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いいね!ボタンを付けただけでソーシャルメディア対応した気になるのは大間違い! | 生田昌弘の「Web担当者に喝!」 | Web担当者Forum

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FacebookやTwitterを始めて、Webページにソーシャルボタンを設置することがソーシャルメディア対応だと思っているWeb担当者や業者に喝!
ソーシャルメディア対応とは、お客さまの声を聴き、コミュニケーションすることだ。

「ソーシャルメディアへの対応を!」とWeb担当者は言うけれど

FacebookやTwitter、LINEの急激な普及にともない、企業はソーシャルメディアへの対応を迫られている。もちろん、これからの時代の流れとして、ソーシャルメディアへの対応が重要度を増していくことは言うまでもない。

しかし、「ソーシャルメディア対応を進めなければ!」という意識はあるものの、やっていることはWebページに「いいね!」ボタンを付けて、公式アカウントを開設してサイトの更新情報を自動的に流すだけ。そんなWeb担当者も多いのではないだろうか。

必要ではあるが、十分ではない。それぞれのソーシャルメディアの特徴を理解したうえで、そこから何が得られて、何を成し得なければならないかを検討しなければ、せっかくのソーシャルメディアを有効に機能させることはできない。

ソーシャルメディアの普及は、お客さまの情報行動(情報発信と収集のやり方)の大きな変化の表れだ。さらに、利用するソーシャルメディアごとに、お客さまのニーズも利用シーンも違う。

企業は、それぞれのソーシャルメディアに対する「全体の方針」と「個別の方針」を持つことが必要になる。これは、Webサイトにおいて基本となる「ガバナンス」や「トーン&マナー」のようなものと考えればわかりやすいかもしれない。

ソーシャルメディア全体に対する企業としての「ガバナンス」(対応方針、指針)と、それぞれのソーシャルメディアごとに、お客さまの情報行動に合わせた「トーン&マナー」(情報の出し方)が必要になるのだ。

ソーシャルメディアが成熟すれば、あたかもWebページをユーザーごとに出し分けるかのように、それぞれのユーザーに最適化された対応が求められるはずだ。

「ソーシャルメディア対応」とは、お客さまの情報行動への最適化でなければならない。

ユーザーニーズ最適化と同様に、お客さまは自身の情報行動を明確に示してくれている。これに真摯な対応をすること、それこそが究極の「ソーシャルメディア対応」と言えるのだ。

今度のリニューアルさ、ソーシャルメディアの活用施策も入れてね!
Web担当者の上司
ソーシャルメディア対応を社長から命じられたけど、どうしよう……?
Web担当者A
すべてのコンテンツに「いいね!」ボタンを設置しておいてください!
Web担当者C

ソーシャルメディアへの注力それ自体は、当然すべきことなので問題ない。しかし、それをどう成し得るかは大きな問題となる。

単純に「いいね!」ボタンを設置したからと言って、解決できるものではない。

これからはSNSの時代ですから!
Facebookを使ったキャンペーンは鉄板ですよ。
制作会社
ソーシャル対応さえしておけば十分成果が出ます!
イイ感じの画像上げておけばすぐバズりますよ。
ネット系代理店

制作会社も「ソーシャルメディア対応」の意味を取り違えているところが多過ぎる。

お客さまの情報行動への最適化。

ソーシャルメディア対応においてもっとも重要なのはこれだということを、肝に銘じるべきである。

企業や組織としてお客さま1人ひとりとどう向き合うか。現場の担当者が1人でやってできるものではないし、代理店や制作会社にまかせておけるものでもない。このことを、上司をはじめ社内全体で理解しておく必要がある

ソーシャルメディア対応とは「お客さまの変化」への対応

企業からのオーダーのほとんどが、Facebookページの立ち上げだったり、「いいね!」ボタンの設置だったりすることに違和感を覚える。

確かに、Facebookページを立ち上げることは、有効な施策ではある……。しかし、Facebookページを立ち上げて、言いたいことを発信するだけでは、企業にとってのソーシャルメディア対応とは言い難い

