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目先の商売気を押しだすのはソーシャルメディアには向かない、将来のお客様との関係を育む/ケユカ [企業担当者に聞くFacebook&Twitter運用の現場] | Web担当者Forum

この記事を読むのにかかる時間: 約 9 分

効果を追求しすぎると、商売気が強すぎてソーシャルメディアにはそぐわない。コミュニケーションも減ってしまい逆効果です。

将来につながっていることを信じて、今いるお客様を大切にしていくことがソーシャルメディアに取り組むうえで重要だと思います。

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雑貨、家具、カフェなど、日常の暮らしを豊かにするブランド「ケユカ(KEYUCA)」を展開する河淳。同社は創業40年の店舗什器、建築物装飾、店舗用のインテリアなどの企画、製造、販売をトータルにプロデユースするB2B事業がメインの企業。一般消費者向けの事業は、ケユカ(KEYUCA)ブランド事業部のみである。

そのケユカでは、Twitter、Facebookをはじめとしたソーシャルメディアの運用を2010年3月より開始し、ファンと直接対話できる場所として活用している。今回は、ソーシャルメディア活用を自ら提案し、現在も日々の運用を担当するケユカ事業部販売部店舗運営Web制作チームの桜井京子さんにお話をうかがった。

アカウント情報は2014年3月末時点の内容
インテリアショップKEYUCA(ケユカ)
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ケユカ
  • ツイート:2,014
  • フォロー:2,619
  • フォロワー:2,769

関東を中心に50店舗以上を展開するインテリアショップ&カフェ KEYUCAです。Simple & Natural をテーマに、オリジナルデザインの家具やカーテン、食器、キッチングッズ、バスアイテム、雑貨、焼き菓子などを販売しています。セール情報や新商品情報などを中心におおくりしますので、どうぞよろしくお願いします!

KEYUCA - インテリアショップ ケユカ -
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  • 運用開始時期:2011年9月
  • いいね!:2,684人
  • 話題にしている人:85人

関東を中心に約50店舗以上を展開するインテリアショップKEYUCAのオフィシャルページです。

ソーシャルメディア活用の目的
手探りで始めたソーシャルメディア、
売上よりもコミュニケーションを重視

――現在運用されているアカウントを始めたきっかけを教えて下さい。

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河淳株式会社
ケユカ事業部 販売部 店舗運営 WEB制作チーム
Web Master
桜井 京子氏

ケユカ事業部は会社のなかで唯一、一般のお客様をターゲットにしています。お客様に向けた情報発信をするという観点から、ソーシャルメディアは「時代的にやらないとまずい」と感じて公式アカウントの運用を提案しました。それまではお客様に情報を伝える手段として、カタログ、ポスティング、新聞広告、屋外看板などアナログなものばかりを使っていて、会社としてネットを使った告知手法にはあまり目が向いていませんでした。

ネットを使った事業としては、オンラインショップがあります。こちらは最初自社サイトで販売していましたが、広告費をかけないとなかなかお客様にアクセスしていただけないという課題がありました。そこで、自社サイトからはオンラインショップをなくし、Yahoo!ショッピングと楽天市場での出店に切り替えたところ、特に楽天のショップの売上が予想以上に伸びました。Web制作チームでは業務がまわせないほどの売り上げがあがるようになってきたので、業務部に事業を移すことになりました。

こうした経緯もあって、社内的にも「アナログの宣伝広告は費用がかかるが、ネットでは費用がかからず多くの人に届けられるのでは?」という期待が出てくるようになってきました。そこで、私から公式アカウントの運用を提案したところ、「やってみなさい!」と上司の承諾を得ることができたので、運用を開始しました。

会社からはソーシャルメディアで売上を伸ばす、というような過大な期待をされているわけではないので、手探りで運用しながら、お客様とのコミュニケーションを通してケユカについて知ってもらったり、親近感を感じてもらいたいと思っています。

具体的な開始時期としては、Twitterを2010年3月ごろから、Facebookは2011年9月ごろから、そのあとmixiページも開始しました。現在はLINE@も運用していますが、LINE@が最もユーザー数が多く現在は3,400人を超えています。

