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「解析」という言葉は、ほとんどの場合正しく使われているものの、何にでも対応できる万能な言葉として使われてしまうことも多い言葉の1つだ。
マーケターである私たちは、次のようなことの重要性を理解している。
- アクセス解析を設定すること
- アナリストをスタッフとして抱えること
- 日常業務の一環として継続的にデータを使って作業すること
私たちはまた、サイトのさまざまなデータ指標とアクセス解析に関するレポートにかなりの時間を費やしているし、サイトが技術的にどの程度のパフォーマンスを出しているのか、その見返りにいくらぐらいの利益を生んでいるのかについて優れた感覚も持っている。
でも、もしアクセス解析だけでは不十分だとしたら、どうする?
ここ最近で注目度が高まり、パズルのピースとしてアクセス解析に劣らぬ重要性を持つようになってきたのが、「マーケティング解析」だ。今回私は、マーケティング解析とは何か、より有能なマーケターとなるためにマーケティング解析をどのように役立てればよいかについて、説明する。
そもそも、「マーケティング解析」とは何か?
「マーケティング解析」とは、マーケティング活動の測定と最適化だ。
アクセス解析と違ってサイトのパフォーマンスのみに的を絞るのではなく、マーケティングの取り組みがどの程度の成果を上げているかに注目し、その状況に応じて調整を加えていく。
このためにマーケティング解析では、サイトから得られる指標だけにとどまらず、他のツールやサイト外のデータ、さらにはオフラインの取り組みも利用する。つまり、全体像を把握することによってマーケット活動を評価するのだ。
考え方自体はシンプルに思えるし、いささか当然だという感じもする。しかし実際のところは、GoogleアナリティクスやSiteCatalystといったアクセス解析ツールに何時間も費やし、サイトのパフォーマンスに関係する観点から取り組みの結果を検討するものの、それ以上先には踏み込もうとしないマーケターも多い。
でも、キャンペーン実施方法の解析についてはどうだろうか?
1日当たりの作業時間や使用した手段については?
その取り組みから生じたサイト外での話題性や現実世界におけるエンゲージメントは?
マーケティング解析は、Webサイトの結果だけではなく、「そのマーケティングキャンペーンは本当のところどの程度の効果があったのか?」を問うものだ。
マーケティング解析は、すべての要素について優劣を調べ、前進するにはどういう投資を行うべきかを判断するのに役立つ。
- 時間の使い方
- チームの編成方法
- チャネルや取り組みに投じるリソース
などについて優先順位を見直すことは、マーケティングチームを成功に導く重要なステップだ。
マーケティング解析を始めるための基本的な4つの問いかけ
新しい解析手法に取り組もうとする多くの場合と同様に、マーケティング解析の習得にも学習曲線がある。事前の説明や定義も必要になるだろう。
ここでは、マーケティング解析をいくつかの要素に分解して、マーケティング解析を開始する取っ掛かりとなる質問をあなたにしてみよう。
質問1あなたのマーケティング活動はどのくらい成果を上げているか?
これは、ほとんどのマーケターにとってお馴染みの要素で、現時点におけるパフォーマンスの成果ということだ。
今やっている取り組みは成果を上げているだろうか? アクセス解析にのみ注目していると、気付いたらサイトの成果という狭すぎる範囲にしか目を向けていないということになっているかもしれない。マーケティング解析では、広い視野が必要になる。
レポートする対象を、単に訪問者数やサイト滞在時間、コンバージョン数にとどめるのではなく、さらに広げてみてはどうだろう?
サイト外で発生した成果は?
会話、コメント、共有など、従来とは異なるKPI(重要業績評価指標)に導かれた成果はどうか?
レポートする指標の数を増やすだけでなく、チーム全体や会社全体にわかるようにレポートする必要もある。会社が行っているマーケティングリソース投資の現状を変えたいなら、サイトの外で起きていることを解析すべきだという主張を強力な証拠によって裏付けると同時に、判で押したようなKPIやレポート形式から脱却する必要がある。
下の表は、左側にアクセス解析でよく使われるパフォーマンスKPIの例を、右側にマーケティング解析のKPIの例を示したものだ。左に比べて右のリストからは、単に項目数が増えているだけでない。そこから、多くのツールを使用し、自分自身でレポートをまとめ、データを使ってストーリーを語れるように作業しなければならないことが理解できるだろう。
よく使われるKPI ウェブ解析の場合 | よく使われるKPI マーケティング解析の場合 |
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マーケティング解析で使用するのは、これまで使われてきたWebサイト上のKPIだけではない。留意すべき指標のなかでも、人間中心のメトリクスがより大きな部分を占めていることがわかる。たとえば次のようなものだ。
現在のビジター/顧客にも、今後のビジター/顧客にも、自分たちがどの程度最善を尽くせているか。
ファン、友人、フォロワーはどのように参加しているか
他のサイトで自分たちのブランドを話題しているのは誰か
私たちは、できる限り価値ある時間の使い方ができるデータを追跡し、マーケティング活動がどのくらい効果を上げているかを正確に把握するために作業する。
質問2競合相手はどこに時間とリソースを投じているか?
