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中国ではGoogleもFacebookも使えない! 独自生態系を生きる中国Webユーザーのリアルな行動 [日本の常識は通用しない! 中華圏ウェブユーザーの行動観察レポート] | Web担当者Forum

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GoogleやFacebookが使えない中国で、ユーザーは日常どんなサービスを使っているのか? 上海在住の20~30代の女性ユーザーに対して行った行動観察をもとに、彼女たちのリアルな声と中国の独自サービスを紹介する。

中国ではGoogleもFacebookも使えない! 中国ウェブユーザーの日常

中国では、「グレートファイアウォール」という中国政府の情報検閲システムにより、GoogleやFacebook、Twitter、YouTubeへのアクセスは基本的に遮断されており、それらサービスが利用できない。

日本ではごく当たり前に使われているGoogleやFacebookなどのサービスが使えない環境で、中国ユーザーはどのようなウェブ生活を送っているのだろうか?

我々が上海在住の20~30代の女性ユーザーに対して行った行動観察の結果をもとに、彼女たちのリアルなウェブ行動をご紹介したい。

※Googleを利用する場合は、Google香港にアクセスすることになるが、その接続も不安定である。

友だちとのおしゃべりはもっぱら微信(ウェイシン)

微信(ウェイシン)の主な操作画面サンプル

ここ数年で一気にユーザー数を増やし、注目を集めている中国版LINE・微信(ウェイシン)。

LINE同様、内輪の仲間同士でのコミュニケーションを取るためのツールとして利用されており、数年前に盛り上がった中国版Twitter「微博(ウェイボウ)」からSNSの主役を奪ったアプリである。ユーザー曰く「微博を開くことは最近ほとんどないわ」とのこと。

「自慢」に対して日本人のような抵抗感を持たないのが中国ユーザー。ママであれば、自分の子どもの歌や踊りの写真や子どもの描いた絵などを、ベタ褒めコメントと共に盛んに投稿するのがごく一般的。

決済機能が追加されネット通販との相性も良いため、アカウントを作成しキャンペーンを大々的に行う企業も増えているが、突然、企業アカウントのルールが変更され、メッセージの送信数が制限されることもあるので、こまめな情報収集と対応が欠かせないサービスである。

なんでも売ってるECサイト淘宝(タオバオ)

中国ではワーキングマザーが多く、小さな子どもがいても、仕事を続けるのがごく一般的である。

仕事に家事に子育てに忙しい中国ママの味方は、ほとんど何でも売っているECサイト淘宝(タオバオ)。日本の楽天に近い仕組みで、個人の出店者も多い。ユーザーは仕事の合間の休み時間、あるいは仕事中でも、子どもの服や玩具を検索。気に入ったものがあれば購入する。

このときのユーザーが活用するのが淘宝の機能で、出店者と直接やりとりできるチャットツール「阿里旺旺(アーリーワンワン)」。職場からアクセスする際には、おおっぴらに電話もできないし、時間も限られている。出店者とスピーディーに商品や購入方法についてやりとりできるチャットが重宝されるのである。

仕事上でのやりとりはQQ(キューキュー)

QQ(キューキュー)の主な操作画面サンプル

チャットを使うのは、オンラインショッピングだけではない。仕事上のやりとりを含め広く活用されているのが、SkypeのようなインスタントメッセンジャーQQ(キューキュー)である。

微信と同じ会社である「テンセント」が提供するサービスで、ユーザー数はなんと8億人。普及率は極めて高く、名刺にQQアカウントを記載している人と出会うこともよくある。仕事の同僚や取引先とのやりとりはQQのチャットで行われることも多々あり、連絡手段としてQQを使うように頼まれることもある。

ただしこのQQは、ユーザーのデータを勝手にスキャンするなどセキュリティ的に問題があるといわれており、QQを対象とした無料アンチウイルスソフト「360安全衛士(360アンチェアンウェイシー)」が出されるほどである。

