今週のトピックは、スマートフォンで見たときにサイトが使いやすいかどうかをチェックするグーグル公式ツール「モバイル フレンドリー テスト」と「モバイルユーザビリティレポート」の話題。ほかにも、ヤフーの虫眼鏡SEOスパム、ウェブマスターツールに届くメッセージの解説、大量のリンク否認の反映などなど、SEO向けの話題をお届けする。
スマホ向けサイトの最適化レベルを自動チェックするグーグル公式ツール2種
両方やる(グーグル ウェブマスター向け公式ヘルプフォーラム)
グーグルは、Webページがスマホ向けに最適な表示になっているか確認するツールを2種類提供している。
1つは、「スマホ対応」ラベルの導入とあわせて導入されたMobile-Friendly Test(モバイル フレンドリー テスト)ツールだ。
こちらは、URLを指定すると、そのページがモバイルに適切に対応しているかどうかを、その場でチェックできる(残念ながら、現時点ではインターフェイスは英語だけのようだ)。
チェックは「スマホ対応」ラベルが表示されるのと同様の基準で行われるとのことで、次のような点をチェックしている。
- Flashなどのモバイルで利用できない可能性のあるコンテンツがないか
- テキストは拡大しなくても読めるサイズか
- デバイスの画面に合ったサイズでページを表示していて、ユーザーが横スクロールや拡大をしなくてもコンテンツを読めるか
- リンクはタップ時に間違わないように、周囲に適切な空白を設けているか
もう1つは、一足先にグーグルウェブマスターツールに導入された、モバイルユーザビリティレポートで、モバイル向けページのユーザビリティに関するエラーを確認できる。
こちらはあらかじめクロール時にチェックしているので、サイト全体のなかで問題があるページを探すなどの用途で使える。
チェックは、PageSpeed Insightsのユーザー エクスペリエンスでチェックできる項目が対象で、Mobile-Friendly Testとだいたい同じような項目を確認している。
この2つのツールに関してこんな質問が公式ヘルプフォーラムにあった。
片方では問題はないが、もう片方では問題を指摘されている。
どちらのツールに合わせてモバイルサイトを最適化してくべきか?
答えは「両方」になるだろう。
Mobile-Friendly Testがチェックする項目とモバイルユーザビリティレポートがチェックする項目は同じではない。また共通した項目であっても、基準が同じとは限らない。
しかしどちらのツールもモバイルサイトのユーザビリティやユーザー体験に重要な要素をチェックしてくれることは共通だ。筆者たちが取り組むべきことは、モバイルユーザーが使いやすいサイトを提供することであって、ツールで満点をとったりエラーをゼロにしたりすることではない。それは最適化の結果として得られる証明にすぎない。
モバイルの最適化のために重要な施策のヒントを、ツールやレポートをとおしてグーグルが教えてくれているのだ。少なくとも、そうしたツールで「問題があるのではないか」と指摘された点には、可能な限り対応するようにしたい。
また、その際に「なぜこれが問題だと指摘されているのか」「この状態だとどういった問題が起きるのか」を理解したうえで対応するようにしたいものだ。
日本語で読めるSEO/SEM情報
虫眼鏡スパムに敗北したかに見えたヤフーが対抗に成功?
イタチごっこは続くと思われる(リスティング広告 運用支援)
ヤフーの検索結果には関連検索ワードが出ることがある。これを不正に操作して、狙いどおりのキーワードを捏造することが事実上可能だ。
関連検索ワードには虫眼鏡のマークが付くため、この手法は「虫眼鏡SEO」と呼ばれる(SEOではないので「虫眼鏡スパム」と呼ぶべきだろう)。虫眼鏡SEO(スパム)をサービスとして販売する業者さえ存在する。
ヤフーは虫眼鏡スパムに翻弄されているようで、元記事のブログでは今年の9月にヤフーが虫眼鏡SEO業者に敗北しつつあるとして報告していた。
だがヤフーもただ手をこまねいているだけではなかったようだ。不正操作に対策したようで、現在は不自然な関連検索ワードは出ていない。
しかしこれで一件落着というわけにはいかないだろう。虫眼鏡スパムは今に始まった問題ではない。対策しても再び現れる。根本的な対策は簡単ではないのかもしれない。スパム業者とのイタチごっこはこれからも続くのではないだろうか。
なおヤフーは過去にスパムSEO業者を検索結果から削除したことがある。そして、次のように警告している。
被害が発生した場合には、刑事・民事での法的責任を追求することがあります。
この警告は業者だけでなく利用した依頼者にも当てはまる。虫眼鏡SEOを勧誘する営業電話がかかってくることがあるかもしれない。でも絶対に契約してはいけない。ヤフーに対する迷惑行為であるばかりか、あなたのビジネスにとっても大きな損害につながる危険がある。
Googleウェブマスターツールに届く10種類のメッセージ
これでもごく一部(Growth Seed)
ウェブマスターツールに届くグーグルからのメッセージ10種類を紹介した記事。
