Google アナリティクスサミット2014が5月末に開催され、多くのGoogle アナリティクスの新機能が紹介されました。本記事では、その新機能の中から特にWeb担当者が知っておくべき機能の「拡張eコマース」をピックアップして6つ特徴を紹介します。記事後半では実装方法も解説します。
「拡張eコマース」で可能になった6つの特徴
Google アナリティクスのeコマース解析が機能強化して「拡張eコマース」という名称でリリースされました。今までのeコマース機能は完了した注文だけをレポートしていましたが、新しくなった「拡張eコマース」機能では、
商品の検索から詳細ページの閲覧 → カート投入 → 決済
までのステップを確認できるになったため、サイトのコンバージョン率の改善に大いに役立ちます。では、具体的に拡張された機能を見ていきましょう。各特徴をクリックすると、詳しい解説に飛びます。
- 1.購入プロセスの可視化によるボトルネックの把握
- 2.商品軸で詳細な販売状況がわかる
- 3.拡張された商品別の解析レポート
- 4.商品の露出状況とパフォーマンスの把握
- 5.サイト内プロモーションと特定の商品を紐付けた評価
- 6.返金が発生した場合に返金リクエストを送信できる
特徴その1購入プロセスの可視化によるボトルネックの把握
流入してから購買までのプロセスが可視化されることで、購入プロセス内で発生している離脱ポイントを詳しく把握することができます。たとえば、次のようなことです。
- 購入が完了していないすべての商品の表示回数
- カートへの商品追加
- カートからの商品削除
- 購入完了に至るまでのプロセス
購入プロセスの改善は売上に直結しやすい重要なポイントです。購入プロセス内のボトルネック見つけて、それを改善することは、売上向上を目指す上で重要な施策のひとつです。
特徴その2商品軸で詳細な販売状況がわかる
従来のeコマース機能では、購入が完了した商品の購入プロセスしかレポートされなかったのですが、新機能では、購入が完了していない商品の購入プロセスがわかるようになりました。
- すべての商品の中でどの商品が最も閲覧されているのか
- どのくらいカートに追加(または除外)されたのか
- どのくらい購入されたのか
といった、購入プロセスを商品軸で把握できます。
また、商品ごとのクーポンコードの利用や返品も計測できます。
特徴その3拡張された商品別の解析レポート
従来のeコマース機能では商品情報を、「商品名」「SKU(最小管理単位)」「カテゴリ」の3つのフィールドで計測してきました。拡張eコマース機能では新たに、「ブランド」と「バリエーション」のフィールドが追加され、カテゴリが機能アップしました。
カテゴリフィールドは「アパレル/紳士服/インナー/Yシャツ/白」のようにスラッシュ("/")で区切ることで最大5段階まで階層で表現できます。
これらの情報は、商品情報を含む商品カタログデータをアップロードすることでGoogle アナリティクス上で紐づけることもできるようにもなりました。これにより商品情報をトラッキングコードでリクエストを送信する必要がなくなり、タグ実装がシンプルになります(従来通り、トラッキングコードを介して計測することも可能です)。
特徴その4商品の露出状況とパフォーマンスの把握
現在のeコマースサイトにおいて、ユーザーは商品を「トップページ」「特集ページ」「検索結果」などさまざまな場所・切り口で発見し、詳細ページに移動してから購入に進みます。そのため、「商品をどう紹介するのか」というのもeコマース運営に欠かせない情報なのですが、今までのGoogleアナリティクスでは「どの紹介枠がコンバージョンに寄与した(していない)か?」を調べるのが容易ではありませんでした。
拡張eコマースでは、サイト内で商品が露出される場所を「商品リスト」として登録し、それぞれにおける詳細ページへの誘導や商品購入への寄与を計測し、それを一律に比較できます。
この「商品リスト」機能を利用することで、それぞれの枠でどの商品を表示するべきかといった判定が行えるため、その結果を基に商品一覧を最適化することが可能となります。
特徴その5サイト内プロモーションと特定の商品を紐付けた評価
eコマースサイト内で「送料無料」や「おひとり様1点かぎり」など購入を促すメッセージを出すことは珍しくないのですが、現在のGoogle アナリティクスではeコマースサイトの外部で行われたキャンペーンを計測する仕組みがあっても、サイト内でのプロモーションを計測する仕組みがありませんでした。
拡張eコマースでは、サイト内のプロモーションコンテンツと商品のインプレッション数、クリック数を計測できます。これによってサイト内のプロモーションコンテンツなどのパフォーマンスを特定の商品と結びつけて分析・評価することができます。
特徴その6返金が発生した場合に返金リクエストを送信できる
