Quantcast
Viewing all articles
Browse latest Browse all 19485

ネットショップの増税は0時ぴったりにすべきか、Web担当者にとっての増税の備え [企業ホームページ運営の心得] | Web担当者Forum

この記事を読むのにかかる時間: 約 3.5
Image may be NSFW.
Clik here to view.
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の352

考えれば嫌になるが

Image may be NSFW.
Clik here to view.

近所の大型ホームセンターにでかけると、平日の昼間だというのに黒山の人だかり。レジはお客で溢れかえり、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、洗濯洗剤に台所用洗剤、さらにラップやアルミホイルの陳列棚は虫食い状態です。人気商品はすでに「品切れ」と手描きの案内が貼られ、スタッフが端から補充しても間に合わず、配送用のカゴのまま通路に陳列されていました。

増税前の駆け込み購入です。奇しくもこの日は、東日本大震災から3年目にあたり、商品のないガランとした棚に、あの日のコンビニを思い出します。そして簡易コンロ用のガスボンベを、いつもより多めに買いこんだのは「震災の備えは日頃から」。あの日からの教訓です。

さて、増税前の駆け込み需要は、本稿が公開された週末の3連休がピークでしょう。それではその後、つまり「増税」への備えは十分でしょうか。

税率の切り替えタイミングは4月1日の0時ぴったり? ネットショップは一時停止すべきか……

3%から5%へと増税されたときにも、各社がさまざまな工夫を凝らしています。

このタイミングで変更する

まず直面するのが価格の「表記」です。すでにスーパーマーケットなどでは「税抜き価格」の表記が目立つようになりました。そしてこれは正解です。4月1日から、新税率での「税込み価格」で更新を依頼するクライアントもいるのですが、できるかぎり「税抜き価格」に変更するように促しています。その理由は2つ。

まず、税込み価格で表示すると、増税後に「値上げ」した印象が強くなります。頭では「増税」が理由だとわかっていても、目の前の値札の数字が上がっていれば「便乗値上げ」と不審がる感情は、どれだけ説明を尽くしても抑えることはできません。その点、増税前から税抜き価格に変更しておけば、お客は混乱しますが、それは社会全体で起こっていることで、語弊を怖れずに言うならば、

混乱ブーム

に紛れることができます。

次もその次もある

税抜き価格を推奨するもう1つの理由は「次の増税」です。順当にいけば年内に、消費税率を10%に引き上げる決定が下されます。税込み価格を維持し続けると、次の増税のときも同じ懸念が再現されるということです。さらに最低でも消費税率は18%になると断言する識者もいます。

税込み価格では、増税のたびにすべての価格を変更する労力をかけて、お客の不興を買うリスクを背負い続けなければならないのです。だからこの機会に「税抜き価格(本体価格)」のみの表記に切り替えるべきと考えるのです。

そもそも「税込み価格」を強制した総務省に無理があります。消費税は店のコストではなく、消費者が広く負担する税金だからです。今回は「特例」として、税抜き価格の表記を容認するとしていますが、消費税の性質からみたとき「特例」とする発想が「本末転倒」なのです。

価格変更するなら“いま”

税抜き価格表示に切り替えたとしても、原材料費に加算される消費税の増税分から、価格そのものの値上げが必要になることもあります。宅配便大手のヤマト運輸は4月から料金を一斉に値上げすると発表しましたし、牛丼の吉野家も並盛りを20円値上げして300円にします。

価格変更も「混乱に便乗」するため4月1日がベストです。ただし、幾分の選択肢が残されるのは、3月31日までの仕入れに支払った消費税は5%分です。仮にこの仕入れで一定の「在庫」を用意できるなら、店の負担がないまま「価格据え置き」と銘打つキャンペーンを展開できるからです。同様に旧価格のままで「売り尽くしセール」も実施できます。これは増税後の消費落ち込みに備える一手となります。

コンビニはどうする?

定石に従い4月1日に価格を変更するとします。そこで問題となるのが24時間、365日営業している「ネット支店」においての価格更新のタイミングです。「税率」の変更も同じく。そこで日頃から、日付をまたぐ営業をしている、コンビニとファミレスを見てみます。

大手コンビニは午前0時を境に、税率を自動変更するようですが、多くのレジは最初に商品を登録した日時の税率を採用するので、会計の途中に増税されるということはありません。ただし、日付またぎにレジの行列ができていた場合は、前後で税率が変わるケースも想定されます。

ちなみに97年の増税時、レジが2台以上あるコンビニでは、客が途切れるまでは「旧税率のレジ」で会計し、その間にもう1台を「新税率」に更新(簡単なコマンド入力)しておき、落ち着いたところで「新税率レジ」に誘導することで混乱の回避を目指すと報じられていました。

日付が変わった直後の税率変更は、もちろんネットでも可能です。ただし、ネットショッピングモールなどで、各運営者が同時にそれを行えばサーバー負荷が増大し、更新できない可能性があることを考慮する必要があります。

役務の提供が大切

混乱を避ける参考となるのがファミレスです。こちらのレジも、理論上は午前0時に変更できますが、「締め」をもって切り替える企業が多いようです。消費税の適用には「営業日」という考え方があり、深夜2時に閉店する場合、その時刻まで旧税率が認められるケースがあるのです。

24時間営業でも、1日単位の売上を「締める」時刻は社内で規定されており、このタイミングで更新します。詳しくは税務署や税理士に相談していただくとして、必ずしも午前0時の更新にこだわる必要はないということです。

さらに「臨時休業」という方法もあります。増税前後の混乱によるトラブルを避けるために、3月31日の午後11時など適当な時間で一度閉店し、更新作業を完了させます。そして更新作業が完了したのを見計らい、翌日の4月1日から「再開」するのです。

最後にもう1つ、最も注意すべきなのが「代引き」です。商品が届いたときに現金を支払う「代引き(代金引換)」の場合、商品到着時を取引成立(これを役務の提供と呼びます)とする場合もあれば、売掛のように注文時点で取引成立とみなす場合もあり、企業によってケースバイケース。

インターネットでの情報公開が当たり前となった現在、増税への対応はWeb担当者にとっても重要な業務の1つ。ネットショップがなかったとしても、取引にかかわる税の告知は欠かせません。これらの告知準備、増税直前になって慌てないための内部体制作りがWeb担当者にとっての「増税への備え」です。

今回のポイント

取引が完了した日時の税率が適用される

増税は一度だけではない、いざというときの内部体制作りを

この記事の筆者
Image may be NSFW.
Clik here to view.
ユーザー 宮脇睦(有限会社アズモード) の写真

宮脇 睦(みやわき あつし)

プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。

制作、営業の双方の現場を知ることからウェブとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供し、一業種一社、制作案件は足立区内のみという営業施策をとっている。本業の傍らメールマガジン「マスコミでは言えないこと」を発行。好評を博す。著書に『完全! ネット選挙マニュアル』(Kindle版)、『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)、冷静な視点からのIT業界分析に「週刊ポスト」など、様々な媒体から情報発信を続ける。

この記事に関連する他の記事を見る

※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:ネットショップの増税は0時ぴったりにすべきか、Web担当者にとっての増税の備え [企業ホームページ運営の心得] | Web担当者Forum
Copyright (C) IMPRESS BUSINESS MEDIA CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.

Image may be NSFW.
Clik here to view.

Viewing all articles
Browse latest Browse all 19485

Trending Articles