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大量ページのコンテンツを短期間で作り出すのに役立つ「百人一首法」とは? | 誰も語らなかったWebコンテンツ作成技法 | Web担当者Forum

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誰も語らなかったWebコンテンツ作成技法vol.8

大量ページのコンテンツを作り出すための方法「百人一首法」を紹介します。ホームページのコンテンツには、順を追っていく作り方と1ページ完結の作り方があります。今回は「1ページ完結のコンテンツ」を大量に作る方法を解説していきます。このコンテンツは、自社製品に関連する多くの分野をカバーするため、新規検索者訪問者を集められ、手軽で短期間に作れます。

コンテンツの2種類の構成

大量ページのコンテンツを作る方法を解説する前に、まずコンテンツの種類と構成について触れてきましょう。

コンテンツには「連続性」のものと、「並列性」のものがあります。前者は、連続ドラマのように前回を見ないと今回の内容がわからないというものです。後者は、1回完結のドラマのように、その回、その回で起承転結があって満足できるように作られたものです。

また、コンテンツは、一般的に1つの「目次(扉ページ)」と複数の「本文ページ」から成り立っています。

連続性コンテンツとは?

連続性のコンテンツ

上図が連続性コンテンツです。1つ1つのコンテンツに連続性があり、毎回いいところで終わって次回予告をするという形になるので、リピーターを獲得するのに効果的です。ホームページでは、インタビューや事例記事などのノウハウ型コンテンツで多い形式です。

多くの場合、最初に目次構成を考えて1回長い文章を書き、それを分けて掲載していきます。一般に連続性のあるコンテンツは、1人の人が同じ意図で、コンテンツの構成を考えていくので、連続性のコンテンツを作るには、考え方や筆力のある人が参加しないと難しいという面もあります。

一方、インタビュー記事の場合は、ロングインタビューを1回行い、それを分割して掲載すればいいのでコンテンツをたくさん作れます

たとえば、技術力に自信がある会社であれば、エンジニアにインタビューして分割連載を検討してみてください。1コンテンツの文字数が800文字程ならば、インタビューを1時間行うだけで、10回分くらいのコンテンツ量になります。1年間、毎週連載していくコンテンツを作る場合は、5人のエンジニアにインタビューするだけで実現できます。

ただし、この記事で紹介する百人一首法では連続性コンテンツは作れませんので、別の回で説明します。

並列性コンテンツとは?

並列性コンテンツ

上図が並列性コンテンツです。1ページ完結の本文ページが並列となっているものです。ホームページでこれを代表するのが用語集・辞書コンテンツです。連続性コンテンツは、リピーターを獲得に効果的であるのに対して、並列性コンテンツは、検索から新規訪問者を獲得するのに適しています

Wikipediaなどがまさにこれです。レシピ集なども、並列コンテンツに近いといえるでしょう。1つ1つのページを作るのに力を入れすぎず、たくさんあるということで勝負するものです。

たとえば、辞書コンテンツを作る場合、用語を50音順でリストアップしておけば、担当者で手分けして作成できます。

読者側からすれば、1ページを見てすぐに役立つ情報が載っているので、重宝するでしょう。企業側からすれば、幅広い分野をカバーしやすく、多くの製品がターゲットにしている顧客層を1本釣りするのに役立ちます。

今回、紹介する「百人一首法」とは、こうした並列性コンテンツを作るのに大きな力を発揮するものです。

短期間で多くのページを作り出す百人一首法とは?

