ブランドワードで検索してくるユーザーを、適切なページへ誘導できているか分析したい
自社の「会社名」や「商品/サービス名」、それらの複合語の検索キーワードのことを「ブランド ワード」という。今回はその「ブランド ワード」で検索して、目的を持ってサイトに訪問してくるユーザーに対して、適切に対応できているかを確認する方法を解説する。
検索エンジンで明確な目的地、すなわち特定のWebサイトあるいは特定のWebページに行きたいという意思を持って行われる検索のことを「ナビゲーショナル クエリ(Navigational queries)」という。
「楽天」と検索していれば、おそらく楽天市場のサイトへ行きたいという意思があると考えてよいだろう。
初めて訪問する会社に行く前に、「会社名」あるいは「会社名+地図」などと入力し、その会社の会社概要ページや地図表示のあるページをピンポイントで見つけようとする。この場合はその「会社サイト」が行きたい対象だ。
会社名より商品/サービス名の方が有名な場合は、「商品/サービス名」あるいは「会社名+商品/サービス名」で検索し、商品/サービス紹介のトップページ(あるいは商品/サービスの独立したサイト)に直接行こうとするだろう。
今回紹介するのは、そうしたユーザーを分析するための、次のセグメントだ。
- 「ブランド ワード」検索によるセッション
ただしご承知のとおり、Google検索によるキーワードについては、ほとんどが「(not provided)」表記になってしまうので、Google検索が自然検索の大半を占めるようなサイトでは、本セグメントはあまり有効活用できない。
ブランドワード検索での訪問を分析できるようにする方法
標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図2赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「トラフィック」(図3青枠部分)を選択しよう。図2はその「トラフィック」を選択した画面だ。
セグメントの条件設定は、キーワード(図3緑枠部分)で行う。今回設定するセグメントの例は筆者のサイト「GAフォーラム(http://gaforum.jp/)」のブランド ワード検索によるセッションとする。設定内容は図4だ。
まず「セッションのフィルタ」(図4赤枠部分)を選択し、セッション ベースのセグメントに指定する。標準では、その右の「ユーザーをフィルタ」になっているので気をつけよう。
続いて「キーワード」の右横の一致パターンのプルダウンからは「正規表現に一致」を選択する。ここは「完全一致」「含む」「先頭が一致」など多数のパターンから選択することが可能だが、一番汎用的な指定が可能な「正規表現に一致」を選択してみた。
キーワードの正規表現パターンはgaforum|gaフォーラム
と指定してみた。これは、「gaforum」または「gaフォーラム」のどちらかが含まれるキーワードを対象とするという意味だ(どちらもサイトの名称)。
正規表現の書き方については専門書などを見ていただきたいが、|
(半角、前後に空白は入れない)が「または」を表す記号なので、複数のキーワードを|
で区切って並べれば、「そのいずれかがある場合」という意味になると考えていただければよい。
セグメントの名前を「GAFブランドワード」などとしたうえで、保存(図3黒枠部分)をクリックして、新規作成したセグメントを保存する。
URLが含まれた検索を除外したい場合
なお図4の設定だと、サイトのURLが含まれた検索が多数出現したので、それを除くようにした設定が図5だ。
こちらは「条件」分類(図5赤枠部分)の設定画面で、メディアを「organic」に指定(図5青枠部分)することで「オーガニック検索」に絞り込み、キーワードにURLそのものが指定された場合を除いた(図5緑枠部分)ものだ。
また「トラフィック」分類(図3青枠部分)の「キーワード」の指定は、「有料検索」と「オーガニック検索」の両方が含まれるので、「有料検索」を実施している場合は、やはり図5の「条件」分類の設定でメディアを「organic」に絞り込む方法を利用しよう。
ブランドワードが含まれる検索キーワードを確認するには?
