クレーム、誤配、誤送、遅配……消費者と宅配会社の間で何か問題が起きれば、ECサイトの印象はがた落ちです。大事なことは、宅配会社を営業所単位で1つの取引先と考え、その責任者と密にコミュニケーションを取る環境を構築し、自社主導で品質管理を行っていくこと。その前提として知っておきたい配送トラブルが起きるメカニズムを解説していきます。
“臭い”も要注意、ECサイトには非がないのによく起きてしまうクレーム
EC事業者としてクレームをいただいてしまうのは非常に痛い!
特に楽天市場やAmazonなどのモールに出店(または出品)している場合、モール上に悪い評価を書かれてしまうと、そのあとの受注数にも影響が出ます。ましてやモール側からペナルティなどを受けた日には目も当てられない状況になりますよね。
ではEC事業者に非がないのに起きてしまうクレームにはどんなものがあるのか見てみましょう。
- 遅配
- 誤配
- 破損・汚損
- 態度が悪い
- 臭い
笑ってはいけません。受け取ったダンボールがタバコ臭いというクレームは、割と高い頻度で発生しているのです。
そのため各宅配事業者はタバコクレームを誤配と同じくらい「悪」とみなしています。宅配業者によっては運転中の喫煙禁止指示を出したり、喫煙後は「うがい」「手洗い」の実施と消臭スプレーを施すことを義務付けていることも多いのです。
ドライバーは当日に配送量を把握し、自分で最短・最速のルートを練っている
基本的に宅配ドライバーは自分の受け持ちエリアが決まっており、よほど特殊な場合を除き、“誰かが助けてくれる”ことはありません。なぜなら助けてくれる「誰か」も自分の受け持ちエリアがあり、それぞれ定められたルールに従って荷物を配達しているからです。
簡単に言うと隣のヤツに構っている余裕がないのが通常なのです。
さらに、この情報社会で暮らしている皆さんにはちょっと信じられないことかもしれませんが、各ドライバーは、「今日配達する荷物がどれだけの件数があるのか」「それぞれをどこに配達するのか」といったことを、その日の朝に出勤して初めて知ります。
「クロネコヤマト」や「佐川急便」は、1社平均1日300万個以上の荷物を集荷しますが、その300万個の荷物のなかから、自分の配達エリアへ向けて発送される荷物がどれだけあるかをドライバーが事前に知るすべはないのです。
つまり、その日偶然、自分のエリアに到着した荷物の件数が多い場合、また同じ時間帯に配達しなければならない荷物が重なってしまった場合、ドライバーがどういう優先順位を付けながら配達するか決断を迫られます。
また、工事や事故などによる突発的な交通事情の悪化、時期的な物量の増減など、日々条件が変わっていくので、皆さんが考えているように毎日決まったルートを、決まった順番で訪問できるわけではないのです。
このように、日々変動する状況のなか、配達を担うドライバーたちは、瞬時に最短ルートを判断し、同時に渋滞状況などを予測しながら、各所への到着時刻を予想しておかねばならないのです。
ある種職人技のようなものであり、習得するにはそれなりの経験を積まねばなりません。たとえば、ベテランのドライバーでも新しいエリアを受け持って間もないときは、その能力を発揮することができないものなのです。
そういった状況下で、配達順を組み間違えてしまったり、見込みが甘かったりすると、予定通りに配達が進まず、遅配を起こしてしまうことになるのです。
EC会社の皆さんにとって配送は自社の手が届かないところです。クレームを引き起こさせないためにできることは、宅配会社の営業所と密にコミュニケーションを交わし、自社主導で品質管理を行っていくことなのです。
オリジナル記事はこちら:EC事業者は知れば得する、宅配便に関するクレーム上位5つと遅配が起きるメカニズム(2014/12/11)
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