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なんでそうなるの? アクセス解析によるユーザー理解の基本は“童心に戻る” [第34回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 3 分

Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

前回は、ログイン後はじめに表示される[ユーザー]>[サマリー]のレポート(図1)は、全体を把握するためによくできたレポートであるという話をした。

今回は、[ユーザー]>[サマリー]レポートを使って、ユーザー理解の基本的な進め方を解説していこう。サイトのタイプによって、ユーザー理解をどのような視点で行うかは多少の違いはあるだろうが、今回は、利用時間帯分析をどのように進めればよいのかに焦点を当てる。

1. 平日と休日、曜日の利用差を確認する

[ユーザー]>[サマリー]レポートには、このサイトに何人が何回、何ページ見ているのかという主要な指標である「ユーザー数」「訪問数」「ページビュー数」が記載され(図1青枠部分)、この1か月の訪問数のトレンドが日別にグラフ表示してある。

さらに「サイトの平均滞在時間」「直帰率」「新規訪問の割合」といった、訪問者の質を表す重要な指標を3つ記載してある(図1緑枠部分)。

図1:[ユーザー]>[サマリー]のレポート
図1:[ユーザー]>[サマリー]のレポート

まず確認したいのは、平日と休日に利用の差があるかどうかだ。おそらく仕事に関係する内容のサイトであれば、図1のように平日によく見られ、休日には利用が減少するパターンになるだろう

一方、ニュースや娯楽系のサイトであれば、曜日による訪問数の違いはそれほど大きくないと予想できる。もちろんキャンペーン、メールマガジンなど集客施策に依存している場合は、それらをどのようなタイミングで行っているのかによって、利用パターンも大きく変わるが、いずれにしても曜日別の利用パターンが想定外であることは少ないのではないだろうか。

自分のサイトが、平日、休日、曜日によってどのような利用パターンになっているか、おおまかなところを把握しておこう。

2. 時間帯別の利用パターンを確認する

次に見るべきなのは、時間帯別の利用パターンだ。平日と休日それぞれについて、時間帯別の利用パターンを確認しよう。キャンペーンなどに依存した大きな変動がなさそうな連続した木曜日~日曜日までの任意の4日間を、図2のようにまずカレンダーで選択して表示させよう。ここでは、2012年11月29日(木)から12月2日(日)までの4日間を指定している。

図2:連続した木曜日から日曜日までの4日間を指定
図2:連続した木曜日から日曜日までの4日間を指定

続いて、レポート画面上部のグラフ表示の表示時間単位を「時間別」(図3赤枠部分)に変更しよう。仕事に関係するサイトであれば、平日の日中にだけ利用が集中しているということが見て取れるだろう(図3青枠部分)。ただし、図1の規模のサイトだと、日別・時間別に表示させてもそれほど明確に時間別の特徴が出にくい場合もある。

図3:職場から平日の日中利用されることが多いサイトの時間別利用パターン例(木曜日~日曜日)
図3:職場から平日の日中利用されることが多いサイトの時間別利用パターン例(木曜日~日曜日)

一方、一般的なECサイトなどの場合では、曜日別ではあまり変化がなく、図4のように平日と休日の時間別の利用パターンが若干異なることが読み取れることが多い。

図4:一般的なECサイトの時間別利用パターン例(木曜日~日曜日)
図4:一般的なECサイトの時間別利用パターン例(木曜日~日曜日)

この図4のグラフを見て、平日と休日の利用パターンの特徴を指摘するとすれば、

  • 休日は平日より利用パターンがフラット(夜以外の明確なピークがない)
  • 平日は昼の12時台(図4の赤矢印部分)と夜(図4の青矢印部分)に利用のピークがある

といったところだろう。このサイトで言えば、たとえば平日の昼のピーク(図4赤矢印部分)は利用者がどのような状況で利用しているのかを想像できているだろうか。

ここで木曜日から日曜日までの4日を時間別に見てみたのだが、読者の中には、「平日と休日を1日ずつ、つまり金曜日と土曜日でもいいのではないか?」と思う人もいるかもしれない。しかし、たとえば金曜日と土曜日だと、利用パターンの違いが顕著に出てなかったりする可能性もあるので、4日間、つまり平日2日と休日2日の2つの対比をしてみたのである。逆に、これ以上日数が多いと、また細か過ぎるグラフになって特徴を発見するのが難しくなる。

3. 平日と休日を重ね合わせて比較してみる

ここまで読み込んだら、せっかくなのでもう少し細かく突っ込んでみていこう。典型的な平日と休日を重ね合わせてみることで、その違いをクローズアップしてみる。図5のように日曜日と月曜日を比較する指定を行ってみる。上に2012年12月3日(月)、下にその比較対象として12月2日(日)を指定する。

図5:日曜日と月曜日を比較する指定
図5:日曜日と月曜日を比較する指定

その結果のグラフ表示画面が図6だ(図3と同様に「時間別」のグラフにしている)。

図6:時間帯別に日曜と月曜を比較。オレンジ色が12月2日(日)、青色が12月3日(月)のデータ
図6:時間帯別に日曜と月曜を比較。オレンジ色が休日12月2日(日)、青色が平日12月3日(月)のデータ

このグラフを見ると、

  • 休日は平日より利用パターンがフラット(夜以外の明確なピークがない)
  • 平日は昼の12時台と夜に利用のピークがある

という、先ほど図4で指摘した点がよりはっきりとわかる。しかし、ここでまた新たな疑問が浮かぶ。次のようなことも調べてみたくならないだろうか。

  • 休日と平日の夜のピーク(ゴールデンタイム)に時間差はあるか?
  • 金曜日と土曜日、土曜日と日曜日(次の日が休みか、当日が平日か休日か)で夜のピークに時間差はあるか?

解析のコツは、童心に戻って、「何で? なぜ?」を繰り返すことだ。こうやって仮説検証型でデータを深読みしていくことが、解析を進めていく上でもっとも重要なことなのだ。上の2つの疑問に対しては、ここではあえて、答えは示さない。というのも、ここで例に挙げたサイトについてその答えを知ることにほとんど意味はないからだ。自分のサイトのデータで各自分析してみてほしい。

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衣袋 宏美

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

著書など:
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