従来のeコマース解析では、発生した売上を取り消すことができないため、実際の販売実績とかい離が発生することがあります。拡張eコマースでは、返金が発生した場合に返金リクエストを送信できるようになります。
このリクエストは購入が発生したトランザクションに紐付きますが、そのトランザクションに紐づく売上や商品などの情報からは差し引かれず、別の指標として計測されます。返金リクエストは返金が発生した日に紐付きます。
拡張eコマースの有効化
これらの機能を持つ「拡張eコマース」は、ユニバーサルアナリティクスで利用できます。まだ旧Google アナリティクスを利用している場合は、アップグレードするか新規にユニバーサルアナリティクスのアカウントを用意します。準備ができたら、ビューの設定画面で拡張eコマースを有効化にします。
拡張eコマースのトラッキングコード実装
ここでは拡張eコマースで商品の表示と決済を計測する場合の実装例を紹介します。コードの詳細や、その他の計測については開発者ガイド(英語)を参照してください。
拡張eコマースのプラグインの呼び出し
拡張eコマースはanalytics.jsのプラグインとして提供され、次のコードで呼び出すことができます。このコードは、トラッカーオブジェクトを呼び出した後、かつ拡張eコマースの機能を呼び出す前に実行される必要があります。
ga('create', 'UA-xxxxxx-xx', 'auto');
//この上のga('create'~の後に次の行を記述
ga('require', 'ec', 'ec.js');
//拡張eコマース機能の呼び出しを記述
商品の表示を計測
下記は、商品が検索結果一覧に表示された時のトラッキングコードの例です。"id"もしくは"name"が指定されている必要があります。その他のフィールドは必須項目ではありません。
ga('ec:addImpression', { // impressionFieldObjectで商品情報を指定
'id': 'P12345', // 商品の識別子(文字型) 'name': 'Android Warhol T-Shirt', // 商品名(文字型)
'category': 'Apparel/T-Shirts', // 商品のカテゴリ名(文字型)
'brand': 'Google', // 商品のブランド名(文字型)
'variant': 'Black', // 商品のバリエーション(文字型)
'list': 'Search Results', // 商品が表示された一覧の名称(文字型)
'position': 1, // 一覧における商品の表示位置(文字型)
'dimension1': 'Member' // カスタムディメンション(文字型)
});
決定手続きの計測
決済手続きを計測する場合のコードは下記の通りです。
ga('ec:addProduct, { 'id': 'P12345', // 商品の識別子(文字型) 'name': 'Android Warhol T-Shirt', // 商品名(文字型)
'category': 'Apparel/T-Shirts', // 商品のカテゴリ名(文字型)
'brand': 'Google', // 商品のブランド名(文字型)
'variant': 'Black', // 商品のバリエーション(文字型)
'price': '29.20', // 商品の単価(通貨型)
'coupon': 'APPARELSALE', // クーポンコード(文字列)
'quantity': 1 // 商品の個数(数値方)
});
ga('ec:setAction', 'purchase', {
'id': 'T12345', // (必須)決済手続きの識別子
'affiliation': 'Google Store', // 店舗名 or アフィリエイト(文字型)
'revenue': '37.39', // 決済手続き金額(通貨型)
'tax': '2.85', // 税金(通貨型)
'shipping': '5.34', // 発送費用(通貨型)
'coupon': 'SUMMER2013' // クーポンコード(文字型)
});
いかがでしたでしょうか? 拡張eコマースを利用すれば、Webサイトにおけるユーザーの購買活動を詳細に観察していくことができるので、購入率向上に役立つ情報を得ることができるでしょう。
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オリジナル記事:Google アナリティクスで強化された「拡張eコマース」機能がサクッとわかる6つの特徴 | Web担当者Forum
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