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目標到達プロセスのレポートで、カートから購入までのボトルネックを見つけよう[第56回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 7.5

Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだが、正式なサポートがない。本連載では、その導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

今回はECサイトを例に挙げて、ショッピングカートから注文完了までの間のボトルネックを、Googleアナリティクスを使って発見するための方法をご紹介する。

メニューでいうと[コンバージョン]>[目標]>[目標到達プロセス]レポートの最も基本的な使い方の解説だ。

前回もお話ししたが、サイトの成果関連のデータを見るためには、あらかじめ管理者権限で管理画面の「目標」を設定しておくことが必要だ。この目標設定に関しては、「プロファイルの目標を設定する[第5回]」で詳しく触れているので、詳細はそちらを参考にしていただきたい。

今回は、「プロファイルの目標設定」の中の「目標到達プロセス」の設定が鍵になるので、その部分から詳しく解説したい。

注:前回紹介した新しい目標設定画面は、2013年6月3日現在、昔の画面に戻っていることも併せてご報告しておく。まあGoogleアナリティクスとはそういうものだ。時には全員にリリースしても元に戻したり、一部のユーザーだけを対象にしてテストしたりすることもある。私が一部のユーザーとしてその対象になっている可能性もあるだろうが、そのような多少の違いはご容赦いただききたい。

「目標達成プロセス」を設定する

まず「目標の全般情報」を設定する

アナリティクス設定から該当のプロファイルの管理画面に移動し、「目標」タブを選択(図1赤枠部分)する。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[アナリティクス設定]をクリックする
  2. 「アカウント画面」で、設定したいアカウントをクリックする
  3. 設定したいプロパティをクリックする
  4. 設定したいプロファイルをクリックする
  5. 「目標」タブ(図1赤枠部分)をクリックする
図1:プロファイルの「目標」タブ
図1:プロファイルの「目標」タブ

次に、「+目標」(図1青枠部分)をクリックする。すると図2のような「Goal 1」の設定画面になる。

図2:「Goal 1」の設定画面
図2:「Goal 1」の設定画面

目標名(図2赤枠部分)には、例として「注文完了」と入力し、目標タイプは「URLへのアクセス」を選択(図2青枠部分)しよう。すると、図3のように、画面の下部に、「目標の詳細」と「目標到達プロセス」の設定部分(図3赤枠部分)が現れる。

図3:「目標の詳細」と「目標到達プロセス」
図3:「目標の詳細」と「目標到達プロセス」

「目標の詳細」を設定する

今回は、ECサイトで、カートに投入する前の商品詳細ページ(/detail.html)から、カートでの入力画面3ページ(/cart1.html → /cart2.html → /cart3.html)を経て、最後にサンキューページ(/thanks.html)が表示されて注文完了となる場合の設定をしてみよう。

「目標の詳細」の「目標URL」には、下の画面のように「/thanks.html」と入力(図4赤枠部分)する。

図4:「目標の詳細」部分の設定項目
図4:「目標の詳細」部分の設定項目

その下のマッチタイプ(図4青枠部分)は、目標となるURLパターンによって「完全一致」「前方一致」「正規表現一致」から選択してほしい。ここでは、URLにパラメータが付いたりすることがないということにして、「完全一致」を選択しておく。

「目標達成プロセス」を設定する

続いて、「目標到達プロセス」を設定するには「目標到達プロセスを使用」のチェックボックス(図3青枠部分)をチェックする。すると図5のように、「目標達成プロセス」の下部に、「目標到達プロセスのステップ」を入力する部分(図5青枠部分)が現れる。

図5:「目標到達プロセス」部分の設定項目
図5:「目標到達プロセス」部分の設定項目

初期状態では、ステップは1つしか表示されていないが、ステップはいくつでも増やせる。必要なステップ分だけ、「+目標到達プロセスのステップ」(図5赤枠部分)をクリックすればよい。クリックするたびに、各入力ステップの入力箇所を追加されるので、それぞれURLと名前を入力していく。

図6:目標到達プロセスの各ステップの設定
図6:目標到達プロセスの各ステップの設定

目標完了ページはステップとして入力しないこと

今回の例は、/detail.html → /cart1.html → /cart2.html → /cart3.html → /thanks.htmlというステップであるが、ここで/thank.htmlが「ステップ」として入力されていないことに気づいただろうか。

目標完了ページ(今回の例では/thanks.html)は、その上の「目標の詳細」の「目標URL」(図4赤枠部分)ですでに指定してあるので、ここでは入力してはいけない。「ステップ」には、目標完了ページに至るまでのページ群(各ステップ)だけを入力すればよい。間違わないよう注意しよう。

