Webコンテンツを企画し湯水のように生み出していくためには、コンテンツを機能ごとに8つ分類し、浮かんだアイデアがその分類のどこに当てはまるか整理しましょう。この整理をすることで、自分の抱えているテーマをおもしろいコンテンツにするにはどうすべきか、コンテンツの価値を上げるためにどの分類にすべきか、自社サイトで足りないコンテンツはどんなものかがわかるようになります。
8つのコンテンツ分類
コンテンツを機能ごとに分類すると、次のような8つに分けられます。各項目をクリックすると詳しい解説に飛びます。
1役立つ読み物「単発型」
「単発型」のコンテンツとは、1~3回程度で完結し、1つのテーマについて書かれていて、役立つ、あるいはおもしろい読み物のことです。たとえば、「単発型」のコンテンツとは次のようなものです。
- 3分でわかる! スマートフォンを3倍楽しむコツ
- 働きやすいオフィス作りのための5つの法則
雑誌では「特集」にあたる位置づけです。数回で結論まで進み、1つの読み物として完結します。ずっと掲載しておけば後述する5.永続型コンテンツとして扱うことも可能です。「コンテンツ企画で何かないか?」と考えるとき、真っ先に考える種類の1つですが、次の2つが課題です。
- 長期的にコンテンツを掲載すると内容が古くなり、永続的に役立つ、おもしろいコンテンツでなくなる可能性が高い
- ネタ切れになることが多く、おもしろい企画を次々に打ち立てるのが難しい
こういった課題はありますが、まずコンテンツを考えるときは、この「単発型」から出発し、コンテンツの種類の幅を増やしていくといいでしょう。
2回を追って価値が出る「連載型」
「連載型」のコンテンツとは、分厚い単行本にしても書ききれないような大きな同一のテーマを、1回で完結せずに何回かに分けて掲載していくものです。連載には無期限の連載と回数を決めた連載があります。たとえば、「連載型」のコンテンツとは次のようなものです。
- プロが教えるお掃除テクニック キッチン編
- 工場の安全確保 初歩から応用まで 初歩編
雑誌でも「連載記事」というのは多く掲載されています。雑誌の場合は、雑誌自体を保存していなければなくなってしまいますが、Webの場合は記事が蓄積されていくので、回を追ってコンテンツの価値が出てきます。コンテンツにリピーターがつき、次第に検索性も高まるので新規獲得力も増していきます。
1回分は1~3ページぐらいとしてどんどん増やしていけば、気がついたときにはライバル会社が太刀打ちできないような、価値のあるコンテンツを持つホームページができているでしょう。
3あまり一貫性を持たなくて良い「追記型」
「追記型」のコンテンツとは、同じテーマで進めていく連載型に対して、追記型では臨機応変に掲載内容を変えていくことができます。ブログやソーシャルメディアは、媒体そのものが追記型として作られているといえます。たとえば、「追記型」のコンテンツとは次のようなものです。
- 家庭の医学 よもやまばなし 第○回
- プロジェクトマネジャーの心得 vol.○○
Webではメールマガジンのバックナンバーが、典型的な追記型のコンテンツです。毎回の関連性やテーマの一貫性はあまり意識することなく、どんどん増やしていくことで効果的なコンテンツとなっていきます。
追記型のコンテンツを考えるときは、テーマについて深く掘り下げていくのではなく、関連する内容やテーマの周辺にある話題を、加えていくといいでしょう。散漫な印象になる心配もありますが、たとえばワイドショーで話題となった内容を取り込んで、コンテンツ展開するなどできるので、その時々でおもしろい話題を提供することが可能です。
4関心を集めやすい「季節・歳時型」
「季節・歳時型」のコンテンツとは、季節やイベントに応じたタイムリーな話題を提供できるのが特徴です。1年には12か月、53週あり「今日は○○の日」「○○さんの誕生日」など話題があるものです。
また、企業には年間の歳時予定がありますから、それを順番に取り上げるだけで、ネタ切れなく1年中コンテンツを展開できます。たとえば、次のようなものです。
- 今年のバレンタインのトレンドチェック!
