Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
前回はAdWordsキャンペーンの成果を次のように確認する方法をご紹介した。
- 「モバイル」「タブレット」などユーザーの利用環境の軸
- 「キャンペーン」「広告グループ」「キーワード」「広告のコンテンツ」などの分類軸
- かつ、「利用状況」「目標セット」「eコマース」「クリック」の指標グループとの掛け合わせ
今回は、広告らしい別の軸で成果を精査する2つの方法をご紹介したい。
1つ目は時間帯や曜日別の成果いう軸だ。AdWordsでは、「キャンペーン」レベルでこういったターゲティングを指定できるので、広告予算が限られている場合は、効果が低かったり、成果が出ていなかったりする時間帯や曜日を避けて運用するということもあるだろう。
2つ目に紹介するのは、掲載位置による成果の確認だ。商材によっては、最上位に検索連動型広告を掲載することが成果につながっているとは限らない場合もあるだろう。そのような場合、「無理に入札価格を上げて広告での1位表示を狙うことはしない」といったコントロールが必要かどうかの検討材料にしてみよう。
時間別の成果を確認するには?
では、まず時間別の成果を確認する方法を解説しよう。それには[トラフィック]>[広告]>[AdWords]>[時間別]レポートを使う。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[トラフィック]をクリックする
- メニューが開くので、[広告]をクリックし、[AdWords]をクリックする
- [時間別]をクリックする
本レポートは上部に折れ線グラフの表示(図1)、下部にデータ一覧表示部(図2)のある標準的なレポートだ。
上部のグラフは通常の日別の表示ではなく、集計対象期間全体を時間帯別にまとめたグラフ(図1赤枠部分)になっている。
もちろん下部の一覧表示部も、集計対象期間全体を時間別で各指標を見ることができる形式になっている。図2青枠部分の「00」「01」「02」「03」「04」「05」は、それぞれ、0時、1時、2時、3時、4時、5時を表している。
「指標グループ」は、デフォルトでは「利用状況」が選択(図1青枠部分)されているが、「目標セット」や「eコマース」を選択することもできる。
曜日別の成果を確認するには?
[時間別レポート](図1、図2)のプライマリディメンションは、デフォルトで「時」(図2赤枠部分)になっているが、ここで「曜日」を選択(図3赤枠部分)すれば、図3のように、集計対象期間全体を曜日別でまとめて集計してくれる。
「曜日」の ディメンション値 | 対応する曜日 |
---|---|
0 | 日曜日 |
1 | 月曜日 |
2 | 火曜日 |
3 | 水曜日 |
4 | 木曜日 |
5 | 金曜日 |
6 | 土曜日 |
曜日を選択したにもかかわらず、数字が表示されているが(図3青枠)、エラーではない。曜日のディメンションの値には、0から6という番号が付与されているのだ。これは右に示した表のように対応しているので、読み替えが必要だ。
なお、集計対象期間のデータを、時間別や曜日別にまとめあげてくれる集計は他の標準的なレポートでは用意されていない。ありそうでないのだ。こういった集計を行う場合はカスタムレポートを自分で作るしかないが、ここでは詳しい作成方法は省略する。
AdWordsキャンペーンの効率を見るには?
さて、デフォルトで表示されている「利用状況」指標グループでは、ボリュームを表す「訪問数」という指標や、訪問者の質をうかがい知るための「収益」(売上のこと)という指標が表示されているが(図1再掲)、これだけでは、今ひとつピンとこない。
AdWordsも広告であるからには、「量」や「質」だけでなく、その相関である「効率」を表す指標があれば見てみたいところだ。そこで「効率」を表す「コンバージョン率」を表示してみることにしよう。
「eコマース」指標グループ(図4赤枠部分)を選択する。その上で、グラフ上部の[訪問数 対 指標を選択]の部分をクリックして「eコマースのコンバージョン率」を選ぶことでグラフに重ねて表示し(図4青枠部分)、AdWordsの成果を「量(訪問数)」と「効率(コンバージョン率)」の両面から眺めてみよう。
AdWordsからの「訪問数」にクリック単価を掛けると費用が算出される。よって、この訪問ベースのコンバージョン率が低いと、相対的に投資対効果が低いということになるので、コンバージョン率が低い時間帯は広告掲載しないといった判断に利用できるだろう。
図4、図5の例では、深夜のコンバージョン率は高めだが、そもそも成果のボリュームが少ない(図5赤枠部分)といった問題があることがわかる。この例では、全般的に見ても効果の明らかに上がったり落ちたりする時間帯が顕著に出ていると断定するのは難しい。そもそも商品別、カテゴリ別などによってキャンペーンを区別しているだろうから、効率を精査するには、単純に全体を見るのではなく、キャンペーン名などでセグメントをかけるといった工夫も必要になるだろう。
- 掲載順位ごとのデータを確認するには?
