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サイトの更新時刻について、これぞ!といった決定方法ってあるのでしょうか? [誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック] | Web担当者Forum

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誰もが受けたい!アクセス解析5分クリニック
丸山先生
医者:丸山先生(35歳・男)
当クリニックの代表。
来栖あきら
研修医:来栖あきら(25歳・男)
イケメンの研修医。
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研修医:綾瀬ゆい(25歳・女)
優しい天然ボケの研修医。

ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る

今回のお悩み
サイトの更新時刻について、これぞ!といった決定方法ってあるのでしょうか?

※2012-07-30 15:20 今回のお悩みタイトルに関して、本文に沿って文言を修正しました。

「期待」や「不安」を整理しよう

私のサイト、見にくる人の数がピークになる時間帯が、お昼なんです。きっとお昼休みに見ているのだと思います。それを知ってからというもの、記事の更新時刻の決定にどうしても悩んでしまって……。

なんで? お昼がピークなら、午前中に更新すればいいんじゃないかな? それだと何か問題があるの?

問題があるわけではないんですが、できればたくさんの人に記事を見てもらいたいし、当然、効果的なタイミングを狙いたいし、いろいろ不安な感じが残るんです。

なるほど。結論からいうと、記事を公開するのがどの時間帯がいいのか決定する「これぞ!」という方法は……ない。でも、ざっくりと判断する方法はあるから、それを紹介しよう。

でもその前に、どうやら綾瀬さんのなかには、複数の「期待」と「不安」が入り交じっているようだね。それを1つずつ明確にしていないから、不安が消えずに決定できないんだよ。せっかくだから整理してみようか。

たぶん、ゆいは、次の2つの「期待」を持っていると思います。まず「できるだけ、たくさんの人に記事を見てもらいたい」、そして「記事中の広告リンクをたくさんクリックしてもらいたい」ということ。

そうね、そのとおりだわ。でもよく考えると、「不安」もあるかな。「記事が古くなるほど、記事を見てもらえなくなるのではないか?」「記事をアップする時間帯によって、検索エンジンの表示に影響があるのではないか?」というのが不安なのよ。

いいね。決定できない事柄に対して、漠然とした期待や不安を整理していくと、突破口が見つかりやすくなるよ。これは持ち家を購入するべきか否か、といった問題にも似ているね(笑)。先ほどあがった内容を整理してみると、以下のようになる。

記事の更新時刻に関する期待と不安
気になること 更新時刻との関連 理由
たくさんの人が記事を見るか? YES 更新時刻が昼過ぎだと見てくれる人が減りそう
記事中の広告リンクをクリックしてくれるか? NO 関係ない
古い記事は見てもらえなくなるのでは? おそらくYES 古い記事よりは新しい記事のほうが良いと思われる
検索エンジンの表示に影響があるのでは? おそらくYES 検索にいつ、どのように表示されるかは更新時刻と関連がある。※しかしそれはGoogleが決めるのでコントロールは不可能

仮説は正しいのか?

ところで、先ほどの表を見ると「おそらくYES」という項目が2つあるね。これは、確証がないからだ。確証がない以上は、検証してみなくてはならないけど、テストしてみる気はあるかい?

手間もかかるし、悪影響が出るかもしれないので、テストするのは怖いです。先生の「おすすめの更新時刻」だけ教えてください。

それは僕にもわからないよ(笑)。マーケティングに絶対の正解はないからね。もしテストをする気がないなら、想定で「エイヤ!」と実施時間を決めてやるしかないよ。

そんな……。なんとかなりませんか?

今までのデータから、ざっくりと推測することはできるかもしれない。今回は「相関」を使ってみよう。

相関を探る

「古い記事は人気がなくなる」ということを検証するために、今までの記事の経過時間と閲覧数の関係を探ってみよう。こんな風な表は作れるかい?