- 東京○○ビジネスショーを分析する
企業で決まっている「年間歳時カレンダー」を、コンテンツを企画する人も手元に持っていつの話題を、いつ記事にすれば良いかを計画しましょう。
いわゆる年中行事だけではなく、春になると肌の露出が増えるので雑誌はこぞってダイエット特集を組みますが、これも立派な歳時の1つです。多くの人が関心を持ちやすいテーマを順番に記事にしていくことができます。
ただ、Webでは検索からの集客までにある程度期間がかかるため、たとえば、「母の日(5月第2日曜日)」の記事を5月1日に載せても間に合いません。2か月位前から掲載して、いざ多くの人が検索し始めたときに、検索順位が上がっているようにしましょう。
理想的には歳時の記事を年中掲載しておける枠組みを作って、検索優位性を高めましょう。
5絶対古びない教科書コンテンツ「永続型」
「永続型」のコンテンツとは、掲載されている内容が長期的に役立ち、古びない教科書のようなものです。一度作成したコンテンツは長く掲載して、そのコンテンツの価値を伸ばしていきたいものです。すぐに内容が古びるようなものではなく、不変的な情報をまとめるといいでしょう。たとえば、次のようなものです。
- アウトドアライフ 焚き火完全マニュアル
- ビジネスマナーのAtoZ
「教科書」と考えてしまうと、量的にも質的にもハードルが上がってしまうので「AtoZ」よりも「ABC」といった、初歩マニュアルの方が作りやすいかもしれません。
「コンテンツは一度読まれたら終わりだ」と思われるかもしれませんが、実際には同じ人が何度も内容を確認しに訪れたり、毎年新しい訪問者が内容を見にきたりと、安定したアクセスが見込まれます。
検索エンジンも「時間の試練に耐えた情報」は重視していますから、ずっと掲載し続けているコンテンツとは貴重です。
6すべてを網羅する「辞書型」
「辞書型」のコンテンツとは、言葉の意味を解説したり、さまざまな内容を網羅的に掲載したものです。インターネット自体が大きな辞書のようなものですが、1つのテーマについて網羅的に掲載されたコンテンツは、集客につながりやすく、頼りになるものです。たとえば、次のようなものです。
- 基本の野菜で作るレシピ集
- 金型百科事典
辞書・事典のコンテンツを持っている会社は、業界の第一人者として高いノウハウを持っていると伝えることができます。
検索でも非常に強いコンテンツで、新規訪問者獲得力を誇ります。例でも挙げたように、レシピ集なども網羅的に作成すれば辞書としての意味を持たせることができます。作成は大変なので、追記型・連載型の体裁にして、少しずつ増やしていき、同業他社が追随できない規模の「辞書型」コンテンツを構築しましょう。
この「辞書型」のコンテンツで注意すべきことは、検索から訪れた人の直帰率(1ページだけ見て帰ってしまう割合)が高くなりやすいことです。「○○とは」といったそのものの意味だけ調べて帰る人が多いので、ある程度仕方のないことですが、各ページが検索からの入り口になったときに、どのページへの誘導を提示すれば、見てもらいやすいかを考えてリンクを掲載する必要があります。
「辞書の目次に戻る」といったリンクではあまりクリックされません。たとえば、レシピ集なら「パンプキンパイ」という項目を見た人は、他のかぼちゃ料理にも興味を示すかもしれません。あるいはお菓子作りが好きかもしれません。パンプキンパイ作りに欠かせないパイ型を売っている会社なら、当然その型の通販ページにリンクをはるでしょう。
このように訪問者の関心に沿った形で、自社製品に近づくようなリンクを掲載するのが理想的です。
7永遠の人気企画「インタビュー型」
「インタビュー型」のコンテンツとは、その分野の第一線で活躍する人の発言や、利用者などの声を記載したものです。雑誌でも永遠の人気企画といってもいいでしょう。人は「人の発言」を読むのが好きなものです。Webでも宣伝文句のような製品ページよりも開発者や利用者が登場して、その人が語るコンテンツの方が人気があります。
通販サイトのカスタマーレビューや、CSRコーナーのイベントレポートなどもこのタイプのコンテンツといえます。たとえば、次のようなものです。
- 読者モデルとっておきの1枚!
- 技術者インタビュー
最近は技術者インタビューを動画で撮影し、それをパーツに分けて連載型で掲載するなど、表現の幅も広がっています。一度カメラを回してそれを分割するだけなので作成も意外に楽なものです。
多くのBtoBサイトに見られる「導入事例集」も人気があるのは、提供者側の宣伝文句ではなく、実際の人の言葉が含まれるためです。
8自分で生み出せる「データ型」
「データ型」のコンテンツとは、調査結果や統計的な数字などがグラフなどを使って表示されているものです。わかりやすくまとめてあったりすると、普段関心のないテーマでもつい読んでしまうのが、データ型のコンテンツです。たとえば、次のようなものです。
- デートの待ち合わせ、長く待てるのは男性? 女性?
- ネット通販市場は2014年145%の伸び
「○○というテレビ番組はおもしろい」というのは単なる世間話ですが、「○○という番組は視聴率が○%になった」といえば多くの人が関心を持ってしまう「情報」になります。
その業界でしか手に入らない統計数字や実測データなど、数字という味付けをすれば役立つコンテンツにまとめることができます。
最近ではBtoB企業であっても、エンドユーザーの声を集めて取引先にフィードバックすることが高い価値を持つので、アンケートなどを実施する会社も増えているようです。
コンテンツとは無限の可能性があるようにみえます。どんな企画でもたてられます。その分、考えようとするとぼんやりしてしまって、どこから考えれば良いのかわからなくなります。
ここまで紹介してきた8つのコンテンツ分類を参考にして、どの内容をどの分類に入れればよいのか、コンテンツの価値をさらに引き上げるためにはどうすればよいかを整理しながらコンテンツを作ってみてください。
次回は、「コンテンツのネタの見つけ方をみていきましょう。
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:Webコンテンツのネタ切れ防止! 8つのコンテンツ分類でアイデアを湯水のように生み出す | 誰も語らなかったWebコンテンツ作成技法 | Web担当者Forum
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