Quantcast
Channel: Web担当者Forum
Viewing all articles
Browse latest Browse all 19485

オウンドメディアを成功に導く3つの条件――リキッド・ソーシャル・ディストリビューション [優良顧客を育てる! オウンドメディア運用入門] | Web担当者Forum

$
0
0
この記事を読むのにかかる時間: 約 8.5
優良顧客を育てる! オウンドメディア運用入門

今回はオウンドメディアを成功に導くために欠かせない、「リキッドコンテンツ」、「ソーシャルメディア」、「コンテンツディストリビューション」の3つの条件について、具体的な例を交えて紹介します。また、記事末では、もっと詳しくオウンドメディアについて学びたい方のために本記事の執筆者のセミナー情報も掲載しています。

リキッドコンテンツ
どこにでも流れ込み浸透していくコンテンツ

リキッドコンテンツとはリキッド(液体)という文字通り、液体のようにさまざまな形に姿を変え、メディアの種類に関係なくどこにでも流れ込み、浸透していくコンテンツのことをいいます。

では、具体的にどのようなコンテンツをリキッドコンテンツと呼ぶのでしょうか。リキッドコンテンツであるために押さえておくべき5つの必要条件を紹介します。

リキッドコンテンツの5つの条件

条件1ユーザーの共感を生むコンテンツ

ブランドが発信したい情報ではなく、あくまでもユーザーが欲しい情報であり、共感できる情報であることが絶対条件です。

最近ではプライベートDMPを利用することで、ユーザーの属性を正確に把握できるようになりつつあります。そういったデータを活用しながら、PDCAを回し、ユーザーに合わせたコンテンツを届けることで、ユーザーからより高い共感を得られるコンテンツとなります。

条件2コンテンツのタイトルや画像が目に留まりやすい

さまざまな情報が飛び交うネット上では条件1で説明したように、ユーザーから共感を得られるコンテンツであることも大切ですが、それだけでは不十分です。さらに、キャッチーな「タイトル」と「画像」でユーザーの目を引くことが重要です。

コンテンツがメディアを通じて拡散するためには、「タイトル」と「画像」でユーザーの興味、関心を引き、まずは、目に留めてもらわなければなりません。

条件3ボタン1つでソーシャル拡散できるフォーマット

キャッチーな「タイトル」や「画像」で興味を引き、コンテンツに共感をもってもらい、さらに拡散してもらうためには、「データ容量」「データ形式」など、ユーザーがストレスなく拡散できる汎用性の高いフォーマットである必要があります。またソーシャルメディアとの連携がシームレスになっていることで、より拡散を促すことができます。

条件4ユーザー同士でコミュニケーションがとれるような議論や編集の余地がある

ユーザー同士のコミュニケーションのネタになるようなコンテンツを提供することで、より多くのユーザーを巻き込むことができます。議論や編集による創意工夫の余地をユーザーに残しておくことで、コミュニケーションを促進できます。

条件5時事性や旬なネタがコンテンツに盛り込まれている

ユーザーや他のメディアがコンテンツを拡散するのは、自分の友人にも話題としてそのコンテンツを共有したいと考えるからです。世間で共通の話題になりやすい、時事ネタや旬なネタを盛り込むことで、より拡散されやすいコンテンツになります。

映画『アナと雪の女王』のプロモーションは、まさにリキッドコンテンツ!

ここまで、リキッドコンテンツであるための5つの必要条件を説明してきました。

この5つの条件を踏まえたリキッドコンテンツによって成功した象徴的な事例が、ディズニー映画『アナと雪の女王』のプロモーションです。米国のオフィシャルサイトで40もの動画を公開し、日本の公式YouTubeサイトでは公開日までに予告に絡む12本の動画が公開されました。

『アナと雪の女王』「Let It Go」(25ヵ国語Ver.)

