タグにまつわるさまざまな問題
いまやインターネットは広く普及し、通信速度も安定・向上しています。通信環境が安定した結果、「WebサイトのHTMLにタグを記述して、インターネットを通じて処理を行うツール」はどんどんその数を増やしています。
例えば、アクセス解析の「Googleアナリティクス」や広告配信の「Google AdWords」「Yahoo!プロモーション広告」などが代表的です。いずれも有名で普及率の高いツールなので、名前を聞いたことがあったり、実際に利用していたりする人も多いのではないでしょうか? 少なくともビジネス用途のWebサイト運用では、今ではこれらのツールなしでは成り立たないといっても過言ではありません。ただ、その種類が増えてきた結果、いくつか問題も出てきました。ひと言でいうと「管理が大変」ということです。
●代表的な問題
- 埋め込まれているタグの状況を把握しきれない
- Webページによってタグが異なる場合がありややこしい
- HTMLの編集を第三者に依頼している場合、即座にタグの追加や削除ができない
- 外部のコンサルタントなどに現在のタグの利用状況を正しく伝えるのが難しい
ここで挙げたものはよく起こる問題で、おそらく本書をお読みの方も身に覚えがあるのではないかと思います。これらは「HTMLにタグを記述する」という各ツールの仕組み上必ず発生する問題で、ある意味ではどうしようもない問題ともいえます。では、もうこれらの問題についてはあきらめるしかないのでしょうか? 新しいタグを追加するたびに複雑化していくHTMLを、受け入れるしかないのでしょうか?
いいえ。不便ならば、それを解決するための手段を使えばいいのです。それが「タグマネジメント」という考え方です。上記の問題は、そのタグマネジメントを実現するためのツールを使うことで、いずれも大幅に改善することができます。本書で紹介するのも、そんなタグマネジメントツールの1つである「Googleタグマネージャ」です。
●タグはどんどん複雑化していく
Googleタグマネージャでタグを一元管理
Googleタグマネージャは2012年10月にベータ版として公開され、2014年3月に正式版となりました。誰でも無償で利用可能です。これはいったい何をするためのものかというと、「さまざまなツールのタグを一元管理する」ためのツールです。
例えば、GoogleアナリティクスやGoogle AdWords、Yahoo!プロモーション広告などさまざまなツールで発行されたタグは、通常WebページごとのHTMLにそれぞれ必要なものを記述して利用します。Googleタグマネージャを使うと、それらの代わりにGoogleタグマネージャのタグを1つ書いておくだけで済むようになります。実際に「どのページで何のタグを配信するか」は、Googleタグマネージャの管理画面から設定して管理します。タグの追加や変更のたびに、WebサイトのHTMLを書き換えなくてもよくなるのです。
例として挙げたもの以外も、JavaScriptで動作するタイプのツールであればほぼすべて対応しています。もっといえば、何か特定のツールが発行したタグだけではなく、インターネット上で配布されている普通のJavaScriptであっても基本的には同様の扱いで管理することができます。
●タグを一元管理する図
●Googleタグマネージャの特徴
- Googleタグマネージャはほかのツールが発行したタグを一元管理する
- どのページにどのタグを配信するかの設定はオンライン上の管理画面から行う
「発行したタグをHTMLへ記述する」ツールのことを「ビーコン型」と呼びます。ビーコン型のツールは、タグの中に含まれているJavaScriptや画像などが読み込まれるとツールのサーバーへデータを送信する仕組みになっており、そうして収集したデータをツールの管理画面などでレポートのような形でまとめて表示します。Googleアナリティクスを代表とするいわゆるアクセス解析ツールなどで広く使われている手法で、サーバーの設定を変更するなどの大がかりな作業が必要なく、「HTMLにタグを追加するだけ」という導入の手軽さから普及しています。
Googleタグマネージャの使い方はやや独特
「複雑だったタグの管理が大幅に楽になる!」そんな夢のようなツールですが、Googleタグマネージャに限らずタグマネジメントツールはまだ生まれたばかりで歴史も浅く、実際に触ったことがある人も少ないのが現状です。ユーザーが少ないということは、使い方がわからないときもマニュアルが少なく勉強しづらい状況であることにほかなりません。また、少し特殊な用途のツールなので、ほかのツールでは見たことがないような要素もあり、おそらく初見では何をどうすればいいのかパッと見ではわかりづらいでしょう。
しかし、安心してください。「独特の要素があってわかりづらい」ということは、逆にいえば「独特の要素」さえ理解してしまえば、そう難しくはないということです。事実、実際の設定の多くは、画面に表示される項目を埋めていくだけです。本書では、その独特な部分、ツールとしての基本用語や機能についての知識を第2章で、実際の設定方法については第3章~第5章という順番で解説していきます。
●Googleタグマネージャ
「JavaScript」とは、HTML上で動作する一種のプログラミング言語のことです。GoogleタグマネージャはJavaScriptの知識がなくても使えますが、管理画面ではJavaScriptをかなり自由に入力できます。JavaScriptを使わなければ取得できないような情報を扱うなら、JavaScriptがわかると便利です。
Googleタグマネージャ以外にも、いくつかタグマネジメントツールと呼ばれるものがあります。有名なものでは「Yahoo!タグマネージャー」などがあり、JavaScriptで動作してほかのツールのタグを管理するという点ではほかのツールも同様です。本書で解説するGoogleタグマネージャは、プレビューモードがとても優れていたり、Googleのほかのサービスの設定がテンプレートで用意されていたりという強みがあります。また、ほかのGoogleサービスと同様にシンプルで使いやすいインターフェースであること、Googleの高い技術力でサーバーが安定していること、そしてほかのサービスに比べて思い立ったら気軽にすぐに始められることもポイントです。
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オリジナル記事:Googleタグマネージャとは? そのメリットと特徴を知る(全20回の1) | 実践 Googleタグマネージャ入門 | Web担当者Forum
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