Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
今回からは、サイトの目標がどれだけ達成されたのかという観点でデータを見ることのできる「コンバージョン」系のレポート群について見ていく。
以前にも伝えたが、サイトの目標設定というのは、ある意味ではアクセス解析においてもっとも重要なものだともいえる。大切な項目なので、しっかりと理解しておいてほしい。
あらかじめ「目標」を設定しておこう
サイトの成果についてデータを見るためには、管理画面で「目標」を設定しておくことが必要だ。この目標設定に関しては、すでに「プロファイルの目標を設定する[第5回]」で詳しく触れているので、詳細はそちらを参考に設定をしていただきたい。
ただし、現在は公開当時(2012年5月10日)から設定画面が変更されているので、設定プロセスのさわりの部分だけ、ここで最新の画面にあわせて説明しておきたい。
目標設定とは、サイトの成果とユーザーの行動を結びつける形で行う。たとえば、ユーザーからの資料請求をサイトの1つの成果だとしたい場合であれば、ユーザーが資料請求完了後に表示されるページ(サンキューページ)にたどり着いたら「目標達成」と定義する、といった感じで設定をしていけばよい。
目標を設定する手順
まず、グローバルナビゲーションの「アナリティクス設定」をクリックし、管理画面から該当プロファイルの設定画面に入り、「目標」タブを選択(図1赤枠部分)する。ここで「目標を作成」ボタン(図1青枠部分)をクリックする。
- グローバルナビゲーションの[アナリティクス設定]をクリックする
- 「アカウント画面」で、設定したいアカウントをクリックする
- 設定したいプロパティをクリックする
- 設定したいプロファイルをクリックする
- 「目標」タブ(図1赤枠部分)をクリックする
- 「目標を作成」ボタン(図1青枠部分)ボタンをクリックする
すると図2のようになる。
冒頭に挙げた資料請求の例なら、「タイプ」は一番上の「目標」(図2赤枠部分)を選択しよう。「目標」を選択すると、指定したページを通過した場合に目標達成とすることになる。この例では、資料請求完了後に表示されるページを通過することで目標達成とするわけだ。さらに、目標の「名前」(図2青枠部分)を入力し、[次のステップ]ボタン(図2緑枠部分)をクリックして進もう。
「タイプ」は上記の「目標」以外にも従来通り4つの中から選択できる。他のタイプとしては、サイト滞在時間や1訪問あたりのページビュー数、特定のイベントの実行などを目標に指定できる。
「次のステップ」ボタン(図2緑枠部分)をクリックした後は、目標の詳細を設定する画面(図3)が表示される。
「目標」(図3赤枠部分)に、資料請求完了後に表示されるページ(サンキューページ)のURL(ドメイン名は除いてパスとファイル名だけ)を入力し、オプションで目標の金額換算値(図3青枠部分)と目標到達プロセス(図3緑枠部分)を設定する流れだ。
上司など関係者は、「コンバージョン率」といった専門用語よりも、「いくらの成果に結びつきました」といった金額ベースの報告の方が共通言語として理解しやすく、興味を持ってもらえるので、目標の金額換算値(図3青枠部分)もしっかり設定しておくのがお薦めだ。
目標が複数ある場合は、この目標登録の作業を目標ごとに行おう。設定する項目は、「プロファイルの目標を設定する[第5回]」で以前解説した内容と基本的には変わっていないので、そちらの内容に沿って設定をおこなってほしい。
これでコンバージョン計測のための準備は完了だ。コンバージョン系レポートで出てくる目標完了(コンバージョン)数やコンバージョン率の定義に関しては、既出の記事ですでに解説してあるので、こちらも参照しておいてほしい。
- 成果についての全体把握は[コンバージョン]>[目標]>[サマリー]レポートから
- コンバージョン率を確認したい場合は?
成果についての全体把握は[コンバージョン]>[目標]>[サマリー]レポートから
それでは[コンバージョン]>[目標]>[サマリー]レポート(図4、図5)から見ていこう。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[目標]をクリックし、[サマリー]をクリックする
レポート上部の折れ線グラフ(図4赤枠部分)は、デフォルトでは、目標設定した目標すべての目標完了数合計を日別に表示している。
その下に表示されている指標(図4青枠部分)は、
- 目標の完了数
- 目標値
- コンバージョン率
- 目標全体の放棄率
- 各目標の完了数
が表示されている。つまり、成果全体の金額換算値と全体のコンバージョン率に加え、各目標の達成数を概観できる。成果についての全体把握はまずこのレポートを見よう。
レポート下部(図5)は、「目標の完了の場所」が選択されており(図5赤枠部分)、右側にその各目標別の目標達成の数(目標の完了数)と、完了数全体に占めるそれぞれの割合(目標の完了数(%))が表示されている(図5青枠部分)。目標が複数設定されている場合に、各目標達成箇所の絶対的評価と相対評価の2つが同時にできるというわけだ。
図5で、もう1つのディメンションである「参照元/メディア」(図5緑枠部分)を選択すると、図6のように、参照元/メディア別の成果の明細を確認できる。
それぞれの「参照元/メディア」別の訪問数は分からないので、各「参照元/メディア」別のコンバージョン率はわからないが、訪問経路ごとの成果のボリューム感はこれで確認できる。
コンバージョン率を確認したい場合は?
コンバージョン率などの指標も確認したい場合は、「コンバージョン」レポートではなく「トラフィック」レポートを使う。[トラフィック]>[参照元]>[すべてのトラフィック]レポート(図7)で、「目標セット」の指標グループを選択(図7青枠部分)してデータをみよう。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[トラフィック]をクリックする
- メニューが開くので、[参照元]をクリックし、[すべてのトラフィック]をクリックする
- 「目標セット」をクリックする
図8がその結果だ。こちらは各目標別の目標達成数は表示されていないが、「訪問数」「コンバージョン率」「平均目標値」という全体の指標群(図8赤枠部分)と、各目標別のコンバージョン率(図8青枠部分)を見ることができる。目的に応じて使い分けてほしい。
- 見たい目標を絞り込むには?
- 全体と個別の目標完了数と目標値を一覧するには?
見たい目標を絞り込むには?
[コンバージョン]>[目標]>[サマリー]レポートに戻る。
デフォルトでは設定したすべての目標の合計が表示されている。ここから、目標を絞り込んでレポートを見たい場合には、[すべての目標]ボタン(図4緑枠部分、図9赤枠部分)をクリックしよう。すると、設定してある目標群が表示される(図9青枠部分)。ここで見たい目標を選択して絞り込むことが可能だ。
個々の目標達成状況を日別の推移で追いかけてみたい場合には、このように特定の目標を選択して絞り込んでみよう。折れ線グラフで日別の推移を見ることができる。
全体と個別の目標完了数と目標値を一覧するには?
[コンバージョン]>[目標]>[サマリー]レポート下部の「レポート全体を見る」(図5黒枠部分)を選択すると、[コンバージョン]>[目標]>[目標URL]レポートに移動する(図10)。このレポートは、すべての目標の合計および各目標別に、「目標の完了数」と「目標値」が表示される(図10黒枠部分)。
「サマリー」レポートでは各目標別の「目標値」の表示がなかったが、このレポートではその各目標別の「目標値」情報が加わる。全体と各目標別の成果数と金額の概要をつかむには、このレポートを見てみよう。
次回は目標到達へのボトルネックがどこにあるのかを調べるための方法について解説する。
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オリジナル記事:サイトの目標達成を確認するための基本的なレポートの使い方[第55回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum
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