グーグルで単語を検索したらQ&Aサイトが引っ掛かった、そんな経験のある読者は多いのではないだろうか。Q&Aコンテンツは自サイトに関係ないと思っているネットショップ担当者は、一度その効果を検討しなおすべきである。Q&Aコンテンツの導入は、SEOをはじめ、サイトの活性化や効率化、ユーザー分析にまで役立てることができるのだ。
FacebookやTwitterよりも実はリーチが高い「Q&Aサイト」
OKWaveと言えば、古くから運営している最大級のQ&Aサイトとしてよく知られている。検索結果にも表示されることが多いため、意識しないままこれらのサイトを見たことがある人も多いだろう。しかし、そのQ&Aを活用することでサイトの活性化や効率化が可能になることは案外知られていない。オウケイウェイヴ マーケティング本部 本部長 兼 エンタープライズソリューション事業部事業部長の佐藤哲也氏が、その知られざるQ&A活用を紹介した。
オウケイウェイヴでは自社ブランド「OKWave」で運営するQ&Aサイトのほかに、他社にもQ&Aエンジンとデータを提供している。大きなところではマイクロソフトの「MSN相談箱」、NTTレゾナントの「教えて!goo」などがそうだ。
これらのQ&Aサイトでのやりとりは、グーグルなどの検索結果に表示されることが多く、リーチも大きいと佐藤氏は説明する。ネットレイティングスの2013年9月調査によれば、「OKWave」と「教えて!goo」の重複を除いたリーチを合計すると29.32%にもなり、これは同調査でのFacebook(29.08%)やTwitter(21.61%)といった、ソーシャルサービスをも上回るのだ。
つまり、それだけQ&A、すなわち疑問とそれに対する答えというコンテンツが多くの人に求められているということでもある。このQ&Aコンテンツを活用することによって、SEO効果を高めるとともに、回遊率やコンバージョン率、再訪率などをアップさせることができると佐藤氏は語る。
佐藤氏が紹介する事例が、出光カードのキャンペーンにおけるQ&Aの活用だ。一般的に、ウェブサイトのキャンペーンの場合、ユーザーの注目を集めるためのイメージキャラクタやクリエイティブ、誘導のためのバナーやリスティング広告などに意識が集中しがちだ。だが佐藤氏によると、実際のキャンペーンにおいてユーザーが一番気にする点は、キャンペーンの期間や参加のメリット、プレゼントがある場合はその色が選べるのかといった細かなことに集中しがちなのだという。つまり、そういった細かな点に対する疑問がハードルやストレスとなって、キャンペーンの応募を諦めるユーザーが多いということでもある。
キャンペーンはわかりやすさが重要です。キャンペーンの全体設計をいじらずに、お客さんが悩んでいる細かいことに答えるためにQ&Aを活用します。満足のいく結果を出したキャンペーンは、Q&Aコンテンツを上手く活用した例が多いのです(佐藤氏)
つまり、問い合わせがあったお客様の疑問について、Q&Aという形でストレートに、かつキャンペーン全体のトーンを乱さずに回答することで、お客様の不安や疑問を解消し、キャンペーンのコンバージョンを向上させることができるというわけだ。これをキャンペーンの期間中、定期的に運用してQ&Aを増やすことによってその効果も向上するという。
少ない工数でサイトを活性化させるQ&A
こうしたキャンペーンのためのQ&Aは、一時的な利用に止まるため、コストや手間的にもったいなさを覚えがちだ。しかし、企業サイトに充実したQ&Aコーナーを用意しておくことによって、前述した通り、商品名や企業名、その他関連ワード検索によるSEO効果も見込め、キャンペーンへの流入も期待できる。たとえば出光カードのサイトでは、「軽油税 計算」というニッチなワードでの流入が多い。そういったユーザーに対して適切なストーリーを設計することで、キャンペーンへと誘導することも可能なのだ。
このように、Q&Aは単なるユーザーサポートのコストの低減だけでなく、サイトそのものにメリットをもたらすことができるのだ。
インターネットユーザーの多くは企業ページに情報の豊富さや新情報を期待しています。しかし、更新回数を増やそうと思ってもなかなか思い通りにいかず、ネタが途中で尽きてしまうことが多い。そんなときに上手くQ&Aサイトを活用します(佐藤氏)
事例1 小学館「DAKKO」ではQ&AのPVが全体の半分近くに
同社の調査によると、Q&Aサイト利用者の64%が毎日Q&Aサイトを訪れているという。さらに、SNSよりもQ&Aサイトのほうが書き込みが多いというデータもある。これを活用することで、自社サイトに効率的に新しいコンテンツを増やし、サイトを活性化させて、訪問率と再訪率を高めることに繋げることができるのだ。
