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グーグル、カーナビ、DS、フィギュア……7つの事例でわかるARの応用パターン(第2回) [Web担当者のためのAR(拡張現実)] | Web担当者Forum

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Web担当者のためのAR

前回は、そもそもAR(拡張現実)とは何かという基本を紹介した。今回はARを利用するとどんなことができるのか、実際の活用事例を中心に紹介していく。

この記事で紹介する事例
  1. Google開発のメガネ型コンピュータ「Project Glass」
  2. 現実の風景上でナビするARカーナビ
  3. 現実世界がゲームの舞台に
  4. 専用アプリと連携するハイブリッドフィギュア
  5. ARで実現する体験型イベント
  6. 新聞、雑誌から飛び出すAR広告
  7. 専用アプリを用いた企業キャンペーン

1. Google開発のメガネ型コンピュータ「Project Glass」

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Project Glass
Project Glass
※写真提供グーグル

写真の女性がかけているのは、Google X Labが現在開発中のメガネ型コンピュータ「Project Glass(プロジェクト・グラス)」だ。ドラゴンボールの「スカウター」を思いだしてしまう。このメガネをかけて実現する世界がどんなものかは、YouTubeにアップされているビデオを見ればすぐにわかるだろう。

自宅の窓から外を見上げると天気予報が表示されたり、地下鉄の駅に行くと「地下鉄はいま不通です。歩いて行くルートはこちら」と言って道案内してくれたり、街で気に入ったアーティストのコンサートのポスターを目にして「このコンサートに行こうかな」と独り言を言うと、Googleカレンダーにスケジュールを入れてくれたりする。これはまだ開発中だが、Googleの思い描く未来はこんな感じのものだ。

グーグルが開発中のProject Glass

2.現実の風景上でナビするARカーナビ

パイオニアのカーナビ「サイバーナビ AVIC-VH99HUD」と「AVIC-ZH99HUD」は車載用のヘッドアップディズプレイを使い、フロントガラスの先にある実際の風景上にAR情報を投影するカーナビだ。

普通のカーナビは専用ディスプレイの中の地図と音声で「300m先、右方向です」などと案内をしてくれるのだが、このカーナビはそれに加えて、フロントガラスの3メートル先にグラフィカルな情報がでてくるように表示する。

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ARカーナビ
フロントガラスの先にAR情報を表示するカーナビ
http://pioneer.jp/carrozzeria/cybernavi/avic-vh99hud_avic-zh99hud/

3.現実世界がゲームの舞台に

任天堂のゲーム機「ニンテンドー3DS」に内蔵されているカメラを使って遊ぶのがニンテンドー3DSダウンロードソフト「ポケモンARサーチャー」だ。ニンテンドー3DSのカメラを使って、自分の部屋やいろいろな所で、さまざまな場所にカメラを向けることで、そこにポケモンが登場するのだ。現実世界を舞台に、ゲームを楽しむことができる。

ニンテンドー3DSのカメラとジャイロセンサー機能を使って、実際にポケモンがすぐそこにいるかのような、臨場感のある体感シューティングを楽しめる。

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ポケモンARサーチャー
現実の映像の中にポケモンを表示させて捕まえる「ポケモンARサーチャー」
http://www.pokemon.co.jp/ex/ar_searcher/
(C)2012 Pokemon. (C)1995-2012 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
POKEMON AR SEARCHER game developed by Creatures Inc. and GAME FREAK inc.
ポケモン・Pokemonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
ニンテンドー3DSのロゴ・ニンテンドー3DSは任天堂の商標です。

この他、任天堂ではニンテンドー3DSのカメラを使うゲームにARを多く取り入れている。たとえば、「新・光神話 パルテナの鏡」ではARのトリガーとなるカードのセットを販売しており、これを利用してゲームができるようになっている。ニンテンドー3DS以外に、PlayStation VitaにもARカードを使ってゲームをする機能が入っている。

ゲームの世界でARが一般的になれば、手元にある端末を対象物にかざして情報を得る、ということがもっともっと一般的になっていくだろう。

4.専用アプリと連携するハイブリッドフィギュア

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フィギュアを専用アプリのHYBRID GRADE ARで映すと映像や音声が流れる
フィギュアを専用アプリのHYBRID GRADE ARで映すと映像や音声が流れる

ガチャガチャで買うフィギュアにもAR機能が付いたものがある。「HYBRID GRADE(ハイブリッドグレード)」は、ガチャガチャで買える仮面ライダーやONEPIECEなどのフィギュアに、App StoreやGoogle Playでダウンロードできるアプリ「HYBRID GRADE AR」をかざして楽しむものだ。たとえば、仮面ライダーなら変身シーンが映し出される。

実際の利用シーンをユーザーがアップしたビデオがYouTubeに上がっている。これもまたエンターテインメントの新しいカタチなのである。

5. ARで実現する体験型イベント

日本でARが話題になりはじめたころからずっと活動している「AR三兄弟」は、ARを使ったイベントをプロデュースしている。

大阪の梅田に2012年秋にグランドオープンしたうめだ阪急の祝祭広場という会場では、あたかも自分がオーケストラを指揮しているかのように見えるというイベントを実施した。

整理券をもらって指定された広場の指揮台に立つと、事前に同会場で撮影された大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏が6m四方の大きなスクリーンでスタートするというもの。一生に一度は味わってみたい指揮者気分が味わえるのだ。

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拡張現実オーケストラの様子
拡張現実オーケストラの様子

6.新聞、雑誌から飛び出すAR広告

キヤノンのデジタル一眼レフカメラ「EOS M」の雑誌広告にはARが使われている。この広告に無料のスマートフォンアプリ「オーラズマ」を起動してかざすと、この広告からARでビデオが飛び出してくる。

