依頼内容、依頼方法などが決まっておらず、完全にクライアントのペースに巻き込まれてしまって、どんどん作業効率が悪くなってしまうパターン……よくありますよね。
さて、マンガに登場したWebディレクター納守さんの何が問題だったのでしょうか。どうすればこの状況を克服できるのでしょうか。Web制作会社としてこの状況を改善するための「2つの掟」をスギエルが紹介していきます。日頃、Web制作会社とやり取りを多く行うWeb担当者も知っておくと仕事がスムーズに進むと思いますよ。
Web制作を劇的に効率化するための、たった2つの掟
Web制作にまつわる、雑多なやり取りを整理するのもWebディレクターの仕事です。いわば「交通整理」役といってもよいでしょう。しかし、この雑多な作業が少しでも軽減できれば、効率的に案件を行うことができ、結果として納期の短縮も実現できるのではないでしょうか。また、効率化によって生み出した時間で、よりクリエイティブな活動が行えるのではないでしょうか。さっそく、2つの掟を紹介しましょう。
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掟その1連絡方法の統一でコミュニケーションを効率化!
Web制作の現場において、クライアントから制作会社への依頼方法はさまざまです。たとえば、電話・メール・FAXなどがあります。
Webページの修正指示をクライアントからもらう場合、メールで指示をもらうと、電子データをそのまま利用できるというメリットがあります。しかし、微妙なニュアンスが伝わりにくいですよね。
電話であれば担当者と直接話せるので、ニュアンスは伝わりやすいですが、電話で話したことを作業する場合は、メモとして何かしら残しておかなければいけません。そのメモが面倒だったりしますよね。また、FAXは文字が潰れて見えないなど、ツールの特性によってメリット・デメリットが存在します。
ここで問題なのは、「伝達方法が複数あること」です。仕事の依頼も全て同じ様式で伝達されれば、効率は格段に良くなるはずです。
“このツールで連絡を取り合いましょう!”といった、クライアントとの取り決めが必要です。この共通認識さえあれば、無駄に複数のツールを駆使する必要はなくなり、日々のやり取りを飛躍的に速くできるはずです。この考えに則ってツールを一本化し、コミュニケーションの効率化を図りましょう。
コミュニケーションツールを使ってやり取りをする
そこで紹介したいのが、「コミュニケーションツール」です。無料で利用できるものから、有料のものまであり、機能や用途によってさまざまです。
複数の担当者でやり取りをメール行う場合、メンバー全員をグループに入れたつもりが、いつの間にか誰か抜けていた! なんてことがあったりします。また、データのやり取りをする場合、何が最新の依頼なのかがわかりづらい場合があります。
コミュニケーションツールを入れると、そのプロジェクトに携わっている人全員を1つのコミュニティにできるため、送信漏れや最新の依頼が何なのかなどがわかりやすくなり、ツールによってはタスク管理ができるといったメリットがあります。
制作者同士のコミュニケーションに利用されているものをいくつか紹介します。自分たちにあったツールを使ってみてください。
ChatWork(チャットワーク):無料、有料サービスもあり
複数人が参加するグループでコミュニケーションが取れる他、タスクの管理やファイルの共有、ビデオ会議もできます。また、スマホなどさまざまなデバイスで利用できます。HipChat(ヒップチャット):無料、有料サービスもあり
デスクトップ用のアプリがあり、機動性に優れています。ファイル共有、ビデオチャットなどの基本機能を備え、「ルーム」でプロジェクトごとに複数メンバーとのコミュニケーションが可能です。オリジナル絵文字が登録でき、楽しいワークスタイルを演出できます。ただし、日本語対応が一切されていません。メッセージなどの入力は日本語で問題なく使えます。Facebook:無料
グループを作成するとそのグループに所属している人とコミュニケーションがとれ、ファイルのアップロードもできます。グループを秘密のグループにしておけばタイムラインに載る心配もないです。ただ、タスクの管理を行うには工夫が必要です。Skype:無料、有料サービスもあり
無料の会話だけでなく、文字でのやり取り、2~4Gのファイルの送信も可能です。ビデオ会議も可能なので、資料を見ながらコミュニケーションを取ることができます。
掟その2見積書の発行を省いてやりとり効率化!
2つ目は、見積もり処理の簡略化です。見積書の発行は行わず、受発注を処理することです。Webサイトのメンテナンスにおいて、想定される作業内容とその費用を事前に提示し、その内容をベースに受発注を完了する旨を、お客様に同意してもらうことです。具体的には、それらの要件を含んだ契約を交わすことです。
Web制作会社の売り上げ構成を見ると、売り上げ全体の半分を少額案件が占めていたりします。ですから、仕事の大小にかかわらず、その費用をきっちり見積もることは大切です。ですが、細かな仕事が発生する度に、費用を見積もり、書類を起こしてお客様から承認を得るといった作業を繰り返していると、それ自体かなりの時間ロスになります。
いわゆる保守契約を結んで、日々の制作業務を行っているWeb制作会社もあろうかと思います。しかし、多くの場合、取り決めた内容に問題があります。たとえば、
- 年間20ページの修正をします
- 画像制作50点まで対応します
といった、非常に大雑把な内容である場合には、お客様と制作現場とで解釈の違いが生じ、どちらかが不利益を被る場合があります。
結果として、「割に合わない仕事」や「対応の悪い制作会社」を生んでいるのです。これは、「制作現場の意見をくみ取らず、サービスの対応範囲を大枠だけ決めて契約を結び、後はWeb担と制作者にその作業範囲を委ねる」といった怠慢から発生するものです。
大切なのは、双方が納得できる形で、提供するサービス範囲が決まっていることです。何をすればどのくらいの費用が発生するのかを明確にし、事前の取り決めによって、都度の見積もりを行わなくとも受発注が成立し、制作作業を進められるようにしましょう。
事前の取り決めでポイント制度を導入する
そこで、「ポイント制度」の導入をお勧めします。Webサイト運用で発生し得る作業を全てポイントに置き換え、提供するサービスのすべてをリスト化し、あらかじめ開示します。これは一種の「メニュー表」で、提供するサービスはメニュー表の中から選んでもらう形態です。これに載っていないサービスは、別途費用が発生することも互いに認知した状態にしましょう。ポイント制度によりお金のやり取りを簡略化できます。
大事なのは、お客様と制作会社の双方にとってメリットを享受できる取り決めを交わすことです。今より、良くなる仕組みを提案されて拒む人は稀だと思います。極端な話ですが、電話のような旧来のツールに連絡方法を統一したとしても、それだけに特化して能率アップが達成できれば、時短の実現も可能だと思います。
ツールは二の次で、どうすれば作業効率を図れるのかといった考え方を持つことが肝心なのです。要は時間を生み出せれば良いのですから。
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オリジナル記事:Web担と外注先担当者の“切ないすれ違い”――やるべき仕事をやるために、今すぐできる工夫とは? | 【マンガ】Web制作現場のイライラを軽減する仕事術 | Web担当者Forum
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