コンバージョンを増やすチャネル施策を考えるために、「衝動買いユーザー」と「じっくり検討買いユーザー」の行動パターンを把握・分析したい
eコマースサイトでも、リアルな店舗と同じように、広告を見てふらっと立ち寄ったお客さんが衝動買いをしたり、おなじみさんが定期的に買いに来たりする。
しかし本当に広告をクリックしてやって来たユーザーが衝動買いしているのだろうか。また、おなじみさんの購入パターンはどういうものなのだろうか。
せっかくGoogleアナリティクスという優れた分析ツールがあるのだから、これを使ってコンバージョンした人に絞ったうえで、そんな異なるユーザー層をしっかり分けてデータを見てみることで、よりユーザー理解を深めていき、よりよいユーザー体験に導いていくことができないだろうか。
そこで今回は次の2つのセグメントを紹介しよう。
- 購入までの期間が1日以下のユーザー(衝動買い)
- 購入までの期間が2日以上のユーザー(じっくり検討買い)
「衝動買いユーザー」と「じっくり検討買いユーザー」を分析できるようにする方法
今回は[コンバージョン]>[マルチチャネル]レポート群を中心に見ていく。なおマルチチャネルはeコマース設定あるいは目標設定していないと見ることのできないレポート群だ。「マルチチャネル」レポート群は、コンバージョン(購入や目標達成)したユーザーの過去の接触チャネル(参照元)の行動に絞ったレポート群である。
この[コンバージョン]>[マルチチャネル]レポート群で掛けられるセグメントは普通のセグメント機能のセグメント群とは異なる。「コンバージョン セグメント」という別の機能があり、[コンバージョン]>[マルチチャネル]レポート群の他には、おそらく[集客]>[ソーシャル]>[コンバージョン]レポートにしかないようだ。
「コンバージョン セグメント」はコンバージョン(購入や目標達成を含む)したユーザーにもともと絞られたうえでのセグメント機能ということだ。[コンバージョン]>[マルチチャネル]レポート群では、各レポート画面の上部に「コンバージョン セグメント」機能(図1赤枠部分)がある。
図1は[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[期間]レポートの画面上部だ。
ここ(図1赤枠部分)をクリックすると、図2のようなコンバージョン セグメントの機能が表示される。
通常のセグメント機能と同様に、標準で用意されている「デフォルトのセグメント」群(図2赤枠部分)から選択することもできれば、自分で新しいセグメントを作成して登録しておき、そこから選択することもできる。「ユーザー定義セグメント」の下に表示されている一覧(図2青枠部分)がそれだ。
初めてコンバージョン セグメントを使うユーザーであれば、「ユーザー定義セグメント」には何も表示されていないはずだ。筆者のユーザー定義セグメントは7つあるが、マスクしてある。
今回使用したいのは「購入までの期間が1日以下のユーザー」「購入までの期間が2日以上のユーザー」の2つのセグメントだ。後者の「購入までの期間が2日以上のユーザー」はデフォルトのセグメントの中にある「期間 > 1日」(図2緑枠部分)を利用すればいい。
一方、前者の「購入までの期間が1日以下のユーザー」は新しく作成しなければならないので、まずそれを作成してしまおう。
「購入までの期間が1日以下のユーザー」セグメントの作成方法
セグメントの新規作成は、右上にある「新しいコンバージョンのセグメントの作成」(図2黒枠部分)をクリックする。
すると図3のような新しいコンバージョンのセグメントの作成画面が出てくる。
まずセグメントの名前(図3赤枠部分)に「期間が1日以下」などと記入し、条件指定をメインエリア(図3青枠部分)で行う。
「購入までの期間が1日以下のユーザー」セグメントは図4のように設定しよう。図3はプルダウンが2つ見えていて、インタフェースが違うように見えるが、まず上部のプルダウン(図3黒枠部分)の中から、「所要時間(日数)」という指標を選択(図4赤枠部分)する。
すると、シンプルな条件設定画面に変化するので、続いて「未満」をプルダウンから選択(図4青枠部分)し、一番右の入力部分には「2」と記入(図4緑枠部分)しよう。これでコンバージョン(購入)までに2日未満(つまり1日以下)だったユーザーが指定できる。これで「セグメントの保存」ボタン(図3緑枠部分)をクリックする。
セグメントの掛け方
そしてこの2つのセグメントをレポートに掛ける場合は、コンバージョン セグメント機能(図5赤枠部分)をクリックし、デフォルトのセグメントの中にある「期間 > 1日」(図5青枠部分)と、ユーザー定義セグメントの中にある、先ほど作成した「期間が1日以下」(図5緑枠部分)にチェックをして、[適用]ボタン(図5黒枠部分)をクリックすればよい。
「期間 > 1日」セグメントの設定内容
なおデフォルトのセグメントの中にある「期間 > 1日」は、新しいコンバージョンのセグメントの作成画面の指定が「一致」「所要時間(日数)」「超える」「1」という指定がされている条件(図6)と同じだと考えてよい。
コンバージョンまでの日数の分布を確認するには?