手動の対策を与えられた非常に重要度の高い警告から、お知らせレベルの通知までさまざまなメッセージがウェブマスターツールには届く。受け取ったことのないものもあるはずだ。簡単な説明も付いているので、今後受け取った時のために参考にするといいだろう。
ここで取り上げられている10種類がすべてではない。これら以外にも数々のメッセージがあるので、少し紹介しておこう。
「http://example.jp/: Increase in server errors」
サーバーエラーが増えていることを示す警告。メンテナンスだったなどでなければ、チェックして対応が必要。「http://example.jp/: Googlebot can't access your site」
「http://example.jp/: Googlebot がサイトにアクセスできません」
Googlebotがサイトにアクセスできない状態が発生していることを示す警告。メンテナンスだったなどでなければ、チェックして対応が必要。「http://example.jp/: Big traffic change for top URL」
トップページへの検索トラフィックが以前と比べて大幅に減った場合などに送られる警告。サイトに変更を加えていなければ、特に対応する必要がない場合が多い。「http://example.jp/: ソフト 404 エラーが増えています」
ページの内容が「見つかりません」相当であるにもかかわらず、サーバーがHTTPレスポンスコードで404を返していない「ソフト404」を検出した場合の警告。適切に404が返るように、サーバー側で対応するべき。「http://example.jp/ の新しい確認済み所有者」
ウェブマスターツールでそのサイトの所有者として他のGoogleアカウントが確認された場合に送られるメッセージ。本文にメールアドレスが書かれているので、知らないユーザーの場合は早急に対応が必要。「Googlebot for smartphones found an increase in “page not found” errors on http://example.jp/」
「『見つかりませんでした』というエラーが増えています」と同じ内容だが、スマホ版のGooglebotでアクセスした際の404エラーに関する警告「Googlebot for smartphones found an increase in authorization permission errors on http://example.jp/」
スマホ版のGooglebotでアクセスした際のパーミッションエラー(403)が増えているときに送られる警告。「Googlebot for smartphones found an increase in server errors on http://example.jp/」
サーバーエラーが増えていることを示す内容だが、スマホ版のGooglebotでアクセスした際の問題に関する警告。「Google Analytics web property: link has been removed from http://example.jp/」
Googleアナリティクスとの紐付けが解除された場合に送られるメッセージ。
ちなみに、一覧表示などで、オレンジ色の「!」マークが付いているものは「警告」(対応するべき)で、付いていないものは「メッセージ」(特に対応は必要ではない)ものだ。知っておくといいだろう。
スマホでの読みやすさを追求するためのユーザビリティ向上策×7
グーグルがチェックしていなくても取り組むべし(ヨッセンス)
スマートフォンでも読みやすい表示を実現するための施策を7つ解説した記事(元記事では5つになっているが、細かく分けると7つになる)。
- スマホのスクリーンサイズに適した大きさへの画像サイズ調整
- 画像の横への文字の回り込みの防止
- 余白の調整
- 見出し(hタグ)の大きさ調整
- 段落(pタグ)の文字サイズや文字間、行間の調整
- ポートレートモード(横向き)の文字サイズの調整
- 左右のズレの防止
グーグルがモバイル対応の対象として見ていないからといって無視したくはないユーザビリティ項目だ。モバイル端末での読みやすさ向上のために役立つだろう。
PC向けの複数ページをスマホ向けで1つにまとめるにはどうすべきか
URLの一部統合時の対応(ウェブマスター向け公式ヘルプフォーラム)
次のような質問がグーグル公式ヘルプフォーラムに投稿された。
ダイナミックサービング(デスクトップと同一のURL)にてスマホサイトを構築します。 デスクトップ版のページAには「りんご」のコンテンツ、ページBには「みかん」のコンテンツが用意されています。
制作都合上、スマホではページAとBをまとめて1ページにします。
そのとき、ダイナミックサービングなのでURLはAと同一になりますが、スマホユーザーに対してはこのURLで「りんご」と「みかん」両方のコンテンツを表示させる事になります。この場合、
(1)デスクトップユーザーとスマホユーザーそれぞれに異なるコンテンツを表示させているため、クローキングやその類に見なされないか?