主題歌『Let It Go』のミュージッククリップが、全世界で42の言語で展開されるなど、世界中で多くのコンテンツが惜しみなく提供されました。それによって、ユーザーのあいだで口パク動画などのユーザー参加型のコンテンツが多く作り出され、結果としてそれらが映画を成功へと導いたのではないでしょうか。

リキッドコンテンツとは2011年にコカ・コーラ社が提唱した

この「リキッドコンテンツ」という言葉は、コカ・コーラ社が2011年に「content 2020」で提唱した「liquid and linked」によって、知られるようになりました。

Coca-Cola Content 2020 Part One(英語)

特に近年は、オウンドメディアをハブにして、さまざまなメディアで編集され、広がっていく傾向が加速し、コンテンツのリキッド性がますます重視されるようになってきました。

Wendy Clark Credit: Rob Tannenbaum

コカ・コーラ社の上席副社長ウェンディ・クラーク氏は、2011年のAd Age digital Conferenceで、次のように述べています。

  • ブランド(広告主)が提供したものをユーザーが閲覧することをImpression(インプレッション)
  • ユーザーが自ら表現することをExpression(エクスプレッション)

Impressionがユーザーにとってただの露出なのに対し、Expressionはユーザーとブランドとのエンゲージメントになると説明しています。これからはExpressionされるリキッドなコンテンツを発信していくことが重要だと語っています。

実際にYouTubeである期間に掲載されたコカ・コーラ社のコンテンツ(Impression)の閲覧数に対して、ユーザーが勝手に生成したコンテンツ(Expression)の閲覧数は4倍にもなったとのことです。これはまさにコカ・コーラ社がいかに自らExpressionを重視してコンテンツづくりをしているか、という証左でしょう。

ソーシャルメディア
最大のメリットはユーザーのニーズを喚起・顕在化できること

インターネットおよび検索エンジンの普及によって、ユーザーは知りたいことを「検索」を通じて入手するようになりました。そして、ソーシャルメディアが登場したことによって、ユーザーは「検索」だけでなく、ソーシャルメディアから入手した情報をより信頼し、消費行動を決めるのに大きな影響力を持つようになってきました。たとえば、

ディズニーアニメには、興味ないから『アナと雪の女王』なんて観るつもりなかったけど、アニメ嫌いのはずのAさんが絶賛しているなら、よっぽどおもしろいんだろう。ためしに観にいってみるか。

このように、ソーシャルメディアで自分の友人からの情報が決め手となって、実際に映画を見に行くと決めることがあります。

ユーザーにとって、ソーシャルメディアでつながっている友人から共有された情報は、一方的な広告による訴求より重視されます。ソーシャルメディアは、ブランドが提供する商品にユーザーが直接、興味を持っていなくても、友人との関係性を通じて接点を持つことで、徐々にニーズを喚起・顕在化できるのが最大のメリットです。

ただし、ソーシャルメディアでつながったユーザーはブランドの情報を探すことを目的にはしていないので、ブランドがいきなり「知って!」「買って!」と一方的に訴求しても、「邪魔者」扱いされるだけです。

ソーシャルメディアで、ユーザーとコミュニケーションを図るためには、まずコンテンツがユーザー視点で設計されなければいけません。そして、ユーザーがコンテンツをソーシャルメディアに共有しやすくするためには、ソーシャルボタンやソーシャルプラグイン機能などでサポートしたり、ユーザーがコンテンツをまとめやすくする環境をつくるなど、オウンドメディアにソーシャル上のコンテンツを流入しやすい仕組みを作っていくことが必要です。

インターネット上のトラフィックの多くが、検索エンジンだけでなく、ソーシャルメディアにも多く集まるなか、オウンドメディアはソーシャルメディアと連携しなければ、ユーザーと出会う機会を損失します。

ソーシャルメディアを通じてオウンドメディアに集まってきたユーザーが何を求めているか精査・分析し、これまで数字として見えなかったユーザー属性を可視化し、さらに帰属意識・好感度を上げるようなコンテンツを提供していくことが、オウンドメディアを成功に導くカギになるでしょう。

コンテンツディストリビューション
コンテンツをユーザーに届ける方法を考える

コンテンツディストリビューションとは、コンテンツをユーザーに届ける方法のことです。当然ですが、コンテンツは、ユーザーに届いてはじめて存在します。

つまり、オウンドメディアだけでコンテンツを発信するだけでなく、外部のニュースサイトやインフルエンスメディア、ソーシャルメディア、キュレーションメディアなど、さまざまなメディアを活用して効率的にコンテンツをユーザーに届けていくことが重要です。

