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グローバルサイト運用のポイント+はじめての海外サイト運用Q&A | Web制作・運用現場のための「課題解決」の教科書 | Web担当者Forum

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書籍から、Chapter 2-6. 「英語ができればグローバルサイトも運用できる?」の内容をお届けします。

「多言語や海外国用サイトの運用を依頼されたがどうやればいいの?」「語学堪能な人を採用したが、サイト運用が上手く回らない」。日本企業のグローバル進出に伴い、Web制作の現場でも多言語サイトや、日本以外の海外国用サイトの運用も必須になってきました。ここではグローバルサイト運用に必要な体制作りのポイントを解説します。

※本書では、グローバルサイトを“日本語以外の言語で作られた海外国及び、外国の方向けに作られたサイト全般”と定義します。

2-6-1 日本でグローバルサイトの運用はできるもの?

「あさみ、熱でもあるのか? 英語の勉強なんかして(笑)」

あさみ「笑いごとじゃないわよ! 実は、Webサイトを運用しているA社さんから『グローバルサイトを開設したいから、その運用もお願いしたい』という依頼があったの。だから、英語が必要かなと思って勉強をはじめようかなと……」

「最低限の英語力は必要かもしれないけど、あさみが翻訳するわけじゃないのだから、英語がペラペラにならなきゃいけないわけじゃないだろ」

あさみ「そうなのよね。グローバルサイトも基本的には、企画して、デザインして、コーディングして、運用していけばいいのだから。だけど、お客さんは心配しているのよね……」

「グローバルサイトを運用したことのある人は会社にいないのか」

あさみ「そういえば、鈴木先輩がグローバルサイトをディレクションしたことがあるって聞いたことがある! 聞いてみよう!」

2-6-2 なぜ、グローバルサイトが必要になってきた?

あさみ「鈴木先輩がグローバルサイトをディレクションしたのは何年前ですか?」

鈴木「3年前かな。今ほどグローバルサイト制作のニーズもなかった頃だな」

あさみ「今は依頼が多いですよね。どうしてこんなに増えてきたのですか?」

鈴木「数年前までWeb担当者は、国内向けのコーポレートサイトの運用を主にやっていればよかったし、Web制作会社も日本語サイトの制作や運用支援だけを任されていた。でも、日本企業の海外でのビジネス進出に合わせて、グローバルサイトの制作・運用や、海外国向けのソーシャルメディアの運用支援の要望が増えてきたのだな

※背景については、Chapter1参照

2-6-3 更に増える日本企業Web担当者の悩み

日本企業Web担当者の悩みとは

これまで企業のWeb担当者は、PC向けのコーポレートサイトの運用を主業務にしてきました。しかし、スマートフォンなどの通信機種の多様化や、ソーシャルメディアなどの運用ドメインの多様化、関係部署の多様化により業務範囲が広がりました。さらに、押し寄せるグローバルの波に合わせてグローバルサイト運用も加わり、「管理する」手間が劇的に増加しました。

対応するサイトやステークホルダーの多様化、通信機種の多様化、運用ドメインの多様化、押し寄せるグローバルの波、管理する手間が劇的に増加した

これが単純に日本サイトの延長にある業務として扱うことができれば、さほど大きな手間ではなく、吸収できるのかもしれません。

しかし、Webガバナンス(あるべき姿、品質にWebサイトを統括し、コントロールすること)において、日本国内のサイトだけを対象にする場合とグローバルサイトを含める場合とでは、大きな違いがあるのです。

国内と海外のWebガバナンスの違いとは

国内と海外のWebガバナンスの違いは、言葉の「壁」だけではありません。仮に、日本本社のWeb担当者が各国サイトのWebガバナンスを担当し、さらに、全世界共通のコンテンツの制作・更新をする立場だとします。国内拠点だけであれば、運用者が少数拠点に集中しているため、情報共有と連携がとりやすく、業務指示が「なんとなく」でも意図が伝わります。しかし、海外拠点を含めた運用ガバナンスでは、地理的な距離や時差の壁があるため、迅速な連携や共有がやりづらく、また、各国での運用者の人数もスキルにもばらつきがあります。ビジネス慣習や文化的背景の壁もあるため、業務指示が明確でなければ要件が伝わりません。

国内拠点だけのガバナンス、情報共有と連携がとりやすい、専門リソースが少数拠点に集中、なんとなくでもこちらの意図が伝わる、海外拠点を含めたガバナンス、迅速な連携や共有がやりづらい、国によっては1人での運用もある、明確でなければ用件が伝わらない

各国Webサイトの状況は?

