もともとコンバージョンに関係のない訪問をあらかじめ除外して、“真のコンバージョン率”を算出したい
ユーザーは、必ずしも購入目的でeコマースサイトに訪問するとは限らない。たとえば下記のような訪問動機もある。
- 商品の相場観を知りたくて、価格だけ調べに来た
- 購入した製品・サービスに対するトラブル対応のために来た
たとえば、パソコン通販の「デル」は、サイト内にサポートサイトが格納されている。そのため、レーザープリンタの新しいドライバをダウンロードしようと考えたユーザーが訪問することもあるだろう。
パソコン購入をコンバージョンとして集計したい場合、コンバージョン率算出の母数に前述のようなサポート目的の訪問を含めるのは、合理的だとは思えない。
こういったセッションが多いのであれば、これらの訪問をあらかじめ除いて、コンバージョン率を定点観測する方が良いだろう。
サイトの種類によってもセグメントの設定内容は変わってくると思うので、今回はその1つの目的に対して考えられる複数のセグメントと、それぞれに対応した設定内容を中心に解説していきたい。
サイトの種類別のセグメント例
- eコマースサイトで、「検索エンジンからサポートページ群に入ってきた訪問」を除く
- 企業サイトを兼ねるB2Bサイトで、「トップページから閲覧を開始し、会社の地図ページへ移動した訪問」を除く
- 実際の店舗がある企業のサイトで、「スマートフォンで店舗情報ページ群を閲覧した訪問」を除く
もちろんさまざまなバリエーションが考えられるが、上記の組み合わせなど、自分のサイトの事情に応じてカスタマイズしていただきたい。
余計な訪問を除いて、真のコンバージョンを集計するためのセグメントを作る方法
標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントはどれも存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「条件」(図3青枠部分)あるいは「シーケンス」(図3緑枠部分)を選択しよう。図3はそのうちの「条件」を選択したときの画面だ。
今回作成したいセグメントは3種類。具体的には次の3つを作成してみよう。
- 検索エンジンからの訪問で、閲覧開始ページがサポートページ群(/support/)のセッションを除く
- トップページ(/)から閲覧を開始し、会社の地図ページ(/company/map.html)を閲覧したセッションを除く
- スマートフォンによる閲覧で、店舗情報ページ群(/store/)を閲覧したセッションを除く
A. サポートのためのセッションを除外するセグメントの作り方
Aのセグメントは図4のように条件指定しよう。
こちらは「条件」分類のセグメントなので、まず「条件」(図3青枠部分)をクリックする。このセグメントはセッションベースなので、
- 「フィルタ」は、「セッション」「除外する」(図4赤枠部分)
を選択する。その下の1つ目の条件は
- 「メディア」「完全一致」「organic」
とする(図4青枠部分)。これが検索エンジン経由で来たセッションを意味する条件指定になる。
その右端の「AND」(図4緑枠部分)ボタンをクリックし、次の条件は
- 「ランディング ページ」「先頭が一致」「/support/」
とする(図4黒枠部分)。こちらはサポートページ群が格納されている「/support/」ディレクトリ配下のページから訪問を開始したセッションという意味になる。この2つの条件を掛け合わせたセグメントということだ。
B. 会社の地図を見に来たセッションを除外するセグメントの作り方
Bのセグメントは図5のように条件指定しよう。
こちらは「シーケンス」分類のセグメントなので、まず「シーケンス」(図3緑枠部分)をクリックする。このセグメントはセッションベースなので、
- 「フィルタ」は、「除外する」「セッション」(図5赤枠部分)
を選択する。その右側の
- 「シーケンスの開始」は「すべての接点」(図5青枠部分)
を選択する。「すべての接点」以外に「最初の通過地点」という選択肢があるが、ここでは初回訪問時に絞る必要はないので「すべての接点」を選択する。
- 「ステップ1」は、「ランディング ページ」「完全一致」「/」(図5緑枠部分)
とする。こちらは会社のトップページから閲覧したセッションという意味になる。
