アクセス解析のタグ、リターゲティングのタグ、広告コンバージョンのタグ、また別の広告のコンバージョンのタグ、レコメンデーションのタグ、DSPのタグ……マーケの依頼で増やしてきたけど、最近、タグの管理に手間がかかりすぎている。
代理店から高度なマーケティング施策の提案があっても、そのためのサイトの改修が負担で実現できなかったことがある。
そんな悩みを抱えるWeb担当者が増えてきている。そういった問題を解決するために作られた、タグ管理用のツール「タグマネージャー」というものがある。
この記事では、Yahoo!プロモーション広告のパートナー代理店とその広告主に対して原則無料で提供されているタグ管理ツール「Yahoo!タグマネージャー」を紹介する。
タグ管理ツールというと、こんな風に言う人もいるだろう。
タグマネージャーって、複数のタグを一元管理するツールでしょ、それならCMSでやればいいのでは?
しかし、そうではない。今やタグマネージャーは、「管理」するだけでなく、さらに高度なマーケティング施策を実現するための機能をもつようになっているのだ。
管理工数の削減だけでなくマーケティングの高度化にも貢献
豊富な機能を無料で使えるのは広告主にとって大きなチャンス
「管理画面の使いやすさ」「対応サービスの豊富さと対応の速さ」などメリットは多い
いずれも、Yahoo!タグマネージャーを利用している広告代理店のコメントだ。
単なる「タグ管理」に留まらないこうしたメリットがあり、これからのWebサイト運営やマーケティング施策に欠かせない「タグ管理」を支援するこのツールがなぜいま注目されているのか。その背景と重要性、そしてYahoo!タグマネージャーの特徴について紹介していく。
手に負えなくなった“タグ地獄”から解放してくれるタグ管理サービス
まずは、基本となるタグ管理の部分を解説する。
Webサイトの運営において、アクセス解析でインターネットユーザーの行動を把握することは常識だ。Webサイトを訪れたユーザーがサイト内でどのように行動しているのかを把握し、問題があれば改善を施す。アクセス解析は、PDCAを実践するための不可欠な要素となっている。
これは広告をはじめとするマーケティング全般にとっても同じで、ユーザーによる広告の閲覧やクリックとコンバージョンを関連付けて分析することで広告効果が測定できる。
これらの分析対象となるデータは、Webページにタグを設置することで取得できる。アクセス解析ツールや広告効果測定ツールを導入していたり、リマーケティング広告を実施していたりするなら、そのタグが各WebページのHTMLに埋め込まれているはずだ。
一方、さまざまなツールやサービスのタグを追加していくと、管理の手間が増え、Webページの修正作業が発生する。より緻密な分析をするために新しいツールを導入したはずが、かえってWeb担当者やWeb管理者の負担になり、マーケティング施策のスピードにも悪影響を及ぼしてしまう。
アクセス解析用、コンバージョン用、リターゲティング用、レコメンデーション用、DSP用……と必要なタグが増えれば増えるほど、管理の悩みも深刻になる。
その解決策になるのがタグ管理サービスだ。ツールごとのタグを設置するのではなく、代表となるタグ(ユニバーサルタグ)を1つだけ設置しておいて、あとはどのページでどのタグを出すのかを管理画面から設定する。それがタグ管理サービスの役割だ。
タグの管理が一元化できるので、タグの追加や削除はタグ管理サービスの設定だけで済むようになる。サイトのHTMLを修正しなくていいのだ。Webサイトに修正を加える必要がなくなることで、Web担当者主導でマーケティング施策をスムーズかつスピーディに展開できる。
もちろん、一元化することによるリスクも無いわけではない。要となるタグ管理サービスに不具合が起きると、それが仲介するタグすべてに支障が出てしまう。
とはいっても、タグ管理サービスを使わないという選択は現実的ではない。したがってタグ管理サービスを選ぶ際には、「使い勝手」「対応するタグの豊富さ」に加えてシステムとしての「信頼性」も重視しなければならない。
柔軟性と信頼性を備えたYahoo!タグマネージャー