「百人一首法」の進め方は簡単です。1つのテーマを考えて、そこに入るべき記事を並列で考えるのです。順を追って説明していきましょう。

テーマを決め、各ページのアイデアをブレストする

テーマの大小はあまり難しく考えないようにしましょう。1ページの分量が多少違っても、連続的に読ませるものではないので問題ありません。目次も担当者が1人で作るのは大変なので、叩き台を作ったら早めに専門部署の人に見てもらって、追記してもらうといいでしょう。

仮にアウトドアグッズを扱っている会社で百人一首法をやろうと思ったら、まず、テーマを決めたら、次は各ページを考えます。たとえば、「週末アウトドアのすすめ 入門編」というテーマでコンテンツをスタートさせる場合は、次のようなアイデアがあるでしょう。

テーマ:週末アウトドアのすすめ 入門編
  • 目次:これだけはそろえたい装備
  • 目次:火起こしの基本
  • 目次:野草で遊ぼう!
  • 目次:野外料理の醍醐味

以前紹介したアイデアのブレスト方法を活用して、「こんなネタもある」「あんな情報が喜ばれる」とどんどんアイデアを出し、目次を作っていくといいでしょう。

コンテンツ作成者を決める

ページの目次が決まったら、社内でそれについて書ける人、書くにふさわしい人を決めましょう。選ばれた執筆者に趣旨説明をして、うまく協力してもらいましょう。選定した人をメーリングリストにして、それぞれに執筆依頼を送ります。10人が3ページずつ書いてくれれば、たちまち30ページのコンテンツができてしまうというのが「百人一首法」です

書いた原稿はメーリングリストで返信してもらえば、「あ、みんな書いている。自分も急がなければ」とわかるので、急かす効果もあります。

また、執筆依頼の際に必要なのは書いてもらう内容の他に、次のような4つです。

①誰向けに書くのか

読者対象は初心者、ベテランなどレベルが考えられます。BtoBだと若手・現場から管理職・経営者までさまざまなレベルが考えられます。そのため、作成するコンテンツによって、対象読者を明確にしておくといいでしょう

たとえば、中堅社員を対象にして初心者向けの内容を書くといった場合には「今さら人に聞けない○○の基本」といったタイトルの付け方にできるなど、対象読者が明確であれば、タイトルの付け方の幅も広がります。

②目安の文字数

目安の文字数は対象者によりますが、700~800文字、原稿用紙2枚ぐらいがいいでしょう

Webコンテンツの成果が上がるレイアウトの法則とは?(第3回)で紹介したように、1行は、30文字前後にしましょう。横が長くなりすぎると読みにくく感じるので、1行の文字数はあまり多くしない方が、斜め読みしやすいでしょう。

仮に1行を30文字とすれば、4行で120文字です。それを1ブロックとすると、6ブロックあれば720文字、24行です。1ブロックごとに空行を入れると、30行近くになるので、十分な量といえるでしょう。

Wordで書くならば、初期状態で40文字×36行ですから、1440文字あります。つまり半分あれば十分な文字数です。

③「です、ます」「だ、である」といった基本の文体

文末を「です、ます」にするか「だ、である」にするかといった、ゆるやかなルールを決めるだけでいいでしょう

Web担当者は編集者役になるわけですから、文体には注意して、漢字遣いなどを直すようにしましょう。パソコンで書くと漢字が多くなりがちですが、あまり漢字が多くても少なすぎても読みにくくなります

たとえば、上記の文章で漢字を多く使った文章で書いた場合と平仮名を多く使った文章で比較してみましょう。

  • 漢字を使いすぎた場合
    パソコンで書くと漢字が多く成り勝ちですが、余り漢字が多くても少な過ぎても読み難く成ります。

  • 平仮名を使いすぎた場合
    パソコンでかくと漢字がおおくなりがちですが、あまり漢字がおおくてもすくなすぎても読みにくくなります。

どちらも意味がわかりづらいですね。日本人の目は漢字だけを追って意味を取ろうとするので、「更に」「益々」「可也」など副詞は漢字にしない方がいいでしょう。なかには漢字の使い方にこだわりがある人もいるので、執筆依頼のときに「文字づかいは統一するため変更することがあります」と伝えておくといいでしょう。

