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スマホ? タブレット? モバイル端末の種類ごとの訪問数や画面サイズをわかりやすく確認する方法[第37回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 6 分

Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

第34回「なんでそうなるの? アクセス解析によるユーザー理解の基本は“童心に戻る”」から3回にわたって、

  • ユーザー理解について
  • 平日休日の利用パターンの違い
  • 時間帯別の利用行動
  • 利用デバイス(モバイル利用)の変化

などを見てきた。これに続いて今回は、サイト訪問者のデバイス環境や利用場所について、もう少し細かく見ていこう。

モバイル対応の必要性を判断するためのデータとは?

現在のWebサイトユーザーは、どのようなブラウザやOSの環境で利用しているのだろうか?

10年ほど前にADSLなどが普及し始めたころは、ユーザーのブロードバンド環境の進展度合いなどを測るために、アクセス解析ではブロードバンド環境の有無などのデータが重宝したものだ。光回線が普及した今となっては、その当時、「動画コンテンツはいかがなものか」とか、「Flashは許容できそうか?」といった議論にアクセス解析のデータが使われていたのが懐かしい。

こういったユーザーの利用環境に関するデータは、ある過渡期において一部のデータが脚光を浴びることになる。昨今は注目されてきているデータは、やはりモバイル関連のデータだ。

スマートフォン普及以前は、Webサイトが正しく表示されるかといったことや、Webページの横幅のサイズをどこまで大きくしてもよいか、といった判断をするために、ユーザーの利用しているブラウザやOSなど、利用環境のデータを活用していたシーンが多かったのではないだろうか。

しかし2012年ごろから日本でも急速に進行したきたスマートフォン時代になって、大きく様相は変わってきた。従来のように緩やかなOSやブラウザのバージョンアップのスピードとは比べ物にならないくらいあっという間に、モバイルOSのバージョンや閲覧画面サイズのバリエーションが変化してい。変化が激しいので、Webサイトによっては、頻繁にモバイル環境のデータを見なければいけなくなっているのではないだろうか。

PCの大きいモニターで見ることを前提に設計していたWebページが、モバイル環境からも普通に利用されるようになってきたため、モバイルOSへの対応確認や、小さい閲覧画面への対応といったことに対して、今まで以上に気を付けなければいけなくなってきた。

その結果、利用端末の画面サイズに合わせて最適化したコンテンツを表示させる「レスポンシブWebデザイン」が急に言われるようになってきた。このようなニーズに応える必要があるのかないのか、そういう判断のためにも、アクセス解析のデータは活用できる

そこで、本稿では、ブラウザ、画面解像度、OSのデータを軸に、どのようなモバイル端末からどのぐらいの訪問があるのかを確認する方法を解説する。

ブラウザとOSレポートの見方

さて、前置きが長くなったが、今回はまず「ブラウザとOS」レポートを見るところから始めてみたい。このレポートは[標準レポート]の中の[ユーザー]セクションの中盤に存在している(図1赤枠部分)。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの[標準レポート]をクリックする
  2. 画面で左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
  3. メニューが開くので、[ユーザーの環境]をクリックし、[ブラウザとOS]をクリックする
図1:[ユーザー]>[ユーザーの環境]>[ブラウザとOS]レポート
図1:[ユーザー]>[ユーザーの環境]>[ブラウザとOS]レポート

[ブラウザとOS]レポートの上部には、日別の訪問数ベースの折れ線グラフ(図1青枠部分)が表示され、下部には、訪問数ベースの「ブラウザ」のシェア一覧(図2青枠部分)と、その円グラフが表示されている(図2)。

図2:「ブラウザ」レポート
図2:「ブラウザ」レポート

例として出しているこのサイトのデータで内訳を見ると、「Chrome」「Firefox」「Internet Explorer」「Opera」といったPC用のブラウザ以外に、「Android Browser」「Safari(in-app)」という(図2茶枠部分)モバイル固有のブラウザからの閲覧が確認できた(「Safari(in-app)」は、iOSのアプリを使った閲覧だと考えられる)。「Safari」はApple製のブラウザだが、PCとモバイル両方で使われているので、一概にどちらからの利用であるかは、この時点では判断できない。

OS(オペレーティングシステム)の内訳を確認する

次に、OSの内訳を見てみよう。最初に[ブラウザとOS]レポートを開いた段階では、プライマリディメンションは「ブラウザ」が表示されている(図2赤枠部分)。ここで「オペレーティングシステム」(図3赤枠部分)を選択すると、図3の画面が表示される。

図3:「オペレーティングシステム」レポート
図3:「オペレーティングシステム」レポート

「Windows」「Macintosh」「Linux」はPCからの利用を表している。これに対して、「iOS」や「Android」がモバイル環境からの利用で、このサイトだと1割を超えていることがわかる(図3青枠部分)。

画面解像度の内訳を確認する

今度は、画面解像度の内訳を見てみよう。プライマリディメンションの「画面解像度」(図4赤枠部分)を選択する。

念のために説明しておくが、「画面の解像度」というのは、ディスプレイの画面のサイズのことだ。単位はピクセルで、「1920x1080」ならば幅1920ピクセル、高さ1080ピクセルの横長ディスプレイを使っていることがわかる。

図4:「画面の解像度」レポート
図4:「画面の解像度」レポート

このサイトでは、「320×480」や「320×568」(図4青枠部分)など、モバイル環境と思われるデータも訪問数のトップ10内に確認できた。

ここまでで、「ブラウザ」「OS」「画面解像度」のデータを確認する方法を見てきた。これから、この3つのデータをかけ合わせながら、さらにモバイルユーザーの利用環境を絞り込んでいこう。

