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一般閲覧ユーザーには、どの権限を設定すればいいのか?――新しく増えた4種類のユーザー権限の使い分け方・前編(第86回) [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum

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この記事を読むのにかかる時間: 約 5 分

Googleアナリティクスは、2013年にユーザー管理の方法が変わった。以前はアクセス権限が「管理者」と「ユーザー」の2種類しかなかったが、現在ではアクセス権限が4種類に増え、さらに「アカウント」「プロパティ」「ビュー」の3つのレベルすべてで権限の設定ができるようになっている

自由度が高くなるのはいいのだが、いったいどう設定すればよいだろうか。結論から言うと、

  • 関わっている人の数
  • 組織形態
  • サイトの規模や管理範囲
  • Google アナリティクスのアカウント設計

など、各々の事情に応じて設定していただくしかない。そのための参考になるように、今回と次回の2回にわたって、新しくなったGoogleアナリティクスのユーザー管理について、詳しく説明する。

ユーザー管理は管理画面で

ユーザー管理はグローバルナビゲーションの[アナリティクス設定]をクリックして、管理画面に入るところから始めよう。

図1赤枠部分のように、「アカウント」「プロパティ」「ビュー」の3つのレベルすべての設定項目の2番目に「ユーザー管理」が存在しているのがわかるだろう。

図1:Googleアナリティクス管理画面の上部

「ビュー」の「ユーザー管理」をクリックしてみる

まずビューの設定項目の「ユーザー管理」(図1青枠部分)をクリックすると、表示されるのが図2だ。

図2:「ビュー」の「ユーザー管理」画面

サイトの計測をし始めたばかりであれば、アカウントを作成した自分自身だけがユーザーとして登録されている状態になっているだろう(図2赤枠部分)。

その右側には、「ビューのアクセス権限」という欄があり、該当ユーザーの権限が記述されている。アカウントを作成した自分自身にはすべての権限が自動的に付与されるので、「ユーザー管理、編集、共有設定、表示と分析」と表示されているはずだ(図2青枠部分)。

この画面では、新規ユーザーを登録できる。現在のユーザーの一覧の下の部分に、「権限を付与するユーザー」という欄がある(図2緑枠部分)。ここに新規ユーザー(のGoogleアカウントのメールアドレス)を入力し、そのユーザーの権限を右のドロップダウンリストで指定して、登録していくわけだ。

ユーザー権限の種類と、それぞれの権限でできること

ユーザーの権限は、図3のように「ユーザー管理」「編集」「共有設定」「表示と分析」の4種類ある。

図3:権限の種類

それぞれの権限の意味と可能な操作は、以下のとおりだ。

権限の種類可能な操作
ユーザー管理

Google アナリティクスのアカウントのユーザーを管理できる権限。ユーザーの追加や削除、権限の設定ができる。編集や共有設定の権限はない。つまり収集するデータや集計のカスタマイズなどには関与せず、ユーザー権限の付与状況全体をコントロールする役割になる

編集

ユーザー権限の付与というユーザー管理はできない。それ以外の収集データや集計データの設定やレポートに関連する操作が可能な権限で、次の「共有設定」の権限も含まれる

共有設定

個人の設定を作成し、共有できる権限。具体的にはマイレポートの共同編集やメモの共有が可能となる。次の「表示と分析」の権限も含まれる

表示と分析

レポートの表示、レポート内のデータ操作(セカンダリディメンションを追加する、セグメントを作成)が可能。他の人の設定などは取り込めるが、マイレポートやメモ機能に関しては、自分の設定を他の人と共有することができない

できることを整理すると、次のようになる(一部についてはこの記事の後半で解説)。

権限の種類ユーザー管理編集共有設定表示と
分析
ユーザーの追加や削除×××
ユーザーの権限の設定×××
レポートに関する操作
(収集データや集計データの設定など)
×××
マイレポートの共同編集やメモの共有××
レポートの表示とデータ操作
(セカンダリディメンションの追加など)
×
セグメントの作成×
カスタムレポートやセグメントの共有×