掲載順位ごとのデータを確認するには?
次は[トラフィック]>[広告]>[AdWords]>[キーワードの掲載順位]レポートを見ていこう。本レポートは上部に折れ線グラフの表示(図6)、下部にデータ一覧表示部(図7)のあるレポートだ。「エクスプローラ」タブ直下の指標グループは、デフォルトで「利用状況」が選択(図6赤枠部分)されている。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[トラフィック]をクリックする
- メニューが開くので、[広告]をクリックし、[AdWords]をクリックする
- [キーワードの掲載順位]をクリックする
この[キーワードの掲載順位]レポートは、レポート下部の一覧表示部で、AdWordsのキーワードが判別できたデータ((not set)を除いて)に絞って、各キーワードの広告が実際にどのポジションに掲載されていたのかを見ることができる。なお、ここでいう「キーワード」とは、実際にユーザーが検索エンジンで入力した検索語を意味する「検索クエリ」ではなく、AdWordsの広告グループに設定した(入札した)語句やフレーズのことだ。
レポート下部の一覧表示部は図7のようになっている。左側にキーワードが一覧表示されているので、その中の1つ(図7青枠部分)をクリックして選択してみよう。キーワードを選択することで、右下にコメントが記載されている(図7赤枠部分)ように、広告掲載順位別の結果を見ることができるのだ。
すると、図8のように該当キーワードの部分が強調(図8赤枠部分)され、画面右側の欄に、広告の掲載位置別訪問数(広告のクリック数)が表示される。
Google検索結果画面の上部に掲載される広告は図8青枠部分に、検索結果画面の右側に掲載される広告については図8緑枠部分に表示されている。
図8の例では指標が「訪問数」(図8黄枠部分)なので、青枠内の数字と緑枠内の数字の合計は、このキーワードの全体の数字である「2,834」訪問(図8黒枠部分)に合致している。
たとえば、選択したキーワードはそのままにして、右上のプルダウンメニュー(図8紫枠部分、図9赤枠部分)で「直帰率」を選択した画面の右側部分が図9だ。この操作により、このキーワードの掲載位置別の「訪問」による「直帰率」を表示させることができる。
ここで見ることができる指標は、「直帰率」以外にも、「訪問別ページビュー」「訪問時の平均滞在時間」「新規訪問の割合」などがあり、訪問の質をさまざまな角度から検証することができる(図10)。
さらに「利用状況」指標グループの他に「目標セット」や「eコマース」指標グループも選択できる(図6再掲青枠部分)ので、別の指標による視点で見ることもできる。
たとえば、「eコマース」指標グループを選択して、プルダウンメニューから、eコマーストラッキング特有の「収益」「トランザクション数」「平均値」「eコマースのコンバージョン率」「平均訪問単価」(図11赤枠部分)といった指標が選択できるようになる。
図11は、掲載位置別の「訪問数」とその「eコマースのコンバージョン率」を表示した画面だ。この例では、掲載位置によってコンバージョン率が大きく変動している(図11青枠部分)ことがわかる。
これらの指標(図11赤枠部分)を使って、キーワードを昇順・降順に並び替えたり、キーワードごとに広告掲載位置別の指標を見たり(図11青枠部分)することができるようになるので、どんどん試してみよう。
掲載順位は、入札価格と品質スコアの掛け算によって決まるため、コントロールできない部分はあるが、順位を無理に上げても成果に結びつかないことがわかれば、それは重要な情報になるだろう。
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オリジナル記事:AdWordsキャンペーンの効果を時間別・曜日別・掲載順位別にアナリティクスで確認する方法[第48回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum
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