競合分析だなんて、笑わせる? でもこれは、どのマーケターも重要だとわかってはいるものの、これに専念できる時間を捻出できない人は大勢いるタイプの作業の1つだ。
マーケティング解析では、競合相手に関する調査は継続的かつ流動的な取り組みだと考えられる。このため、競合分析は、プロジェクトを開始するときや新規クライアントを引き受ける際に行うべきものではなく、継続的なデータとして意識し、自分自身で理解し実行すべきものだ。
パフォーマンスだけでなく、競合相手が時間をどこに使っているのかにも注意を向ける必要がある。
相手は何をテストしているか? 何に投資しているか? 競合分析を行う場合、ソフトウェアやツールに頼るのではなく、ライバルを観察しなくてはならない。
相手の方がより大きく関与しているネットワークはあるだろうか?
競合はコンテンツマーケティングに投じる資金を増やしていないだろうか?
自分が関わっているチャネル、または自分が関わっていないチャネルに、ライバルは大金を投じていないだろうか?
こうした競合分析を組み込むことで、パフォーマンスの調査に彩りが加わる。これで、自分の立ち位置、相手の立ち位置がわかり、物事が進んでいる方向をより明確に実感できるようになる。
このプロセスは、正しい取り組みに投資するのに役立つだけでなく、場合によっては効果的ではない取り組みから撤退するのにも役立つ。
- マーケティング解析を始めるための基本的な4つの問いかけ(続き)
- マーケティング解析で犯しがちな3つの間違い
- 結論:アクセス解析とマーケティング解析の関係は?
(続き)マーケティング解析を始めるための基本的な4つの問いかけ
質問3あなたのマーケティング活動は長期的にどれくらい成果を上げているか?
私たちは、前週比や前月比で成績が向上しているかどうかを知ることの重要性は認識しているものの、そこで止まってしまうことが多すぎる。しかし成功を追跡調査する場合には、詳細に観察すべきものが他にもたくさんある。
データ変動の勢いはどうだろうか?
その変動は長期的にどう推移していくだろうか?
こうした短期的な勝利を、どうやったら顧客の忠誠度や継続的なエンゲージメントにつなげられるだろうか?
マーケティング解析は、取り組みの全体的なパフォーマンス、そして改善の対象とする取り組み選び出すさまざまな方法に、より重きを置く。
昨日の結果だけ、または自分のサイトのパフォーマンスだけに基づいてマーケティングのロードマップを計画した場合を想像してほしい。ぞっとするって? その通りだ。
では、各チャネルのパフォーマンスは時間を追ってどのように変化してきたか、自分が注目しているすべての目標(お金、エンゲージメント、忠誠度など)について、個々の取り組みがどのようにリターンをもたらしたかを調べ、それに基づいてマーケティングロードマップを計画した場合を想像してみよう。こっちははるかによさそうだ。
あらかじめ時間を作ってこうした動きを正確に把握しておくと、自分のエネルギーを注ぐべきところはどこか、より包括的に判断できるだろう。
自分のマーケティング活動にどれくらいの見返りがあるかを把握する場合、以下のような質問も役に立つ。
質問4マーケティング解析データは次の意志決定をどのように知らせるか?
私たちはみな、次のような前提を理解している。
投資は、十分な成果を出すものに対して行う必要がある。
これはパフォーマンスマーケティングでは非常によく用いられる方法だが、私たちのあらゆるマーケティング活動でも同様に、結果を次の活動につなげてループを閉じなければならない(やりっぱなしではなく、データを次の行動につなげ、分析と行動が回るようにする必要がある)。
マーケティング解析は、マーケティング活動と投資をつないでこのループを閉じるのに役立つ。常にうまく機能しているチャネルもあれば、まったく役に立たないチャネルもあるなどと考えるのではなく、どこにどのように時間を費やすかをテストし、その結果に基づいて次の四半期における投資の優先順位付けを行うべきだ。
これがいちばん簡単に適用できるのは人員配置や予算配分だが、さまざまな新しいツールや新しいプロセスの調査、新しいテストの作成、設計に費やす時間についても適用してはどうだろう?
