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自社サイトを強化する「ビッグコンテンツ」を作るための5つのステップ(中編) [Moz - SEOとインバウンドマーケティングの実践情報] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 7.5

オウンドメディアに強力な「ビッグコンテンツ」を作った事例を解説するこの記事は、3回に分けてお届けしている。ステップ1「対象が誰かを理解する」を紹介した前回に続いて、中編となる今回は、ステップ2「人間関係に重点を置く」とステップ3「『作業終了』=『完成』ではない」について見ていこう。→まず前編を読む

戦略的ビッグコンテンツ制作ステップ2
人間関係に重点を置く

LaunchRockは、新製品や新サービスの立ち上げに関して、公開前の段階を含めて初期のユーザー獲得を助けるプラットフォーム

ビッグコンテンツに向けた計画以前の取り組みとして、ぜひとも推奨したいのがLaunchRockの利用だが、さらに重要なことがある。それは、人間関係を構築することだ。単にビッグコンテンツにより多くの人を集めるだけでなく、そのうちの一部を価値ある「友人」に変えるためだ。

私はガイドを公開するまで、こうした人脈が持つ力に気づかなかった。

私たちはガイドを構築している間ずっと、LaunchRockを通じてメーリングリスト(ML)を大きくすることに重点を置いていた。私たちがブログ記事を投稿するときや、私がカンファレンスで講演するときなど、あらゆる機会をとらえてガイドのMLに登録してと呼びかけたのだ。

こうした動きによって、最終的に343人がMLに登録してくれた。これは最初の一歩として、また私たちのコミュニティの規模としても、本当にすばらしいものだが、より大きな広がりを望んでいたことも確かだった。

実は、ガイドの読者を増やすために最も大きな役割を果たしてくれたのは、ガイドを公開する前の8か月間に私たちが関係を築いた人々だった。そう、私たちが重視していたMLの登録者たちでは、必ずしもなかったのだ。だから、公開1週目でガイドをダウンロードしてくれたのは343人だけでなく、1200人を超える結果となった。

ソーシャルメディアにおける「つながり」の効果を目の当たりにして、私は実に謙虚な気持ちにさせられた。

大きな声で常に自分の主張を前に出すことだけ考えるのではなく、他者を心から気にかけて、彼らが何をしているかに純粋に関心を持とうと努めたなら、そうした努力の広がりは大いに目覚ましいものになるはすだ。

これを数値で示す科学的な方法はないが、こうした日頃の努力こそが、ガイドの成功に大きな違いをもたらしたと私は確信している。

「このプロジェクトはいける」をどう判断したのか

そういうわけで、私たちはガイドを作ることを決めた際に、DistilledのDistilledUを使った公開前アウトリーチの取り組みを手本にしてLaunchRockのページを作った。

LaunchRockの役割は、人がどれほど関心を持ってくれるかを測ると同時に、プロダクト完成後の最初のマーケティング対象者となるMLを構築することにある。

今回のプロジェクトでは、100人の登録があれば、このコンテンツを制作する価値があると私たちのチームは判断していた。

私たちは、ガイドを実際に作り始める前に、その内容に興味がある人をLaunchRockで募り、MLに登録してもらった。

LaunchRockを使ったところ、この目標は数週間で達成され、ゴーサインが出た格好になった。その後8か月間は、ガイドを構築し、MLの登録者も増やし続けた。当初の6か月間は、ガイドについてブログ投稿で間接的に言及したり、ソーシャルメディアで話題にしたり、カンファレンスで参加者に告知したりする以外に、ML登録者増の努力はさほど行わなかった。

実のところ、ダウンロード数の増加に寄与したのは、私たちがガイドを公開する直前の2か月間と公開した後に実践したいくつかの取り組みだった。

締め切りの明確化と全員での役割分担でプロジェクトが前進

私たちは当初、ガイド完成の期限を「夏の終わりから秋の初め」と緩めに設定していた。LaunchRockのページを公開してからは、アウトラインと完成までの大まかなスケジュールを作ったものの、2か月は放置したままだった。

そのあたりで、私たちは、あることに気づいた。

締め切りをちゃんと設定しなければ、ガイドは永遠に完成しないだろう。

そこで、6月に戦略的な実施行程を練り、会社全体としての目標を設定した際に、「Mack Web Branding」構想を策定して、ガイドの公開日を10月15日に決定した。このゴールを設定したことは、私たちが戦略の全体像を描くのに役立った。ガイドの執筆以外にもやるべきことが山ほどあったからだ。

