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商売は非日常という常識。チャネルごとの“更新”は路面店サイトの必然 | 企業ホームページ運営の心得 | Web担当者Forum

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心得其の408

情報発信の明暗

ゴールデンウィークも終盤に差し掛かったころ、神奈川県箱根町の大涌谷周辺で噴火の兆候が見つかったと警戒が呼びかけられ、観光産業がダメージを受けました。昨年の御嶽山の噴火が多数の犠牲者をだしたこともあり、早い段階での警報発令は致し方ありません。しかし、いわゆる「箱根エリア」は広大で、警報の対象になっていないエリアの方が広いのですが、十把一絡げに「危険」という印象から客足が遠のきます。

状況の打開に「Web」が役立ったと報じられています。こまめに情報発信し、安全をアピールした地域では、例年並みの賑わいが戻ってきたというのです。まさしくWebの力であり、つまりは「更新」の力です。

前回の予告通り、タイプ別「更新情報」をお届けしますが、「頑張れ箱根!」の願いを込めて、観光地にも通じる「BtoC 路面店編」です。

チャネルのフル活用

本題に入る前に、神奈川県や当該地域の自治体「箱根町」の取り組みを紹介しておきます。

神奈川県は公式サイト上に「箱根・大涌谷情報」と題した特設ページを用意して、警戒地域や交通情報を掲載し、FacebookやTwitterでも情報発信をはじめました。すべての「チャネル」で発信するのは大切なことです。ブログにおける「マルチポスト」のような、粗製濫造の「拡散」が目的でない理由についてはあとで触れますが、中華圏の観光客も多いと聞くので、中国版Twitter「微博(ウェイボー)」などにも取り組みたいところです。

大涌谷のある箱根町は当初、通行止めが指示されたエリアの地図だけを公開していましたが、箱根町全体の地図を用意し、当該箇所を「対比」しながら紹介する全体像の発信に切り替えたと産経新聞が報じていました。広報的にも広告的にも大正解です。地理に明るくない観光客は、当該箇所だけの案内では箱根町全域だと錯覚してしまうからです。

箱根町と山手線

Googleマップの「目算」による比較ですが、箱根町全域と、東京の環状鉄道「山手線」の内側はだいたい同じです。避難指示が出ているのは半径300mほどのエリアで、これは上野公園より少し小さいエリア。そこから「上野で緊急事態が発生したからと、池袋や渋谷が規制されることはない」と説明するとより親切です。

神奈川県の公式サイトで、他の自治体の名前を挙げれば「摩擦」も懸念されますが、わかりやすさを求める「マスコミ」へのブリーフィングには使えますし、土産物屋など、民間レベルの情報発信としてなら問題ないでしょう。

さて、本番はここから。路面店のサイトが、定期的に更新できる情報が「店内」です。新商品を店頭に並べるたびに、それを写真に撮って掲載する。たったこれだけのことができていないサイトは少なくありません。もちろん、観光地の土産物屋、飲食店も同じです。

だれが見るのかという愚問

(店内なんて)そんなつまらない情報をだれが見るのか

という疑問を持つかもしれません。しかし、これを見るのはリアルのお客です。

裏通りにオープンしたとある居酒屋。宣伝といえば、運営元の工務店のサイトに少し告知したぐらいです。コンセプトが固まらずに開店を急いだために、具体的な「売り」が定まらないという事情からですが、店の前の「看板」を掲げた直後から、看板に書かれた「店名」で工務店サイトに訪問者がやってくるようになります。

通りを歩く人が店名を見つけ、「どんな店だろう?」という興味を持ち「検索」していると考えられます。いまや「スマホ」という通信機能付き携帯型小型パソコンを持っており、その場での検索する人もいるでしょう。そのとき「そんなつまらない情報」が最初の「接客」をしてくれるのです。

お客の抱える恐怖心

店内に足を踏み入れれば、押し売りされるのではないか、床が油で滑るほど汚い店ならどうしよう、怖いお兄さんがいるかもしれない……など、客は初めて入る店に何かしらの不安を抱えているもので、入店前に店内の雰囲気を知りたいと思うものです。

お店側に立てば「店内」など、見飽きている光景に過ぎません。しかし、お客に取っては新鮮な情報で、少なくとも見飽きてはいません。あるいはそれを「見飽きた」と思うなら、「お客」になってはくれないか、いちいちサイトにアクセスなどしない常連です。店頭セールの告知はもちろん、店内の観葉植物、店の外の街路樹の様子すら更新情報になるのも同じ理由です。

タレントがテレビ・ラジオ・雑誌などで同じ「ネタ」を語るのは、それぞれのチャネルに「客」がいるからです。つまり「店内情報」を「店頭」と「Web」という別のチャネルに提供するのは、それぞれのお客に対する「接客」だといえます。

神奈川県が災害情報を公式サイトだけでなく、FacebookやTwitterで発信するのも同じ理由です。情報を得るための行動が多様化しているのですから、発信側もそれに合わせる必要があります。

トレジャーハンティング

もちろん、なにも変化のない「店内情報」を更新しても意味がありません。しかし、少なくとも「路面店」で、店内に変化がないことはあり得ないことです。定番商品がならぶ観光地の「土産物屋」でも、季節ごとの商品は必ずあり、飲食店なら季節の食材を提供し、イベントごとの装飾を施すものです。これらを写真に収め、アップロードするだけでも立派な「更新情報」になるのです。

ホームページを見たと言えばワンドリンクサービス

とは、お客とスタッフの「会話」を生み出すことで「親近感」を生み出す、古典的なWebマーケティングの手法です。これを以下のように応用します。

  • 店内の観葉植物の名前
  • その日のスタッフの人数
  • レジ脇に置いてあるフィギアのキャラクター

などなど。これらの正解者にワンドリンクに限らず、簡単なサービスを提供するとWebに告知。あとは「お題」を定期的に入れ替えれば、苦もなく「定期更新」を実現できます。スタッフにとっては何でもない店内風景とは、お客に取って「非日常」の空間です。

今回のポイント

なんでもない情報でもいい

店内(情報)をWebというチャネルで発信

※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:商売は非日常という常識。チャネルごとの“更新”は路面店サイトの必然 | 企業ホームページ運営の心得 | Web担当者Forum
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この記事の筆者

宮脇 睦(みやわき あつし)

プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。

制作、営業の双方の現場を知ることからウェブとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供し、一業種一社、制作案件は足立区内のみという営業施策をとっている。本業の傍らメールマガジン「マスコミでは言えないこと」を発行。好評を博す。著書に『完全! ネット選挙マニュアル』(Kindle版)、『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)、冷静な視点からのIT業界分析に「週刊ポスト」など、様々な媒体から情報発信を続ける。


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