表1:経過時間と各記事の閲覧数との関係
表1:経過時間と各記事の閲覧数との関係

はい、作ってみました。

表2:経過時間と各記事の閲覧数との関係(完成イメージ)
表2:経過時間と各記事の閲覧数との関係(完成イメージ)

それでは、その表からエクセルの散布図を作ってみよう。表全体を選んで「挿入」→「グラフ」→「散布図」だ。何か法則性は感じるかな?

若干右肩下がりは共通ですが、何も法則性がないと思います。

表2の散布図
表2の散布図

そうだね。実は、今回のデータ収集方法は間違っている。なぜかというと、各データに余計な要素が入り込んでいるんだ。実は記事A、記事B、記事Cのデータは以下の表のようになっていた。

記事名 状態
記事A AM10:00に更新したスタンダードな記事
記事B AM8:00に更新したイレギュラーな記事(そのためお昼時に閲覧数のピークが来た)
記事C 更新後しばらくしてYahoo!ニュースに取り上げられアクセスを集めた記事

相関を考えるときは、なるべく、余計な要因を排除したデータで調べるのが望ましい。バナーの表示位置も閲覧数に影響してくるし、他にキャッチーな記事があったかどうかも影響する。さらに昼にアクセス数がピークになることがわかっているのだから、その要素も排除したい。

……ごちゃごちゃしていて、よくわかりません。

ようは、派手なイベントがあった日や記事を選ぶとよくないということだ。他の要因が大きすぎるからね。なるべく安定して10時間くらいはずっと表示同じ条件だった記事で調べよう。選んだら、こんな表を作ろう。人気があった記事とそうでもない記事の差を吸収して確認できるように、閲覧数から閲覧率に変えている。

表3:経過時間と各記事の閲覧率との関係
表3:経過時間と各記事の閲覧率との関係

作りました。散布図も作りました。

表4:経過時間と各記事の閲覧率との関係(完成イメージ)
表4:経過時間と各記事の閲覧率との関係(完成イメージ)
表4の散布図
表4の散布図

見事に、全体が右肩下がりになっているね。

ということは、この表を見る限り、記事の更新経過時間と、記事の閲覧率は相関がある可能性が高い。

相関ってなんですか?

文字どおり、二者の間には関連性があるということだよ。

もちろん、ここでは厳密に相関係数を出しているわけではないし、これでわかるのは「サイトに来た人」の行動だけで、ソーシャルメディアやRSSフィードから来る人の影響がどうなっているかはわからない。つまり、このデータだけですべてがわかるわけではないんだ。でも、「どうやら記事公開から時間が過ぎるにつれて見る人が減っているようだ」というざっくりとした傾向が見られるよね。

相関関係≠因果関係

ということは、記事の閲覧数を増やすには、記事の新しさが大切なのですね!

いや、そうではない。相関関係があるというのは、あくまで関連性があるということで、因果関係とは違うんだ。

どういうことですか?

たとえば、記事が新しい場合、みんながTwitterで拡散しやすいとするよね? だとすると、閲覧数が伸びているのは、そのTwitterのせいかもしれないんだ。

つまり、「相関がある」というのは、「二者の間に関連はあるけれども、その理由は違うところにあるかもしれないよ」、ということだ。

へー。なんだか難しいですが、とにかく記事は公開してから時間がたつにつれて閲覧数が減っていく傾向にあるようだ、ということにはかわりないですね。

そうだね。「どんな理由でそうなっているのか」の因果関係は別途調べるとしても、ゆいさんの最初の懸念であった「古い記事は見てもらえなくなる→おそらくYES」は、当たっているようだね。

だから結論としては、見にくる人が多い12時ごろにサイトを更新するのが良いのではないだろうかと思われる。しばらくそうしてみて、またデータを調べてみるのがいいだろう。