④最も大切な「締め切り日」

締め切りまでの日数は、1週間で1ページと考えましょう。社員はみんな忙しいですから、1日2日では書けません。とはいえ、あまりに締め切りまでの日数を長く設けても、ぎりぎりまで書かないのが普通です。たとえば、「今日は水曜日ですから、来週の水曜日にお願いします」というのが思い出してもらいやすいでしょう。

また、100ページのコンテンツを作りたい場合、10人で10ページずつ書いてもらうとします。その場合、1人に10ページ分を1回で依頼するのではなく、2ページ分ずつ5回に分けて依頼しましょう。

執筆依頼をするなかで悩ましいことは、全員が必ず期日を守って文章を書いてきてくれるとは限らないことです。Web担当者は編集者役ですから、うまく催促して原稿をあげてもらうようにしましょう。

たとえば、30ページ分のコンテンツを作るために、10人に3ページずつ執筆依頼をしたとします。しかし、締め切り日に30ページ分のコンテンツが集まっていることはほとんどありません。締め切り日になっても、半分くらいの16ページ分のコンテンツしか集まっていないというのが普通の風景です。

30ページの予定なのに、16ページしか集まっていないので、「掲載をスタートできない!」と思う必要はありません。並列性のコンテンツの場合は何ページと宣言する必要もありませんし、集まった16ページで掲載をスタートすればいいのです。少しずつ増やして最終的に30ページになればいいと気軽に構えていてください。

むしろ、少しずつページを追加していく方が、更新されているコンテンツということで読者にも検索エンジンにも評価されるのだ、というぐらいに考えてください。

百人一首法を支える制作法

さて、集まった原稿で実際にページを作成します。執筆依頼をする前に、制作会社に「目次ページ」と「本文ページ」を1ページずつテンプレートで作成してもらっておくといいでしょう。

制作会社に頼むのは目次ページと本文ページの2ページだけ

目次ページは予定通り、全項目を列記しておきます。30ページなら目次も30あります。目次ページのHTMLページには、リストタグなどを使って、次のように記述しておけばいいでしょう。

もし原稿が来ていない状態で公開する場合、来ていない項目を「」ではさんでおきます。

これは「コメントアウト」といって、書かれた内容をブラウザで表示しない方法です。原稿が来たら「」を削除すればすぐに表示できます。

コピー&ペーストで増やす

また、「本文ページ」は、制作会社に作ってもらうのは1ページだけでOKです。あとはそれをコピー&ペーストして30に増やし、名前をつければ良いのです。ファイル名は「001」などと「0」から始まる番号をつければフォルダ内で考えている通りの順番に並び管理しやすくなります。

ファイル名を付けるときは、「001_equipment」といったように「番号と内容」を含めるようにしましょう。その理由は次のようなことのためです。

  • ファイル名を見て何が書いてあるのかわかりやすくするため
  • 目次順に管理しやすくするため
  • 検索に強くするため

本文ページの構成は基本的には見出しと本文のみがいいでしょう。読み物コンテンツの場合は、イラストなどを入れたくなりますが、百人一首法で作成するのは「短期間に多くのページを作る」というのが強みのコンテンツですから、原稿が来たらコピー&ペーストだけでページを公開することが重要です。

これで非常にコストパフォーマンス高く、多くの分野をカバーし新規検索者訪問者を集められるコンテンツが手軽に短期間にできますから、ぜひ百人一首法を取り入れてみてください。

百人一首法で注意すべき3つの点

この百人一首法を使い並列性のコンテンツを作る場合に、注意すべき点が3つあります。

ページ内容はできるだけ自社製品と関連するようにする

並列性コンテンツを考えるとき、自社製品と関係ないページが増えてしまいがちです。せっかく訪問者が集まっても自社製品をアピールできないのは、もったいないです。自社製品と関連するような、ページ内容を考えるようにしましょう。

