企業のホームページで、自社の言いたいことばかりを載せていては、お客様が訪れるようにならず、商品は見てもらえません。では、ホームページに掲載するコンテンツはどのように考えていけばいいのか。今回は、良いコンテンツに共通する7つの条件を紹介し、自社ホームページでその条件に当てはまるコンテンツがあるかどうか、Google アナリティクスを使って見つける方法も解説します。
良いコンテンツに共通する7つの条件とは?
多くのホームページを分析していると、うまくできている、成果に結びついている良いコンテンツを見かけます。意外かもしれませんが、企業はそのコンテンツを良いコンテンツだと認識していないことが多く、そもそも、集客を狙って作ったコンテンツではないことが多いです。ですから、データ分析をして、そのコンテンツが「良いコンテンツ」だとわかって驚かれることが少なくありません。
企業の担当者が自社サイトにある「良いコンテンツ」の存在に気付いていないため、ホームページのなかで目立たない場所に掲載されていて、アクセス数自体はあまり多くない、ということもあります。そのような、自社サイトにある隠れた良いコンテンツを探して、もっと目立つように配置したり、そのコンテンツが良いコンテンツであるゆえんを探ってコンテンツ作りにいかしましょう。
そのため、今回は良いコンテンツに共通する7つの条件をもとに、自社サイトにある良いコンテンツを探してみましょう。
1検索集客力が高い
良いコンテンツはホームページ内で目立たなくても、「検索」で独自に集客しています。
Google アナリティクス(以下「GA」と表記)から「行動」>「サイト コンテンツ」>「ランディング ページ」※という項目を見ると、良いコンテンツが浮かび上がってきます。
※ランディングページとは、ユーザーが最初に訪れる(アクセスする)ページのこと。
この項目の表示行数100行位(図2)に増やし、「直帰率」の欄(図3)を見ながら縦にスクロールしていきます。他のページと比較して入り口の回数が多く、直帰率の低いページが見つかります。
前述したように、良いコンテンツはホームページ内で目立たなくても「検索」で独自に集客します。では、次にこれらのページを訪れた検索キーワードを調べてみましょう。 良いコンテンツを見つけたら表内でそのランディングページをクリックしてから、表の上部にある「セカンダリディメンション」をクリックして「広告」の下にある「キーワード」を選びましょう(図4)。
検索キーワードもいわゆる「固有名詞・会社名・商品ブランド名」といった検索ではなく一般名詞が多く、しかも、2単語、3単語の長いキーワードでの検索が多いのではないでしょうか。
良いコンテンツが集めているキーワードを特定して、それに関するコンテンツを作っていけば、検索から自然と集客ができるサイトになっていきます。
しかし、良いコンテンツが集めているキーワードを特定するのは、簡単ではありません。さまざまな種類、さまざまな言葉で訪れており、1つのキーワードの訪問回数は、せいぜい2,3回なので、キーワードを特定することは難しいでしょう。
そこで、キーワードが意味する内容を考えてみてください。そうすると、意外とネガティブな内容を示している言葉が多いことがあります。たとえば、「腰痛 悪化」「情報 盗まれる」といった言葉です。こうしたネガティブな言葉は、製品ページ内のコンテンツでは、ヒットさせることが難しいため、結果としてユーザーは、読み物コンテンツ側に訪れることが多くなります。
ここから見えてくるのは、製品情報などの多くはポジティブワードで作られているので、ユーザーの悩みに応える読み物コンテンツの方がヒットしやすいということです。つまり、良いコンテンツは顧客の悩みに寄り添い、解決するような内容を持っているということになります。
2外部サイトからリンクがある
上記で見つけた良いコンテンツを、そのページを入り口にした人だけに絞り込んでデータを見てみると、外部サイトのリンクから人が訪れているかを確認できます。これは一度訪れた人が良いコンテンツを覚えておくためにリンクをはったり、Twitterなどのソーシャルメディアにおすすめコンテンツとして、紹介してくれたリンクをたどって訪れてくれるからです。
外部サイトのリンクがあるかどうかを見つけるために、まず1.で見つけた良いコンテンツを見た人だけに絞り込んで、分析するための下準備をしましょう。
