モバイル最適化されていないページのモバイル検索順位を下げる「モバイル フレンドリー アップデート」が開始された。今週は、モバイルフレンドリー特集として、グーグルの公式発表や解説、情報などをたっぷりとお届けする。
お待ちかね、モバイルフレンドリーアップデートがついに始動
予告どおりの実行(グーグル ウェブマスター向け公式ブログ)
グーグルは、スマホ対応しているかどうかをランキング要因にする検索アルゴリズムの導入を開始したことを発表した。今年の2月に予告していたとおりだ。
スマホ対応していないサイト(ページ)は、この「モバイル フレンドリー アップデート」により、モバイル検索での掲載順位が下がる可能性がある。
導入開始の発表だけではなく、次のような重要な情報に公式アナウンスが言及していることにも注目したい。
このアップデートには以下のような特徴があります:
- 携帯端末での検索の掲載順位にのみ影響する
- 世界中のすべての言語で検索結果に影響する
- ウェブサイト全体ではなく、個々のページが対象となる
この変更は重要なものですが、ランキングにおける他のシグナルの重要性を無視するものではありません。検索クエリの意図は非常に重要なシグナルです。ですので、たとえクオリティの高いコンテンツが掲載されているページがモバイル フレンドリーではなかったとしても、関連の強いクエリでは高い順位に掲載される可能性があります。
この記事を書いているのは導入直後のためか、検索結果に大きな変動が起こっているという情報は入っていない。どんな変化が現れたのかはこれから次第に明らかになっていくであろう。もちろん、このコーナーではモバイルフレンドリーアップデートを引き続き追いかけていく。
グーグルだけど、モバイルフレンドリーアップデートについて質問ある?
全部で13個のQ&A(グーグル ウェブマスター向け公式ブログ)
4月21日に開始を発表したモバイルフレンドリーアップデートについて、よくある質問に対する回答をグーグルが公式ブログで公開した。
全部で13個ある。たとえば次のような質問が取り上げられている。
- パソコンやタブレットでの掲載順位もこの変更の影響を受けますか?
- 4 月 21 日までにモバイル フレンドリー ページを準備できなかった場合、掲載順位においてモバイル フレンドリーと判断されるまでにどの程度の時間がかかりますか?
- モバイル フレンドリーでないサイトにリンクしている場合はどうなりますか?
- モバイルフレンドリーでないサイトやページは検索から削除されるのですか?
- ユーザーがパソコンからのユーザーのみなので、モバイルサイトを作成する理由が見当たらないのですが、その場合はどうなりますか?
グーグルはこれまでアルゴリズム更新を完了しても、それを公式に発表するとは限らなかった。にもかかわらず今回のように、アルゴリズム更新を事前に告知したり、アルゴリズム更新に関する質問に公式に回答したりするのは、極めてまれだ。それだけモバイルフレンドリーアップデートが検索全体に与える影響が大きいと判断したからであろう。
すべてのQ&Aにしっかりと目を通しておこう。
日本語で読めるSEO/SEM情報
モバイルフレンドリーの疑問をグーグル社員に直で聞いてみた
疑問はオフィスアワーで解決(ウェブマスター オフィスアワー on Google+)
今年2回目のウェブマスターオフィスアワーが開催された。日本のグーグルからは金谷氏と田中氏が、米グーグルからは長山氏が参加し、計3人が我々ウェブサイト管理者からの質問に答えてくれた。
モバイルフレンドリーアップデート実施の直前ということもあり、モバイル関連の質問がかつてないほどにたくさん出た。
- モバイルユーザービリティのエラー
- モバイルでのrel="prev" と rel="next"
- alternateタグの設定
- ページスピードについて
- モバイルフレンドリーについて
- モバイルフレンドリーの評価
- モバイルサイトマップについて
- リダイレクトの設定について
きちんと情報収集していればわざわざ聞かずとも解決できる疑問も多い。
とはいうものの、多くのWeb担当者はSEOだけをやっているわけにもいかない。そういった境遇の人は、30分でいいので空き時間を作って録画を視聴しておこう。
モバイルフレンドリーだけじゃない、App Indexingもランキングシグナルに
モバイルSEOではアプリも重要に(Google Developer Japan Blog)
モバイルフレンドリーアップデート騒ぎに隠れているが、実はグーグルは、モバイル検索に関わるもう1つのアルゴリズム更新を実施している。
それは、App Indexingの拡張だ。
こちらのアップデートを実施したことを、米国時間の4月16日に発表した。
今回のアップデートには2つの大きな特徴がある。
- 対象アプリをインストールしていない場合でも、検索クエリに関連性が高いコンテンツを含むアプリのインストールボタンが検索結果に表示される
- アプリをインストールしていないユーザーに対しても、App Indexingがランキング要因として用いられる(これまでは、アプリをインストールしているユーザーだけが対象だった)
