マット・カッツ氏「ブラックハットSEO対策とウェブマスター支援に力を注ぐ」
マット・カッツから生で聞いてきました (PubCon Las Vegas 2012)
このコーナーの更新を先週はお休みさせていただき、米ラスベガスで開催された「PubCon(パブコン)」に参加してきた。PubConは、SEOやPPC、ソーシャル、アフィリエイトなどをテーマにした一大カンファレンスだ。
PubConラスベガスでは毎年、米グーグルのマット・カッツ氏が基調講演でスピーチする。公式アナウンスに先立って「リンクの否認」ツールが真っ先に発表されたのもこの場だった。
基調講演の大半は「リンクの否認」ツールの紹介に当てられたが、始まりから3分の1ほどは、2011年と2012年のここまでのグーグル検索の動向をまとめて説明してくれた。それらを紹介したい。
なおこのコーナーで取り上げたものに関しては該当記事へリンクを貼ってある(1つだけは別コーナー)。
2011年のSEO
- 質の低いサイトの駆逐(パンダ・アップデート)
- ウェブマスターとのコミュニケーション拡大
2012年はブラックハット対策が中心
- ページ上部が広告過多のサイトに対するアルゴリズム
- ペンギンアップデート
- 手動・アルゴリズムの両方でスパムリンクネットワークを撲滅
- パンダ・アップデートの改良を継続
- 完全一致ドメイン名への対応
2012年はウェブマスターたちの支援になることも実施
- GooglebotがJavaScriptとAjaxをより理解できるようになった
- Googleウェブマスターツールの検索クエリの期間を90日に、クエリ数を2000個まで拡大
―― 98%のサイトは全データを入手可能になった - autocompleteによるフォームの入力支援
- レスポンシブ・ウェブデザインの推奨
- マルチリンガルサイト用のマークアップ
- ウェブマスター アカデミーの開講
- スマートフォンに最適化したサイトの推奨
- ウェブマスターツールのクロールエラーレポートとサイトエラーレポートの改善
- ウェブマスターツールからの重大な問題へのメール通知
- ウェブマスターツールでユーザー権限の割り当て
- 手動対処に対してほぼ100%メッセージを通知
- アルゴリズム変更をブログ記事で発表
- クオリティ ローンチ ミーティングのビデオ公開
- ウェブマスター向けガイドラインを具体例付きで更新
- 不自然リンクへの警告 ―― 透明性を増し、不正なリンクの例を示すこともある
今年はまだ2か月と少し残っているが、実に多くの活動をグーグルが行ってきたことがわかる。もっともこのコーナーの読者の大半である一般のウェブ担当者は、これらの変更や改善を逐一追いかける必要はない。全体としてどんなことが起こったのか流れをつかむだけで十分だ(そのためにも、このコーナーが役に立つことだろう!)。自分のサイト運営について重要な事がらがあれば深く掘り下げるといい。
日本語で読めるSEO/SEM情報
不自然リンクを帳消しにする(かもしれない)待望のツールがついに登場
とはいえ安易に使うなかれ (Google ウェブマスター向け公式ブログ)
自力ではどうやっても取り除くことのできない不自然なリンクを無価値にできる「リンクの否認」ツールをグーグルが公開した。
不自然リンク警告を受けたときは、問題となっているリンクをほぼすべて撤去しなければ、手動処置は解除されない。しかしどんなに頑張っても除去できないリンクはどうしても残ってしまうのが実情だ。
「リンクの否認」ツールを使えばそういった取り除けない不自然なリンクを否認、つまり“ないもの”として処理するよう指定できる。
なかなかすばらしいツールに思えるが、むやみやたらと使うものではないようだ。自分では取り除くことが不可能なリンクが残っている状況で、かつ今自分が何の操作をしているかを理解できる高い技術レベルを持つサイト管理者だけが使うように、グーグルは念を押している。
多少怪しげなリンクが張られていたからといって安易に使うツールではないらしい。問題のない、評価されているリンクを誤って否認してしまったとしたらランキングが下がるかもしれない。
公式アナウンスとヘルプをよく読んで使いこなせるかどうかを判断し、使うことを決めたのなら絶対にミスのないように設定を進めてほしい。ほんの少しでも不安があるなら情報がでそろうまで保留にしておくことも検討すべきだろう。
ちなみに、グーグルのQ&Aによると、このツールでの指定は、グーグルに対して無視するように「強く」伝える意味をもつということ。100%そのとおりになるとは限らないが、多くの場合は無視されるだろうとのこと。また、このツールは再審査リクエストの代わりになるわけではないので、リンクを否認したあとは正しく再審査リクエストを出す必要がある。
スパムレポートで通報したサイトが居座り続けるのはなぜなのか
即対応ではなくアルゴリズム改善のために使われるから (グーグル ウェブマスター向け公式ヘルプフォーラム)
グーグルが定める品質ガイドラインに違反し、検索結果を不正に操作しているサイトを発見したときは「ウェブスパム レポート」から通報できる。