Yahoo!タグマネージャーはYahoo! JAPANが提供しているが、その中身は米国のBrightTag(ブライトタグ)社が開発したサービスだ。
BrightTag社は、2010年からタグ管理サービスの開発と提供を行っており、世界中の企業で同社のサービスが導入されている。日本でも2013年にサービスを開始し、すでに650社以上で採用されるなど高い実績を誇る。
また、日本国内を含む世界各地でデータセンターを運用することで、サービスの安定稼働を実現している。先述したように、システムの信頼性はタグ管理サービスを選ぶうえで重要なポイントの1つだ。
そのBrightTag社との提携により、Yahoo! JAPANブランドで提供しているのがYahoo!タグマネージャーである。Yahoo!タグマネージャーには、タグの一元管理は当然ながら、他のタグ管理サービスと比較して次のような特徴やアドバンテージがある。
- データやイベントの収集、タグ実行条件の設定が柔軟
Webページ上でユーザーが行うクリック、マウスオーバー、ボタン押下などの操作(インタラクション)を、Yahoo!タグマネージャーが収集してタグの動作条件として設定できる。
これによって、特殊な条件をコンバージョンに設定したり、タグどうしの実行条件を細かく調整したりできる。たとえば、コンバージョンページに複数のタグがあっても、「最後にクリックされた広告」と関連するタグだけを処理することで、広告の効果を正確に測定することもできる。その他、ベンダーのABテストやリターゲティング条件設定にも応用できる。
- 動作検証済みのタグが豊富
用意されている動作検証済みのタグが豊富で、分析ツール導入時のタグ追加が簡単にできる。国内外の主要事業者100社のタグはあらかじめ登録されているので、管理画面で簡単に追加設定ができる。また、登録されていないタグであっても、ユーザー自身で設定できる。
- リアルタイムの設定反映とエラー検知
各種設定はリアルタイムで反映されるので、システムの都合などで待たされることなくマーケティング施策を迅速に実行できる。タグの実行レポートやエラー検知も同様にリアルタイムで処理されるので、精度の高いタグ運用ができる。
- 「サーバーダイレクト型」なのでページの読み込みが高速
従来のタグ管理サービスでは、ユーザーがWebページを閲覧する際に各ツールのタグをブラウザ上で実行する挙動になっている(「コンテナ型」と呼ばれる)。
一方、Yahoo!タグマネージャーでは「サーバーダイレクト型」というBrightTag社の独自技術により、タグの処理をブラウザから切り離されたクラウド内で行う。複数のタグをブラウザで読み込むよりもWebページの表示が速いので、ユーザーは快適に閲覧できる。
Yahoo!タグマネージャーをすでに活用している現場では
Yahoo!タグマネージャーを導入している現場では、パートナーの広告代理店が運用を任されているケースが多い。当然、運用ノウハウも蓄積されており、タグ管理を活かしたさまざまなマーケティング施策を行っている。
ここでは、Yahoo!タグマネージャーの活用方法に理解の深い広告代理店3社の担当者に、導入のメリットや活用事例について聞いた。
管理工数の削減だけでなくマーケティングの高度化にも大きく貢献
株式会社オプト
「金融業や美容業などのWebサイトは、扱う商材が比較的少なくユーザーのページ移動がランディングページや数ページだけで完結します。このような階層構造を持たないサイトでも、Yahoo!タグマネージャーを使えばスクロールやオンマウスなどのページ内のユーザー行動から購買に対する意欲が推測できるので、これまで以上に詳細なユーザーのセグメントが可能になります。
また、旅行業などのように多数の商材を扱うWebサイトでは、ユーザーが閲覧した商品や検索した条件によって、『価格帯』『地域』『人数』『期間』といった固有の情報があるので、それらの値を軸にユーザーをセグメントしターゲティングに利用できます。
このようにWebサイトには業種ごとに特有の情報があるので、業種ごとの細かいニーズに即したデータ活用パターンを独自に定義し提案を行っています
」(佐藤氏)
