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60代シニア層のスマホ利用・意識調査、男女とも地図やナビを利用したい [スマートフォンレポート] | Web担当者Forum

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スマートフォンレポート

この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。

今回は2013年9月に発表された「スマートフォンレポート vol.8」から、調査報告3「シニア層におけるスマートフォン利用・意識調査 ~60代のシニア層は、スマートフォンをどのように利用し、何を期待しているのか~」の調査レポートをお届けする。

電話、メールの基本機能以外にもWebサイトをスマホで閲覧

今や携帯電話はほとんどの人が所有する時代となった。かつては高齢者、すなわちシニア層にとっては使い方が良く分からない機器という印象もあったが、携帯電話の普及から年月が経ち、シニア層も使い慣れてきたこと、使い慣れたユーザーが年齢を重ねシニア層になったこと、更にシニア層にも使いやすい「らくらく」シリーズが出現したことなどもあって、今ではアクティブシニア層と呼ばれる、携帯電話を使いこなすユーザーまで出現している状況だ。

今後高齢化社会を迎えるにあたり、このシニア層に対してモバイルビジネス展開を検討する企業も多いと思われる。但しその際には、その利用傾向、ニーズを把握することが重要となる。そこで今回は、スマートフォンを利用している60歳~69歳の男女に対し、その利用実態を明らかにすべく調査を実施した。以下、主な傾向を分析してみたい。

まず、スマートフォンにおいて利用している機能について見てみると、「Webメールの送受信」「Webサイトの利用・閲覧」「無料通話サービス」といった回答が目立っており、メールや通話といった基本機能に加え、多くのユーザーがWebサイトを閲覧している状況は注目である。次いで、「計算機機能」や「目覚まし機能」「カレンダー・スケジュール機能」などといった生活に密着した機能が挙げられており、フィーチャーフォン時代から搭載されているようなプリインストール機能を引き続き利用している状況がうかがえる。一方でゲームや動画、音楽プレーヤーといったエンタメ系機能や、ショッピングやオークションといったEC関連の利用はそれ程多くない結果となっている(図1)。

図1 スマートフォンで利用する機能
図1 スマートフォンで利用する機能

ネットショッピングはパソコンを利用

比較対象として、パソコン上でよく使う機能についての回答も見てみると、スマートフォンとは大きく傾向が異なり、最も利用されているのは「インターネットショッピング」であった。男女共に7割以上のユーザーが利用していると回答しており、このことから利用目的によってスマートフォンとパソコンを使い分けている傾向が顕著となった。また、インターネットショッピングほどではないが、「インターネットオークション」でも同様の傾向が出現している(図2)。

図2 パソコンで利用する機能
図2 パソコンで利用する機能

そこで、デバイスを問わず、インターネットショッピングにてどのようなものを購入しているかを見てみると、半数以上に購入経験があったのが「食料品」「書籍」「家電」「衣料品」となっている。更に男性では「パソコン/周辺機器」「CD/DVD」「カメラ/周辺用品」が、女性では「健康食品」「化粧品/コスメ」「キッチン用品」といった回答が多い。

本調査がパソコンを使ったアンケート調査となっているため、その利用傾向が高く出現しやすくなっている点を考慮しても、シニア層におけるパソコンからのインターネットショッピング利用は頻度が高そうである。今後スマートフォンの利用に慣れ、画像の大きさや入力のしやすさなどといったユーザビリティの改善が整えば、スマートフォンでのショッピング利用も高まる可能性があると推測される(図3)。

図3 インターネットショッピングにおける利用ジャンル
図3 インターネットショッピングにおける利用ジャンル

男女ともに「地図/ナビゲーション」を使用してみたい

では、シニア層がスマートフォンでやってみたいこととは何なのか。この点について、自分向けにやってみたいことと、子供や孫など家族向けにやってみたいことに分けて質問してみた(図4)。

図4 スマートフォンでやってみたいこと
図4 スマートフォンでやってみたいこと

まず自分向けに利用してみたいことだが、最多回答となったのは、男女とも「地図/ナビゲーションの利用」であった。広告やCMでも目にすることの多いサービスだが、現状ではまだ使いこなせていない、もしくは利用にまで至っていないといった状況がうかがえる。使いやすい画面構成、利用方法に関するわかりやすい説明などがあれば、シニア層におけるユーザー獲得が期待できるのではないか。

次いで、「災害時用の緊急速報や、災害時用伝言板サービス」「病院や医療に関する情報サービスの利用」「自動翻訳機能の利用」「地域情報を閲覧できるサービスの利用」などといった、生活関連機能に対する意欲が高い。常に身近にあるスマートフォンを通じて、ライフラインや生活に関連した機能を使いたいといった意向が感じられる。

また音楽、動画、電子新聞、電子書籍といったデジタルコンテンツや、インターネットショッピングに対する利用意向に関しても、前述の機能とそれ程大差なく出現している。この結果及び前述の傾向から、様々なデジタルコンテンツに対しては、現状それ程利用してはいないものの、関心は一定数持っていることがうかがえる。故に、今後の利用促進を図るには、どれだけ強い関心を抱かせ、且つわかりやすい利用方法を示すことが出来るかが鍵になっていると思われる。