このような違いと状況があり、まだまだ日本本社からの目が行き届いていません。一方で、現地各国でも対応しきれていないなどの理由で、下記のようなことが起きています。

  • 世界中に伝えたい情報やコンテンツが掲載されていない
  • ちぐはぐな翻訳や間違った表記・スペルが散見
  • デザインのイメージ・情報整理の仕方がバラバラ
  • 間違った企業ロゴやタグラインが使われている
  • 一斉配信ができていない。公開日の予定が守られない
  • 該当地域にとって最適なPR手法がとれていない
  • 各国で行われている実績や活動が掲載されない
  • 文化/宗教的な背景に照らして不適切な表現・情報がある
    ……etc

「えっ、本当に!?」と驚かれているかも知れません。しかし、現実問題として日本の大手企業のWebサイトでも起きているのを見たことがあります。

「集中」と「分散」が解決の鍵

このような問題が起き、なかなか解決しないのは、2つの原因があります。1つめは“「集中」マネジメントの欠落”です。本社がリーダーシップを発揮し統括・管理できていないことに原因がある場合が多いです。2つめは“「分散」マネジメントの欠落”です。各国の現地法人の裁量に委ねるべき業務が定められておらず、把握されてないことが原因です。これを解決するためには、各国の現地法人に一定の権限を与えつつも、肝要な部分は日本本社が手綱を握ることが重要です。

2-6-4 運用体制のポイント

運用体制は「本社」と「現地」のバランス

企業の事業展開の仕方や、組織形態によって、本社Web部門でどこまでの範囲を担当するか、裏を返せば、各国/地域にどこまでを委ねるかは変わります。

例えば全てを日本本社で更新すれば、品質は本社が思うような水準を全世界で保つことができるかもしれません。

しかしながら、現地の生活者にとって有益な情報を発信することは難しいかもしれません。逆に、全てを現地に委ねれば、現地に最適な情報は届けられるかも知れませんが、その企業のブランド向上に繋がるような、世界的な取り組みは紹介されないかも知れません。

一般的にはどちらか一方に完全に偏っているケースは少なく、「ブランド/ガバナンス」と「マーケティング」の両立を目指して、「本社」と「現地」の役割を模索している企業が多いようです。

グローバルサイトの運用タイプ

グローバルサイトの目的とリーダーシップ

しかし、結局どのような体制がその企業にとって望ましいのかは、サイトの目的をしっかりと定めて、それをブラさず達成するための本社のリーダーシップが必要なのです。

「どの地域・国の」「誰に向かって(消費者、取引先、マスメディア、社員、株主……など)」「何を発信し、何を起こしたいのか?」

そして、その目的を達成するために日々の運用では、何を実施していくのか、そこまで考えて初めて適切な体制を決めることができます。

もちろん、リーダーシップを持つと言っても独りよがりではいけません。各国/地域でどんなことが起きているのか、ヒアリングや調査をすることも必要でしょう。

参考に、企業のグローバルWebサイトの立ち上げ(リニューアルを含む)から、運用までに至るプロセス例を紹介します。

プロジェクト進行イメージ(例)

2-6-5 アンケート結果から分かるグローバルの今

メンバーズでは、2014年に「グローバルWebサイトの取り組みに関するアンケート」を実施し、企業のグローバルWebサイト運営現状を調査しました。

調査結果からグローバルWebサイト運用状況の変化を検証していきましょう。

アンケート概要
  • アンケート名:グローバルWebサイトの取り組みに関するアンケート(2014年)
  • 回答社数:23社
  • 対象:メンバーズ主催セミナー参加者(広報、マーケティング、Webサイト担当者)

Q. 予想されるグローバルWebサイトの取り組み

2年以内に予想されるグローバルWebサイトの取り組みについては、「マーケティング機能の強化」「スマートフォン・モバイル対応」と共に、「運用体制の見直し」を挙げており、グローバルサイトの運用体制に課題を感じている企業が多いことが伺えます。

