Quantcast
Channel: Web担当者Forum
Viewing all articles
Browse latest Browse all 19485

データ迷子にならないために! レポート構造とアクセス解析の王道ステップを知っておこう[第33回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

$
0
0
この記事を読むのにかかる時間: 約 5 分

Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。

衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座

この連載ではここまで、Googleアナリティクスのアカウントやプロファイルの準備、基本用語の説明、レポート画面を使うための基本機能や基礎知識について解説してきた。

本格的にGoogleアナリティクスのレポートを見るための準備が整ったので、ここからは1つひとつのレポート画面の見方を詳しく解説していく。ただ、個々のレポート画面の説明に入る前に、全体を効率よく見ていくために、まずレポートの全体構成と分析のステップを俯瞰しておこう。

そうすれば、目的のデータを探すために片っ端からレポートを開いて時間を無駄にしたり、ドリルダウンしすぎて何のレポートを見ているのかわからなくなったりという「データ迷子」な事態に陥らずに済むだろう。

Google アナリティクスのレポートの全体俯瞰

Googleアナリティクスにログインして、「アカウント ホーム」画面から見たいレポートの「プロファイル」を選択すると、まず、そのプロファイルの[ユーザー]>[サマリー]のレポート画面へ移動する。

レポート画面に入った最初の画面の左上部分が図1だが、現在地は標準レポート(図1赤枠部分)の[ユーザー]>[サマリー](図1青枠部分)にいる。画面左側(図1緑枠部分)が各レポートのメニュー一覧表示部だ。

図1:[ユーザー]>[サマリー]レポートの左上部分
図1:[ユーザー]>[サマリー]レポートの左上部分

メニュー群の大分類は、上から順に、

  • ユーザー
  • 広告
  • トラフィック
  • コンテンツ
  • コンバージョン

に分かれている(図1黒枠部分)。それぞれどんな情報を確認できるか、整理しておこう

  • 「ユーザー」は、ユーザーの利用環境が中心になっている(図1ではレポート・メニューの中分類が展開されて見えている)。

  • 「広告」と「トラフィック」には、キャンペーンや参照元、検索エンジンでのキーワードといった、サイトへ入ってくるきっかけがどういうものだったかを知るためのレポート群が収録されている。

  • 「コンテンツ」は、どのページが入口になって、直帰の状況はどうで、各ページがどの程度見られているのか、閲覧経路や、サイト内検索の利用状況はどうかといった、Webサイトの各ページの利用状況に関する各種レポートが収録されている。

  • 「コンバージョン」は、設定した「目標」に対する成果はどうだったか、ECサイトであれば何が売れたのか、目標達成までの流入チャネルの変遷はどうだったのかといった目標達成に関する各種レポート群が収録されている。

この5つの大レポート群をわかりやすく整理したのが下の表だ。

レポート・メニューわかることユーザーの流れ
ユーザーユーザーの利用環境――
広告Webサイトへの訪問理由・きっかけサイトへの流入
トラフィック
コンテンツWebページ利用状況サイト内回遊
コンバージョン成果に結び付いたか目標到達

「ユーザー」以外のメニューは、ユーザーの利用行動の流れで言っても、「流入」→「回遊」→「目標到達」という流れに沿って並んでいる。このような位置づけになっているという整理の仕方をしておくと、迷わず利用できるのではないだろうか。

[ユーザー]>[サマリー]レポート画面を見れば全体把握は十分

ログインして最初に表示されるのが[ユーザー]>[サマリー]レポート画面だが、これが大変よくできている。極端に言えば、忙しい人なら、このレポートだけ見ればこの1か月の全体把握は十分と言っていいくらいのレポートだ

図2:[ユーザー]>[サマリー]のレポート
図2:[ユーザー]>[サマリー]のレポート

このサイトに何人が、何回、何ページ見ているのかを表す主要な指標である「ユーザー数」「訪問数」「ページビュー数」が記載(図2青枠部分)され、この1か月の訪問数のトレンドが日別にグラフ表示してある(図2緑枠部分)。このグラフを見れば、平日と休日のアクセスの違いが一目瞭然だ。

さらに「サイトの平均滞在時間」「直帰率」「新規訪問の割合」といった、訪問者の質を表す重要な指標を3つ記載してある(図2黒枠部分)。それぞれの指標の意味については、すでに解説しているので、記憶が不確かならば確認してほしい。

次のページへ
  • アクセス解析を始める前に知っておきたい分析のステップ

アクセス解析を始める前に知っておきたい分析のステップ

とりあえずアクセス解析を始めようとして、すべてのレポートを片っ端から見ていく人もいるかもしれないが、それはあまりよいやり方ではない

Googleアナリティクスを導入して間もない場合は、いきなり改善活動に活用しようとして、興味本位にさまざまなデータを見て、四苦八苦することになりがちだ。サイトの規模や関わっている関係者の人数などにもよると思うが、筆者は、およそ次のようなステップで解析に取り組むのがよいと考えている。