(2)ページBからページAをcanonical指定する必要があるか?の2点についてご教示願いたいです。
この質問に対して、ベテランメンバーが適切にアドバイスしている。
①については、クローキングにはならない。クローキングとは検索エンジンとユーザーに同じURLで異なるコンテンツを見せることだ。この場合は検索エンジンもユーザーも同じコンテンツを見る。
②については、PC向けのページBにアクセスしたモバイルユーザーをスマホ向けに統合したページ(URLはページAと同じ)へ302リダイレクトする。ページBからページAへのrel="canonical"は不要だ(不要というより記述してはいけない)。
また補足アドバイスにもあるように、動的配信の構成ではVary HTTPヘッダーを返すことが推奨される。
別の解決策があるかもしれないが、「制作都合上」という但し書きがあるので、与えられた情報から判断するならばこれがベストだろう。
海外SEO情報ブログの
掲載記事からピックアップ
筆者が伊ミラノで参加したSMX Milan 2014カンファレンスのレポート記事を2本今週はピックアップ。
- 「無断コピー対策」「JSブロックはスパムにならない」などGoogleのジョン・ミューラーにたくさん質問してきた at #SMX Milan 2014
対面で聞いてきました - 「ソフト404検出の変更」や「ネガティブSEO対策のリンク否認」など #SMX Milan でGoogleジョン・ミューラーに質問してきた
Q&A第2弾
- 大量のリンク否認が完了するまでには9か月かかることもある
- Bingが採用している3つのモバイル検索ランキング要因
- 400番台と500番台のHTTPステータスコードの違い
- 特定のJSとCSSだけのクロールを許可したいがrobots.txtはどう書けばいい?
- Firefoxの検索エンジンがグーグルからヤフーへ切り替わる(少なくとも米国では)
- コンバージョン率改善で最初、二番目、三番目にテストするべき3項目
海外のSEO/SEM情報を日本語でピックアップ
大量のリンク否認が完了するまでには9か月かかることもある
再クロール・再処理が必要だから(English Google Webmaster Central office-hours hangout)
大量のリンクを否認した場合は、すべての処理が完了するまでに3~9か月ほどかかることがある。
グーグルのジョン・ミューラー氏は、Google+のハングアウトオンエアを利用して開催したウェブマスター向けオフィスアワーでこのようにコメントした。
リンクが実際に否認されるには、そのリンク元ページの再クロールがまず必要だ。そして否認ファイルそのページが含まれているかどうかがチェックされ、含まれていれば実際の否認処理に入る。
ページによってはクロール頻度が低く、数か月に1回程度しかクロールされないこともあるだろう。リンク元ページの数が多ければ多いほどその確率は高まる。このような理由で、膨大な数のリンクを否認が実行されるまでには、非常に長い時間を要することがあるのだ。
否認ファイルを今日アップロードして、明日すぐに否認が処理されるということでは決してない。
過去に犯した悪事を清算するには多大な労力に加えて、長い長い待ち時間も必要になりそうだ。もっとも健全にサイトを運営してきたウェブ担当者には関係のない話だが。
Bingが採用している3つのモバイル検索ランキング要因
GoogleのモバイルSEOでも重要(Bing Webmaster Blog)
米Bingは、モバイル検索結果を向上するための取り組みを公式ブログで説明した。
モバイル向けサイトのランキングを決定する際にBingが判断しているという項目は、次のようなものだ(捕捉は筆者による)。
コンテンツの互換性―― PCからでもモバイルからでも、同じコンテンツをユーザーが入手できるようにすること
コンテンツの読みやすさ―― フォントの大きさや色、行間スペースなどに気を払い、画面の小さなモバイル端末でも読みやすくすること
モバイルの機能性―― モバイル端末に対して不適切に構成しないこと。モバイルだけに404を返す、モバイルで再生できないFlashを使う、すべてトップページにリダイレクトするなどをやってはいけない
また、Bingはこのようにアドバイスもしている。
理想的なのは、モバイルフレンドリーなURLとPC向けのURLを同じにすることです。サイトが、コンテンツやレイアウトなどすべてを端末に応じて自動的に調整するということです。
これが理由で、モバイル向けの別URLのサイトよりもレスポンシブウェブデザインを私たちは推奨し続けるのです。すべてのデバイスのユーザーに優れた体験を確実に提供し、互換性と読みやすさ、機能性の問題が起こるのを防ぎます。
またモバイル用のクローラが必要なリソースにアクセスすることを許可する推奨事項にも、必ず従ってください。
グーグルと異なり、Bingは絶対的にレスポンシブウェブデザインを推奨しているのが特徴だ。別々のURLで構成されたモバイル向けサイトを勧めていない。
そうはいえど、Bingがランキング要因にしているという3項目は、ユーザー体験を高めるために検索エンジンの違いを問わず重要なものなので、理解しておいてほしい。