「マッチタイプ」は、目標到達プロセスで入力するURL群にも適用される

もう1つの注意点は、「目標の詳細」の「マッチタイプ」(図4青枠部分)の指定が、この目標到達プロセスに入力するURL群(図6青枠部分)にも適用されること。もし目標到達プロセスに入力するURL群(図6青枠部分)が正規表現一致でしか記述できないのであれば、目標の詳細のマッチタイプ(図4青枠部分)の指定もそれに合わせて、「正規表現一致」を選択しておく必要があるということだ。

「目標達成プロセス」の設定はこれで完了だ。

  • [目標到達プロセス]レポートを見てみよう
  • 閲覧ページ移動図の見方を覚えよう
  • 閲覧ページ移動図の数字の流れを把握しよう
  • [目標達成プロセス]レポートを見る際の注意

[目標到達プロセス]レポートを見てみよう

この設定例で、実際の[コンバージョン]>[目標]>[目標到達プロセス]レポート上部が図7だ。

図7:[コンバージョン]>[目標]>[目標到達プロセス]レポート上部
図7:[コンバージョン]>[目標]>[目標到達プロセス]レポート上部

まずは、目標を選択できるプルダウン(図7赤枠部分)で、見たい目標を選択しよう。目標は最大20個まで設定できるので、複数の目標を設定した場合は、そのうちの1つを選択する。図7と、次の図8では、先ほど設定した「目標1:注文完了」が選択されている状態になっている。

レポート上部(図7)では、選択した1つの目標(図7赤枠部分)に関して、期間全体のコンバージョン率(図7青枠部分)と日別のコンバージョン率の推移グラフ(図7緑枠部分)を見ることができる。

例によって設定後から集計が開始されるので、過去に遡って集計されるわけではない。いま設定したばかりの人は、設定後、しばらくしてデータが溜まってから見てみよう。

閲覧ページ移動図の見方を覚えよう

そして、[目標到達プロセス]レポート下部が、閲覧ページ移動図(図8)になる。図8も先ほど設定した「目標1:注文完了」が選択されている状態になっている。

目標完了までの過程でどこがボトルネックになっているのかは、この閲覧ページ移動図で確認する。この移動図の見方をまず説明しておこう。

図8:[コンバージョン]>[目標]>[目標到達プロセス]レポート下部
図8:[コンバージョン]>[目標]>[目標到達プロセス]レポート下部(閲覧ページ移動図)

中央の幹は「目標到達プロセス」の各ステップ

中央の幹の部分(図8赤枠部分)は、「商品詳細」→「ショッピングカート」→「ご注文方法の指定」→「ご注文内容の確認」→「注文完了」というように、目標到達プロセスで設定したステップ1の名前、ステップ2の名前、ステップ3の名前、ステップ4の名前、目標名の順に上から表示されているのがわかる。

ステップ名の下の数字は訪問数

この各ステップ名と目標名の直下にある数字はそのページの訪問数で、「商品詳細」→「ショッピングカート」→「ご注文方法の指定」と進むにつれて、訪問数が減っていくのがわかる。

矢印の数字が移動率

ここで、次のステップへの移動率に当たる部分が、各ステップの間を結ぶ矢印の部分にある数字(図8黒枠部分)だ。たとえば図8では、最後の「ご注文内容の確認」→「注文完了」のステップで12.22%が離脱していることがわかる(図8一番下の黒枠部分が87.78%なので)。

チェックすべきは移動率が低い箇所

この閲覧ページ移動図を見て、移動率が想定以上に低いところがないかを確認しよう。そして、自分でページを再確認したり、ユーザーテストを行ったりして、ページの改修ができないかを考えてみよう。

閲覧ページ移動図の数字の流れを把握しよう

閲覧ページ移動図に表示されている数字の流れについて解説しておこう。

流入元は、上と左

各ステップの流入元となっているのは、そのステップの「上」と「左」である。つまり、「上の数字(訪問数)」(図8黒枠部分)と、「左の数字(訪問数)」(図8青枠部分)を合計したものが、「各ステップの数字(訪問数)」(図8赤枠部分)になる。

図8で言えば、ステップ1の「商品詳細」は、それより前のステップがないので「上の数字」はない。したがって、「左の数字」である12,685訪問(図8一番上の青枠部分)が、そのままステップ1の「商品詳細」の訪問数12,685訪問になっている(図8一番上の赤枠部分)。

次の第2ステップ「ショッピングカート」では、前のステップから進んできた「上の数字」である470訪問(図8一番上の黒枠部分)と、ここへ初めて流入した「左の数字」である0訪問(図8上から2番目の青枠部分)の合計が、「このステップの数字」470訪問になっている(図8上から2番目の赤枠部分)。