Q. 本社の役割について

本社の役割については「ガバナンスから共通コンテンツ運用」「ガバナンス・ガイドライン、ルール」を担っている企業が多く、基本的なデザインのガイドラインなどルール面の整備はもちろんのこと各国共通のコンテンツの更新も日本で更新するなど“本社中心型”を採用している会社が多そうです。

Q. 運用体制について

多言語サイト及びグローバルWebサイトの運用体制については、「内制(国内・各拠点)」「外注(日本企業、国内対応)」と共に国内で運用している企業が多くみられました。

Q. パートナー(Web制作会社など)を選定する際に重視するポイントは?

多言語及びグローバルWebサイト運用パートナーを選定する際に重視するポイントは「コスト」「サイト設計・デザイン実績」などの実制作に関わる項目以外に、「調査・コンサルティング実績」を求める企業が多く、前述の通り、まずは「あるべき姿」をきっちりと作り、そのための材料として調査から行いたいニーズがあるようです。

2-6-6 グローバルソーシャルメディア支援活用

先ほどのアンケートの1年前、2013年に「グローバルソーシャルメディアマーケティングの取り組みに関するアンケート」を実施し、企業のグローバルソーシャルメディアマーケティングの現状を調査しました。

調査結果からグローバルソーシャルメディア活用の状況の変化を検証していきましょう。

アンケート概要
  • アンケート名:グローバルソーシャルメディアマーケティングの取り組みに関するアンケート(2013年)
  • 回答社数:24社
  • 対象:メンバーズ メールマガジン登録企業(広報、マーケティング、Webサイト担当者)

Q. ソーシャルメディアマーケティングの展開を検討している国は?

ソーシャルメディアマーケティングの展開を検討している国について「ベトナム」や「タイ」など英語圏以外の国への展開を希望している企業も増えています。

Q. ソーシャルメディアを活用している国は?

現在、ソーシャルメディアを活用したマーケティングの対象となっている国については、「アメリカ」「ヨーロッパ」が多い状況です。しかしながら、ASEAN諸国も多くあがってきており見逃せません。

Q. 活用しているソーシャルメディアは?

公式アカウントを持っているソーシャルメディアについては、やはり多くの国でメインのソーシャルメディアとして使われている「Facebook」が一番活用されています。

しかしながら、最近ではFacebookを使えない中国で、最もポピュラーなSNS“新浪微博(シナ・ウェイボー)”の活用も増え、SNSを有機的に組み合わせることの重要性を感じます。

Q. ソーシャルメディア活用の目的は?

ソーシャルメディア活用の目的について「企業や商品の認知を広げるため」を挙げている企業が多く、まずは自社や自社商品のブランディングに活用している状況のようです。

Q. 公式アカウント運用の役割分担について

公式アカウント運用の役割分担については、「方針策定・投稿運用ともに現地に任せている」“現地法人中心型”企業と、「方針策定・投稿運用ともに日本でやっている」“本社中心型”企業が半々の状況です。Webサイトと比べると、ソーシャルメディアがよりマーケティング要素が強いため、現地に委ねることが多いと思います。

Q. その他の課題は?

海外のソーシャルメディア活用で、現在抱えている課題については、「ファンが活性化しておらずエンゲージメントが低い」「ファンが少ない」などのファンやエンゲージメントに関する課題と共に、「各国におけるブランドや発信する情報のクオリティがコントロールできてない」などの“現地法人中心型”の運用での課題を挙げる企業が増えています。

2-6-7 はじめてのグローバルサイト運用Q&A

さて、ここからは、あさみと鈴木先輩がはじめてグローバルサイトを運用する際の心構えや体制について、Q&A形式でお答えします。

Q. どの程度英語ができる制作者を配置すればよいか分からない

あさみ「先輩、A社のグローバルサイト運用の体制ですが、ご存じの通り、私、英語が全くできないです……海外担当者との業務連絡も発生するので、英語ができる人をアサインしたいのですが、デザイナーもコーダーも英語ができないとダメですかね?」