事例として、佐藤氏は小学館が運営する「DAKKO」という、子ども向けの雑誌や書籍に関する情報をまとめたポータルサイトを紹介する。この中に「おしえてDAKKO」という、子育てに関するQ&Aサイトが設置されており、オウケイウェイヴのエンジンが採用されている。ここでは活発に育児に関する疑問と回答のやりとりが行われており、時期によってはQ&AページのPVがDAKKO全体の半数近くに達することもあるという。
事例2 「HOME'S」ではキーワードにあわせた誘導リンクを表示
さらに一歩進んで、Q&Aサイトへの流入からサイト内の回遊を増やすことも可能だと佐藤氏は語る。
「Q&Aマッチ」機能を使うと、Q&Aページの質問の内容を解析し、あらかじめ設定したキーワードにあわせて、Q&Aページ内に誘導リンクを表示できます。つまり、そのQ&Aに興味あるユーザーに対し、「レコメンド」したコンテンツへ回遊させることが可能です(佐藤氏)
具体例として佐藤氏は、ネクストが運営する不動産情報ポータルサイト「HOME'S」での運用例を取り上げた。HOME'Sでは、「おしえて!ホームズくん」というQ&Aサイトをオウケイウェイヴとの提携によって運用している。Q&Aマッチは、たとえば「おしえて!ホームズくん」であらかじめ、「新築、1戸建て、リフォーム、外断熱」といったキーワードと誘導先を設定しておくと、たとえば「一戸建ての暖房方法について」という質問ページに、自動的に誘導リンクを表示できるのだ。
Q&Aページは、ユーザーの関心事と密接に結びついているため、それに関連した誘導先だと回遊が高くなる。実際にHOME'Sでは、Q&Aマッチの導入によって資料請求が1.4倍に増えたという。
本気の質問が多いからユーザーの本音がわかる
佐藤氏は、より踏み込んだQ&Aの活用方法も提案する。企業サイトにQ&Aを表示するだけでなく、多くの疑問や回答の書き込みを利用したユーザー分析だ。このQ&A分析は、現在広がっているソーシャルリスニングにはないメリットがあると佐藤氏は語る。
ソーシャルリスニングは書き込み総量も大きいが、無意味な書き込みや宣伝といったゴミも多く、実際に役立つのは1%くらい。ユーザーの属性も取りにくい。一方、Q&Aコンテンツへ質問するのは実際に困っているユーザーがほとんど。つまり本気度が違う。宣伝なども排除しているため精度が高く、ユーザー登録が必要なため、性別、年代、居住地域などの情報も得られる(佐藤氏)
もちろん、別途コールセンターや対面調査でユーザーの意見や情報を収集している企業もあるだろう、しかし、コールセンターにおいては、その大半がネガティブなクレームに偏っていたり、潜在顧客の声が届かなかったり、その会社の商品に対する意見がほとんどで、他社製品と比較しての情報は届きづらいなどの問題がある。
しかし、Q&Aであれば、ユーザーがフラットな視線から投稿をするため、好評や満足している点などの情報、購入前の潜在顧客の質問、競合他社も含めた製品比較なども多く、コールセンターや対面調査よりも利点があるという。また、Q&Aサイトの場合は、家族や親しい友人でも話しづらいことでも匿名のため相談しやすいのだ。
Q&Aサイトの質問からは本音がキャッチできます。質問に注目することでターゲット層の悩みを直接知ることができるのです(佐藤氏)
もちろん、質問への回答も有効なリソースになる。最も有効な回答に対して質問者が「ベストアンサー」を付けたものは、それこそがユーザーニーズを満たすものだと言える。そこから、市場の隙間を見つけたり、自社商品の隠れた強みを掘り起こすことも可能なのだ。
最後に佐藤氏は、Q&Aサイトの知られざる価値を次のように強調して講演を締めた。
質問より回答の方が、実はおもしろい。ある悩みに対して、こういう理由で悩みが解決すると回答があり、さらにベストアンサーという仕組みで回答の有効性までわかる。これほど分析する価値のあるユーザーボイスはない(佐藤氏)
株式会社オウケイウェイヴ
http://www.okwave.co.jp/
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オリジナル記事:ECサイトの回遊と再訪アップに効く!Q&Aサイトの隠れた効果/オウケイウェイヴ [ネットショップ担当者フォーラム セミナーレポート] | Web担当者Forum
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