A. サイト全体の現状把握→B. 重要業績指標(KPI)の絞り込み→C. 定点観測開始→D. 個別の課題解決型分析

アクセス解析というと、データを見れば自動的に問題点がわかり、すぐにサイト改善活動に取りかかれると思っている方が多いと思うが、それは早合点だ。

たとえば、会社の会計データ(貸借対照表や損益計算書など)を見たところで、すぐに改善点が見つかるわけでもなければ、改善施策に結び付けられるわけでもない。データはデータでしかなく、それ以上でもそれ以下でもない。誰が見ても明らかな問題点がデータにはっきり表れている、というようなことは、まずない。

上司からはすぐに結果を出すように求められるかもしれないが、はやる気持ちを押さえて着実なステップを踏んでいく必要があるのだ。会計データにも手順を追った見方があるように、アクセス解析データにも効率よい見方がある。

最初はサイトの現状把握から

あるべき姿としては、そもそもアクセス解析ツールを導入する前に、Webサイトの計測で何を測るべきかという重要業績指標(KPI)を決めたうえで、どのツールを導入すれば良いのかを考える必要があるのだが、現実的には「とにかくGoogleアナリティクスを入れたから、あとはよろしく」というケースが多いのではないだろうか。

なので、分析の現実的なステップとしては、まずは「A. サイト全体の現状把握」を行おう。とは言ってもGoogleアナリティクスが出しているレポートは膨大だ。効率よくデータを活用するためにどこを押さえて見ていけばよいかについては、前項で5つのメニュー群の大分類のところで解説したような流れで見てほしい。この段階では、「ああ、こんなデータが取れるんだ、おもしろいな」というレベルで構わない。

重要業績指標(KPI)を絞り込む

その次の段階では、「B. 重要業績指標(KPI)の絞り込み」を行い、その指標を中心に定点観測を始めるのがよいだろう。

なお重要業績指標(KPI)については、それだけで一大テーマなので、ここでは触れない。アクセス解析だけでなく、あらゆる事業において何を成果指標として、普段追っていくべきかという経営全体の話だ。サイトのタイプ別にどういう指標群を選択したらよいかは、以下の過去記事を参考にしてほしい。

アクセス解析の2つの役割

アクセス解析データの活用には大きく2つの役割があると考えている。

1つは定点観測で、いくつかの特定の重要指標を定期的にチェックして、サイトがうまく運営できているのかを確認する目的で行う。

もう1つは問題発見や課題解決のために関連するデータを集中的に分析して、サイトをよくしていくための活動に役立てるということだ。

定点観測はできるだけ時間をかけないのがコツ

そこで次の段階が「C. 定点観測」だ。定点観測の段階では、いたずらに分析に時間をかけないということもポイントの1つだ。分析する作業を外注する予算がある場合や、専任の分析担当者が割り当てられているような場合は別にして、最初はなるべく作業負荷が少なくなるように心掛けるのがよいだろう。

トレンドから大きく上下に外れる異常値が発生したり、目標値を下回ったりすることがあった場合のみ、時間をかけてその原因を分析すればいい。訪問数が異常に増えたり減ったりといった異常値が出た場合は、その原因を分析して、何が起こっているのか、対処すべき問題なのかどうかを切り分け、必要に応じて対処方法を考え、実施することが必要だろう。

そしてそういった運用が順調にできるようになってきたら、「D. 個別の課題解決型分析」をおこなおう。課題解決や問題発見のためのアクセス解析に着手する。

この課題解決型分析も基本的な型はある。その型に当てはめながら自分のサイトに適用していけばよい。これから各回では、各レポート画面について解説していくことになるが、それぞれ、定点観測型で見るポイントや課題解決・問題発見型の活用の方法を織り交ぜて解説していく。

次回からは、「ユーザー」の代表的なレポートを見ていく予定だ。

Google アナリティクスのeラーニング初級(2013/1/7~2/3)。まとまった時間を取れない方や地方の方など、時間や空間の制約を超えて学ぶことができますので、ご興味がある方はどうぞ → 詳細・お申し込みページ
アクセス解析ゼミナール(2013/2/26、3/5) → 詳細・お申し込みページ

衣袋 宏美

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

著書など:
Web担当者Forumでの連載:
この記事に関連する他の記事を見る

※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:データ迷子にならないために! レポート構造とアクセス解析の王道ステップを知っておこう[第33回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum
Copyright (C) IMPRESS BUSINESS MEDIA CORPORATION, an Impress Group company. All rights reserved.


Viewing all articles
Browse latest Browse all 19485

Trending Articles