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モバイルの重要度はどれぐらい? モバイルからの利用規模を把握する分析方法 [第35回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

この記事を読むのにかかる時間: 約 4 分

Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

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衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

前回は、ユーザー理解の第1歩として、平日・休日別のWebサイトの利用時間帯について取り上げた。ユーザーがくつろいでいるのか、あるいは必要に迫られてWebサイトを利用しているのか、その利用時間帯からユーザー心理の一端が見え隠れする部分を把握しようという試みだったわけだ。

今回はユーザーがどういう環境でWebサイトを利用しているのかという観点の1つからユーザー理解をしていきたい。具体的には、モバイル環境から利用しているのか、PC環境から利用しているのかを把握してみようということだ。

PCユーザーとモバイルユーザーは分けて分析すべき

この1年、スマートフォンやタブレットといったモバイル端末の普及が進んできている。これらのモバイル端末では、ケータイサイトではなく、普通のWebサイトをPCと同様のインターネット環境から見ることができる。

一方で、このようなモバイル端末は閲覧画面が小さいために、ユーザーインターフェイスの問題や、ユーザビリティの問題なども指摘されている。つまりモバイル環境からのサイト利用行動の把握の重要性が増している。データを見ると、PCユーザーとモバイルユーザーでは利用行動特性が異なることが多いので、もはや分けて分析すべきだろう。

モバイル端末の利用割合を確認するには?

分析するにあたり、まずは、モバイル端末からの利用がどのくらいになっているのかを概観するのがよい。図1は標準レポートの[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー]レポート画面だ。

操作手順
  1. ページ上部のオレンジ色のメインメニューで[標準レポート]をクリックする。
  2. 画面で左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする。
  3. メニューが開くので、[モバイル]をクリックし、開いたメニューから[サマリー]をクリックする。
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図1:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー]レポート画面
図1:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー]レポート画面

モバイル端末の利用割合は?

図1の青枠部分を見ると、モバイル端末の利用割合がわかる。「モバイル(タブレットを含む)」で「No」がPCからの利用、「Yes」がモバイルからの利用を表している。

このサイトでは最近の1か月で、PCからの利用が6,416訪問、モバイル端末からの利用が420訪問あったことがわかる。モバイルからの訪問割合は420÷(6,416+420)で6.1%となり、それほど重要性が高いとは考えにくい。

モバイルとPCを分けて分析すべきかを判断するポイント

また、「訪問別ページビュー」の指標は、PCユーザーが2.78ページビュー、モバイルユーザーが2.15ページビューとなっており(図1緑枠内の左下)、サイト内の回遊に関しては、モバイルユーザーの方がPCユーザーよりも少ないが、これは想定できる差だ。

ただ、その他の「訪問時の平均滞在時間」「新規訪問の割合」「直帰率」といった指標では、モバイルでもPCでも大きな違いはない。こういった数値から見ても、このサイトではあまりモバイルに関しては、分けて深掘りする必要はなさそうだということがわかる。

図2のサイトでは、訪問数ベースのモバイル比率は9,695÷(16,753+9,695)で37%程度と高いが、各指標を見ると、「新規訪問の割合」が異なる程度の違いしかなかった。

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図2:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー]レポート
図2:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー]レポート

図3のサイトでは、訪問数ベースのモバイル比率が約3割と高い。モバイルからの訪問ではPCからの訪問と比べて直帰率が高く、訪問別ページビュー数がかなり低いといった違いが顕著に見られる。

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図3:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー]レポート
図3:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー]レポート

図1から図3で見たように、サイトによって、PCからの訪問とモバイルからの訪問の違いの中身も異なり、それぞれの抱える事情は異なっている。そのためモバイルからの訪問における問題点をどのように探っていくかは、サイトごとに個別のアプローチが必要となる。

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  • モバイル分析の進め方
  • アドバンスセグメントの使い方
  • カスタムセグメントの設定方法