コンテンツディストリビューションに大切なコンテンツの「質と型」

効率的にコンテンツをユーザーに届けていくことを考えるときに、もっとも重要なのはコンテンツの「質と型」です。「質と型」とは次のようなことです。

コンテンツの「質」とは?
  • ユーザーが欲する情報
  • ユーザーの興味・関心を引く情報
  • ユーザーの役に立つ情報
コンテンツの「型」とは?
  • コンテンツが提供されるメディアと親和性がある

ネイティブアドとはブランドとメディアが協業でつくる新しい広告形態

そのなかで生まれてきたのが、ネイティブアドという新しい広告形態です。

ネイティブアドとは、メディアを使ってユーザーにブランドのストーリーを伝え、共感をよび、態度変容をおこさせ、共有してもらうための方法です。ブランドのストーリーをユーザーが読みたいと思う最適なコンテンツに変換して届けることがネイティブアドの目的になります。

では具体的に「質と型」を備えたネイティブアドとは、どんな姿をしているのでしょうか。秀逸ないくつかのネイティブアドの事例を紹介しましょう。

(ネイティブアドとは何かについて、さまざまな意見がありますが、ここで紹介するネイティブアドはIABが定義する6つの類型の1つ「インフィード型」です。詳細はIAB ネイティブアド・プレイブックを参照ください。)

  • うそっ! もふもふニャンコの正体、実は〇〇なの?

    インドア系ライフスタイルメディア「roomie」に掲載された花王「ソフィーナ クッション泡洗顔料」のネイティブアドです。商品の特性を生かして作られたかわいい動物が次々と登場。商品のセールスポイントを「泡アート」というユニークな切り口で紹介し、多くの反響を呼び、テレビのワイドショーでも紹介されました。

  • 【新社会人・応援ノベル】やさぐれアヤの、今日もごはん作りスギー!

    こちらも同じく「roomie」からですが、NTT東日本のインターネット接続サービス「フレッツ光」のサービスを、ある女の子の日常を短編小説風に描いたネイティブアドです。ネイティブアドと知りながら読み進めると、家電? 食品? カメラ? と、ブランド(広告)の商品が何なのか、その謎を解いていくミステリーのようでもあります。ほのぼのとしながらも、どんな展開になるのか予想ができないストーリーに、いつのまにか最後まで読まされてしまいます。

  • 世界が感嘆したニッポンの「ひとりメーカー」。Bsize八木啓太さんのモノ作り魂を聞く

    「クロレッツ」などのガムでお馴染みのモンデリーズ・ジャパンの「ガムならハカどーる」キャンペーンの一環として、「Lifehacker」に連載されたネイティブアドです。仕事をしている人なら誰もが気になる「仕事をよりスムーズに、より“ハカどる”ためにはどうしたらいいのか?」をテーマに、話題のハカどっている人々を紹介。いいね!数などを見ても、通常の記事を凌ぐ人気コンテンツとなっていました。

  • 臭い人にそれとなく“臭い”と伝える方法

    livedoor NEWSに掲載されたロート製薬のボディウォッシュ「デ・オウ」のネイティブアドです。LINE Japanの名物プロデューサー・谷口マサト氏が企画・編集したユーモアとお色気にあふれたコンテンツです。

  • “忍者女子”との社内恋愛には気をつけろ!

    前述した谷口氏が企画・編集したという東芝のノートパソコン「dynabook KIRA L93」のネイティブアドです。さまざまな形に姿を変える忍者女子と、使用するシチュエーションに合わせて形を変えられるノートパソコンをオーバーラップさせながら、コミカルに展開。通常の記事を圧倒的に凌駕する驚異的ないいね!数とツイート数を生み出しています。

これらの例からもわかるように、ネイティブアドはブランド(広告主)とメディアが協業でつくりあげるコンテンツです。ユーザーにとっておもしろく有益なコンテンツであれば、ソーシャル上で反応が得られ、さまざまなメディアに数多く取り上げられ拡散し、ひいてはユーザーの心を動かすというエコサイクルを生みます。