「これまでは、広告主のサイト内情報やユーザー情報などを利用した細かなターゲティングを実現するためには、都度、専門知識を持ったエンジニアに実装を依頼する必要があったため、広告主のWeb担当者とシステム部門との間に入って調整することが多く、工数が膨大でどの企業でも気軽に実施できるわけではありませんでした。また、実施できたとしてもPDCAを回すことが難しいという課題がありました。
そのハードルを大きく下げたところにYahoo!タグマネージャーのインパクトがあります。Yahoo!タグマネージャーの利用によって上記のような実装工数が削減されたことで、多くの広告主に対してサイト内情報やユーザー情報を利用した詳細なマーケティング施策の提案が可能となり、また、実施した施策のPDCA高速化にもつながっています
」(武藤氏)
「ユーザーの属性や購買情報を取得しセグメントできることで、今までのメールを中心とした既存顧客へのアプローチがディスプレイ広告配信でも可能になります。従来の『広告は新規顧客獲得』といった役割から『CRMまで含めたコミュニケーション全体』まで活用の幅が広がるので非常に可能性を感じています。
代理店には、さまざまな広告主をお手伝いしてきた経験から得たスキル、業種や商材特有のノウハウが蓄積されています。ところが、それらを活かしたマーケティング施策をご提案したくても、広告主によってはWebサイトの改修が負担となって不可能なことが多々ありました。
Yahoo!タグマネージャーなら、最初にタグを設置しておけば簡単に先進的なマーケティング施策が行えます。代理店としては、持っているポテンシャルを広告主に対して十分に発揮できるようになりますし、タグ管理の手間を削減するだけでなく、マーケティングの高度化にも貢献します
」(橋本氏)
豊富な機能を活用できるのは広告主にとって大きなチャンス
株式会社アイレップ
「地域の概念を持つWebサイトで、Yahoo!タグマネージャーを使って各地域ページごとにタグの出し分けを行いました。従来だと、Webサイトの言語記述の修正が必要になり、多大な時間とコストがかかる要件です。それが、広告主の負荷を増やさずに新たな施策に取り組めるようになりました。
また、リターゲティング広告の新たな配信シナリオやセグメントの追加が簡単になったうえ、さまざまなパラメータを与えたり任意のイベントで実行させたりと、複雑なシナリオの設計もできます。
Yahoo!タグマネージャーの機能を考えると、これが一定条件下とはいえ無料で利用できることは広告主にとって大きなチャンスといえるでしょう
」(村上氏)
「管理画面の使いやすさ」「対応サービスの豊富さと対応の速さ」などメリットは多い
株式会社セプテーニ
「Yahoo!タグマネージャーを導入したことで、タグの設置時間を従来の1/5に短縮できました。また、タグ設置ページが可視化されることで『設置漏れ』の防止にもなります。
他にも、マウスオーバーやスクロールといったタグ実行条件を細かく設定できるので、リターゲティング広告でこれまで以上に詳細なリスト化が可能になるといった点は、大きなメリットだと感じています。
実際に使って特に優れていると感じるのは、『管理画面インターフェイスの使いやすさ』『対応サービスの豊富さと対応スピードの速さ』『広告効果の向上にも利用できるイベントハンドラ設定』『リアルタイムモニタリング機能による設定ミスの確認』などですね
」(余川氏)
どうだろうか。すでにタグ管理の煩雑さが問題となっていたり、そうでなくても、これから高度なマーケティングを手軽に実現したいと思っているならば、Yahoo!タグマネージャー公式サイトを訪れてみるといいだろう。
- 内容カテゴリ:SEM
- コーナー:Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)活用講座
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オリジナル記事:タグマネージャーってタグを管理するだけ? いえ、今や高度なマーケ施策を可能にする機能もあるのです [Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)活用講座] | Web担当者Forum
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