Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
前回はサイト内検索関係のレポートを見るための準備と、全体に占めるサイト内検索の利用割合、検索クエリ別の指標の活用方法について話をした。今回はその続きで、サイト内検索クエリを具体的にどうサイト改善に役立てていくかを見ていこう。取り上げるのは、以下の3つの方法である。
- 再検索キーワードから改善策を考える方法
- サイト内検索を利用したページをヒントに改善策を考える方法
- 検索エンジンの検索キーワードとサイト内検索キーワードの比較から考える改善方法
再検索キーワードから改善策を考える方法
サイト内検索のレポート群を具体的に活用するには、全体の数値を見ても仕方がない。個別の検索クエリ別に見ていくことが大事だ。
まず[コンテンツ]>[サイト内検索]>[サイト内クエリ]レポートの「検索クエリ」の項目の1つ(図1赤枠部分)をクリックしよう。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[コンテンツ]をクリックする
- メニューが開くので、[サイト内検索]をクリックし、[サイト内クエリ]をクリックする
- 「検索クエリ」の項目のどれか1つ(図1赤枠部分)ををクリックする
すると、図2のようにドリルダウンされる。
プライマリディメンションは、デフォルトでは「リンク先ページ」(図2赤枠部分)が選択されており、このサイト内検索の結果ページのURL(図2青枠部分)が表示されている。
例として挙げているサイトでは、検索結果画面のページのURLは「/?s=検索クエリ」というパターンなので、「サイト内クエリ」レポートは、そのリンク先ページ(検索結果画面のページ)だけ(図2青枠部分)に絞り込まれている。右側の各指標データ(図2緑枠部分)は、図1青枠部分と同じデータで、新しい情報はない。
プライマリディメンションで「再検索キーワード」をクリックしてみよう
ここでは、もう1つのプライマリディメンションである「再検索キーワード」を選択(図3赤枠部分)するのがポイントだ。今回の例では、「gaiq」と検索した後に、何のキーワードで検索しているかを調べてみよう、というわけだ。すると図3のように再検索キーワードが表示(図3青枠部分)される。
このケースでは「gaiq」とサイト内検索した後に、続いて「seo」(図3青枠部分)とサイト内検索されたことがわかる。そして、その検索クエリに対する各指標もその横に表示(図3緑枠部分)されている。
再検索キーワードから想像できる4つの行動パターン
最初の検索クエリと再検索キーワードからは、下記の行動パターンが想像される。
最初の検索クエリが大雑把過ぎて検索結果のリストが膨大だった。そのため、もっと細かい検索クエリで再検索した
最初の検索クエリが細か過ぎて、検索結果のリストが0件(あるいは非常に少なく、探しているページがなさそう)だった。そのため、もっと大雑把な検索クエリで再検索した
最初の検索クエリが細か過ぎて、検索結果のリストが0件(あるいは非常に少なく、探しているページがなさそう)だった。そのため、同義語の別の検索クエリで再検索した
最初の検索クエリが細か過ぎて、検索結果のリストが0件(あるいは非常に少なく、探しているページがなさそう)だった。そのため、あきらめての別の探し物のために、別の検索クエリで再検索した
図1~図3の例では、最初の検索クエリが「gaiq」、次の検索クエリが「seo」とお互いの検索クエリの関連性が低いので、上記4のパターンなのではないかと想像する。このようにユーザーの行動から意図を想像して、それに応えられるようなサイトの改修ができるかどうかを検討するのがよいだろう。
パターン別対策の考え方
個々のクエリの再検索キーワードを見てみて、上記パターン別にどのような対策を立てられそうかを考えてみよう。
まず1つ目は、1~3のパターンの場合に、別の検索クエリの候補を提示する機能を追加するチューニングを行うこと。たとえば1のパターンのように、検索結果のリストが膨大な検索クエリが入力された場合は、もっと細かい複合語などの候補も同時に提示するということだ。ただし、この対策が実装できるかどうかは、サイト内検索のシステムに依存する。
サイト内検索システムに手を加えるのが簡単でない場合も多いだろう。そういった場合でも、コンテンツのリニューアルやSEOなどで、コンテンツの分類表示や階層構造に手を加えるチャンスがあれば、分類の細かさをチューニングしたり、分類の際に利用する言葉を類語など含めて検討できないか考えてみよう。
またサイト内検索で「カテゴリ」も利用しているのであれば、同様なアプローチをしよう。図1で「サイト内検索のカテゴリ」のプライマリディメンションを選択(図1緑枠部分)して、カテゴリと検索クエリの関係から同様の分析を試みてみよう。
- どのページで困ってサイト内検索をしたのかを調べる方法
サイト内検索を利用したページをヒントに改善策を考える方法
これまで見てきたのは、サイト内検索で「何を検索したか」を調べるためのレポートだ。次は、「どこで検索をしたか」、つまりどのページで困ってサイト内検索を利用したのかを知るためのレポートを活用しよう。それは[コンテンツ]>[サイト内検索]>[検索ページ分析]レポートを見ればよい。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[コンテンツ]をクリックする
- メニューが開くので、[サイト内検索]をクリックし、[検索ページ分析]をクリックする
このレポートは、上部に折れ線グラフと主要指標が表示(図4)され、下部にデータ一覧表示部(図5)が表示されている。
