Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
Image may be NSFW.Clik here to view.

※筆者特製の便利なカスタムレポートをあなたのGoogleアナリティクスに自動作成するリンクはこの記事後半の「カスタムレポートの作成が面倒な人のために」から。
昨年最後の更新から少々時間が空いてしまったので、前回の簡単な復習からスタートしよう。
前回の記事では、アドバンスセグメントを使って、モバイルからのアクセス比率をトレンドで確認する方法を紹介した。「モバイル トラフィック」「モバイル除く」セグメントを使えば、下図のように、トレンドで比率の推移を見ることができる。
Clik here to view.
![図7:[ユーザー]>[モバイル]>[サマリー](「モバイル トラフィック」「モバイル除く」セグメントで表示)](http://web-tan.forum.impressrd.jp/files/images/article2012/google_analytics/google_analytics35_07.png)
水色の折れ線グラフがモバイルからのトラフィック、オレンジ色の折れ線グラフが全体からモバイルを除いたトラフィックである。
このように「モバイル トラフィック」「モバイル除く」セグメントを使えば、トレンドはわかる。しかし、月次でモバイル比率の算出をしたいときには、月ごとに期間指定をして、毎月のデータをいちいち抽出しなければならないので少々不便だ。
しかも、Googleアナリティクスでは、時系列に複数の指標やディメンションのデータを表示できるフォーマットのレポートは、標準では用意されていない。毎月のデータを一覧表で表示するには、「月(年間)」という特別なディメンションを利用する必要がある(指標とディメンションの違いについては、第9回を参照してほしい)。
そこで今回は、そんなときに大変使い勝手のいい「カスタムレポート」と「ピボットテーブル」を使って、モバイル分析をおこなう方法を紹介しよう。
もちろん、この2つは、モバイル分析だけでなく、使いこなせると今後の解析作業でなにかと重宝するテクニックだ。ただ、操作方法が多少複雑なので、あらかじめご了承の上、心してかかっていただきたい。
カスタムレポートの作成方法
カスタムレポートについては本連載で初出なので、簡単に解説しておこう。カスタムレポートとは、自分専用にカスタマイズしたレポートのフォーマットを登録しておくことのできる機能だ。上部のグローバル ナビゲーション部分(図1赤枠部分)に独立したリンクがあるので、まずここをクリックする。
Clik here to view.

カスタムレポートを今まで作成したことのない場合は図2のように表示される。
Clik here to view.
![図2:[カスタムレポート]>[サマリー]画面(これまでにカスタムレポートを作ったことがない場合)](http://web-tan.forum.impressrd.jp/files/images/article2012/google_analytics/2013/google_analytics36_02.png)
作成したことがある場合は、図3のように登録してあるカスタムレポート一覧画面になり、既存のカスタムレポートが表示されている(図3青枠部分)。どちらも同じく、[カスタムレポート]>[サマリー](図2赤枠部分、図3赤枠部分)が表示されている。
Clik here to view.
![図3:[カスタムレポート]>[サマリー]画面(これまでに作ったカスタムレポートがある場合)](http://web-tan.forum.impressrd.jp/files/images/article2012/google_analytics/2013/google_analytics36_03.png)
[+新しいカスタムレポート]ボタン(図2緑枠部分、図3緑枠部分)をクリックすると、図4のような「カスタムレポートの作成」画面が表示される。
Clik here to view.