私たちは6人のチームでガイドに関わる諸々を取りまとめていたが、対応すべき顧客もいたし、会社を成長させることも必要だった。

そこで、少しでも前進できるように、このプロジェクトをいくつかのパートに分けて、チームの各メンバーに割り当てた。

主なものは、次の3つのパートだ。

  • 執筆パート

    ガイドの大部分の執筆と初稿の取りまとめを担当することになっていたのは、コートニー・ブラウン(当社ブランドの代弁者で、主席コンテンツストラテジスト)だった。しかし同時に、実際の枠組みを私が彼女に指示する必要があることもわかっていた。このため、コートニーと私は協力してアウトラインをまとめ、共同作業のスケジュールに合意した。

    コートニーはシカゴに住んでいるので、私たちはメール、チャット、Google+ハングアウトを通じてミーティングと連絡を行うことにした。最初の6か月間、コートニーと私は2~3週間ごとに進捗状況をチェックしていた。残り60日になった時点で、私たちは確実に期限に間に合わせるために、ミーティングを毎日行うことにした。

    プロジェクトにニックネームを

    ばからしいと思われるかもしれないが、私たちはこのガイドにニックネームを付けた。

    このプロジェクトを開始した段階ではタイトルを付けていなかったので、私たちはガイドをさまざまな名前で呼んでいた。そのため、コートニーがガイドを動物のラマに見立て、ペットネームを付けようと提案した。私たちはそれ以来、愛情を込めてこのガイドを「アーサー」と呼ぶことにしたのだ(実際にはもう少し経緯があるが、それについてはガイドを読んでもらう必要がある)。

  • デザインパート

    ガイドのデザインパートは、当社デザイナーのナタリー・タッチベリーが担当した。ガイドの本文部分については執筆が終わるまでデザインできないため、表紙ページとセクション仕切りのほか、LaunchRockページ、SNS、メール、マーケティング、ウェブサイトで使うプロモーション用のアートデザインを先に制作してもらった。

  • (公開前後の)プロモーションパート

    ウェブサイトの応答メッセージやデザイン変更など、公開前と公開後のプロモーションは、チームの残りのメンバーで担当することにした。ブログ投稿、SNS、動画、メールマーケティングといった作業のスケジュールを立て、チームのメンバーに作業を割り振った。

プロジェクトの実現に向けてチームが一丸となって進まなければ、ビッグコンテンツの取り組みは決してうまくいかなかっただろう。また、公開後これほど早い時期に大きなインパクトを与えることも、さらには業界仲間との間で信頼関係を築くこともできなかったはずだ。

結果として、このプロジェクトによって業界での信頼を獲得したことは、1つのビッグコンテンツ以上に大きな意味を持ち、会社のさらなる発展の推進力となるだろう。

戦略的ビッグコンテンツ制作ステップ3
「作業終了」=「完成」ではない

私には目標以上のことを達成しようとする完璧主義者の傾向があることは否定しないし、物事をがむしゃらに進めることも確かだ。私は実際、多くの企業が支持する「出荷最優先」という考え方を実践するしかない。とはいえ、顧客に役立つために特別な努力をするということも、やはり大切だ。

私たちのガイドは、初稿の段階では物語調で書かれていた。それを元のまま残すこともできたし、それはそれで読者は気に入ってくれたに違いない。その反面、物語調のままでは、面倒だから読まないと思う人の数がより多くなることも予想できた。

そのため私たちは、ユーザー体験が向上し、私たちが読者を大切にしていることを示せるように、「構造」「レイアウト」「フォーマッティング」「デザイン」に費やす時間を増やし、ガイドの内容をさらにリファインした。

私たちがガイドに望んだのは、ハードディスク内に保存されたまま忘れられることではなく、使用され、応用され、読み返され、再び活用されることだった。そして私たちは、当初の状態ではそれが実現しないことを、知っていた。

これは間違いなく、「出荷最優先」しなくて良かったと思う経験の1つだった。読者の利便性の向上を考え、より良いユーザー体験の実現のために作業を増やすことを決断したチームを、私は誇りに思っている。

作業が進むにつれて発生してくる問題たち

チームへの作業割り当てが済んだところで、私はコートニーと共同作業を開始し、ガイドの枠組みをすべて彼女に伝えた。

私はすでにMozブログやカンファレンスでコミュニティの構築に関して何度も書いたり話したりしたので、コートニーはそうした記事や講演内容から情報をかき集めて、アウトラインにマッチしたものを書くことができた。

コートニーが1つの章を書き終えるごとに、私が吟味してフィードバックを返すことにした。これはすばらしい計画のように思えるし、当初はうまく進んでいたのだが、完成が近づくにつれ、いくつかの問題が明らかになってきた。