個人が、自分の能力を多くの人に発信するやり方で、ソーシャルメディアで有効な成果を残している。これを企業が参考にして、企業情報の発信の場所としてソーシャルメディアを利用している。

しかし、ほかのメディア、特にペイドメディアやオウンドメディアにコストがかけられない個人の場合と、すでにマスメディアに対しても投資を行っている企業の場合とでは、ソーシャルメディアでの対応も大きな違いが出るはずだ。

これは、Webサイトやブログでも同様である。

ミニコミ誌やチラシ中心の個人や小さな企業がやることと、メディアを利用している企業がやることとは、明確に分けて考えなければならない。

そして、それを考慮して、ソーシャル対応を実践することになる。

企業にとってソーシャルメディアは、これまで利用してきた「ペイドメディア」(広告のように購入する媒体)と「オウンドメディア」(自社運営の媒体)に次いで、利用可能になったメディアだ。

クチコミ、ブログ、SNSなどの「アーンドメディア」(信頼や評判を獲得する媒体)として語られることも多くなってきた。

新しいメディアの登場は、お客さまの行動に変化をもたらす。つまり、ユーザーの導線が変わるということだ。

これまでのWebサイト構築時に検討していたユーザーシナリオに変化がもたらされる。ここがソーシャル対応を企業が考えなければならないもっとも重要なポイントであり、真のソーシャル対応の実現のベースとなる。

Webサイトを前提とした顧客導線とは、ソーシャルメディアの顧客導線は異なるため、これに対応する必要がある。

ソーシャルメディア対応とはCRMの取り組み

企業が最初に取り組むべきは、ソーシャルメディア上の顧客の声に耳を傾けることだ。

自社にとってのお客さまの情報行動を明確にすることが、ソーシャルメディア対応のはじめの一歩である。その次がコミュニケーションだ。

ソーシャルメディア上での対話(コミュニケーション)は、店頭で行う接客と本質的には同じだ。

誰もがつながるソーシャルメディアで、お客さまの情報行動を明確にした企業は、お客さまの情報行動に基づいた最適なコミュニケーションをスタートさせる。

ここで必要なことは、ソーシャルメディア全体に対する企業としての「ガバナンス」(対応方針、指針)と、ソーシャルメディアごとのお客さまの情報行動に合わせた「トーン&マナー」(情報の出し方)である。

これは「全体の方針とそれぞれのメディアの特徴を意識した対応」と言い換えることもできる。

そのうえで、お客さまにとってどのようなメリットがあるかを考えて、コミュニケーションしていかなければならない。こう考えると、企業にとってのソーシャルメディア対応とは、顧客サポートであり、ユーザーニーズの把握であると言えるだろう。

ソーシャルメディアは、ユーザーの一方的なメッセージの発信ととらえることもできるが、実態は、ユーザー同士のコミュニケーションである。ユーザー同士のコミュニケーションに割って入って営業活動をするというのは、非常に敷居が高い。だからこそ、企業にとってのソーシャルメディアは、CRMの取り組みと言えるのだ。

最終的に誘導すべきWebサイトで活用できる定量的なデータに落とし込まなければならないし、そのデータに基づいてWebサイトそのものも変えていかなければならない。

企業Webサイト
サーチエンジン
サーチエンジンも導線を変えようとしている
詳細ページ
リストページ
これまでの導線
TOPページ
専用ページ(LP)
Facebook等
ソーシャルフィルタリング
Follow等
共有
Twitter等
ソーシャルレコメンデーション
ReTweet等
拡散
これからの導線
Webサイトを経由しない場合も
ソーシャルメディアを活用したCRMの取り組み例