――それぞれどのような目的で運用をしていますか。

運用開始当初は、自分たちが伝えたいこと、売りたいものを前面に押し出し過ぎていたところがありました。たとえば、ケユカ事業部としては、メインで販売したい商品は単価の高い家具やカーテンになるので、そうした情報を中心に発信していたのです。カフェ事業は店舗数が非常に少ないため、最初はほとんど情報を発信していませんでした。

しかし、カフェを利用し、写真をつけてツイートしてくれるお客様がいらっしゃることに気づき、方針を変えることにしました。はじめは売上の効率を重視して情報を発信していましたが、方針を変えてカフェのお客様をフォローしたり、写真をリツイートしたり、返信をするようになってからは、フォロワーも増えていきました。

関東にしか店舗がないケユカのカフェですが、ソーシャルメディアの運用を通して、地方の方にも知っていただくなど、ケユカとこれまで接点がなかった方にも少しずつ情報が届くようになりました。また、カフェから雑貨、雑貨から家具というように、カフェを入り口にケユカの他の製品にも興味を持っていただけるようにもなっています。直接的な売上を目指すよりも、今いるファンを大切にしてコミュニケーションをとることで、将来的な成果につながると信じています。

ソーシャルメディアの運用を通して、これまで接点がなかった方にも情報を届けられるようになりました。

運用体制
利用できる写真素材を活用、メディアによって反応に違いも

――日々の運用で投稿をされるとき、どんなことに注意していますか。

実は会社のアカウントを運用する以前から、個人でTwitterを利用していました。個人のアカウントに1,000人ほどのフォロワーがいたこともあって、ネットのコミュニケーションの感覚は、ある程度経験して理解していたと思います。たとえば、個人のアカウントでは飼っている猫の写真なんかをアップすると反応がよいですね。

ですが、試しに会社のアカウントでも同じようなツイートしてみたところ、「個人的なことは知りたくない」とコメントいただきました。実際にこうしたやり取りを重ねながら、「やわらかいけれども、ケユカのオフィシャルであること」が伝わるような発信を心がけるようにしています。

――複数のソーシャルメディアを運用されていますが、どんな投稿をしていますか。メディアごとに反応の違いはありますか。

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Facebook(上)やTwitter(下)では、主にWebサイトのコンテンツを投稿

投稿は主にWebサイトに掲載している商品やフェアの情報です。写真素材が豊富にあるので、効果的に活用しています。また店舗から、「独自のセール情報や店舗が入っている施設のキャンペーンなどを告知してほしい」という依頼を受けて投稿することもあります。

ネタに困ったときは、自分たちでカフェに足を運んでメニューをアップしたりすることもあります。スタッフブログも運用しており、ブログでは店舗の様子を知りたいという方が多いこともあって、写真を多めに使って店舗の様子をレポートしているのですが、その記事を紹介することもあります。

Facebookは大人っぽいインテリアや雑貨、家具などの反応がいいです。逆にTwitterはお菓子やカフェの写真が人気ですし、お客様自身がカフェや商品の写真をアップすることも多いです。お客様に語りかけたり、リツイートしたりすると喜んでくれる方が多く、常連さんで頻繁に写真をアップしていただく方もいます。

Twitterでは顔文字も多く使っていて、気軽で話しかけやすい雰囲気を意識して発言しています。mixiは、主婦層が多いこともあってかわいい雑貨などの反応がよいですね。LINE@はユーザーさんとの距離が一番近い感じで、気軽で身近なコミュニケーションがとれています。無料壁紙プレゼントなどをしていますが、LINE@は特に反応もいいですよ。

Twitterでフォロー返しをする時は、自動で行わず、必ず自分で相手を確認してから手動でフォローしています。その理由は、なかにはケユカの商品を転売している業者さんなどもいるからです。そういったアカウントをフォローすると、転売を公認しているようにも見えてしまいますから、誤解を避けて、ユーザーが混乱しないように気をつけています。

――投稿やフォローのルールなど、ガイドラインを定めましたか。

Web制作チームの担当者が私も含め2~3人で運用しているので、きちんとしたガイドラインなどは定めずに運用しています。投稿の頻度も特に決めていません。運用当初は不定期で投稿していましたが、一時期「毎日投稿」するという方針にしたこともあります。でも、だんだん運用が軌道に乗ってきたこともあって、肩肘張らずにやろうということになって、現在は「なるべく毎日投稿」というペースになりました。手探りの運用から、夢中になった時期を経て、今安定した運用に落ち着いた感じです。