その下の「ステップを追加」(図5紫枠部分)をクリックする。ここは「の次のステップは」「の直後のステップは」の2つの選択肢があるが、ここはどちらを選択しても結果は同じになるようだ。どちらにしても同一セッション内で、ページAの直後にページBを見たという厳密なセグメントは切れないようだ。
- 「ステップ2」は、「ページ」「完全一致」「/company/map.html」(図5黒枠部分)
などとする。こちらは会社の地図ページを閲覧したセッションという意味になる。
つまり、「の直後のステップは」を選択(図5紫枠部分)しても、トップページの閲覧に続くページの意味の「直後」に限定することはなく、「トップページ」→「その他のページ」→「地図ページ」の順で閲覧した訪問も含まれることになる。今回はこれでよしとする。
C. スマホから店舗情報を閲覧しに来たセッションを除外するセグメントの作り方
Cのセグメントは図6のように条件指定しよう。
こちらは「条件」分類のセグメントなので、まず「条件」(図3青枠部分)をクリックする。このセグメントはセッションベースなので、
- 「フィルタ」は、「セッション」「除外する」(図6赤枠部分)
を選択する。その下の1つ目の条件は
- 「デバイス カテゴリ」「完全一致」「mobile」(図6青枠部分)
とする。これがスマートフォンによるセッションを意味する条件指定になる。
その右端の「AND」(図6緑枠部分)ボタンをクリックし、次の条件は
- 「ページ」「先頭が一致」「/store/」(図6黒枠部分)
とする。こちらは店舗情報ページが格納されている「/ store /」ディレクトリ配下のページを閲覧したセッションという意味になる。
図6の例では、さらにお昼の時間に絞るなどの条件を加えてもいいだろう。利用時間帯を絞るセグメントの設定方法は、下記記事を参照してほしい。
- Webコンテンツの公開は何時ごろが良いのか、朝昼夜の閲覧行動を把握して判断するには[Googleアナリティクス セグメント100選(第26回)]
これで条件設定したセグメントの名前をそれぞれ付けて、「保存」ボタン(図3黒枠部分)をクリックする。これで新規セグメント作成作業は終了だ。
余計な訪問を除外したコンバージョンレポートを確認するには?
今回レポートを見る目的は1つ。見せかけではないコンバージョン率を見ることなので、シンプルにコンバージョン系のレポートを見ていけばよい。たとえば図7は[コンバージョン]>[目標]>[サマリー]レポートに該当セグメントを追加で掛けた(図7赤枠部分)レポートだ。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[目標][サマリー]を順にクリックする
- 該当のセグメントを「適用」する(図7赤枠部分)
複数の目標を設定している場合は、すべての目標全体合計ではなく、1つひとつの目標に絞ったうえでレポートを見よう(図7青枠部分)。図7では少し長期の期間を指定し、月次の推移で見たものだ(図7緑枠部分)。日々の細かいトレンドよりも月次トレンドで、見せかけでないコンバージョン率でも季節変動の特徴がないかを見るのがよいだろう。
余計な訪問を除外したeコマースのコンバージョンレポートを確認するには?
トランザクション(購入)データを収集している場合は、[コンバージョン]>[eコマース]>[サマリー]レポートに該当セグメントを追加で掛けよう(図8赤枠部分)。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[eコマース][サマリー]を順にクリックする
- 該当のセグメントを「適用」する(図8赤枠部分)
デフォルトでeコマースのコンバージョン率が選択されている(図8青枠部分)ので、こちらも少し長期の期間を指定し、月次の推移で見てみよう(図8緑枠部分)。
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オリジナル記事:コンバージョン率が一瞬で高くなる!? 関係ない訪問を除いた真のコンバージョン率を調べてみよう(第48回) | Googleアナリティクス セグメント100選 | Web担当者Forum
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