[キャンペーン]をクリックする
  4. プライマリディメンションで「メディア」をクリックする
図8:[キャンペーン]レポートのプライマリ ディメンションで「メディア」を選択
図8:[キャンペーン]レポートのプライマリ ディメンションで「メディア」を選択

続いて、出てきたレポートでセカンダリディメンション(図9赤枠部分)から「キャンペーン」(図9青枠部分)を選択する。こうすればメールマガジンの発行号別の評価が横並びでできることになる。各キャンペーンなどの評価は、いつものとおり、量、質、成果の3つの軸を中心として行おう。

図9:プライマリディメンションに「メディア」、セカンダリディメンションに「キャンペーン」を指定
図9:プライマリディメンションに「メディア」、セカンダリディメンションに「キャンペーン」を指定

パラメータを使った流入分析には、せっかく5つもの軸(「参照元」「メディア」「キャンペーン」「キーワード」「広告のコンテンツ」)が用意されているのだから、きちんと自分のサイトの集客施策に合わせたパラメータ設計を行い、効果測定がしやすいように実装してほしい。

次回はAdWordsデータを取り込んでいるデータ群、[トラフィック]>[広告]>[AdWords]レポート群について解説する。

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この記事の筆者
ユーザー 衣袋 宏美(株式会社クロス・フュージョン) の写真

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

著書など:
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