下記は、ネイティブアドにおける広告効果測定の5つの指標です。

  1. 参照元から計測するリーチ(どれだけコンテンツが消費者に接触したか)
  2. ソーシャル上でのリーチ(ソーシャル上でのコンテンツの拡散度)
  3. アトリビューション(コンバージョンへの寄与度)
  4. リード(コンテンツがどれだけ深く読まれたか)
  5. ブランドリフト(ブランド価値の貢献にどれだけつながったか)

この5つの指標に基いて上記で紹介したネイティブアドを読むと、これらのネイティブアドがなぜ成功しているのか、その理由が垣間見えるのではないでしょうか。

◇◇◇

以上、オウンドメディアを成功に導くために欠かせない、リキッドコンテンツ、ソーシャルメディア、コンテンツディストリビューションの3つの条件を紹介しましたが、これらの条件の共通点は「ユーザー視点」であることです。リキッドコンテンツ、ソーシャルメディア、コンテンツディストリビューションはそれぞれ、「ユーザーが探し、求め、欲する有益な情報」を届けるための手法であり、条件なのです。

オウンドメディアにおいては、ブランド主導の一方的なメッセージだけを発信していても、ユーザーとのコミュニケーションは図れません。コンテンツの力を信じ、メディアの力を信じ、ユーザーの力を信じ、ユーザー視点のコンテンツを発信することが、ユーザーとの高いエンゲージメントを築くための最短の近道なのです。

ユーザー視点のコンテンツを作り、ユーザーとの高いエンゲージメント導くための方法がわかる

「オウンドメディアのコンテンツ企画・作成ワークショップ」
2日間講座で本記事の筆者インフォバーンの成田氏が講師を務めます!

オウンドメディアのコンテンツ企画・作成ワークショップ

ユーザー視点のコンテンツを作り、外部のメディアも活用しながらオウンドメディアを成功に導くためのノウハウを、2日間にぎゅっと凝縮したワークショップ型の講座を9/11(木)・12(金)で開催します。

  • 顧客にしたいターゲットユーザーにいかにしてオウンドメディアに訪問してもらうか
  • コンテンツの品質や成果達成を継続的に維持するためにはどうすればよいのか
  • 企業サイトのコンテンツは、どのように企画してどのように運営していけばよいのか

といった、すでに運用をしている方の課題や悩みを解決するだけでなく、これから自社サイトをオウンドメディア化していこうと考えている担当者の方のための講座です。

■講座内容

講座1日目 9月11日(木)

  • 上司を説得するオウンドメディア5つのメリット
  • インフォバーンのオウンドメディア運用例
  • オウンドメディア事例にみる企画立案から運用プロセスまで
  • コンテンツマーケティング成功の条件
  • 【ワークショップ】オウンドメディア立ちあげ大作戦
  • オウンドメディアの予算と制作費用

講座2日目 9月12日(金)

  • おいしいコンテンツの作り方
  • オウンドメディア事例にみる企画立案から運用までのプロセス
  • 【ワークショップ】コンテンツ視点で考えるオウンドメディア
  • 【ワークショップ】「ペルソナ」を理解して、自社にとっての「ペルソナ」を作ってみよう
  • 【ワークショップ】カスタマージャーニーマップを作ってみよう
この記事の筆者
ユーザー 成田幸久(インフォバーン) の写真

成田幸久

株式会社インフォバーン執行役員/プロダクション部門 部門長 コンテンツ開発ユニット統括。

AMEX会員誌、『ワイアード』日本版、JAL機内誌などで副編集長を務めた後、2004年インフォバーン入社。ニフティのブログサービス『ココログ』の立ち上げ時に、眞鍋かをりなどの著名人ブログをプロデュース。ほかにPC・モバイルと連動した通販誌『カタロガー』編集長、セブン-イレブンとヤフーの共同事業メディア『4B』の編集長を務めるなど、数多くのWebメディアの企画・運用を手がける。

この記事に関連する他の記事を見る

※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:オウンドメディアを成功に導く3つの条件――リキッド・ソーシャル・ディストリビューション [優良顧客を育てる! オウンドメディア運用入門] | Web担当者Forum
Copyright (C) IMPRESS CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.


Viewing all articles
Browse latest Browse all 19485

Trending Articles