GA上部の「+セグメント」をクリックして現れた画面(図5)で「新しいセグメント」ボタンをクリックします(図6)。設定画面が出てくるので、一番上の記入欄にセグメント名「コンテンツAを見た人-ランディングページ」といった名前を付けます。
左側の「条件」をクリックし、現れた画面のプルダウンメニューで「行動」の中にある「ランディングページ」を選択します(図7)。右の記入欄にコンテンツのURLに共通する一部(図では「/contentA」)して左下の「保存」ボタンをクリックすれば設定完了です。
これで、このコンテンツを最初に見た人だけに絞り込んで、集計結果を見ることができるようになりました。一度このセグメントを作っておくと、後はページ上部の「+セグメント」をクリックして、この作ったセグメントを選択するだけで、そのページにランディングした人だけに絞れます。では、この絞った状態で以下の情報を見て行きましょう。
下図はセグメント「コンテンツAを見た人-ランディングページ」を適用した状態で「集客」>「すべての参照」(図8)をクリックします。この画面で、コンテンツAを見た人がどのドメインから訪れたのかがわかります。特に表の項目「ページ/セッション」を見れば各外部サイトから来た人の平均ページ数がわかります。多くのページを見て、そのコンテンツに到達している人は、サイトのなかを巡回している良い訪問者ということになります。
3リピーターが多い
1.で説明したように、良いコンテンツは一般名詞検索が多いことから、当初は新規訪問率が非常に高いのですが、しばらく掲載するうちにリピーターが少しずつ増えてきます。
ここでは、それを調べるためにまた新しく、セグメントを作りましょう。図7で説明した、「ランディングページ」を「ページ」に変更して保存しましょう(図9)。
「+セグメント」をクリックして、「コンテンツAを見た人」と「すべてのセッション」を適用した状態(図10)で、「ユーザー」>「行動」>「リピートの回数や間隔」(図11)を見ましょう。
図11で、「すべてのセッション」と「コンテンツAを見た人」を比較しながら見ると、「すべてのセッション」では、1回だけ訪れた人が3,104回に対し、2回訪れたのは101回とリピート率は3.3%しかありません。
一方、「コンテンツAを見た人」では1回訪問が406回で、2回訪問は42回と訪問回数は少ないですが、リピート率は10.3%もあります。良いコンテンツはリピート率が高いことがわかります。
4同じコーナーの別ページからの移動が多い
良いコンテンツは、同じコーナー内にあるリンクが訪問者の関心を引くために、別ページからの流入が多くなります(図12)。
同じコーナーの別ページからの移動が多いということは、次のページへ次のページへと進みやすいコンテンツであり、訪問者の平均ページビュー数が多いということです。
では、それを確認するために、そのページ前後の動線を見てみましょう。今回は、セグメントを絞らない状態で、「行動」>「サイトコンテンツ」>「すべてのページ」をクリックするとページ一覧が表示されます(図13)。
ページ一覧のどれかをクリックすると、データがそのページだけに絞り込まれます(図14)。その状態のときに上部のリンク「ナビゲーションサマリー」をクリックすると、絞り込んだそのページの前後の動線が見られます(図15)。
良いコンテンツで「ナビゲーションサマリー」の「前のページ遷移」(図16)を見ると、同じコンテンツ内の別のページから移動してきていることが多いため、同じようなコンテンツを示すURLがずらりと並びます。下例ではコーナートップから来るよりも他のページからの移動の方が多く、訪問者がそのコンテンツに関心を持って見ていることがわかります。
5同じコーナーの別ページへの移動が多い
良いコンテンツは、往々にして良い目次を持っていて、他のページに興味を持ちやすい構成となっています(図17)。
4.で説明した反対で、GAで「行動」>「サイトコンテンツ」>「すべてのページ」>「ナビゲーションサマリー」を見ると、「次のページ遷移」に同じコーナーの別のページがずらりと並びます(図18)。
各ページに別ページへのリンクがあり、そのコンテンツに訪れた人が、別のページに行きやすく、興味が持てるように作られています。