鈴木「サイトの原稿をネイティブレベルの翻訳者や翻訳会社に依頼するという前提であれば、海外の担当者との業務が発生する際に、電話などで英語で会話のできるディレクターが1人いれば大丈夫だね。他のスタッフは中学校程度の英語レベルか、それ以下の英語力でも十分だよ。むしろ、Webの専門性が高く、きっちりとディレクションできる人材をアサインしたほうがいいと思う。グローバルWebサイトといっても結局はWebサイトの制作だからね」

Q. 海外担当者とのコミュニケーション方法は?

あさみ「海外の担当者とは何を使って業務連絡やコミュニケーションをしたらいいのですか?」

鈴木「僕の経験では海外の担当者とは基本的にメールを使っているよ。電話で連絡をした後にも内容確認のためにメールを送るほうが、お互いの勘違いなどはなくなるね」

あさみ「そうか。メールのほうが、後で何かあったときに見直しできますね」

鈴木「本当は顔を合わせてコミュニケーションできたほうがいいけど、海外だと距離的に難しいから、時々はテレビ会議で顔を合わせたり、一度現地に会いに行くとかは、関係を深めるためにも重要だ」

あさみ「そうですね。そういえば、別の会社の友だちが海外担当者とやりとりをしていて、海外担当者が何も言わずに1カ月のバケーションに入っちゃって、連絡がとれずに困っていました。日本人なら前々から休暇の連絡はしておくし、そんなに長く休暇をとらないから問題にならないですよね。そういうのもコミュニケーションが円滑にできていれば問題にならないでしょうか?」

鈴木「言ってくれるのを待つだけじゃなくて、海外担当者の夏休みや年末年始の予定は事前に聞いておいて、それを前提にスケジュールを立てたほうがいいよ。海外は祝日も日本とは違うからね。海外のカレンダーや海外の時刻に合わせた時計も用意しておくと便利だよ」

Q. 各国によってデザインや情報整理の仕方がバラバラです

あさみ「A社のグローバルWebサイトですが、各国によってWebサイトのデザインや・情報整理の仕方がバラバラで困っています。ロゴのレギュレーションも守られていないし……」

鈴木「今までは特に統一していなかったのかな。そうなると、共通のデザインガイドラインを作って、ガイドラインに合わせて制作をするように、各国に普及活動をしたほうがいいな」

あさみ「実は、日本のサイトを基準に簡単にガイドラインを作って、その通りにリニューアルをするようにお願いしたのですが、日本仕様で作ったデザインだと、ナビゲーションや配置するコンテンツに言語が合わないようで、変なデザインになってしまいます」

鈴木「国ごとの言語や嗜好に配慮したデザインコントロールが必要だね。少し大変だけど、日本仕様でデザインテンプレートを作るなら、言語に合わせてレイアウトしてあげたものを渡したほうがスムーズだね。ただ、日本の負担が増えるから、どこまでを日本でやって、どこから現地の担当者に担当してもらうか最初に決めておいたほうがいいよ。日本であまり制作できないのであれば、デザインガイドラインに合わせて制作するように、根気強く言う必要があるね」

Q. 緊急事態発生! なのに海外担当者と連絡がとれない

あさみ「先週、A社の5ヶ国分のサイトを緊急で更新しなければいけなかったのですが、どうしても連絡がつかない海外の担当者がいて、とてもあせりました……」

鈴木「海外とのやりとりは時差もあるから、緊急の場合の体制も考えておいたほうがいいね。いつもは現地で更新しているサイトも、緊急の場合は、日本の担当者に代理承認をしてもらって、日本側で更新する体制を準備しておくとかね」

Q. 思わぬつまずきで、制作スケジュールが遅延!

あさみ「日本語サイトだと、デザインやコーディング時に誤字脱字に気がつけるし、改行位置で困らないのですが、グローバルWebサイトだと単純ミスに気が付くことができなくて、何度も修正が発生してしまいます」

鈴木「確かに母国語じゃないと、正確に翻訳されていても、そういうミスには気が付きにくいよな。現地にチェックしてもらい、正解のテキストをメールで送ってもらってコピー&ペーストして修正することで文字入力のミスをなくすとかね。あと、言語が違うと改行をどこに入れていいか分からないから、翻訳者に改行位置で『/(スラッシュ)』を入れてもらうとか。テキスト修正1つとっても日本のWebサイトでは当たり前にすぐにできることが、グローバルWebサイトの運用では時間がかかるよね」