次にこのセグメントの活用方法を見ていこう。まず[集客]>[キーワード]>[オーガニック検索]レポートに該当セグメントだけを掛けた(図6赤枠部分)レポートを見よう。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
- メニューが開くので、[キーワード][オーガニック検索]を順にクリックする
- 「ブランドワード」セグメント(図6赤枠部分)を「適用」する
ここではセグメントを掛けて絞り込まれたキーワード(図6青枠部分)を見ていく。今回は筆者の運営する情報サイト「GAフォーラム」を対象にして例示したが、このサイトへの検索トラフィックはGoogleからがほとんどなので、(not provided)の影響のせいか、キーワードのバリエーションの量も少なく、それほど、おもしろいキーワードは見当たらなかった。
どのような複合語で検索されているかを確認しよう
通常このレポートで見るべきポイントは、ブランド ワードそのものや、その間違いバリエーションなどもあるだろうが、重要なのは会社名あるいはサービス名とどのような複合語で検索されているのかということだ。たとえば冒頭に例を出したように、社名と一緒に検索されているのが「地図」だとすれば、ピンポイントで会社所在地のページがあって、そこへランディングできているかということだ。
サイトによってさまざまな複合語のパターンがあると思うが、たとえば「社名+サービス名」のパターンが多ければ、どのサービスが今人気なのかということを把握することにつながる。一番人気のサービスはサイトのトップページからすぐにリンクが探せるだろうか。
少し特殊だが著名なコンサルタントが大勢いるような会社で「社名+人名」のような検索のパターンが多ければ、人気コンサルタントの今の一般的評価がわかるかもしれない。この場合は、きちんとスタッフ紹介ページが独立で用意されているだろうか。場合によっては一人ひとりのプロフィールが掲載されているページを用意した方がよいかもしれない。
検索者を適切なランディングページへ誘導できているか確認するには?
そして次にこのレポートのセカンダリ ディメンションに「ランディング ページ」を指定して(図7赤枠部分)、キーワードにマッチしたページへきちんと誘導できているかどうかを見るのがよい。それが図7だ。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[集客]をクリックする
- メニューが開くので、[キーワード][オーガニック検索]を順にクリックする
- 「ブランドワード」セグメントを「適用」する
- セカンダリディメンションで「ランディング ページ」(図7赤枠部分)を選択する
ブランド ワードそのものでも、検索表示はさまざまなページへのリンクがあるので、ランディング ページもいろいろだ。
2番目の行の例(図7青枠部分)はメルマガの名称「週刊gaフォーラム」で検索して、サイトのトップページへやって来ている訪問だ。「週刊gaフォーラム」で検索すると、検索結果画面にはメルマガ登録ページへのリンクがおそらく1位表示されているにもかかわらず、サイトトップがランディング ページになっていた。このように意外に思われる組み合わせも多数あるのではないだろうか。
もちろんそれぞれの組み合わせに対して、ユーザーがどのくらい熱心に閲覧しているのか、成果に結びついているのかといった各種指標(図7緑枠部分)もあわせて見ておこう。これらの組み合わせに対して気になったものは、さらに細かく見ていくのがよい。
ただし、明確な目的があって、それが達成されたらすぐに直帰するかもしれないので、特に直帰率が高いとか、閲覧ページ数(ページ/セッション)が少なくても特に悲観することはないだろう。
ブランドワードで検索して訪問してきたユーザーがよく見ているページを分析するには?
最後に、これらブランド ワードを指定して訪問してきたユーザーの関心事の全体を俯瞰する意味で、[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートに、該当セグメントを掛けた(図8赤枠部分)レポートも見ておこう。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[行動]をクリックする
- メニューが開くので、[サイト コンテンツ][すべてのページ]を順にクリックする
- 「ブランドワード」セグメントを「適用」する
図7でランディング ページを見ているので、そこに挙がっていないページでよく見られているページがないかだけ確認すればよい。ある程度明確な目的をもって訪問したユーザーが次いでに気になったコンテンツがあるかどうかということだ。
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:ブランドワードで指名検索して訪問するユーザーに適切に対応できているか分析するには?(第30回) | Googleアナリティクス セグメント100選 | Web担当者Forum
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