よく「次へ」「前へ」といったリンクしかないコンテンツがありますが、こうしたリンクはあまりクリックされません。たとえば、1ページ目が100訪問あっても、2ページ目は50訪問、3ページ目は20訪問と急激に低減し、多くのページを見てもらうことができません。
ところが良いコンテンツでは、1ページ目が100訪問あると、2ページ目が90訪問、3ページ目も90訪問といった値になります。同じ人がずっと読んでいることが明らかです。
リンク先がどんな内容なのかがわかれば、期待感を持ってクリックできるので、クリック率が高くなります。なかには、2ページ目よりも3ページ目のアクセスが多いという逆転現象も見られます。これは内容を見て、興味を持って進むことができるからこそ発生する状況です。
6直帰率が低い
どんなに入り口回数が多くても、直帰率が高く、多くの人が検索で表示されたページだけを見て帰ってしまうのでは、企業としてはうれしくありません。良いコンテンツは直帰率が低く、来た人が次のページに進んでいます。
辞書型コンテンツやFAQ、ニュースやメルマガのアーカイブなどの場合は、入り口回数が多いのに、入り口になったそれらのページが軒並み直帰率90%以上、といった悲しい結果が多くなります。それは入り口になったページに「関連情報」へのリンクがなく、「辞書の目次に戻る」といったリンクしかないことが多いためです。
よく、「1ページで帰っても見た人が満足しているなら良いのではありませんか?」と質問されます。確かに製品情報なら1ページだけでも製品が印象に残れば良いともいえます。
しかし、読み物コンテンツの場合、一般名詞検索で訪れて1ページで帰った人が、たとえ「良い情報が見つかった」と感じたとしても、「どの会社のホームページでその情報が掲載されていたか」を覚えていることはまれです。
複数ページが閲覧されてこそ、「このコンテンツは良い」「どの会社がやっているんだろう?」と感じてもらうことができるのです。
7ゴール貢献度が高い
良いコンテンツが「優れている」のは、ただよく読まれている、ファンを獲得しているだけではありません。資料請求や会員登録、メルマガ登録にもつながり、ゴール貢献度が高いのが、良いコンテンツであるゆえんです。
元のアクセス数があまり多くないのでゴール到達数も少なく、そのコンテンツが良いコンテンツだと気づかれていないこともあります。
たとえば、あるコンテンツを入り口として検索などから15人、ホームページ内の別のページから15人の合計30人がそのコンテンツを見ていたとします。そのコンテンツのゴール到達が資料請求が3回、メルマガ登録が6回あるとします。
そのコンテンツに訪れる人は30人と少ないですが、ゴール到達数が9回もあればたいしたものです。
このことに気づいて、ホームページ内で目立つように、そのコンテンツへ誘導を促すリンクを増やすなどコンテンツの拡充を図って、そのコンテンツを見る人が100人になれば、資料請求が10回、メルマガ登録が20回といったことになるかもしれません。
ホームページ内で目立つようにしたり、そのコンテンツへのリンクを増やしたりすることは、そんなに難しいことではありませんし、お金もかからないことが多いです。このことに気づいていないことは大きな損失です。
さて、分析から「良いコンテンツ」の共通する7つ条件を見てきました。ここから見えてくるのは「良いコンテンツ」が持っている特性です。これらの特性を持つようにコンテンツを作れば、誰でも良いコンテンツが作れることになります。
今回見てきたことを整理しておくと、良いコンテンツは
- 複数ページからなり、ページの間を行き来できる
- 目次が魅力的で関連情報を読みたくなる
- ゴールへ訪問者を動かす力がある
といった要素がありました。
次回は、これをさらに掘り下げて、「コンテンツが成果をあげるためにはどのように構成するのが不可欠か」ということを検討していきましょう。
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:企業ホームページの良いコンテンツに共通する7つの条件とは? | 誰も語らなかったWebコンテンツ作成技法 | Web担当者Forum
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