中身は進化していた

コートニーが執筆を終えた部分については、表向きスケジュールどおりに進んでいたのだが、ガイドの最重要部分(つまり「方法論」の部分)を吟味する頃までに、私はある問題に気づいた。

というのも、極めて重要な事柄が、このガイドから抜け落ちていたのだ。それは、私たちがコミュニティの構築に不可欠であると認識したことや、仲間や顧客との体験から学んだことなどだ。

私がこれまでにブログに書いたこともセミナーで話したこともなかった内容だったし、そもそもコートニーがガイドの初稿を取りまとめている間に、私たちは企業として多くのことを学んでいたのだ。

公開されたらすぐ賞味期限切れになるようなガイドはリリースしたくなかった。そこで、ガイドの公開予定日からちょうど1か月前に、何回かホワイトボードを囲んで会議を行い、最新の情報をガイドに組み込むために必要なことを実行した。

この作業によって、多少の後退を余儀なくされたが、リリース数週間前に見つかった構造的な問題に比べればさほど深刻なものではなかった。

初稿は「ガイド」ではなく「物語」だった

ガイドの初稿にあちこち手を入れていたとき、コートニーと私が特に注力したのは、必要な項目がきちんと配置されていることだった。つまり、ガイドが実際にどのような体裁になるか、どのように読まれるかに関しては、あまり注意を払わなかった。

ようやくチーム全体で完成した初稿を読んだとき、私たちはみな、当社の声がガイドの情報に盛り込まれているという点で、コートニーがすばらしい仕事をしたことを認めた。

だが、根本的な問題があった。それは、この文書全体が「ガイド」ではなく、「物語」として読み手に認識されてしまうことだった。知識や項目はすべて盛り込まれていたものの、いわゆる「ハウツー」もののガイドに必要な構造が欠けていた。

要するに、読み手が簡単に情報を理解して実際に適用できるようにするという、一貫した形式が欠けていたのだ。

この時点で、公開まで残すところ13日になっていた。チームと話し合った結果、全員一致で、ユーザーが使いやすい形式にするために必要な変更を行うべきだと点で意見が一致した。

ただし、ガイド全体を丸ごと書き直すのは避けて、私がコートニーに、遡って適用できるようなフレームワークを提供することになった。

  1. 各パートに、非常に簡単なイントロを追加する―― パートの役割を説明する。ガイドの前のほうでは少し長めでもいいけど、要点を押さえて。

  2. 各パートが読者に何を提供できるのかを明示する(コンパクトなパート目次など)―― 読み進めると何が書かれているのかわかるように。

  3. 各パートの価値―― パート目次に書かれているもので、読者に提供できる「良いもの」を明確に。

  4. セクションの最後にまとめ―― 各セクションの内容で覚えておいてほしいことや、次のセクションで何があるかを、すごくコンパクトにまとる(箇条書き)。

残り時間がほとんどなくなったところで、急に方向転換を図ったため、コートニーと私は綱渡り状態で原稿をやり取りした。数日間にわたり、コートニーが1つのセクションを終了するたびに、すぐに私が目を通して最終的な編集を施し、承認した原稿をナタリーに送ってデザインやレイアウトなど体裁を整えた。こうした作業に関するやり取りは、すべてチャットを通じて行った。

リリース前の数週間、コートニーもナタリーも私も睡眠時間をまともに取れなかった。プロジェクトの大詰めでユーザー体験向上のためにガイドを再構成するなんて、とんでもない離れ業だった。私は、これを見事に成功させたことを心から喜ぶと同時に、このために作業を増やしてよかったと実感している。フィードバックを見ると、読者も評価してくれたように思う。

ビッグコンテンツであれ何であれ、ユーザーによりよい体験を提供するために作業時間を増やして改善するということは、完成度の問題ではない。自分がやるべきだと気付いたから、もう一手間かけるという姿勢の問題だ。そうした姿勢は、顧客への配慮や会社としての本質を映し出す。私たちにとって、こうした時間を費やすことは、本当に重要だ。

3回に分けてお届けしているこの記事も、次回で最後だ。最終回では、ステップ4「休息を取るべきときを知る」とステップ5「活用する」について紹介する。(次回は4/14公開予定

この記事の筆者

この記事は、Moz Blogに掲載された以下の記事を日本語訳したものです。

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原文:「5 Strategic Steps to Big Content」 by Mackenzie Fogelson (2013/11/12)

記事セレクション:渡辺隆広株式会社アイレップ
翻訳:株式会社ガリレオ

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