公式アカウントのガイドラインは定めませんでしたが、昨年は他の企業で従業員によるソーシャルメディア炎上事件が多発したこともあって、一般の従業員はケユカや会社の情報を個人のアカウントで発信しないように、入社時に説明しています。

ソーシャルメディア上でユーザーの声をチェック

――ソーシャルメディアの運用ツールはどのように選びましたか。

運用管理ツールを探している時の条件は、予約投稿ができることで、画像投稿がtwitpicなどサードパーティの画像サービスではなく、Twitter本体にアップできることでした。これらの条件にあてはまるツールがいくつかありましたが、mixiページにも対応していることが最終的な決め手となって「つぶやきデスク」を選びました。

また、探していたものがマーケティングツールではなく、運用に特化したツールであることも重要でした。そもそも、はじめはソーシャルメディアのマーケティングという観点がなかったこともありますが、多機能だとそれに比例して値段も高額になります。つぶやきデスクは、余計な機能がない分お値段がお手ごろで導入しやすいことから選択しました。

――その他に、何か具体的に利用している機能はありますか。

キーワード検索機能の検索フォルダを使って、「ケユカ」「KEYUCA」などのキーワードを指定して、みなさんのツイートを見ています。平均すると1日に1時間くらいはチェックしたり返信したりしています。お客様がケユカを話題にするときは、アカウント名(@keyuca_design)を含めることはほとんどありませんが、ケユカに関連するワードを含むツイートを一括して検索フォルダに収集してくれるので助かっています。

検索をして、カフェのきれいな写真、購入された商品の写真などを見つけたらリツイートしますし、ケユカに来店された方などはフォローしています。なかにはクレームなどもあります。こうしたツイートについては、公式アカウントから直接返信することはありませんが、必ず関連する部署に伝えて改善するようにうながしています。商品の問い合わせ、ご意見などを直接いただいた場合は、できる範囲で答えています。

ケユカに関連する話題をソーシャルメディアで集め、クレームを見つけたときには関連部署に伝えて改善しています。

効果測定
数値に縛られすぎず、コミュニケーションを重要視

――効果測定などはしていますか。

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つぶやきデスクの効果測定機能で見ています。一時期は厳密に見ていて、ツールを提供するアユダンテさんに直接「こんな数値はとれないのか」「こういう機能がほしい」とかけあったこともありましたが、今はそれほど数値にはこだわっておらず、ユーザーの反応やコメントなどを見て運用しています。

数値をあまり追わなくなった理由の1つに、2013年9月から「KEYUCA ポイントカード」を開始したことがあります。それまでは紙のスタンプカードでしたが、購入金額に応じて付与されるポイントカードを用意したところ、あっという間に10数万人の新規会員登録がありました。

ケユカのお客様は、30代後半の方が多く、次いで30代前半、40代の方となっており、高齢のお客様も多くいらっしゃいます。やはりデジタルよりアナログのほうに親和性が高い方が多いということを感じましたし、会員登録の際にメルマガ登録も用意したところ、毎日数百人単位で購読者が増えていくので、ソーシャルメディアとは規模が違うということを感じました。

会社としても、DMや新聞、ポスティングよりも低コストで情報発信可能なネットに期待をしていますが、まだまだ従来の紙媒体に頼らざるを得ないという面もあります。といってもあきらめたわけではなく、メルマガを通してソーシャルメディアのフォロワーが増えることもあり、今は数値にこだわるよりも、ファンと身近に交流する場所として捉えています。

また、2013年の終わりごろから、店舗内に公式アカウントを紹介するPOPを置いたり、今年の春からは店内放送でも紹介するというように、オフラインからオンラインに誘導するような施策も取り入れ始めました。こうした施策を通して、お客様だけでなく社内の人にも目を向けてもらえるようにしたいと思っています。というのも、社内でもLINEやFacebookなどをやっていない人も多いのです。ケユカのブランドコンセプトが、「シンプル&ナチュラル」「のびやかで心地よい暮らし」というところにあるので、流行にあまり左右されないお客様やスタッフが多いことも関係しているかもしれませんね。

