今日は、WebサイトのCMS(コンテンツ管理システム)について。CMSのアップデートというのは、場合によってはかなりの工数(つまりコスト)がかかるのですが、なぜアップデートしなきゃいけないのでしょうか。アップデートで得られるメリットとは何でしょうか?
Web担のCMSをアップデートしました。通常のマイナーバージョンアップではなく、メジャーバージョンアップなので、かなりの工数がかかりました。実際のところ、2週間以上この作業に集中していました。
でも、読者のみなさんから見ると、何も変わってないように思われると思います。
なのに、なぜCMSをアップデートするのでしょうか?
DrupalやWordPressのようなオープンソースのCMSでも、商用のCMSでも、根本的には変わらない、CMSアップデートの必要性と、それで得られるメリットとしては、こんなものがあるのではないでしょうか。
セキュリティ上の問題点の修正サポート
契約にもよるのですが、古いバージョンをいつまでもサポートしてくれるほど、企業もオープンソースコミュニティも優しくありません。
たとえばWeb担で使っているDrupal(ドリューパル)というCMSでは、「正式版の1つ前のメジャーバージョンまで、セキュリティ修正を行う」というポリシーになっています。
いま、Drupalの正式リリースされている最新版はバージョン7系列ですので、バージョン6系列もセキュリティ上の問題が発見されたら修正が行われます。
でも、Drupalはそろそろバージョン8が正式リリースされます。そうなると、バージョン6はサポート対象から外れるんですね。
Web担ではDrupal 6のままでしたので、セキュリティ修正リリースが提供されなくなるのは致命的ということで、Drupal 7へのアップデートを決めました。
後ろ向きな理由と言えばそのとおりなのですが、セキュリティはかなり重要性が高い要素ですから、そのためには積極的に行います。
ちなみにWeb担では、セキュリティ修正のマイナーバージョンアップが提供されたら、いつも1日以内に適用するようにしています。
他の同じCMSを使っているサイトとの開発共通化
いま、インプレスのBtoB系メディアサイトのほとんどがDrupalを使っているのですが、他のサイトは原則としてDrupal 7で開発されています。
Web担は昔から開発してきた独自モジュールが多いため、Drupal 6のままだったんですね。
で、同じようなサイトなら同じような機能を使いたくなるのですが、バージョン6系列とバージョン7系列は、別に開発しなければいけません。そのため、他のメディアサイトではWeb担で使っている便利な機能を使えない状態でした。
でも、今回Web担のCMSをバージョンアップしたため、Web担用に作った機能を他のサイトでも利用できるようになりました。
せっかく苦労して作った機能なんですから、他のサイトでも使えるようにしたいですからね。
新しい機能の利用
今回、2年半ぶりのCMSバージョンアップだったのですが、やはり最新バージョンは、便利になっています。
今まで自分で作っていたような機能がより便利な形になって提供されていたり、今まで実現しようとすると複雑になっていた部分が楽にできるようになっていたり、今までできなかったことができるようになっていたり。
もちろん、できていたことができなくなったとか、同じことをやろうとしても複雑になったとか、そういうこともあるのですが、やはり新しいバージョンはそれだけ便利になっています。
CMSアップデート時の注意点
ちなみに、CMSをアップデートするときには、次のようなことに注意するといいでしょう。
CMSのアップデート時には他のものは変えない
読者さんから見ると「え? Web担何か変わったの?」という状態だと思います。
CMSを変えて大幅にコードを書き直したのですが、サイトの表から見える部分は、ほとんど変えていません。
これは、「何かを変えるときは同時に1つ」という原則に基づいているからです。
CMSのバージョンアップと、サイトの変更とを両方やってしまうと、たとえば検索エンジンからの流入が減ってしまったときに、何が原因なのか判断できませんからね。
テスト環境と本番環境の差異に注意
大幅なバージョンアップをするときには、事前にテストサイトで検証しているのですが、今回、PHPのバージョンが(勘違いで)本番環境とテストサイトで違っていたため、それが原因のトラブルが少しだけありました。
あと、Web担の本番データで実行するとメモリが足りなくなるとか、そういう問題も。
テスト環境と本番環境を同じものにしておくのは、開発の大原則ですね。
さて、みなさんのサイトのCMSは、最新版ですか? セキュリティ上のリスクはありませんか? もっと便利になる機能を使わないままになっていませんか?
CMSについて、これを機会に考えてみるというのは、いかがでしょうか。
さて、Web担はCMSをバージョンアップしたから、次はサイトとしての改善をどんどん入れていきますよー。