まとめ

綾瀬さんは、記事の更新時刻に関して「期待」と「不安」があった。それを整理すると、以下の表のようになる。

気になること 更新時刻との関連 理由
たくさんの人が記事を見るか? YES 更新時刻が昼過ぎだと見てくれる人が減る
記事中の広告リンクをクリックしてくれるか? NO 関係ない
古い記事は見てもらえなくなるのでは? YES 古い記事よりは新しい記事のほうが閲覧率が高い傾向があった
検索エンジンの表示に影響があるのでは? おそらくYES 検索にいつ、どのように表示されるかは更新時刻と関連がある。※しかしそれはGoogleが決めるのでコントロールは不可能

今日は「おそらくYES」、つまり何か関連性がありそうなものに確証を持つ方法として「相関」を使った。相関はエクセル表を作り、散布図を書くだけで、二者間の関連が予想できるので便利だ。まったく関連性がなさそうに思えてみたものも、散布図(相関図)を書いてみると意外な発見があることもある。ぜひ覚えておこう。

ちなみに、記事公開からの時間と検索エンジンの表示の関係に関しては、検索エンジンはそういう仕組みを明らかにしていないため、テストしてみないとわからない。しかも、検索エンジンは日々進化するので、今の検証結果がその後も影響するかはわからない。そもそもこれはアクセス解析ではなくSEO(検索エンジン最適化)の領域だから、ここでは詳しく扱わなかった。検索エンジンが綾瀬さんのサイトの多大な影響を及ぼしてるのでなければ、気にしないと決めてもよいだろう。

とりあえず今回は、何か決定できない事項があるなら、「まずその事柄に関する不安や期待を明確にする」「そのなかで、おそらく関連があると感じたものには相関を探ってみる」という手順を覚えておこう。

ただし、相関を探る段階で注意してほしいことがある。というのも、「相関があるはずだ」という思い込みに合う結果になるようにデータを加工してしまう場合があるからだ。データはあくまでも仮説を検証するために使うものだし、場合によっては手元のデータからは結論を出せない場合もあるということを忘れないようにしてほしい。

また、ここで紹介した「相関」は、あくまでもざっくりとした傾向をつかむために見ているので、統計の厳密な計算をしているわけではないことを理解しておいてほしい。もし興味があれば、統計学における「相関」について調べてみるといいだろう。

今日の処方箋

お悩みサイトの更新時刻について、これぞ!といった決定方法ってあるのでしょうか?

アドバイスこういった事柄を決定するには、逆に「なぜ決定できないのか」を明確にする必要があります。とにかくまず、自分が感じている不安や期待を全部書き出します。その1つ1つについて検証していけば、覚悟を決めて決定できるようになりますよ。 以下の3ステップで進めましょう。

  1. 1 【1分】 なぜ更新時刻を決められないのか?その期待と不安を書き出す
    • 検索エンジンを恐れている
    • 記事の古さと更新時刻の関連に不安がある

    など、全部書き出してみましょう。

  2. 2 3 【2分】 洗い出した不安と期待を1つずつ検証していく

    その不安や期待が、どれだけ「更新時刻を決める」という決定事項に影響しているのか、1つずつ検証していきます。

  3. 4 5 【2分】 「2に影響していそうだけど、関連性が疑わしい項目」は、散布図を作って確認
    1. エクセルにまず2行を確保します。
    2. 上の行に、関連していると思う項目の1つを記入します(例:記事アップからの経過時間)。
    3. 下の行に、もう1つの項目を記入します(例:記事Aの閲覧率)。
    4. さらにその下に、3とほぼ同条件のデータを追加し、これを繰り返します(例:記事X、記事Y、記事Z……の閲覧率)。
    5. データを記入したら表から散布図を作って、関連性を確認します。

※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作

丸山耕二(ホームページ診断クリニック.com)
「ホームページ診断クリニック.com」代表。大手SIERのシステムエンジニア、SEOコンサルティング会社を経て独立。現在はアクセス解析を中心とした成約率アップコンサルティング業務を手がける。2009年よりGoogle Analytics英語版の認定資格(GAIQ)を取得。難しいアクセス解析を楽しく伝えるをモットーに“Web業界の池上彰”を目指し活動中。

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