自分は、しかるべきチャネルに時間をかけているだろうか?
マーケティング解析は、そうした問題の根幹を理解するのに役立ち、それによって十分に情報を手にした上で次の一手が打てるようになる。
マーケティング解析で犯しがちな3つの間違い
マーケティング解析に投資しようとする際には、いろいろな問題によく直面する。いくつか私たちが把握しているケースと、それを回避するヒントを以下に挙げてみる。
手を付けてほったらかしのジレンマ
こういう経験は誰にでもあるだろう。
新しくてクールな解析ツールができたという話を耳にし、早速設定してデータ収集を始めるが、状況がどうなっているかを確認したり、そのツールが教えてくれることを考えたりするところまでは行かない。
さらに悪いケースでは、週間レポートを受け取りながら、そのデータを読み解くことができずに貴重な知見が得られないこともある。これぞまさに「手を付けてほったらかし」のジレンマだ。
マーケティング解析にはもっと多くのことが期待できる。うまくやるためには、新しいチャンネルと新しいツールの両方をテストして、その成果を追跡する必要がある。
それから、データを詳しく見るための時間を作ることも必要だ。マーケティング解析を成功に導く重要な要素は、事前に対策を講じ、自分の意思決定の背後にあるプロセスの限界を押し広げようと継続的に取り組むことだ。それには時間がかかる。マーケターは時間に余裕がないものだが、これはいい時間の使い道だ。
マーケティングの解析はマーケティング責任者の仕事だと考える
マーケティングプログラムをどうやって発展させるかを決定するのは、最高マーケティング責任者(CMO)だけに任せておけばいいことだと考える勘違いが多い。
そうではなくて、自分の取り組みからどんな成果が得られているのか、そして次に何をすべきかを知ることは、マーケティングに関わる全員の責任だと考えるべきだ。また、その情報をチャネルのロードマップや自分の職務にフィードバックすべきた。
この作業を組織のトップに任せていると、ロードマップは一貫性のないものになる。これは、共同で討議しながら進めるべきだ。
成功事例と失敗事例を共有しない
展開の速い世界に身を置き、カフェインがないと生きていけないマーケターがよくやる間違いの1つは、自分の取り組みの結果を伝えないことだ。
マーケティング解析をチームの文化とし、企業にとって重要なものとするには、進捗状況を定期的に全員で共有する必要がある。
チームのメンバーに対しても「インバウンドマーケティングを利用してコミュニティメンバーの関心を引く」といったスタイルの説明をするのではなく、キャンペーンやコンテンツ、取り組みについて具体的に説明しよう。そして、どれが成果を上げているか、どれがてこ入れを必要としているかを示し、アイデアやフィードバックを求めるんだ。
チームのメンバーを巻き込めば、成功にもっと寄与してくれることだろう。
結論:アクセス解析もマーケティング解析も両方必要
マーケティング解析は、マーケティング計画を成功させるために欠くことのできないものだが、われわれはそれがアクセス解析に取って代わると言っているのではない。実際にはその逆だ。
われわれは、「マーケティング計画」と「アクセス解析」の2つの組み合わせが、チームを成功に導くのだと思っている。
サイトのパフォーマンスと自分の取り組みの成果を時間をかけて解析すれば、うまくいっているのは何か、手助けが必要なのは何か、思い切った転換が必要なのは何かなど、全体像が見えてくるだろう。
自分の取り組みが全体像にどのような影響を与えているかをマーケターが正しく理解するのに役立つツールやリソースは、ますます増えてきた。2013年には、さらに多数のツールが登場するだろう。多くのマーケターはすでに、この機能をすべて提供してくれる専用ツールがなくても、マーケティング解析がもたらす広い視野に注目を向けている。
マーケターの多くにとって、この作業は全体像を見るために複数のツールを必要とする手作業だ――しかし、やるだけの価値はある。マーケティング担当チームの規模が拡大し続け、マーケターの果たすべき役割が増えるにつれ、目標達成に向けてのプランを簡単に文書化できる成熟したツールを求める人が増えるだろう。
コンバージョンなどの二次的メトリクスだけを基に行動するよりも、自分たちがどのように行動しているか、どこにもっと多くのリソースを割り当てるべきかを理解しやすくしてくれる、より包括的なアプローチに対する需要が生まれるだろう。
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オリジナル記事:マーケティング解析(アクセス解析ではなく)がいかに重要かと実行のポイント [SEOmoz - 検索マーケティングのニュース&テクニック] | Web担当者Forum
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