この記事はD2Cが発行するDIGITAL&DIRECT NEWSの一部をWeb担当者Forum向けに特別公開したものです。
外部リソースを活発に活用
マーケティングステーション
広告販促企画部 マネジャー
白井明子 氏
1999年、株式会社ローソンに入社。店舗営業を経て、2004年広告販促企画部へ異動。2006年より法政大学大学院経営学研究科に通い、2008年MBAを取得。2011年第10回モバイル広告大賞マーケティング部門に入賞。2012年9月「web人大賞」、2013年日経ウーマンオブザイヤー準大賞を受賞。
外部の知見を求めてハッカソンを開催
「以前は、ソーシャルをメインで担当していましたが、半年前頃から、ソーシャル、オウンドメディア、ペイドメディア、アプリなどWebマーケティングを横断して担当するようになりました。
その流れで、それまでは関わっていなかったローソンのアプリ戦略を引き直そうという考えがありました。ローソンのアプリは430万ダウンロードされているのですが、クーポンの引きが強いわけでもなく、ユーザーのアプリのアクティビティが低いことが課題だと考えていました。
そこで、いろいろとアプリの企画を検討しましたが、なかなか簡単には社内からいいアイデアが出てこなくて、そんなときに、パートナーから「ハッカソンをやってみては」という提案をもらいまして、いろいろなハッカソンを見学に行きました」
ハッカソンとは「ハック」と「マラソン」を組み合わせた造語で、短期間に集中的に開発を行い、技術とアイデアを競うものだ。
会社からGOサインが出たので、2013年8月の「HackaLawson」として開催しました。ローソンCOOの玉塚や私も審査員として参加させていただきました。応募いただいた開発チームの方々には、ローソンから、位置情報、ソーシャルメディアAPI、ローソンのキャラクターである「あきこちゃん」の使用許諾などを提供しました。エンジニアの方がローソンをどのように捉えているのかとか、一消費者として、こんなものがあったら便利だとか、そういったご意見が聞けたのは楽しく、ためになりましたね(白井氏)
その結果、ローソン賞を受賞したアプリ「クックローソン」はApp Storeにて無料で公開されている(制作チームである「ラフランス」名義。ローソンは「あきこちゃん」の使用許諾を行っている)。
「外部から意見を取り込んで企業がマーケティングを行うことを“オープンイノベーション”と呼ぶそうですが、『HackaLawson』もそのような試みです。自社内でも面白いアイデアもあるのですが、いろいろなしがらみを考えてしまい、尖っていたアイデアがだんだん丸くなってしまうといったことがよくあります。そういったことを打開するために『HackaLawson』を実施したのですが、ハッカソンに限らず、外部の声を取り込んでいく試みはやって行きたいと思っています」と白井氏は語った。
LINEの活発な活用とLINEのパワー
ローソンは、ソーシャルメディアの活用では先端を走っており、活発に活用している。最近の動向を聞いてみた。
「LINEのアカウントのお友達が1,200万人を超えています。月に一回程度、プッシュメッセージをお送りしています。テレビCMと連動して、竹内結子さん、西島秀俊さんに出演いただいているCMがあるのですが、そちらのLINE向け特別ヴァージョンのCMを制作して、見られるようにしています。
また、『あきこちゃん』のスタンプの配布も行っていまして、先日はフライドフーズ新商品『黄金チキン』のプロモーションでスタンプを配布しました。その他にも、LINEホームでは1週間に2回商品の告知をしています。LINE PLAYでは、サントリーさんとタイアップさせていただき、商品のアイテムをプレゼントする企画を実施しました。
LINEさんとは直接お話しをさせていただいていますので、新しい機能やサービスが出るとすぐにご案内いただけていることも大変助かっています。ホームで動画が流せる機能が出たときには、新発売の『プレミアムピュアロールケーキ』という商品の告知をさせていただきました。
2万6千の“いいね”がついたことがありまして、母数の大きさやアクティブ率の高さが特長だと思っています。プッシュメッセージを配信するとローソンのホームページへのアクセス数が3倍くらいになったりもしますので、LINEの影響力は大きいと実感しています」と白井氏はLINEの活用について説明する。
コンビニエンスストアでは、“初日に話題性の醸成で勝負”といったような商品も多くありますので、商品の発売時に、いかにして話題性を喚起して、情報を広げていくかといったことが大事です。コンビニエンスストアでは毎週新商品のアイテム数がとても多いので、「黄金チキン」のような戦略商品では、どんどん話題にしていただいて流行らせていくことが必須です。それが、ソーシャルメディアに求められるもっとも重要なことだと思います(白井氏)
一方、オウンドメディアはますますスマートフォンに適した対応が求められているようだ。
「ローソンのホームページは、6割から7割がスマートフォンからのアクセスになっています。スマートフォン向けホームページも全面的にリニューアルを行いました。アンケートを実施して、お客さんが見たいと思っているページを見やすいように配置しています。また、Movable Typeを利用することにより、コンテンツの運営・更新を一元管理し、運用にかかる負荷を低減しています」と白井氏は言う。今後、スマートフォンが、ネットアクセスのメインとなるデバイスであることを示唆している。
健康を意識した企業戦略をソーシャルでもサポート
今後、ローソンでは、企業戦略として健康的な商品や付加価値が高い商品などに力を入れていくという。健康を基軸としたマーケティング施策として、ニコニコ動画とBeeTVと組んで実施したキャンペーンがあるという。白井氏の同僚で、健康推進プロジェクトの工藤氏が担当した企画だ。
「『コンビニごはんでキレイになれちゃうかも』というもので1ヶ月間、3人の声優のタマゴの方の部屋にカメラをいれて、食事はすべてローソンの商品でしてもらい、それをニコニコ生放送で24時間放送するというものです。それで、彼女たちがローソンの食事と運動で、いかにきれいに痩せていくかという趣旨です。管理栄養士の浅野まみこ氏がついていて、そのアドバイスによって、ローソンの商品で健康的な食生活をしていただくというものです」。
これはローソンが推進している「健康プロジェクト」の一環として行われたものだという。コンビニの食品には、健康にあまりよくないといったイメージもあるが、そのイメージを払拭して、コンビニの食品で健康的な生活が送れるということを示すことが目的だ。
「236.5万PV、コメント:182.8万と人気の番組となりました。結果的に、彼女たちは健康的に痩せて、肌もつるつるになり、企画は成功しました」と白井氏はいう。
非常にユニークな企画だが、プラットフォームに適した、かつそのユーザー層が魅力的に感じる企画を実施することができるのは、ソーシャルメディアを使いこなしてきたローソンならではといえるだろう。
この記事は、株式会社D2Cが発行する小冊子 『DIGITAL&DIRECT NEWS』 Vol. 47のコンテンツの一部を、許諾を受けてWeb担当者Forumの読者さん向けに特別公開したものです。
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