また、モバイル向けサイトのレンダリングに必要なJavaScriptやCSS、画像などのリソースへのクロールはrobots.txtでブロックしてはいけない点も、Bingにおいてもグーグルにおいても共通だ。
400番台と500番台のHTTPステータスコードの違い
403と404、410はインデックスから消えるので注意(Gary Illyes on Google+)
エラーを示すHTTPステータスコードの違いについてグーグルのゲイリー・イリーズ氏がGoogle+で説明した。
エラーを示す400番台と500番台のHTTPステータスコードは、グーグルではそれぞれ異なるかたちで処理される。
たとえば、「403」「404」「410」のステータスコードは、かなり速くインデックスから削除する要因になる。なぜなら、それらのページではユーザーは何も手に入れられないからだ。
一方「503」のステータスコードをページが返すと、しばらくの間はそのページをインデックスに保っておく。なぜなら、503は一時的なサーバーの問題を意味し、そのページにユーザーは再びアクセスできると思われるからだ。
異なる状況でどのステータスコードを返すかを決める際にはこうしたことを覚えておいてほしい。503の代わりに403のステータスコードを返していたために、大量のページが インデックスから消えてしまった大規模サイトがあった。
原則的に、意図的にページを削除したときは404か410を返す。メンテナンスなどで一時的にアクセスを停止するときは503を返す。これが基本だ。
Web担当者としてよくわからない場合でも、サーバーを管理している人にこうしたことを理解するように伝えておくことは重要だ。
特定のJSとCSSだけのクロールを許可したいがrobots.txtはどう書けばいい?
robots.txtでAllowを使えば簡単(WebmasterWorld)
最近の公開されたグーグルの推奨に従ってJavaScriptとCSSへのクロールを許可しようと思う。ところがクロールさせたくないリソースも同じディレクトリに一緒に入っている。
どうしたらいいだろうか?
このような質問がWebmasterWorldフォーラムに投稿された。
拒否ではなく許可を明示するAllow構文をグーグルはサポートしているので難しいことではない。
たとえば、「resources」ディレクトリは全体としてはクロールを拒否するが、そのなかにある、ページのレンダリングに必要なabc.jsとxyz.cssへのクロールだけは許可するとする。次のようにrobots.txtに書ける。
# resourcesディレクトリのクロールを拒否
User-Agent: *
Disallow: /resources/
# abc.jsとxyz.cssのGooglebotのクロールを許可
User-Agent: Googlebot
Allow: /resources/abc.js
Allow: /resources/xyz.css
現在のグーグルのrobots.txtに関する仕様では、「Allow」と「Disallow」の順序は関係なく、より具体的な指定のほうが優先される。上記の例では、「/resources/」よりも「/resources/abc.js」「/resources/xyz.css」のほうがより正確な指定なので、そちらが優先される。
期待どおりに動作するかどうかはウェブマスターツールのrobots.txtテスターで事前に検証するといい。またrobots.txtを実際に更新したら、robots.txtテスターから通知しておくといい。
Firefoxの検索エンジンがグーグルからヤフーへ切り替わる(少なくとも米国では)
米国向けサイトでは影響があるかも(The Mozilla Blog)
Firefoxブラウザの既定の検索エンジンがグーグルからヤフーに切り替わることになった。Mozillaと米ヤフーの間における、12月から今後5年間の提携になる。
ただし米国に限った話だ。欧州や中国、ロシアには関係しない。日本にも関係ないはずだ。
これまでは、Firefoxの検索ボックスでウェブ検索をする際に利用される検索エンジンとしては、長らくグーグルがデフォルトになっていた。それがヤフーに変わるということだ。
米国向けのサイトを運営しているならば、多少なりとも影響を受けるかもしれない。StatCounterのデータを参照すると、米国におけるFirefoxのシェアは現在約15%になっている。今年に入って減少してはいるが、無視できる数字ではないように思える。
米ヤフーは米Bingを検索エンジンのシステムとして利用している。グーグルだけでなく、Bingにどのように管理サイトが評価されているかも把握する必要が今後は出てきそうだ。
SEO Japanの
掲載記事からピックアップ
SEO記事がなかったので、コンバージョン率アップの参考になる記事を今週はピックアップ。
- コンバージョン率改善で最初、二番目、三番目にテストするべき3項目
コンバージョン率改善の基本ステップ
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:スマホ向けサイトの最適化レベルを自動チェックするグーグル公式ツール2種 など10+3記事 | 海外&国内SEO情報ウォッチ | Web担当者Forum
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