ちなみに、このアンチウイルスソフトを出している会社「奇虎360(チーフー360)」の提供する検索エンジン「360捜索」は2012年8月に突如現れ、2013年末には中国の検索エンジンNO.1「百度(バイドゥ)」から一気に23%のシェアを奪い、検索エンジンの台風の目として注目されている。

クチコミサイトの価値は日本以上

中国の20~30代女性の特徴はクチコミサイト、特に子育て系のクチコミをかなり熱心にチェックしている。

中国では経済成長に伴い、社会が急速に変化しているため、自分の両親世代の子育て経験は参考にならないと考える母親が多い。その一方、一人っ子政策の影響でほとんどのママにとって、子育ては人生はじめて。競争の激しい環境で他の子どもに遅れをとるまいと、年頃の女性は結婚する前からクチコミサイトをチェックして、子育て情報を調べているという。

そんな女性たちの不安に応えるように、中国では大規模な子育て系クチコミサイトが複数存在し、おすすめの教育商品や幼児教室の他、食事や病気など幅広い情報がやりとりされている。

毒物入りのミルクなどモラルに欠ける企業も存在する中国においては、一般ユーザーの発するクチコミが、商品・サービスの信頼性を判断するための根拠として重視されているのである。

アメリカを超えたウェブ大国・中国

次に、中国のウェブチャネルの実態をご紹介しよう。

中国におけるウェブの普及率は45%程度ながら、ウェブの利用人口は6億1800万人(2013年)※1。ネット小売りの総額は、2013年に1兆8000億元に達し、アメリカを抜き、世界最大になったといわれている※2

※1 第33次中国互換網発展状況統計報告より ※2 2013/12/24人民網日本語版より

中国ウェブの利用率・利用人口グラフ

日本のウェブ利用人口は約9600万人、ネット小売総額は中国の半分以下である。中国におけるウェブチャネルは、過去数年間に急速に発展し、日本はもちろん、アメリカさえも追い抜き、いまや中国は世界最大のウェブ大国となっているのである。

実際、中国ウェブチャネルの勢いを示すエピソードには事欠かない。

  • 中国都市部のスマートフォン普及率は9割超で日本の約2倍

  • 中国ECサイト大手「アリババ」は、中国のネット通販がセールを繰り広げる11月11日に、わずか1日で楽天優勝セール時の約4か月分を売り上げた

  • 中国版LINE「微信」が旧暦正月にあわせてリリースした「微信お年玉(微信紅包)」は一気に1億人規模の利用者を獲得

  • オンラインショッピングで使える電子マネーの支払い残高を運用する投資信託「余額宝」の資産総額は、サービス開始後わずか半年で4兆円規模に

これらの例からもわかるように、中国ウェブは単に規模が大きいだけでなく、スマートフォンの普及や金融とネットの融合サービスなど、日本よりも進んだサービスが提供されている部分すらある。

ユーザー行動観察調査による中華圏ユーザーの生情報

先述したように活況を呈する中国ウェブに関する情報は日本にいるとなかなか伝わって来ない。時折、ニュース記事などで取り上げられることもあるが、現場の熱気やリアルなユーザー像を感じるのは難しいというのが現状だろう。

日本とは異なる独自のウェブサービスが普及し、ウェブ発展の歴史もまったく異なる中華圏のウェブユーザーに対しては、当然ながら日本のウェブの常識は通用しない。

次回以降の連載では、「ネット通販」「SNS」「企業サイト」などのテーマごとに、一般のニュース記事ではなかなか見えてこない中華圏ユーザーに関する生の情報を提供していく。この記事を読むことで、日系企業が中華圏ウェブ展開を行う参考として頂きたい。

この記事の筆者

藤井保文(ふじい やすふみ)

株式会社ビービット コンサルタント

http://www.bebit.co.jp/

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オリジナル記事:中国ではGoogleもFacebookも使えない! 独自生態系を生きる中国Webユーザーのリアルな行動 [日本の常識は通用しない! 中華圏ウェブユーザーの行動観察レポート] | Web担当者Forum
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