今後のモバイルSEOには、ウェブページのコンテンツだけではなくアプリのコンテンツも重要になってきそうだ。大きな変革といえるだろう。
App Indexingがランキング要因になった今、すぐにアプリを開発すべきか
状況を判断してからがよさそう(辻正浩 on Twitter)
モバイル検索に与えるApp Indexingの影響が強まったことを受けて、SEOコンサルタントの辻正浩氏がこんなツイートを発した。
最低でも先週迄のデータですと、App Indexingは流入影響がほぼ無い上に、工数やその他デメリットは多く、「リピートユーザをウェブではなくアプリに誘導することが大きな利益になるケース」以外ではとても厳しい仕様でしたが。どうなるのかな?来週のデータが楽しみ。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2015, 4月 16
公式発表はここ。 http://t.co/eZTIBNVPpr
アプリを持っているウェブサイトでもユーザ側、ウェブマスター側それぞれのメリットデメリットの慎重な検討が必要な仕様ですし、この仕様があるからappを作らなきゃ!みたいな事は無いはずです。よほどの影響にならない限り。
— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) 2015, 4月 16
辻氏が関与している限りでは、アプリをインストールしたユーザーにだけApp Indexingがランキング要因として使われていたときには、それによる検索トラフィックをほとんど確認できなかったようだ。
ただ、すべてのユーザーに対してApp Indexingがランキング要因になったとはいえ、安易にアプリ開発に飛びつくことを辻氏は勧めていない。
「よほどの影響」になる可能性を完全には否定できないとしても、自社のビジネスが対象としているユーザーのスマートフォン利用行動から重要であると判断できない限りは、しばらくは様子をみるのが安全であろうか。
海外SEO情報ブログの
掲載記事からピックアップ
App Indexingとモバイルフレンドリーアルゴリズム更新に関する記事を今週はピックアップ。
- App Indexingによってモバイル検索結果が20位から6位に順位アップした事例
大きく影響するケースありか? - モバイルフレンドリーアルゴリズムは10本の青色リンクだけが対象、ローカル検索やニューストピックには影響せず
あくまでもスマホのウェブ検索のみ
- モバイルフレンドリー更新を悪用した業者にご注意
- モバイルフレンドリー更新は完了までに数週間かかるかも
- 大画面スマホからの検索はモバイル扱い? PC扱い?
- Googleアナリティクスのメモにモバイルフレンドリー更新を記録しておこう
- 別々のURL構成ではPC向けサイトとモバイル向けサイトの両方をウェブマスターに登録する
(今週はお休み)
海外のSEO/SEM情報を日本語でピックアップ
モバイルフレンドリー更新を悪用した業者にご注意
正しい情報を広めよう(Ashley Berman Hale on Google+)
こんな偽情報を流している業者があるとのことだ。
モバイルフレンドリーではない(スマホ対応していない)サイトは、検索結果から削除される。
モバイルフレンドリーでないと、PC検索でもペナルティを受ける。
レスポンシブウェブデザインにしなければならない。
デジタルマーケティングでそれなりに名の通っている米国の企業が、グーグルのモバイルフレンドリー更新の騒ぎを利用して、自社サービスを売り込むために事実とは異なる情報を書いたメールを見込み客に送ってきたそうだ。
例に挙げた3つの情報は、すべて間違っている。
モバイル最適化していないことで順位が下がることはあっても、検索結果から削除されることはない。また、サイト名や社名のようなナビゲーショナルクエリ(指名検索)の場合は、スマホ対応していなくても検索結果でユーザーにきちんと見つけてもらえるように考慮するとグーグルは言っている。
今回のアルゴリズム変更は、スマートフォンによるモバイル検索結果だけに影響する。PCやタブレットからの検索には影響しない。そもそもペナルティではない。
レスポンシブウェブデザイン以外にも、次の2タイプのモバイル構成をグーグルはサポートしている。
- 動的な配信
- 別々のURL
このコーナーを毎週読んでくれている読者なら、こんな煽りに引っかかることはないだろう。もしあなたが、モバイルフレンドリー更新についてだれかに聞かれたら、こうしたデマを言ってくる業者に引っかからないように注意してあげよう。
モバイルフレンドリー更新は完了までに数週間かかるかも
スマホ対応していなかったときの低評価は残らない(Gary Illyes on Twitter)
グーグルのモバイルフレンドリーのアルゴリズム更新に関する情報を、グーグル社員のゲイリー・イリーズ氏によるツイッターでの投稿とGoogle+でのコメントから紹介する。どちらもユーザーの質問に対する返答だ。
質問モバイルフレンドリーのアルゴリズム更新は、予定どおり実施されるのか?