あさみ「翻訳も、英語を含む数ヶ国語に翻訳する場合は、まず英語に翻訳して、それをベースに他の言語にも翻訳するから倍のスケジュールがかかります」

鈴木「時差もあるし、色々な時間のコントロールが必要になるよな」

あさみ「あと、日本の常識が通じないことがありますよね。この前グローバルでキャンペーンサイトを立ち上げたときも、ある国ではキャンペーンをするときには政府の承認番号が必要だということを知らなくて、もう少しでスケジュール遅延になりそうでした」

鈴木「グローバルで新しいことをはじめるときは、企画段階で現地の担当者に現地独自のルールがないか確認することが必須だな」

Q. グローバルサイトのリニューアル時の注意点は?

あさみ「A社からグローバルWebサイトのリニューアルをしたいと言われていて、気をつけたほうがいい点はありますか?」

鈴木「まずは、日本語サイトと同様に、現行サイトのログ解析や、競合企業サイトの調査を行って、良い点と課題を出すことをしないとね。

現地の担当者にサイトに求められているニーズについて調査しておいてもらうのも有効だね。それから、国によってスマートフォンの普及率や、モバイル端末の回線状況が異なるから、まずは対象国のインターネットの利用状況を調べたほうがいいな

あさみ「なるほど。日本基準のスマートフォン対応サイトを作っても、モバイル端末の通信規格によって速度が遅かったり、そもそもスマートフォンの普及率が低いと利用されないですよね」

鈴木「あとは、普及しているソーシャルメディアの種類も国によって違うから、各ソーシャルメディアの利用率も調べて、ソーシャルメディアにサイト情報をシェアするプラグインを何にするか決めたりしたほうがいいね」

あさみ「調べてみます。あと、コンテンツ内容を決めるときに注意する点はありますか?」

鈴木「サイトのコンテンツ内容については、できるのであれば現地の担当者にもどんなコンテンツにするかヒアリングしたほうがいいよ。現地の人の知りたい情報がなかったり分かりづらいサイトになっても困るからね」

あさみ「本社としての視点だけでなく、現地の視点を忘れてはいけないということですよね」

鈴木「それから、リニューアル後の運用について、検討しておかなければいけないね。目的と役割分担をはっきりさせておくことで、更新もスムーズに進むから」

Q. 海外向けにソーシャルメディア運用をはじめるときに気をつける点は?

あさみ「A社では、海外向けのソーシャルメディアのアカウント開設も検討しているようですが、はじめるときに気をつける点はありますか?」

鈴木「国によって、普及しているソーシャルメディアの種類が違うから、各ソーシャルメディアの利用率を調べて、どのソーシャルメディアを開設したらよいか提案したほうがいいよ。日本では当たり前のサービスも使われていない場合だってあるから」

あさみ「分かりました。それから、開設後の運用のポイントはありますか?」

鈴木「運用で大切なのは、国ごとにどのようにソーシャルメディアが活用されているかを調べることだな。ソーシャルメディアで流行っている投稿や、どのような投稿がシェアされやすいのかを調べることだ。日本だけであれば、投稿記事の文章量が多くても読んでくれることもあるけど、複数の国や地域の人に見てもらうのであれば、写真が大事になってくるから、印象的な写真だけの投稿とか、写真と簡単なキャプションだけの投稿が良かったりするよ」

あさみ「要は、言葉の問題ではなくて、現地の人々の嗜好や動向を理解して、どうコミュニケーションを取るか考えることが大事だということですね」

Q. できるだけタイムリーに運用するには?

あさみ「ソーシャルメディアはタイムリーな投稿が命なのに、投稿原稿を翻訳するのに時間がかかることが多くて困っています。できるだけタイムリーに海外のソーシャルメディアを運用するにはどうしたらいいですか?」

鈴木「まずは、原稿の承認フローを簡素化して確認時間を短縮することが大事だね。例えば、簡単な投稿については現地の担当者の承認をスキップして短くするとか。あとは、予約投稿を使えば、各国のユーザーがアクティブな時間に投稿できるよね」