次にこのセグメントの活用方法を見ていこう。今回は冒頭にも書いたように購入ユーザーの過去の接触チャネルなどの行動を見たいので、おもに[コンバージョン]>[マルチチャネル]レポート群を見ていく。まず始めは[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[期間]のレポート(図8)を、セグメントを掛けずに見てみる。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[マルチチャネル][期間]を順にクリックする
- 集計対象期間を1ヵ月(図7赤枠部分)とする
- コンバージョンのタイプで「購入(eコマースのトランザクション)」を選択(図7青枠部分)する
- ルックバック ウィンドウに「90」(図7緑枠部分)と入力する
ここでは、ある1ヵ月間を対象(図7赤枠部分)に指定し、コンバージョンのタイプは購入(eコマースのトランザクション)だけを選択(図7青枠部分)し、購入から90日前(図7緑枠部分)までの状況まで遡って見る設定にしてみた。
レポート下部のデータ表示部が図8になる。
このサイトでは購入までの日数が短いグループ(図8赤枠部分)と長いグループ(図8青枠部分)がいることが確認できた。やはりそれぞれのユーザーグループを分離して見ることには意味がありそうだ。
今回は購入までの日数が「1日以下」と「2日以上」の2つのセグメントに分けたが、自分のサイトの[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[期間]レポート(図8)で、購入までの日数の分布の実態を確認して、分ける境の日数を調整していただきたい。
何回目の訪問でコンバージョンしたかを確認するには?
次に見るのは、[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[経路の数]レポートに先ほどのコンバージョン セグメント2つを掛けたレポート(図9)だ。ここで見るポイントは「購入までの期間が1日以下のユーザー」セグメントの「経路の数」だ。「経路の数」とは何回目で購入したかを示す回数で、新規セッションから購入セッションまで、あるいは前回購入セッションから今回購入セッションまでのセッション数を示している。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[マルチチャネル][経路の数]を順にクリックする
- 「期間 > 1日」セグメントと「期間が1日以下」セグメントを適用する
「購入までの期間が1日以下」と即決に近い購入をしているユーザーのうち、1回しかサイトを訪問せずに購入している本当の衝動買いユーザーがどのぐらいいるのか見てみよう。
図9の例では6割弱がすぐに購入している(図9赤枠部分)が、一方で2~3回訪問して購入しているユーザーが3割超いる(図9青枠部分)。当然だが、1日以内に購入して購入決定のスピードは速いが、比較検討などをしているのだろうか、何度か再訪問した後に購入するというユーザー層も一定割合いるということがわかった。
一方で、逆に購入までに2日以上時間は掛かっているが、2回目や3回目という比較的即決に近い購入行動をしているユーザーがいる(図9緑枠部分)ことも確認できる。当たり前だが、期間と回数の組み合わせでさまざまなパターンがあることが改めて確認できる。
1日以内に数回訪問してコンバージョンしているユーザーがどこから訪問しているのか、分析するには?
では1日以内に購入しているが、即決でなく2~3回訪問して購入するユーザーはどのようなチャネル(参照元)を経て購入に至るのだろう。それは[コンバージョン]>[マルチチャネル]>[コンバージョン経路]レポートに該当セグメントを掛けてみよう。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[マルチチャネル][経路の数]を順にクリックする
- 「期間 > 1日」セグメントと「期間が1日以下」セグメントを適用する
このケースでは1日以内かつ2回目でコンバージョンするパターンは、
- 「オーガニック検索」→「ノーリファラー」で購入
- 「有料検索」→「ノーリファラー」で購入
- 「参照元サイト」→「ノーリファラー」で購入
などが代表的だった(図10赤枠部分)。初回はさまざまな経路から訪問し、次はブックマークなどで再訪問して購入というよくありそうなパターンだ。
図10の例では、「期間が1日以下」「期間 > 1日」の順にセグメントが掛かっている(図10青枠部分)が、このセグメントを掛ける順番を逆にすれば、初回訪問から2日以上経てから購入するユーザーの経路パターンの多い順にソートして見ることができるので、切り替えてそれぞれの特徴を把握するのがよいだろう。
図10は標準に用意されている「MCF チャネル グループ」というディメンションでレポート表示しているが、「参照元/メディア」のディメンションで表示したり、任意の自分の好きな分類で表示させたりすることもできるので、違うディメンションを選択(図10緑枠部分)してみてもよいだろう。
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オリジナル記事:自分のサイトで「衝動買いユーザー」と「じっくり検討買いユーザー」の行動パターンを把握しておこう(第42回) | Googleアナリティクス セグメント100選 | Web担当者Forum
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