次のページへ
  • モバイル環境の利用データをさらに詳しく見てみる
  • 「ブラウザ」レポートにアドバンスセグメントを適用してみた
  • 「画面の解像度」レポートにアドバンスセグメントを適用してみた
  • ピボット表示を使って、さらに詳しいレポートにしてみる

モバイル環境の利用データをさらに詳しく見てみる

モバイル環境からのアクセスが無視できない割合になったと判断できれば、もう少しこのデータを深掘りする必要も出てこよう。第35回でも軽く触れたアドバンス セグメントによってモバイル(とタブレット)からの利用に絞り込んでみよう。

操作手順
  1. 「ブラウザとOS」の見出し直下にある[アドバンスセグメント]をクリックする(図5赤枠部分)
  2. 「モバイルトラフィック」「タブレットのトラフィック」のチェックをオンにする(図5青枠部分)
  3. [適用]をクリックする(図5緑枠部分)
図5:「ブラウザとOS」レポートで、アドバンスセグメントを使う
図5:「ブラウザとOS」レポートで、アドバンスセグメントを使う

ちなみに「モバイルトラフィック」のセグメントには、スマートフォンとタブレットからの利用が含まれ、「タブレットのトラフィック」のセグメントには、タブレットからの利用だけが含まれるというのがセグメントの内容だ。

「ブラウザ」レポートにアドバンスセグメントを適用してみた

図2の状態の「ブラウザ」レポートに、図5のアドバンスセグメントを適用し、モバイルとタブレットのトラフィックに絞り込んで表示したのが図6だ。

図2:「ブラウザ」レポート
図2(再掲):「ブラウザ」レポート
図6:アドバンスセグメントでモバイルとタブレットのトラフィックに絞り込んだ「ブラウザ」レポート
図6:アドバンスセグメントでモバイルとタブレットのトラフィックに絞り込んだ「ブラウザ」レポート

図2の「Safari」には、PCとモバイル両方からの訪問が含まれていた(訪問数861)。図6は、モバイルとタブレットに絞り込んだセグメントで表示させたので、ここでのSafariには、PC版からの閲覧は含まれていないと考えてよいだろう。

「Safari」の「モバイルトラフィック」は、iPhoneやiPadなど、タブレットも含むすべてのモバイルからの訪問を表していて、訪問数は543である。そして、「タブレットのトラフィック」は、iPadなどのタブレットからの訪問を表しており、訪問数が104ということを示している。これらのデータから、それぞれの訪問数は以下のように計算できる。

訪問数
PCのSafariから318
スマートフォンのSafariから439
タブレットのSafariから104

一方、「Android Browser」(図6緑枠部分)を見ると、「タブレットのトラフィック」はほとんどなく、「モバイルトラフィック」はそのほとんどがスマートフォンからの利用であると読み取れる。

このようにブラウザのレベルで見る場合は、PCでもスマートフォンでもタブレットでも利用されているブラウザは、その内訳、組み合わせにまで注意する必要がある

「画面の解像度」レポートにアドバンスセグメントを適用してみた

画面の解像度はどうだろう。図4の状態の「画面の解像度」レポートに、図5のアドバンスセグメントを適用したのが図7だ。

図4:「画面の解像度」レポート
図4(再掲):「画面の解像度」レポート
図7:モバイルとタブレットのトラフィックに絞り込んだ「画面解像度」レポート
図7:モバイルとタブレットのトラフィックに絞り込んだ「画面解像度」レポート

このデータを見ると、スマートフォンやタブレットそれぞれに特有の解像度があるように思える。たとえば「320×480」や「320×568」の画面解像度は、タブレットではなくスマートフォン(図7青枠部分)特有の解像度のようだ。逆に、「768×1024」の画面解像度は、タブレットがほとんどを占めている(図7緑枠部分)ということが確認できる。

ただ、「720×1280」を見てみると、高解像度なのにタブレットではなくスマートフォン(図7茶枠部分)なので、高解像度だからタブレットというわけでもないといった発見もできる。

ピボット表示を使って、さらに詳しいレポートにしてみる

第36回で利用したピボット表示でもう少し見やすいレポートも作ってみよう。ピボット表示は、表頭(ひょうとう:レポート上部の見出し部分)の項目が数個以下のディメンションの場合に見やすいレポートになる。

「モバイルトラフィック」に絞り込んだ「画面解像度」レポート(図7)で、[ピボット]ボタン(図8赤枠部分)をクリックして選択したのが図8だ。

図8:ピボット(モバイルトラフィックでセグメント)
図8:ピボット(モバイルトラフィックでセグメント)

ここからさらに、以下のように操作をする。

操作手順
  1. ピボットの項目選択ボタン(図8青枠部分)をクリックする
  2. 出てきたプルダウン表示から、「オペレーティングシステム」(図8緑枠部分)をクリックして、選択する

こうして表示されるのが図9だ。表頭に「オペレーティングシステム」(図9赤枠部分)、表側(ひょうそく:レポート左側の見出し部分)に「画面の解像度」(図9青枠部分)が配置された、「オペレーティングシステム別、画面の解像度別の訪問数」レポートになる。

図9:画面解像度とオペレーティングシステムのピボットレポート(モバイルトラフィックでセグメント済み)
図9:画面解像度とオペレーティングシステムのピボットレポート
(モバイルトラフィックでセグメント済み)

このようにして、表示したい表頭と表側の組み合わせをピボット表示で確認することができるので、自分の問題意識に応じてディメンションの組み合わせを試してみてほしい。

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衣袋 宏美

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

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