あさみ「なるほど、日本時間で投稿しても時差の関係で海外では夜中で誰も見ていない場合もありますよね」

鈴木「他に、写真と簡単なキャプションだけの投稿にすれば、翻訳の必要がなくなるよね」

あさみ「写真中心の投稿であれば、言語に関係なく投稿できるから、数カ国語の運用もタイムリーにできそうです」

Q. ファンがなかなか集まらない…

あさみ「開設したA社のグローバルFacebookページですが、なかなかファンが集まらず盛り上がらなくて困っています」

鈴木Facebook広告を使うのがいいよ。海外の企業も積極的にFacebook広告を活用しているね」

あさみ「Facebook広告か。複数国のFacebookページを運用しているから、全てに広告を出すとなると、予算が足りないかもしれません」

鈴木「Facebook広告の出稿単価は国によって違うから、国ごとにシミュレーションしたほうがいいね。予算がない場合は、まずは企業のマーケティング注力国を中心に出稿して、効果が良ければ他の国でも出稿することで対応していくといいよ」

2-6-8 グローバルWebサイト運用のまとめ

  • 目的の設定と本社のリーダーシップが一番重要!
  • 距離や時間の問題があるからこそ、マメなコミュニケーションを!
  • 緊急事態の備えは、日本以上に念入りに!
  • 理想の運用体制は企業の数だけある!「本社」と「現地」の良い関係を

あさみ「お兄ちゃん、前に相談したグローバルサイト運用を支援しているA社のグローバルサイトからの問い合わせが3倍になったって担当者からお褒めの言葉をもらったの!」

「おめでとう! すごいじゃないか」

あさみ「はじめはどうしようか困ったけど、ガイドラインや体制やルールを作って、海外の担当者とこまめなコミュニケーションを築くことで、日本語サイトと同じように運用できることが分かったわ!」

「安心するのはまだ早い。これから日本企業の海外進出が本格化してくれば、グローバルサイトに力を入れてくる企業も増えて、競争が激化してくるからな。他のWeb制作会社との差別化も必要になってくるぞ」

あさみ「えー。そうか……。でも“世界のWebディレクターあさみ”になれるように頑張るわ!」

※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:グローバルサイト運用のポイント+はじめての海外サイト運用Q&A | Web制作・運用現場のための「課題解決」の教科書 | Web担当者Forum
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この記事の筆者

雨宮 秀仁(あめみや ひでひと) Chapter2 担当
株式会社メンバーズ

2012年入社とともに、Webマネジメントセンター推進室にて、全社の品質・生産性向上と、Web運用サービス事業を推進。金融事業会社の運用責任者を兼務し、社内の制作工程を可視化、生産管理手法を見直し、シックス・シグマ的手法を導入し、2か月で工程内ミスの67%削減、稼働時間の30%削減を実現。また、お客様の業務効率化にも取り組み、クライアントのWeb運用改革を主導している。メソッドの全社展開を図るとともに、革新的なWeb運用サービスの実現を推進している。

和田 直美(わだ なおみ)Chapter2 担当
株式会社メンバーズ マーケティングプランナー/上級ウェブ解析士

印刷、イベント、Web制作会社勤務を経て、2007年にメンバーズに入社。自社のマーケティング活動に携わる。

神尾 武志(かみお たけし) Chapter1 担当
株式会社メンバーズ セールス&マーケティングディビジョン ディビジョン長

神保 直樹(じんぼ なおき) Chapter3 担当
株式会社メンバーズ Webプランナー/中小企業診断士

増井 達巳(ますい たつみ)Chapter4 担当
合同会社フォース 代表社員

株式会社メンバーズ

1995年創業。経営理念に「“MEMBERSHIP”でマーケティングを変え、心豊かな社会を創る」を掲げ、国内大手企業を中心とした顧客企業に対し、デジタルマーケティング分野における戦略立案から企業Webサイトの構築・運用、ソーシャルメディア活用等の支援サービスを総合的に提供しています。

また、メンバーズでは「社会への貢献」「社員の幸せ」「会社の発展」を同時に実現する経営指針「超会社」に基づき、東北復興支援として現地での雇用創出・地域経済活性化を目的とした仙台オフィスの開設やワークライフバランスへの取り組み、健康に働ける職場づくりなど、様々な取り組みを行っています。
http://www.members.co.jp/


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