家族と利用してみたい機能は「LINE」

一方、家族向けに利用してみたい機能としては、「LINE」などに代表される「無料通話・無料メール系サービス」や「写真・動画共有サービス」「プレゼントを目的としたインターネットショッピング」がやや高い傾向を示した。

「無料通話・無料メール系サービス」は特に女性における意向が高いのだが、これは家族が使っていたり、サービス紹介されたりして興味を持ち、家族とともに使ってみたいと思っているのではと想定される。また「写真・動画共有サービス」や「プレゼントを目的としたインターネットショッピング」に関しては、家族、とりわけ孫などに紐付くニーズではないかと推測される。

本調査における家族構成データを見ても、孫と同居するシニア層はそれほど多くない模様である。こういった離れて暮らすケースにおいては、前述のようなサービスが非常に便利で魅力的に感じられるのでは、と思われる。

スマートフォンサービスの利用に意欲的な60代

ここまで記載した動向をまとめると、シニア層におけるスマートフォン利用の傾向としては以下のようになる。

  • 携帯電話の基本機能をメインに利用し、それ以外ではWebサイトの閲覧、目覚まし・計算機などといった生活関連ツールを利用
  • インターネットショッピングはパソコンで利用し、スマートフォンではまだそれ程利用していない
  • スマートフォンでやってみたいこととしては地図・ナビゲーション機能が挙げられる。また災害時用のサービスや医療関連サービス、地域情報の取得に関する意向も高い
  • デジタルコンテンツ利用に対しては、一定数の意欲はあるものの、利用はそれほどしていない
  • 家族向けに関しては、無料通話・無料メール系サービス、写真・動画共有サービス、プレゼント用インターネットショッピングの利用に関心あり

上記からうかがえるのが、スマートフォンを通じて様々なサービスを享受したり、趣味・娯楽をより楽しむなどといった段階にはまだ至ってないものの、興味、関心は強く抱いているのではないか、ということである。

今後、スマートフォンを使った多様なサービス利用に至るには、その障壁となっている要因を取り除くこと、また現状のサービス認知経路を把握した上で、効果的な訴求を行うことが重要と思われる。

本稿には掲載していないが、本調査にてスマートフォンに対する不満を聞いたところ、「文字入力がしにくい」「使い方がよくわからない」「サービスの安全性が判断しにくい」「表示サイトが小さく見えにくい」などといった項目が挙げられていた。これらを踏まえると、

  • 利用方法をわかりやすくすること
  • 文字表示などを大きくすること
  • 使いやすいユーザーインターフェースを実現すること
  • サービスの安全性を確立し、その内容をアピールすること

などが、サービス利用における障壁要因を取り除く手段として重要ではないかと思われる。これらを実施した上で、サービスへと誘導したいところであるが、現在使っているサービスの認知経路を調べてみると、やや分散傾向にあることから、欲しいサービス、コンテンツに到達する手段がわからないユーザーも多く存在しているのではと想定される(図5)。

図5 スマートフォン利用サービス認知経路
図5 スマートフォン利用サービス認知経路

男性は自力で目的のサービスへ到達している感がややあるが、女性は家族や友人に聞いたり、プリインストールサービスを使っている傾向が強く、目的のサービスを自力で探し出している人は少ない模様である。これら属性による違いを把握しつつ、対象ユーザーによってサービスへの誘導手法を使い分けるなどといった施策を実行したいところである。

今回の調査は、スマートフォンを所有しているシニア層を対象に実施したわけだが、すでにスマートフォンを利用していることもあってか、サービス利用に対して意欲的な印象を受けた。ただし、まだスマートフォンを所有していない、それ程モバイルリテラシーの高くないシニア層が多数存在するのも事実である。今後はシニア層においてもスマートフォン利用者の増加が見込まれるが、ぜひシニア層のニーズに合致するサービスを、安心安全なサービスとして、且つわかりやすい入手方法、使い方という形にて提供して頂きたいと思う。

調査対象60歳以上69歳までの男女個人
調査地域全国
有効回答数600サンプル
※事前調査における60代スマートフォン保有者の性別出現割合を構成比として、下記の割り付けにて回収
男性60代347
女性60代253
600
調査実施期間2013年8月9日(金)~8月12日(月)
調査方法インターネット調査
調査実施機関株式会社ドコモ・インサイトマーケティング

この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。

スマートフォンレポート

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「スマートフォンレポート」は、独自調査の分析レポートや、NTTドコモへのインタビュー、またモバイルビジネスを展開する上で鍵となるメールマーケティングや広告展開等についての記事を掲載する隔月発行のモバイルビジネス・マーケティング情報誌です。

専用Webサイトに無料登録して頂ければ、企業や団体に所属する方であればどなたでも無料にて入手・閲覧することが可能です。デジタル媒体(PDF)にてご提供しておりますので、無料会員登録後すぐにダウンロードの上でご利用頂けます。

この記事の筆者

提供:株式会社ドコモ・ドットコム

モバイル(スマートフォン・タブレットおよびフィーチャーフォン)を活用したビジネスに関するコンサルティング事業を軸に、企業プロモーション・マーケティング企画をはじめとした新たなビジネス開発事業を展開。

http://www.docomo-com.com/

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