流出先は、下と右

一方、「各ステップの数字(訪問数)」は、その後に次のステップに進んだものと、そこで脇道へ逸れたものに分かれる。

ステップ1の「商品詳細」の訪問数12,685(図8一番上の赤枠部分)は、次のステップへ進んだ470訪問(図8一番上の黒枠部分)と、別のページへ行ってしまった残りの12,215訪問(図8一番上の緑枠部分)に枝分かれしている。

また、ステップ2の「ショッピングカート」の訪問数470(図8上から2番目の赤枠部分)は、次のステップへ進んだ251訪問(図8上から2番目の黒枠部分)と、別のページへ行ってしまった残りの219訪問(図8上から2番目の緑枠部分)に枝分かれしている。

一般化して表現すると、次のようになる。

  • 「左の数字」(図8青枠部分)は、そのステップから初めて流入した訪問数(目標到達プロセスに指定したステップ以外からの流入)
  • 「右の数字」(図8緑枠部分)は、そのステップから次のステップに行かずに出ていった訪問数
  • 「各ステップの数字」(図8赤枠部分)は、そのステップを通過した訪問数
  • 「各ステップをつなぐ矢印の数字」(図8黒枠部分)は、前のステップから次のステップへ進んだ訪問数

[目標達成プロセス]レポートを見る際の注意

「目標到達プロセス」のコンバージョン率を見る際の注意点

[目標達成プロセス]レポートには、コンバージョン率が2か所表示されている。このコンバージョン率を見る際に、注意すべき点がある。「目標到達プロセス」のコンバージョン率(図8赤丸部分)は、レポート上部の「目標のコンバージョン率」(図7青枠部分)とは、一致しないのだ。

これはなぜかというと、レポート上部の「目標のコンバージョン率」(図7青枠部分)は分母がサイト全体の訪問数であるのに対し、「目標到達プロセス」のコンバージョン率(図8赤丸部分)は、この目標と目標までのステップのどれかを1つ以上踏んだ訪問全体(つまり図8青枠部分の数値合計)であるからだ。

今回の例では、「目標到達プロセス」のコンバージョン率の計算式は、

158÷(12,685+0+0+0+0)=1.25%

となる。

「左の数字」と「右の数字」の明細は上位5位だけ

また、この各ステップの左右にある、ページの明細はそれぞれ上位5位だけが表示(図8緑丸部分)されているため、これらの明細の数字を合計しても、全体の数値には合致しない(図8青枠部分)。

「必要な手順」にチェックを入れると、「左の数字」はすべてゼロになる

なお、目標到達プロセスの最初のステップの横にある「必要な手順」(図6赤枠部分)をチェックした「目標」の場合は、途中からの流入はすべてゼロ(図8上から2番目以降の青枠部分)になる

図6:目標到達プロセスの各ステップの設定
図6(再掲):目標到達プロセスの各ステップの設定

これは最初のステップ1を通過することが前提となり、ここを飛ばして途中から流入するものは除くからだ。図8の例はこれに該当しているため、ステップ2以降、途中からの流入を示す「左の数字」がすべて0になっている。

寄り道はOK

ちなみに、この登録ステップは完全にこの流れに沿っていないと含まれないのかというと、そうではない。たとえば、「ステップ1」→「ステップ2」→「ステップ3」→「目標」という流れで「目標」と「目標到達プロセス」を設定している場合、下記のようなステップを通っても、この流れにすべて1カウントされる。つまり寄り道していてもOKなのだ。

「ステップ1」→「登録外のページ」→「ステップ2」→「ステップ3」→「目標」

途中のステップを飛ばしてもカウントされる

また、「ステップ1」→「目標」のようにステップ2とステップ3を飛ばして直接目標を完了した場合でも、ステップ2とステップ3を通過したことになる。つまり、ステップ2とステップ3にも通過した数としてそれぞれに1カウントされるというわけだ。

閲覧の順番も関係ない

さらに、実際閲覧したのが、「ステップ2」→「ステップ1」→「ステップ3」→「目標」であっても、「ステップ1」「ステップ2」「ステップ3」「目標」のそれぞれに1カウントされる。これは、下記公式ヘルプにも書いてあるので、詳しく知りたい方は、下記を参照していただきたい。

最後は大変細かい話になったが、要はこのレポートは、大雑把に次のステップへ進んだかどうかというのを確認し、ボトルネックの改善に役立てればよいということだ。次回はこのレポートを活用するための他の方法も解説する。

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この記事の筆者
ユーザー 衣袋 宏美(株式会社クロス・フュージョン) の写真

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

著書など:
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