Google アナリティクスのレポートは、
- 表頭(ひょうとう:レポート上部の見出し部分)に「指標」
- 表側(ひょうそく:レポート左側の見出し部分)に「ディメンション」
を配置するのが基本的なレポート形式となっている。この「カスタムレポート作成画面」は、表頭と表側に、どの「指標」と「ディメンション」を配置するのかを指定する設定画面だと考えてほしい。
レポートの種類を選ぶ
カスタムレポートでは、大きく分けて2つの種類のレポートを作成することができる。2つの種類とは「エクスプローラ」と「フラットテーブル」で、どちらのレポートを作るのかを指定するのが、図4の「種類」だ(図4赤枠部分)。今回は、「エクスプローラ」をクリックして選択する。「エクスプローラ」と「フラットテーブル」が何なのかについては、今回は説明を省略する。
指標を追加する
次に、レポートに表示したい「指標」と「ディメンション」を選択する。「指標」を選択する部分が、図4青枠部分、「ディメンション」を選択する部分が、図4緑枠部分である。今回は、
指標 | 「訪問数」「新規訪問数」「ユーザー数」「訪問別ページビュー」「直帰率」「訪問の滞在時間」 |
---|---|
ディメンション | 「月(年間)」 |
を追加する。[+指標を追加](図4青枠部分)をクリックすると、「ソーシャル」「コンバージョン」「ユーザー」「コンテンツ」「広告」の5つのグループが表示される。今回選択する指標は、すべて「ユーザー」の指標なので、「ユーザー」をクリックして、その中から指標を順次選択していく。
ディメンションを追加する
また、[+ディメンションを追加](図4緑枠部分)をクリックすると、「その他」「コンテンツ」の2つのグループが表示される。「月(年間)」のディメンションは、「その他」としてくくられているので、その中から選択する。
ちなみに、カスタムレポートの作成手順をきちんと説明するには、連載2回分くらいが必要になるので、それは別の機会にしたいと思う。ここではとりあえず、カスタムレポートとはこのようにして作成できるレポートということだけ理解しておいていただければけっこうだ。
以上の手順で、「指標」と「ディメンション」をすべて追加し、名前を「主要指標(月別)」と入力したのが、図5だ。
Clik here to view.

Clik here to view.

このカスタムレポートは「月(年間)」というディメンション(図5赤枠部分、図6赤枠部分)に対して「訪問数」をはじめとする複数の指標(図5青枠部分、図6青枠部分)を見ることができるレポート、つまり月別に複数指標を見ることができるカスタムレポートだ。
しかし図6ではまだ、今回目的とする「モバイルに絞り込まれたデータ」になっていない。そこで、次にする操作は、「ピボット」表示の選択だ。
- 「ピボット」表示とは?
- ピボット表示の方法
「ピボット」表示とは
その前に「ピボット」表示の機能も初出なので、簡単に解説を加えておく。
Googleアナリティクスの多くのレポートは、上部に折れ線グラフ(図7赤枠部分)、下部にデータ一覧(図7青枠部分)が表示されている。図7は[標準レポート]>[コンテンツ]>[サイトコンテンツ]>[すべてのページ]レポートの例だ。
Clik here to view.
![図7:[標準レポート]>[コンテンツ]>[サイトコンテンツ]>[すべてのページ]レポート](http://web-tan.forum.impressrd.jp/files/images/article2012/google_analytics/2013/google_analytics36_07.png)
この下部のデータ一覧表示部の右上にボタンが5つ並んでいる。左から順に、
- Image may be NSFW.
Clik here to view.データ
- Image may be NSFW.
Clik here to view.円グラフ
- Image may be NSFW.
Clik here to view.棒グラフ
- Image may be NSFW.
Clik here to view.サイト平均と比較
- Image may be NSFW.
Clik here to view.ピボット
という名前がついていて。デフォルトでは「データ」表示が選択(図7緑枠部分)されている。通常の「データ」表示では、
- 表頭に複数の「指標」
- 表側に「ディメンション」
を配置するのが標準だ。これに対して、「ピボット」表示は、1つの「指標」について、表頭でも表側でも「ディメンション」を配置するという表示形式なのである。
ピボット表示にしてみよう
表示してあるカスタムレポートで、[ピボット]ボタン(図6緑枠部分)をクリックしてみよう。以下のような表示に変わるはずだ。
Clik here to view.
![図8:[ピボット]表示にした画面](http://web-tan.forum.impressrd.jp/files/images/article2012/google_analytics/2013/google_analytics36_08.png)
表側だけでなく、表頭にも同じ「月(年間)」の「ディメンション」が並んでいる(図8赤枠部分)。このままでは意味のないレポートなので、「ピボット」を選択するボタン(図8青枠部分)をクリックする。すると、「ディメンション」がプルダウンで表示される(図9)。表示された「ディメンション」の中から、「モバイル(タブレットを含む)」(図9赤枠部分)を選択しよう。
Clik here to view.

出来上がった表が図10だ。
Clik here to view.