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オーラズマ
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オーラズマ
雑誌広告に「オーラズマ」を起動してかざすと、ビデオが飛び出してくる(右)

ただ平面で見せるだけの広告からビデオの入り口としての広告へ。読者の体験もただグラフィックスを見ているだけから動画の体験、そしてこのケースの場合は、自社サイトのスマートフォンに最適化されたCM紹介ページに自動的に移動するように作られているので、自社サイトへの誘導まで、多面的な役目を雑誌広告が担うことになる。

このような広告への利用は、パナソニック、ヒューレット・パッカードがAKB48を起用して行ったキャンペーンなど数多い。日本ヒューレット・パッカードでは、リンク先のスマートフォンサイトに自社サイトだけでなくFacebookページやTwitterも指定して、ソーシャルメディアの自社アカウントへの誘導も図った。

また、コーヒーショップの全国チェーン「ドトールコーヒー」では、店頭で配布されるフリーペーパーのほぼ一冊まるごとがARのトリガーだ。その月の特集で扱われている芸能人のインタビューの動画、オリジナルソングのミュージックビデオ、そして「ミラノサンド」などの自社のメニューの動画広告がARで紹介される。

7.専用アプリを用いた企業キャンペーン

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専用アプリを使った「スマホでファイヤー」キャンペーン
http://www.kfc.co.jp/campaign/ARfirewing/

日本のケンタッキーフライドチキンでは2012年夏に大掛かりなキャンペーンが行われた。「スマホでファイヤー」キャンペーンである(現在は終了)。

お店で「夏盛パック」という期間限定商品を購入すると、「ARリング」が付いてくるので、これを切り抜いて指輪のようにしてスマホをかざすと、CMのように「火を噴く」体験ができる。

このキャンペーンはもう終了してしまったが、この模様をYouTubeにアップしている人がいるので、これを見てみてほしい。このキャンペーンは期間中にテレビCMも流されていたが、驚異的なアクセスを記録したという。

ARはスマートフォンサイトへの集客と好相性

これまでに紹介してきたように、スマートフォンの普及とともに注目されるARだが、企業のWeb担当者はこのARをどのように生かしていくことができるだろうか。答は簡単だ。スマートフォンサイトの活用に役立てることである。

日経BPコンサルティングが2012年7月に発表した「携帯電話・スマートフォン“個人利用”実態調査2012」によると、スマートフォンの国内普及率は18%を超えた。いわゆる「キャズム越え」で、これからはより一層の普及が見込まれる。

企業のWeb担当者も、スマートフォンサイトへの対応に追われていることだろう。最近は、PC用のサイトよりもスマートフォンサイトを優先させる、「モバイルファースト」「スマートフォンファースト」を主張する人たちもいるが、制作したスマートフォンサイトへの誘導のために、ARは有効な手段である。

活用例としては、まず企業が大量に制作して配布する印刷物を生かすことが挙げられる。セールスマンが顧客に渡す資料は膨大なものになる。「ペーパーレス」といわれた時代もあったが、その数はなかなか減少しない。これを生かして、スマートフォンサイトに誘導するのである。印刷物にARのトリガーを設け、これにスマートフォンをかざして流れるビデオなどから、スマートフォンサイトに誘導するのである。

紙の印刷物で興味を持ってもらい、紙だけでは伝わらない商品やサービスのメリットをビデオで伝え、そのうえでスマートフォンサイトに来てもらう。これは、理想的な顧客動線となる。

これは、企業に死蔵しているビデオを生かすことにもなる。展示会などに出展する際には、大きな予算を使ってビデオを制作する機会が多いと思うが、このビデオは、展示会の終了とともに死蔵されてしまうことがほとんどだ。

実例として、2012年10月に開催された広告業界の大きなイベント「ad:tech tokyo」では、メディアレップのDACや、デジタルマーケティングのコンサルティングを行うルグランがこんな印刷物を配布した。

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DACが配布したクリアファイル
DACが配布したクリアファイル
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ルグランが配布したフライヤー
ルグランが配布したフライヤー

これらの印刷部は、それぞれがARのトリガーになっていて、ARアプリを起動したスマートフォンをかざすと、その場で各社のビデオが表示され、さらにスマートフォンサイトにリンクしたのである。

また大阪のテレビ・ラジオ局の毎日放送では、イベント会場そのものをARトリガーとして利用した。ここでも、他社と同じように持ち帰れる印刷物を配布したほか、会場の中の展示物そのものをトリガーにしたり、会場で販売したグッズもトリガーにした。

この他、活用例で上げた雑誌や新聞の広告はもちろん活用できるし、今後スマートフォンの性能がさらに向上すれば屋外広告や、商品パッケージもスマートフォンサイトへの誘導に使えることになるだろう。

印刷物や実物をスマートフォンのカメラで写すとビデオが立ち上がるというのは、ビジュアルショックが得られるためアテンションは大きくなるし、プレゼンスの下がりがちな印刷物や新聞・雑誌広告の価値を上げることもできる。そしてスマートフォンサイトの活用にもつながるのがARなのである。

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菅原 裕

菅原 裕
オートノミー株式会社

2000年からインターネットでのコミュニケーションを促進するCreatorsNetの代表。特にアクセス解析に着目して、「6月9日はログの日」というイベントを実施するなどの活動を行ってきた。

現在、ヒューレット・パッカード・グループのソフトウエア会社オートノミーに所属。同社のマーケティング用のソフトウエアに関する普及活動を行っている。

データドリブンなマーケティング・マネジメントや、コミュニケーションの変化に伴う新しいクリエイティブに関するエヴァンジェリスト。

オートノミー株式会社:http://www.autonomy.co.jp/

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