しかし通報したとしてもよほど悪質でユーザーに直接的な害を与えるものでない限りは、何らかの対応が個々のスパムサイトに対して即座に取られることは通常ない。というのも、グーグルはそうしたレポートを使って、同様のサイトもまとめて検出できるようにアルゴリズムを改良するからだ。
このあたりの事情を、グーグル日本のKyotaroさんが公式ヘルプフォーラムで説明している。ひととおおり目を通しておくいい。
スパムレポートを送っても目に見えて直接的な対応が取られないとはいえ、その送信には意味はある。ガイドライン違反を犯しているサイトを発見したら、グーグルに報告しよう。より良い検索結果を提供してもらうためだし、真面目に運営しているあなたのサイトを正しく評価してもらうことにも繋がる。
グーグルがコピペサイトにさらにダメ出し
まとめサイトもやられるか? (グーグルウェブマスター向け公式ブログ)
グーグルは、日本語向けに検索順位を改善するためのアルゴリズム変更を実施したことを、ウェブマスター向け公式ブログで公表した。
他のサイトからのコピーコンテンツで構成されるサイトが検索結果の上位に出ないようにし、オリジナルのコンテンツを持つサイトをより高い順位に表示することが目的のアルゴリズム変更が、特に日本向けに行われたのだ。
日本語だけを対象にしているところが、我々にとっては非常に関心が高いところとなる。また内容を読むとパンダ・アップデート関連かとも思えるのだが、定かではない。
この変更は、日本語検索結果の約 5% に影響する見込みです
このように説明しているが、この記事を書いている時点では、特筆すべき順位変動が発生している情報は筆者のもとに入ってきていない。この記事が公開されるころには状況がはっきりしているだろう。
なお、記事の最後に書かれているように、「独自コンテンツや付加価値のないアフィリエイトサイト」や「無断複製されたコンテンツ」は今回のアルゴリズム変更前からガイドライン違反に問われそれ相応の対処が取られることがあることにも注意しておきたい。
Web担の読者には、質が高くユーザーを惹きつけるオリジナルなコンテンツの作成に引き続き注力してほしいと望む。
リッチ スニペットに関するガイドラインの日本語版公開、専用スパム報告も
リッチスニペットスパムにならないように (ウェブマスター ツール ヘルプ)
グーグルが、ウェブマスター向けガイドラインを更新したことを前回お伝えした。その際に英語版ではリッチスニペットの品質評価ガイドラインが新たに公開されたのだが、この時点ではまだ日本語ページができあがっていなかった。
しかしようやく準備が整ったようだ。日本語ヘルプも読めるようになっている。
リッチスニペットの品質評価ガイドラインによれば、たとえば次のような行為が認められた場合は、手動による対策(特定のサイトのリッチ スニペットを無効にするなど)が適用されることがあるそうだ。
- ユーザーに一切表示されないコンテンツをマークアップする。
- 関連性がない、または誤解を招くコンテンツ(虚偽のレビュー、ページの内容と関係のないコンテンツなど)をマークアップする。
リッチスニペットは検索結果のCTRを上げる効果もあり、比較サイトやレビューサイト、ECサイトでは特に重要な機能である。用法を正しく守って利用しなければならない。関係するサイトを運営しているのであればリッチスニペットに関するガイドラインをよく読んでおこう。
もしリッチスニペットを悪用しているサイトを発見したらリッチスニペット専用のスパムレポートからグーグルに通報できる。
SEOそしてUXや競争優位のためにウェブサイトの高速化を
今すぐとりかかるべし (SEO 検索エンジン最適化)
ウェブページの表示速度の高速化の必要性を説いた記事。
さすがに住太陽氏の記事だけあって、数々のデータを基に非常に論理的で説得力のある内容となっている。読み終わった後は「今すぐ高速化にとりかからねば」という気持ちにさせられるだろう。
とはいえ、具体的な施策までには話が及んでいない点は、筆者には残念に思われた。もっとも論点は高速化の大切さを伝えることであり、そこまでカバーする意図ははなからなかったのであろう。
続きとしての実践編を、ぜひ期待したい。
海外SEO情報ブログの
掲載記事からピックアップ
検索キーワードに込められた「意図」と広告過多対策のアルゴリズム更新についての記事を今週はピックアップ。
-
SEOに必須、検索意図で分類する3つのクエリのタイプの違いとその内容
キーワード選定にもコンテンツ作成にも重要 -
Googleのアルゴリズム更新ラッシュ、今度は「ページ レイアウト アルゴリズム」を更新
広告でユーザーを邪魔しないこと
- リンクの否認ツールの効果はいかに
- 間違ったURLにリンクされて404エラーが多発、対処法は?
- パンダかと思っていたら実は手動措置をくらっていて警告も届いていなかった!
- グーグルが提供するサイト高速化のための「mod_pagespeed」がいよいよ正式版に
- Google、リンク無効化ツールを満を持してのリリース!