効果の数値にこだわるよりも、
ファンと身近に交流する場として捉えています。

――社内でのソーシャルメディア運用の効果説明などはどうされていますか。

社内では、ソーシャルメディアを個人で使っていない人が多いので、そもそもの効果を説明しにくいという部分もありますが、ポスティングなどとは違い、自らケユカの情報を受け取りに来てくださる大切なお客様という共通理解はできています。そのようなお客様と交流をする活動、すなわち目先の利益ではなく将来につながるお客様を大切にする活動であることを伝えて、理解を得ています。

また社内でも上層部の年齢の高い方たちは、ご本人よりも、ご家族、お子さんがLINEやFacebookを使っていて、そちらから話を聞くなどして、ケユカとしてソーシャルメディアに取り組んでいることを体感され、活動自体をポジティブに受け止めてもらっています。

お客様層から、まだメルマガよりもDMの登録希望の方が多いですが、カタログなどに比べて、低コストで即時性高く情報が配信できるのはネットの特徴でもあるので、最近はネット先行での情報配信も増えてきました。実際、4月の消費税改正で新価格情報は店舗よりも早くネットで告知を開始しました。

――ソーシャルメディアからWebサイト、オンラインショップへの流入などはどうでしょうか。

Webサイトのトラフィックでは、店舗がテナントとして入っている施設のWebサイトからの流入が最も多くなっています。ソーシャルメディア経由というのはまだ少ないですね。

また木曜日に配信するメルマガの影響も大きいです。一番アクセスが増えるのが日曜日の夕方からなのですが、メルマガ配信後徐々に増えてきて、日曜の夕方にピークを迎えるという傾向があります。こうしたアクセス状況を意識して、ソーシャルメディアの投稿を実施することもあります。

将来をみすえて、じっくりと運用を

――他のソーシャルメディア運用担当者に伝えたい運用のコツなどがあれば教えて下さい。

ケユカのアカウントも最初はそうでしたが、目先の利益を追って売りたいものだけを伝えるのではなく、お客様とコミュニケーションをとることが将来につながっていることを信じて、今いるお客様を大切にしていくことが重要だと思います。社内で短期的な効果を求められることがあれば、うまくかわすことも必要かもしれません。

効果を追求しすぎてしまうと、商売気が強すぎてソーシャルメディアにはそぐわないと思いますし、コミュニケーションも減ってしまい逆効果です。将来を見据えた運用が必要だと思います。

――今後やっていきたい施策などはありますか。

これまで、予算の都合からTwitterなどでプレゼントキャンペーンのような企画はあまりできませんでしたが、ポイントのシステムを準備しています。今まで、あまりできなかったプレゼント企画を通して、既存のファンとの交流の場に新しいユーザーを増やして、ソーシャルメディアのマーケティングツールとしての可能性も見てみたいです。

といっても、今の雰囲気が自分もフォローしている方たちも好きなので、やわらかい空気は崩さずやっていきたいと思います。会社の人もおおらかな人が多いので、そんな社風も伝えられるような運用を続けたいですね。

この記事の筆者
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ユーザー 深谷歩+藤原亜希子 の写真

株式会社 深谷歩事務所
深谷歩

深谷歩事務所代表取締役。ソーシャルメディアやブロクを活用したコンテンツマーケティング支援を行う。Web メディア、雑誌の執筆に加え、講演活動も行う。

著書
  • 『小さな会社のFacebookページ制作・運用ガイド』
  • 『小さな会社のFacebookページ集客・販促ガイド』

http://officefukaya.com

アユダンテ株式会社
藤原 亜希子(Akiko Fujiwara)

神奈川県出身。横浜市立大学文理学部心理学科を卒業後、就職情報会社にて、Nifty-Serveを利用した就活学生の情報交換支援フォーラムを立ち上げ、運用する。その後、アユダンテ前身のイージャパン株式会社にて、企業サイトSEO施策プロジェクトを担当。子育て専念期間を経て、2011年12月より、アユダンテ株式会社にて、ディレクター、ソーシャルメディアマーケティング担当として、企業のSEOプロジェクト進行ならびに、企業のソーシャルメディア活用支援、コンテンツマーケティング支援を行っている。

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