セミナーイベント「Web担当者Forum ミーティング2012 Autumn」(2012年11月8日開催)の講演をレポートする。他のセッションのレポートはこちらから。
「Yahoo! JAPANは、最新技術、デジタルマーケティングの実験場になる」。今年7月に経営陣を刷新し、「爆速」をキーワードに進化を遂げている現在のYahoo! JAPANが目指すマーケティングソリューションの形はどのようなものか、それらは広告主に何をもたらすのか。ヤフー株式会社 マーケティングソリューションカンパニー 事業推進本部 本部長の宮澤氏が語ったセッションをレポートする。
国内のネットユーザー9割のリーチを持つYahoo! JAPANだからできること
ヤフー株式会社はマーケティングソリューションの提供会社であるのと同時に、国内有数のメディア事業者でもある。Yahoo! JAPANのサービス利用者数は4,279万人、月間ページビューは171億ページに上り、楽天やGoogleなど他の主要ポータルサイトのユーザーの9割以上は、Yahoo! JAPANの利用者でもある。
VRI調査から、2012年4月時点の月間リーチ数を見ると、Yahoo.co.jpドメインへのリーチ率は90.1%と国内トップに達し、トップページ単体のリーチ率だけでも70.3%に到達しているという。宮澤氏は、このメディアとしての存在感の高さや広告主としてのノウハウを生かし、「マーケティングソリューションにおいても、最近弊社が標榜している“課題解決エンジン”を目指す
」と語る。
2012年7月に経営陣が刷新してからは既存の広告事業について、日本のデジタルマーケティングの発展に寄与できているのかどうかを真摯に問い直しました。9割のリーチを持つポータルサイトだからこそできることがあるのではないか。Yahoo! JAPAN自体を、新しい技術や、デジタルマーケティングの実験場にできるのではないか。そのような考えのもとで今、さまざまな取り組みを行っているところです。
この取り組みの一貫として、クリック課金型の「Yahoo!リスティング広告」を「Yahoo!プロモーション広告」へと再定義し、進化させる。ブランドパネルをはじめとするインプレッション保証型の「ディスプレイ広告」も、よりユーザーの記憶に残る仕掛けをつくるために「Yahoo!プレミアム広告」として進化させていくという。
インタレストマッチは、Yahoo!ディスプレイアドネットワークに進化する
では具体的にどのように変わるのか。まず、現在のYahoo!リスティング広告には、検索連動型広告の「スポンサードサーチ」と、興味関心連動型広告の「インタレストマッチ」の2種類のサービスがある。
前者はインターネットの利用時間のうち1割を占める検索ページビューに対して提供され、後者は残りの9割の閲覧ページビューに対して提供される広告サービスだ。このうち、Yahoo!プロモーション広告に生まれ変わることで大きく仕組みが変わるのは、後者のインタレストマッチで、2013年1月末から、Yahoo!ディスプレイアドネットワーク(YDN)というブランド名称となり、「興味関心型」の枠にとらわれない広告サービスにしていくことになる。
まず課金については、従来はクリック課金でしたが、YDNでは“CPC+CPM”(クリック課金+インプレッション課金)という形になります。また、これまで広告掲載デバイスはPCが中心でしたが、スマートフォンに最適化して配信できるように商品設計していきます。
さらにクリエイティブについても、従来のテキスト広告から、“テキスト広告+イメージ・映像”とし、ありとあらゆるデバイスに対してリッチな表現ができるように進化させていきます。これによって広告主様に対し、さまざまな選択肢をご提示できると考えています。
このようなプラットフォームの変更に加えて、「Yahoo! JAPANだからできること」を付加価値としてプラスしていくという。
付加価値の1つがビッグデータの活用です。Yahoo! JAPAN自身が保有しているビッグデータ、提携先のデータ、そして広告主様のデータを活用しきって、最高のマーケティングソリューションをつくっていきたいと思います。
ビッグデータを生かした試みの1つとして、広告の表示をネット利用シーンごとに最適化するソリューションが考えられるという。
たとえば、時間帯や出稿タイミングの最適化です。朝食の時間帯には朝マック、夜間であれば電子コミックといった具合に、成果を得やすい時間帯に広告を出すことができます。地域性の最適化では、スマートフォンの位置情報を利用して、徒歩圏内で利用できるサービスの広告を出すといったことが可能です。
デバイスの最適化では、eコマースと相性が良いといわれるスマートパッド向けに、eコマース広告を増やすといったことが考えられます。ビックデータを解析し、どのようなやり方がいいのかをロジックで考え、Yahoo! JAPANだから実現できる価値を広告主のみなさまに提供していきたいと思っています。
トップページ3箇所への同時配信で、通常の2倍の広告認知率を実現
続いてYahoo!プレミアム広告について、「とにかく記憶に残る広告にしようというのがビジョン。既存のディスプレイ広告だけでは、時代遅れになると考えています
」と宮澤氏は力説する。
「記憶に残す」ための取り組みは、すでに試験的に実施されている。2012年9月10日から16日にかけて、Yahoo! JAPANトップページの「ブランドパネル」「トップセンターバナー」「背景イメージ」という3ポジションへの広告同時掲載を試験的に行ったのだ。
掲載案件は飲料、食品、自動車の3案件で、掲載インプレッション数はのべ1億8,900万回に上った。結果、広告認知率は60%と通常の2倍、3回以上見たユーザーの広告認知率は7割近くに達したという。広告イメージの評価でも「おもしろい」「インパクトがある」といった評価が、基準値(ブランドパネルトリプルサイズ)を大幅に上回った。さらにはCTRについても、基準値の約7倍に跳ね上がったそうだ。
スマートフォンについても、全画面広告に切り替える仕掛けなど、いろいろな取り組みを始めようとしており、2012年内には何かしらの形でリリースできると思います。スマートフォンで先進的な取り組みをしたいとお考えの広告主様に、使っていただきたいと考えています。
最後に宮澤氏は、これからのインターネット広告に重要なこととして、「パフォーマンス」「メジャーメント(効果測定)」「クリエイティビティ」の3点を挙げた。この3点を“爆速”で強化していくために、自前主義をベースにしながらも、最先端の技術を持つパートナーと最強タッグを組んでいくという。
たとえば、パフォーマンス面の強化では、世界トップレベルのリターゲティング技術を持つ仏Criteo社と提携。8月からリターゲティング広告の配信を始め、ターゲティングしない場合に比べて7倍の広告効果を上げている。
メジャーメントの面では、タグマネジメントのリーディングカンパニーである米BrightTag社とのタッグで、新たな広告配信や効果測定サービスを導入する際に必要な、さまざまなタグを一元管理できるサービスを11月から販売開始した。
そしてクリエイティビティ面では、米MediaMind社とタッグを組み、広告主からの要望も大きかった第三者配信に対応。よりリッチな広告が提供できるようになる。当初は動画プラットフォームのGyaO!を中心に、Yahoo! JAPANのブランドパネルも一部使いながら、2013年からテストしていくという。
Yahoo! JAPANだけではできないところは、Yahoo! JAPAN Marketing Alliance(YMA)という形で内外の企業とアライアンスを組み、一流の商品をスピーディーに提供していきたい。繰り返しになりますが広告主様の課題解決をすることで、日本のデジタルマーケティングの進化に貢献したいと思っています。
Yahoo! JAPANはさらなる高みを目指していく。宮澤氏はこのように決意を語り、講演を締めくくった。
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