モバイル分析の進め方

モバイルの重要度が低いサイトも高いサイトも、次はしばらく中期スパンでこのトレンドを追っていく必要がある。そのためには、「アドバンスセグメント」の機能を使おう。

操作手順
  1. [アドバンスセグメント]をクリックする(図4赤枠部分)。
  2. 「すべての訪問」と「モバイルトラフィック」のチェックボックスをONにする(図4青枠部分、「すべての訪問」は同じリストの一番上にある)。
  3. [適用]をクリックする(図4緑枠部分)。
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図4:「アドバンスセグメント」でセグメントを追加する画面
図4:「アドバンスセグメント」でセグメントを追加する画面

「すべての訪問」と「モバイル トラフィック」というセグメントを選択し(図4)、[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー]レポートの集計対象期間を1年くらいに伸ばして表示したのが図5だ。

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図5:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー](「すべての訪問」「モバイル トラフィック」セグメントを表示)
図5:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー](「すべての訪問」「モバイル トラフィック」セグメントを表示)

図5で、月次の折れ線グラフ(図5赤枠部分)を見ると、この約1年間のモバイル割合は、時系列で何となく増えている傾向があるように見える。この傾向を、もう少しクリアに数字で把握できないだろうか。

アドバンスセグメントを「モバイル」と「モバイル以外」に変えてみる

図5では、アドバンスセグメントで「すべての訪問」と「モバイルトラフィック」を指定した。この「すべての訪問」には、もちろん「モバイルトラフィック」のデータも含まれている。「モバイルトラフィック」の増減がハッキリわかるようにするには、「モバイルトラフィック」と「モバイル以外」というセグメントで表示してみるとよい。

しかし、アドバンスセグメントには「モバイル以外」というセグメントは存在しない。「モバイル以外」というセグメントを表示するには、「カスタム セグメント」という機能で設定する必要がある。

操作手順
  1. [アドバンスセグメント]をクリックする。
  2. 右下にある「+新しいカスタムセグメント」をクリックする。
  3. 名前に「モバイル除く」と入力する。
  4. 図6の赤枠部分で、左から「除外」「モバイル(タブレットを含む)」「完全一致」を選択する。
  5. 図6の青枠部分に「Yes」と入力する。
  6. [セグメントの保存]をクリックする。
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図6:「モバイル除く」というセグメントの内容
図6:「モバイル除く」というセグメントの内容

この「モバイル除く」というセグメントは、タブレットやスマートフォンを含んだディメンションである「モバイル(タブレットを含む)」を選択して、これに該当するものを除くという指定になっている。説明したように設定は簡単だが、面倒くさいという方は、以下のURLからこの設定を共有できる。自分のGoogle アナリティクスにログインした状態でリンクをクリックすれば、設定を取り込むことができるので試してみていただきたい。

図7は、図5と同じ期間の同じデータを、「モバイル」と「モバイル除く」という2つのセグメントを選択して表示したものだ。モバイル比率が高まっていることが、より直感的にわかるようになる。

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図7:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー](「モバイル トラフィック」「モバイル除く」セグメントで表示)
図7:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー](「モバイル トラフィック」「モバイル除く」セグメントで表示)

「モバイル トラフィック」「モバイル除く」セグメントを使えば、ご覧のようにトレンドはわかる。しかし、月次でのモバイル比率の算出をしたいときには、毎月のデータをいちいち抽出しなければならないので少々不便だ。

そこで次回は、モバイル分析を行うのに大変便利な、とっておきのカスタムレポートを紹介しよう。

Google アナリティクスのeラーニング初級(2013/1/7~2/3)。まとまった時間を取れない方や地方の方など、時間や空間の制約を超えて学ぶことができますので、ご興味がある方はどうぞ → 詳細・お申し込みページ
アクセス解析ゼミナール(2013/2/26、3/5) → 詳細・お申し込みページ

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衣袋 宏美

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

著書など:
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