以下に、ソーシャルメディア対応を始める際の具体的な取り組みを示す。

  1. 顧客の声に耳を傾ける

    ソーシャルメディアに書かれていることを洗い出すのではなく、お客さまの情報行動の変化について検討する。

  2. お客さまの行動導線を可視化する

    やり方はどのようなものでも構わない。この連載で何度か紹介している「ユーザー体験シナリオ」も有効だ。

  3. 対応すべきソーシャルメディアとコンテンツ内容を検討する
  4. ソーシャルメディア全体に対する方針と、メディアごとに最適化された方針を明確にする

    社内の対応体制も忘れずに、リスク等も洗い出しておけば、安易な横槍は入りにくくなる。

ここまでがソーシャルメディア対応のはじめの一歩だ。

これにより、お客さまの情報行動に対応するために、企業として最低限度対応しなければならないことと、どのように対応すべきかが明確になる。

ここからソーシャルメディアに本格的に対応していくわけだが、忘れてほしくないのは、お客さまの情報行動の中に自社Webサイトも含まれているということだ。

たとえば、Facebookから企業Webサイトを確認する導線は必須である。だから、本当のソーシャルメディア対応のはじめの一歩は、これらに対応できる必要十分なコンテンツを有した自社Webサイトからとなる。

さらに、ソーシャルメディア対応に十分耐えられ、さらにソーシャルメディアが有効に機能するためには、自社サイトの改修も必須だ。

もし自社Webサイトのリニューアルを検討するのであれば、「SEOを有効に機能させる構造」と「ソーシャルメディアに対応できる導線やコンテンツの検討」が不可欠だと心得てほしい。

ソーシャルメディア対応とは「当たり前のことを当たり前にやること」

ソーシャルメディアの隆盛は、企業のサービスそのものが問われる時代をもたらす。

サービスそのものの質の向上やお客さまへの最適化が求められる。

企業にとって、新規顧客獲得よりも、お客さまとの良好なコミュニケーションに最適なメディアと考えられる。

新規顧客獲得や集客手法と考えてしまうと、費用対効果が低いメディアかもしれない。しかし、Webブランディングをペイドメディアよりコストパフォーマンスよく実践するためには、有効なメディアだと言える。

Webサイトそれ自体も、効率の良いブランディングツールであることに、議論の余地はない。ソーシャルメディアは、それを一層後押ししてくれるメディアだととらえれば、企業がやらなければならないことや、やり方が見えてくるはずだ。

もしかしたら、最初の一歩は、自社Webサイトの充実なのかも知れない。

すでに海外では、オウンドメディアの中にソーシャルメディアを取り入れる企業も増えてきている。ペイドメディアを利用できる企業にとって、ソーシャルメディアはオウンドメディアの範疇に入れるべきなのかもしれない。

本日のまとめ

お客さまの情報行動、すなわち“情報発信と収集のやり方”に対する最適化がソーシャルメディア対応の肝。

「お客さまのためのソーシャルメディア対応」でなければ、Webサイトで成果を出すことはできない。

すべては、お客さまの問題解決のために!

※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:いいね!ボタンを付けただけでソーシャルメディア対応した気になるのは大間違い! | 生田昌弘の「Web担当者に喝!」 | Web担当者Forum
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この記事の筆者

生田 昌弘(いくた まさひろ)

株式会社キノトロープ
代表取締役社長

1959年生まれ。岡山県出身。1985年に生田写真事務所を設立し、カメラマンとして活動を開始する。1993年12月にキノトロープを設立し、代表取締役に就任。以後、一貫した方針で数々のWebソリューションを築き上げる。現在もネットエバンジェリストとして布教活動を実践中。

主な著書に『Webブランディング成功の法則55』(翔泳社)、『CMS構築成功の法則』(技術評論社)、『Webサイト構築ワークフロー』(ソフトバンククリエイティブ)、『アクセス解析からはじめる Webサイト運用 成功の法則』(ソフトバンククリエイティブ)、『次世代Webサイト構築ワークフロー』(インプレスジャパン)など。

【イラスト】
北上 諭志(きたがみ さとし)


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