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「客の声」が客を呼ぶ。新規顧客を呼び込むためのセグメント化(客の声・前編) [企業ホームページ運営の心得] | Web担当者Forum

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Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の371

必勝法とはセグメント

Webマーケティングにおいて、いまだにSEOは根強い人気ながらも、SNSにLPO、最近では自社のメディア化など、Webにまつわる「必勝法」が次から次へと現れます。しかし、その大半は、特殊な条件下における成功事例に過ぎません。Facebookで「いいね!」が増え、Twitterで拡散されているのに、売上に結びつかない事例も同じです。冷静に考えればわかること。組織形態、商材の市場競争力、Web担当者の能力などの「個体差」を考慮すれば、1つの方法が万能である訳がありません。

その「個体差」が激しく現れるのが「客の声」であり、同じ声でもクチコミとは似て非なるものです。BtoBとBtoC、花屋と床屋、パチンコ屋と生命保険では、客層も感想も異なり、Webの必勝法として紹介されても掘り下げられることは多くありません。「一般論」にするのが難しいからです。

しかし、ヤスリ販売から霊能者まで、一業種一社の営業方針故に、幅広い業種を自ら手がけてきた私は、売上に結びつく「客の声」への方法論を見つけました。それは「セグメント化」です。

最強のライザップ

「ライザップ」とは、全国の主要都市に拡散中の痩身を個人指導するトレーニングジムです。「たった2か月で!(痩せた)」と大見出しを打ちますが、100人中100人が、CM通りのボディラインになるわけではありません。「栄養管理」という名の厳しい食事制限に耐え、規定のプログラムを完遂したとしても、「個人差があります」と注釈があるように、筋肉の質やトレーニング経験の有無といった「個体差」は埋めようがありません。

ライザップを否定するつもりはありません。むしろカロリーを制限するだけのダイエットより、筋肉をつけるアプローチは健全ですし、なにより広告に噛みつくのは野暮です。

こうした客の「個体差」はどの業界でも存在します。そして個体差による分類が「セグメント化」です。

分割して統治せよ

ダイエットに客が期待することは痩身です。しかし、すでに細身ながら「もっと痩せたい」と希望する人もいれば、腹筋を「シックスパック」にすることを、あるいはドクターから命の危機にかかわると診断されて切迫しているケースもあるでしょう。目的が違えば、それぞれの客が望む「客の声」も異なります。客の声とは、その商品やサービスを入手することで手に入る将来の自分の姿だからです。

ところが多くのサイトは、シックスパックとドクターストップを区別せず陳列しています。その姿はまるで、老人から乳幼児まで、男女すら区別をせずにパンツを並べて販売する衣料品店です。用途や目的、客層ごとに陳列を分けるように、客の声もセグメント化する必要があります。

プロとアマチュアの感想

工具の「ヤスリ」の通販に寄せられる感想は、アマチュアとプロでは異なります。迅速な配送や丁寧な電話対応などを喜ぶのは、アマチュアもプロも同じです。しかし、プロは届いたヤスリの「反りが少ない」ことを評価します。

実は機械打ち(製)のヤスリは仕上がりの個体差が激しく、反っている商品があります。通販の場合、反りの対応は各社まちまちで、クーリングオフを利用すれば「返品」は可能ですが、「反りの少ない商品への交換」で対応が別れます。反りを不良とする明確な規定がないからです。

つまり、プロ向けなら「交換できた」という「客の声」はアピールポイントとなるということです。一方、アマチュア相手ならマイナスに作用します。プロは経験則から「反り」について一定の許容範囲をもっていますが、わずかな誤差も「反り」と主張するアマチュアが現れるからです。

スピリチュアルな結論

究極的に言えば、プロユースとアマチュア向けで別々のサイトにすべきですが、費用対効果の面から現実的ではありません。そこで「客の声」だけでも「プロの感想」「一般の感想」とセグメント化し、それぞれのコンテンツを用意します。

客の声をセグメント化する効果を強く確認したのは、霊視やアニマルセラピーなど、スピリチュアルなサービスを提供する霊能者のサイトをリニューアルしたときのことです。従来のサイトにも「客の声」はありました。しかしそれは、たとえるなら老若何女向け商品が一緒に売られた下着屋でした。

霊能者いわく「魂レベルの接点」とやらで、それぞれに大きな違いはないとのこと。昔から霊能者と縁がある私にはなんとなく理解できましたが、一般人には「ポカン」の世界。そこで「霊視」「アニマルセラピー」などでセグメント化し、掲示板で表示させるようにしました。

コンテンツの細分化でも十分

ログで確認すると、「ペット 声」と検索してきた訪問者は、ペットの気持ちを代弁する「アニマルコミュニケーション」の体験談にたどり着きます。そこから「スピリチュアル」や「守護霊」ページなどへの移動はめったにありません。お客とはワガママなものです。自分の見たい情報しか見ていかないのです。

つまり、コンテンツをセグメント化しておけば、サイトを分ける必要まではないということです。グローバルメニューの項目を分けるだけでも十分でしょう。先の霊能者のサイトは、「客の声」をセグメント化してから「新規客」を獲得しはじめています。コンテンツをセグメント化する以前の集客窓口は、リアルにおいてのクチコミばかりでした。

セグメント化に役立つツールが「WordPress」などの、動的にコンテンツを処理する仕組みです。「カテゴリ」でセグメント化すれば、メンテナンス性が高まります。もっとも、霊能者の事例のようにCGIによる「掲示板」でも十分です。WordPressと比較したとき、なにより軽量ですし、スパムの攻撃を受けることが少ないのは以前に指摘した通りです。

そして、「セグメント化」と向き合ったときに立ちふさがる壁もまた「客の声」です。セグメント化と一言で言っても、分類作業は難航するもの。お盆休み明けの次回は、これを解決する「客の声 後編」を予定しています。

今回のポイント

セグメント化で客の声を色分け

客は望んでいる「声」しか見ない

この記事の筆者
ユーザー 宮脇睦(有限会社アズモード) の写真

宮脇 睦(みやわき あつし)

プログラマーを振り出しにさまざまな社会経験を積んだ後、有限会社アズモードを設立。

制作、営業の双方の現場を知ることからウェブとリアルビジネスの融合を目指した「営業戦略付きホームページ」を提供し、一業種一社、制作案件は足立区内のみという営業施策をとっている。本業の傍らメールマガジン「マスコミでは言えないこと」を発行。好評を博す。著書に『完全! ネット選挙マニュアル』(Kindle版)、『Web2.0が殺すもの』『楽天市場がなくなる日』(ともに洋泉社)、冷静な視点からのIT業界分析に「週刊ポスト」など、様々な媒体から情報発信を続ける。

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※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:「客の声」が客を呼ぶ。新規顧客を呼び込むためのセグメント化(客の声・前編) [企業ホームページ運営の心得] | Web担当者Forum
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