表頭(図10赤枠部分)には、
- サイト全体(合計の表示列)
- PCからの訪問(1.Noの表示列)
- モバイルからの訪問(2.Yesの表示列)
が指定され、表側の「ディメンション」には「月(年間)」(図10青枠部分)、「指標」には「訪問数」が表示された一覧表となる。
全体の訪問数が多い順に並んでいるので、時系列に並べ替えたい場合は、「月(年間)」(図10青枠部分)をクリックすればよい。
10か月を超える期間が対象であれば、表示する行数(図10緑枠部分)を25にして、データをエクスポートしてExcelなどで開き、計算式(「2.Yes」の列の訪問数÷「合計」の列の訪問数)を入れて、モバイル比率を自動で算出するようにしよう。
もし、長期間にわたってデータを管理したい場合は、最初は過去12か月分程度のデータをExcelなどにエクスポートしておき、毎月の月次データ追加作業は、直接Excel上でやってしまったほうが早いだろう。
次のページへ- ショートカット機能を使おう
- カスタムレポートの作成が面倒な人のために
- 上級者向け:その他のモバイル計測のしくみ
ショートカット機能を使おう
しかし、カスタムレポートを開くたびに、毎回毎回[ピボット]ボタンをクリックして、「指標」を選択するのはけっこう手間に感じる人も多いだろう。そこで使えるのが、「ショートカット」機能である(図11赤枠部分)。
Clik here to view.

図11赤枠部分の「ショートカット」をクリックすると、以下のようなダイアログが表示される。
Clik here to view.

ショートカットに適当な名前をつけて[OK]をクリックする。
これでグローバルナビゲーションの[ホーム]タブをクリックして表示される画面に、ショートカットが登録される。カスタムレポートを開いてピボット表示にしたところまでを、毎回簡単に開くことができるようになる。
カスタムレポートの作成が面倒な人のために
じつは、カスタムレポートは、他の人と共有することができる。ショートカットで設定したピボット表示状態までは共有することができないので、その元になっているカスタムレポート(図6の段階)を公開しておく。カスタムレポートの作成作業が億劫な人は、次のリンクから3クリックで同じカスタムレポートを自分のプロファイルに作成できる。
●便利なカスタムレポート自動作成するリンク
→https://www.google.com/analytics/web/permalink?uid=zMQZGxVXTyybZE1sJ4mjYg
このリンクをクリックすると、図13のような画面が表示される。
Clik here to view.

図13赤枠部分をクリックし、このカスタムレポートを取り込みたいプロファイルを選択し(1つしか選択できない)、[作成]ボタン(図13青枠部分)をクリックする。
すると図14のように、取り込んだプロファイルのカスタムレポートに挿入され、そのカスタムレポートが表示されている画面(図14赤枠部分)が表示される。
ピボット表示にするのは自分でしなければいけないので、この記事で紹介したピボット表示の手順を参考にしてほしい。
Clik here to view.

ちなみに公開したこのカスタムレポートは、今回の作成した「主要指標(月別)」に加えて、同じ手順で「主要指標(週別)」も作ってあるので、レポートが2つある。そのためタブが2つ(図14青枠部分)になっている。
上級者向け:その他のモバイル計測のしくみ
今回取り上げた「モバイル」とは、あくまでもPCサイトを普通に見ることのできるデバイス(スマートフォンやタブレット)での利用状況を把握する「標準のトラッキングコード」による計測における話である。
大前提としてGoogle アナリティクスでモバイル関係の計測は以下のような仕組みもある。Googleアナリティクスで本格的にモバイル計測をおこないたい方は、以下も併せて検討すべきだろう。
Google アナリティクス モバイル
(いわゆるフィーチャーフォン向けサイトの計測)
PCサイトの閲覧と異なり、携帯ブラウザがJavaScriptやCookieに完全対応しているわけではないため、サーバー(サイト)側にプログラムを実装し、htmlファイルの中にもimgタグを実装するなどの準備が必要。Google アナリティクスのプロパティIDも別で集計画面も異なる
モバイルアプリ(iOS、Android用)の計測
Android アプリや iOS アプリ内の操作をトラッキングする。計測コードをアプリのプログラムに組み入れて計測するというもの。レポート画面は、通常のGoogle アナリティクスの画面と同じ。
・アクセス解析ゼミナール(2013/2/26、3/5) → 詳細・お申し込みページ
・『Googleアナリティクス完全マニュアル』(電子書籍)が、オンデマンドのペーパーバック版でもお買い求めできるようになりました。
→ Amazon.co.jpの商品ページ
- 内容カテゴリ:アクセス解析
- コーナー:衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:カスタムレポートとピボットテーブルを使ったモバイル分析(便利なレポート自動作成リンクあり) [第36回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum
Copyright (C) IMPRESS BUSINESS MEDIA CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.
Clik here to view.
Clik here to view.
Clik here to view.
Clik here to view.
Clik here to view.