私が知る限りでは、予定どおりだ。
ただし、展開するのに数週間かかるかもしれないから、すぐには変化が見られないかもしれないことを、知っておいてほしい。
公式ブログでは「アップデートが反映されるまで1週間程度かかる見込み」とのことだった。更新が完了して検索結果が安定するまでには、余裕を持って2~3週間くらい待ってもよさそうだ。
逆に言うと、仮に現時点で大きな変動があったとしても、落ち着くまでは様子をみるほうがいいということかもしれない。
質問スマホ対応できていない状態でいったん認識され、その後スマホ対応したとしても、スマホ対応していなかったときの状態を保持していて悪い評価が残り続けるか?
いいや、悪い評価は残らない。いったん正しく修正できれば、それを評価する。
現在スマホ対応できていればその状態が検索結果に反映される。過去がどうだったかは関係ない(当然と言えば当然だ)。
ただし検索結果への実際の反映には再クロール、再インデックスが必要なので、即座に反映されるわけではないことを付け加えておく。
大画面スマホからの検索はモバイル扱い? PC扱い?
ファブレットはスマートフォン(The SEM Post)
スマートフォンのなかには、ディスプレイサイズが大きく、タブレットに近い大きさの端末がある。ディスプレイサイズが5~7インチ程度のものを、“ファブレット”と呼ぶらしい。
さて、モバイルフレンドリーアップデートが関係するのはスマートフォンからの検索だけだが、では、ファブレットからの検索はどうなのだろうか? タブレットなどに近い大画面のスマートフォンでも、スマホ対応できているページのほうが上位に表示されやすくなるのだろうか?
結論から言えば、影響を受けるだろう。スマホ対応ページがより上位に来る。
そもそも、スマートフォンやタブレットとは異なり、ファブレットという明確なデバイス分類があるわけではない。
グーグル検索では、スマートフォンかタブレットかPCかを、ユーザーエージェント(UA)で判別している。ディスプレイサイズではない。ディスプレイが大きくても、ユーザーエージェント名にスマートフォンを示す文字列が入っていればスマートフォン扱いされる(レスポンシブウェブデザインを使ったグーグルのサイトは、ディスプレイサイズによってデザインやレイアウトを変化させるが、ここではPC検索を使わせるかモバイル検索を使わせるかの話)。
その証拠に、ファブレットでグーグル検索してみれば、「スマホ対応」のラベルが付いた検索結果が出てくるはずだ。
技術的な説明を補足しておくと、問題になるのは画面の大きさ(「5.5インチ」など)やディスプレイの解像度(「1080×1920ピクセル」など)ではなく、CSSピクセルと呼ばれる、ブラウザからみて画面の幅や高さが何ピクセル分あると扱われるかだ。
たとえばiPhone 6 Plusは、5.5インチ液晶で、ディスプレイの物理的な解像度は1080ピクセル×1920ピクセルと大きい。しかし、ブラウザからみると414ピクセル×736ピクセルの画面として扱われる。これなら、スマートフォン扱いされるのも納得かもしれない。
Googleアナリティクスのメモにモバイルフレンドリー更新を記録しておこう
一覧表示も可能(David Kutcher on Google+)
Googleアナリティクスには、ちょっとした注釈をグラフに書き込んでおくための「メモ機能」がある。たとえば、ウェブサイトに大きめの変更を加えたときや、キャンペーンを開始したことを書き込んでおけば、時間がたっても忘れる心配が減り解析の手助けになる。
グーグルが実行したばかりの、モバイルフレンドリー アップデートもメモとして書き込んでおくといいだろう。後になってからでも、ここを境にして導入前後を比較すればいいとすぐにわかる。
メモの使い方は以前にWeb担で解説している。比較的古い記事になるが、操作方法は大きくは変わっていないはずだ。
なお、記録したメモは一覧としても見ることができる。「アナリティクス設定」の「ビュー」に「メモ」というメニューがある。これをクリックするとこれまでに記録したメモがリスト表示される。
別々のURL構成ではPC向けサイトとモバイル向けサイトの両方をウェブマスターに登録する
モバイル向けサイトだけのデータが手に入るから(Google Webmaster Help Forum)
PC向けサイトとモバイル向けサイトを別URL構成にしているなら、PC向けだけではなくモバイル向けサイトもウェブマスターツールに登録しておくといいでしょう。
グーグルのジネブ氏が公式ヘルプフォーラムでこのように推奨した。
そのほうが、モバイル向けサイトだけの状態を監視できるし、モバイル向けサイトに起きたエラーに気付きやすくなるからだ。
もしあなたが別々のURL構成を採用しているなら、両方のサイトを登録しておこう。ただし、サイトマップはPC向けサイトだけで送信すればいい。
念のために説明しておくが、レスポンシブウェブデザインや動的生成の場合、PC向けもモバイル向けも同じURLなので、別々に登録する意味はない。
SEO Japanの
掲載記事からピックアップ
検索関連の記事更新がなかったので今週はピックアップなし。
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:モバイルフレンドリーアップデート始動、公式情報など10+2記事のモバイル対応特集 | 海外&国内SEO情報ウォッチ | Web担当者Forum
Copyright (C) IMPRESS CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.