- Google、手動ペナルティをほぼ100%ウェブマスターへ報告
海外のSEO/SEM情報を日本語でピックアップ
リンクの否認ツールの効果はいかに
まだ不透明 (SEO Blog by Dave Naylor)
グーグルが公開したばかりの「リンクの否認ツール」を日本記事でピックアップした。果たしてこのツールの効果はどうなのだろうか? リンクの評価がゼロになるには数週間かかるとのことなので結果を知ることはまだできない。
しかし一般公開前にベータテスターとしてリンクの否認ツールを試験的に利用したサイト管理者が、こちらの記事とその続きの記事で結果を公開している。
ツールを利用したのは不自然リンク警告を受けたサイトだ。問題となっているリンクを可能な限り取り除いたが、リンク設置サイトの管理者とどうやっても連絡がとれないなどで外せなかったリンクを、ツールを使って否認した。再審査リクエストにはツールを使ったことも書いた。
「再審査の処理を開始した」という返事が届いたものの手動処置が解除されたかどうかは書かれていなかった。何日も変化は見られなかったが数週間後のある日突然ランキングが上がり始め、その後も上昇を続けているそうだ。
期待どおりの結果が出たように思える。
もっとも回復が始まったタイミングがペンギンアップデートの更新が実行されたタイミングと同じでありそちらとの関連性も疑われるので、ツールが確実に効果を発揮したとは断定できないようだ。
ツールによるリンクの否認がどんな変化をもたらすのか、今後情報が出てくるだろう。参考になる情報が見つかったらこのコーナーで紹介したい。
間違ったURLにリンクされて404エラーが多発、対処法は?
よくある質問 (英語版 グーグル ウェブマスター向け公式ヘルプフォーラム)
自分が管理していないよそのサイトから正しくないURLでリンクを張られてしまい、グーグルウェブマスターツールに404エラーが大量にレポートされることがある。
「どう対処したらいいのだろうか?」がよくある質問だ。グーグルのウェブマスター向け公式ヘルプフォーラムでのグーグル社員のジョン・ミューラー氏のアドバイスをもとにまとめてみる。
基本的に、そのまま無視して構わない。外部サイトからのリンクによる404エラーでクロールやインデックス、ランキングに悪影響が出ることは通常ない。
リンク元ページからユーザーがたくさん訪れていて本来着地すべきページを特定できるなら、そのページへ301リダイレクトする。
もちろん、間違ってリンクしているサイトの管理者にコンタクトが取れるならば、修正してもらうことがいちばん望ましい。
パンダかと思っていたら実は手動措置をくらっていて警告も届いていなかった!
寝耳に水の「不自然リンク警告」 (WebmasterWorld)
2度に渡ってパンダ・アップデートによって評価が下がり順位が大きく下降したため、問題点となる箇所を改善した後、再審査リクエストを送ったサイト管理者がいた。
パンダ・アップデートはアルゴリズムよる自動処理であって手動処置(ペナルティ)ではないため、再審査リクエストを送っても意味がない。通常は。しかし、なんと返事として送られてきたのは「不自然なリンクが依然として残っている」という思いがけない通達だった。
どうやら、このサイトはパンダ・アップデートの影響を受けていたのではなく、不自然リンクによる手動処置を受けていた(しかし、警告は届いていなかった)らしい。
実はこのようなケースが少なからず存在するようだ。グーグルは現在は、手動処置に対してほぼ100%警告を送っていると言うが、送られていないケースがもっとあるように思われる。別件で再審査リクエストを送ったのに「不自然リンクが残っている」という返事が来たケースを筆者も何例か耳にしている。
一般のウェブ担当者なら普通は混乱してしまうだろう。何とかしてほしいものだ。
グーグルが提供するサイト高速化のための「mod_pagespeed」がいよいよ正式版に
パフォーマンス向上の強力な武器になるか (Google Developers Blog)
ウェブページ表示のパフォーマンスを向上させるためのApacheのモジュールとして「mod_pagespeed」をグーグルは2年近く前に公開した。ずっとベータ版だったのだが、いよいよ正式版としてリリースされた。
サイトの高速化というとサーバー管理者向けの話題に思われるかもしれないが、日本語記事でも住太陽氏のウェブサイトの高速化に関する記事をピックアップしたように、SEOだけでなくサイト上でのユーザーエクスペリエンスやビジネス成果にも関係する重要なトピックだ。自社でサーバーを管理しているなら管理者と話し合って導入を検討してもいいのではないだろうか。
ドキュメントは英語だけだが正式版への公式アナウンスの抄訳は日本語で読める。サイトのパフォーマンス改善に興味があれば、日本語記事だけでも読んでおくといいだろう。
SEO Japanの
掲載記事からピックアップ
話題の「リンクの否認」ツールとペナルティ通知の記事を今週はピックアップ。
-
Google、リンク無効化ツールを満を持してのリリース!
マット・カッツ氏のプレゼンとともに -
Google、手動ペナルティをほぼ100%ウェブマスターへ報告
本当なのかいまいち信用できない
- 内容カテゴリ:SEO
- コーナー:海外&国内SEO情報ウォッチ
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