データ一覧表示部(図5)のプライマリディメンションは、デフォルトで「開始ページ」が選択(図5赤枠部分)されている。このレポートでは検索関係の6つの指標について、サイト内検索をしたページ別に見ることができるということだ。
各ページの検索クエリを見てみよう
[検索ページ分析]レポートを単純に睨んでもあまり得るものはない。実際に各ページでどういう検索クエリをサイト内検索しているのかを見ることが重要だ。
たとえば、図5の「開始ページ」の項目(図5青枠部分)の中の一番上にある「 / 」(トップページ)をクリックしてみた。すると、図6のようにトップページにいたときに検索した言葉(検索クエリ)が一覧表示される。
この例は、トップページでのサイト内検索クエリの一覧になるので、一般的な検索キーワードになっていて、具体的な改善点を考察するには相応しい例ではないが、次のように考察を進めてみよう。あくまでも考え方の一例なので、サイトの実情に応じて問題意識を膨らませてもらいたい。
ある程度のボリュームのあるサイト内検索の開始ページを対象にして、絞り込む
第1階層や第2階層などにある中心的なページを対象に絞り込む(たとえば、ECサイトなどで大分類や中分類の商品カテゴリのトップページなど)
実際対象としてピックアップしたページで、該当のサイト内検索を行い、ユーザーの追体験をする
そのページに検索クエリに関連するリンクがないか確認する。もしあったならなぜユーザーがそれを利用しななかったのかを考察する
そのページに関連リンクや関連カテゴリが配置できる構造にあるか確認する。可能であれば、ページの改修の可能性を検討する。可能でないなら、次回のリニューアル時の宿題としておく
- 検索エンジンの検索キーワードとサイト内検索キーワードを比較する
検索エンジンの検索キーワードとサイト内検索キーワードの比較から考える改善方法
最後に、検索エンジンからの流入時に検索した言葉と、サイト内において検索された言葉の2つを対比することでサイトの施策に役立てる方法をお教えしよう。
「サイト内クエリ」レポートを表示する
まず比較する2つのレポートを表示しよう。
サイト内で検索された言葉のランキングは、[コンテンツ]>[サイト内検索]>[サイト内クエリ]レポート(図1)で確認できる。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[コンテンツ]をクリックする
- メニューが開くので、[サイト内検索]をクリックし、[サイト内クエリ]をクリックする
そして、外部の検索エンジンからの流入時にどういう検索キーワードで検索したのかは、[トラフィック]>[参照元]>[検索]>[オーガニック検索]レポート(図7)だ。同じ期間のレポートを抽出しよう。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[トラフィック]をクリックする
- メニューが開くので、[参照元]をクリックする
- [検索]をクリックし、[オーガニック検索]をクリックする
残念ながら、筆者が運営するこのサイトは、そもそもサイト内検索のボリュームが少ないし、また検索エンジンの流入時における検索キーワードは「(not provided)」、つまり不明の割合が極端に高く、精度が低いという難点がある。ここでもどのように考えるかということを中心に解説を進めていきたい。
検索キーワード比較の進め方
まずは図1と図7のように同期間の2つのレポートから、上位100位程度までのデータを出力しよう。厳密にいうと、図7のオーガニック検索の方は、サイト運営会社名や商品などのブランド名、サイト名など明らかに指名で来ている検索キーワードはあらかじめ対象外にしておくとよい。著名なサイトだと、上位の検索キーワードはこういったブランドワードで占められている可能性が高いので、まずはこれらを対象から除いたうえで以降の考察を進めていただきたい。
そして、各検索キーワードの特徴によって、次の2つのパターンに該当するものをそれぞれ抽出する。
パターンA: 検索キーワードもサイト内検索クエリもボリュームが多いもの
パターンB: 検索キーワードは少ないが、サイト内検索クエリは多いもの
次に、それぞれのパターンはどのような状態かを考えてみよう。
上記のパターンAに対応する状態: 検索エンジンに該当の検索キーワードで上位表示されて流入が多く、かつサイト内でも検索対象となりニーズが高い
上記のパターンBに対応する状態: 検索エンジンに該当の検索キーワードで上位表示されていないため流入は少ないが、サイト内では検索対象となりニーズが高い
ここから次のようにサイト内外で可能な施策ができないか検討してみてはいかがだろう。
- パターンBに合致する言葉は、短期的には強制的な流入を誘導することで、ユーザーニーズを充足する可能性があるので、検索連動型広告のキーワード候補として検討する
- パターンBに合致する言葉は、中期的には検索エンジン対策のために、該当する検索キーワードに関連するコンテンツを充実させることを検討する
- パターンAあるいはパターンBのどちらかに該当し、かつそのサイトで重要な言葉があれば、テキストリンクを増やすなどのサイト内のリンク構造を充実させることを検討する
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オリジナル記事:サイト内検索のレポートデータを使った3つのサイト改善方法[第54回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum
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