ユーザーが検索している言葉を入れたページを作る

多くの会社が社内でよく使う用語を使って、コンテンツを作ってしまうために、来てほしい人が訪れないコンテンツになりがちです。コンテンツを作るときは、ユーザーが使っている言葉で、しかもライバルサイトがまだ気づいていない分野で作るのが鉄則です。検索順位を高めやすく、訪れた人が「やっと良いコンテンツが見つかった!」と喜んでくれるのが一番です。

見出しの付け方を工夫して、「ホテルマンのための○○」「プロジェクトマネジャーのための○○」と、ターゲットをカバーしやすい企画にしましょう。こうした文言はすべてのページのページタイトルに記載します。

これだけは揃えたい装備|週末アウトドアのすすめ|○○株式会社

これで30文字ですから、ページタイトルとしては適した長さです。ここに十分なキーワードやターゲットを盛り付けられるように工夫するのがWeb担当者の腕の見せ所です。

関連するページへのリンクを用意する

この項目はとても重要です。並列性のコンテンツは1ページ完結するので、検索にも強いのですが、他のページに回遊してもらうようなリンク先がない状態になりがちです。

読者は調べ物をしていてたまたま、そのページを見つけただけで、「そのコンテンツを全部見たい」という気持ちでは訪れていませんから、並列性コンテンツは直帰が多くなります

30ページのコンテンツが1ページずつ100人連れてきたらそれだけで3,000人の集客できますが、そのうち95%が直帰してしまって、他のページを見たのは150人だけということがよく起こります。これでは、なんのためにコンテンツを作ったのかわかりません。

並列コンテンツによくあるリンクは、「目次に戻る」だと思います。しかし、読者はそのコンテンツを全部読みたいわけではありません。すべてを読んでもらうようなリンクを付けるのではなく、「検索でそのテーマを見つけた人が関心を持つのは何か?」を考え、関連性の高い内容が書かれた、コンテンツへリンクするようにしましょう

目次へ戻るだけでなく関連性のあるリンクを付ける

たとえば、「火起こしの基本」がそのページのテーマで、「火起こし」という検索でコンテンツに訪れた人がいるとします。さて、何を関連リンクにすればいいでしょうか?

  • 火起こしの上級テクニック(同じテーマの別ページ)
  • バーベキューでの賢い火の使い方(製品に近づける別テーマのページ)
  • こんなに簡単に火がつくバーベキューコンロがあるなんて!(製品ページ)
  • 「週末アウトドアのすすめ」1000いいね!突破!(全体に興味を持たせる)

このリンクの文言やリンク先を考えることこそが、Web担当者の本当の仕事だといっても過言ではありません。

自社製品を良いと感じやすい訪問者を集め、そこでサイトの良さを感じさせ、製品に近づかせる

百人一首法で手軽にコンテンツを作成し、多くの種類の顧客をそれぞれに最適な製品に誘導することができれば、Web運営は非常に戦略的で醍醐味のあるものになるでしょう。

◇◇◇

次回は、コンテンツは無数に増やす方法「投影法」を紹介しましょう。

※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:大量ページのコンテンツを短期間で作り出すのに役立つ「百人一首法」とは? | 誰も語らなかったWebコンテンツ作成技法 | Web担当者Forum
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この記事の筆者

石井 研二(HARMONY)

株式会社HARMONY 取締役。

雑誌編集、通販カタログ企画を経て、95年からウェブプロデューサ。Web黎明期からアクセス解析を使い、多くの企業サイトを成功に導く。2002年からはアクセス解析サービス「サイトグラム」を展開、年間20億ページビュー以上を解析し、「日本一のログ読み男」として知られる。株式会社HARMONY取締役。

一般社団法人日本ウェブ戦略担当者協議会を設立し、ウェブマスターの教育、ウェブ運営手法の標準化を始めている。

著書に『ガッチリ成果を出すWeb担当者の教科書 ~便利テンプレートデータで実務を効率化!』(技術評論社)、『改訂新版アクセス解析の教科書』(翔泳社)等がある。


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