「メモ」機能での違い

たとえば「メモ」機能でユーザー権限が異なることで、どのような違いが生じるのかを試してみよう。

メモ機能は、レポートの図4赤枠部分をクリックすると、その下にメモの一覧が表示される機能だ。そこで「+新しいメモを作成」するとメモを記載できるエリアが表示され、そこで特定の日に対するメモを160文字までメモを残しておくことができる。

図4:「メモ」機能

「+新しいメモを作成」をクリックしたときの作成画面は、ユーザーの権限によって表示内容が異なる。どのように違うのかを見てみよう。

図5は「表示と分析」権限ユーザーの新しいメモの作成画面で、図6は「共有設定」権限ユーザーの新しいメモの作成画面だ。

操作手順
  1. レポートのグラフ下部にある「▼」(図4赤枠部分)をクリックする
  2. グラフ下部の右隅に表示される「+新しいメモを作成」(図5図6緑枠部分)をクリックする
  3. メモの作成画面(図5図6)が表示される
図5:「表示と分析」権限ユーザーの新しいメモの作成画面
図6:「共有設定」権限ユーザーの新しいメモの作成画面

それぞれの赤枠部分に注目してほしい。図5「表示と分析」権限ユーザーは「非公開」しか選択できない図5赤枠部分)のに対して、図6「共有設定」権限ユーザーは「共有」か「非公開」かを選択できる図6赤枠部分)。つまり「表示と分析」権限ユーザーは、他の人に対して情報発信の共有ができないのだ。

ただし、他のユーザーの設定を取り込むことは可能である。「共有設定」権限以上の権限ユーザーがメモの公開設定を「共有」にしてくれていれば、「表示と分析」権限ユーザーもそのメモ情報を自分のビューで閲覧できる。

マイレポートでの違い

マイレポート(ダッシュボード機能)でも、ユーザーの権限ごとに可能な操作が異なる。

「共有設定」権限を持ったユーザーであれば、図7のように、現在非公開となっているマイレポート1(図7赤枠部分)で、共有機能から「マイレポートを共有」(図7青枠部分)を選択することで、「共有」されたレポート群(図7緑枠部分)へ移動させることができる(この例では共有されているものも非公開のものも同じ「マイレポート1」という名前になっていて紛らわしいが別ものだ)。

操作手順
  1. 「マイレポート一覧」をクリックする
  2. 「非公開」の「マイレポート1」(図7赤枠部分)をクリックする
  3. 「共有」をクリックし、「マイレポートを共有」をクリックする
図7:「共有設定」権限ユーザーのマイレポート

これが「表示と分析」権限ユーザーだと、図7青枠部分の「マイレポートを共有」が共有機能の中で表示されないので、同じビューを見ている他のユーザーへ自分のマイレポートを共有することができないのだ。ただし、メモ機能と同様で、他の人が共有してくれたマイレポートを見ることはできる。

「表示と分析」ユーザーでも、
カスタムレポートやセグメントの共有は可能

実際のところ、「表示と分析」権限ユーザーと「共有設定」権限ユーザーの差はそれほど大きくない。「表示と分析」権限ユーザーはメモ情報の提供やマイレポートを共有することはできないが、新しく自作したカスタムレポートやセグメントの設定を他の人と共有することは可能だ

カスタムレポートを共有したい場合

新規作成したカスタムレポートの設定は、以下の操作手順で、他の人にコピーして共有できる。

操作手順
  1. グローバルナビゲーションの「カスタマイズ」をクリックする
  2. 「サマリー」(図8赤枠部分)をクリックする
  3. 「操作」のプルダウンメニューから「共有」(図8青枠部分)をクリックする
  4. 「テンプレートのリンクを共有」(図9赤枠部分)を選択する
  5. [共有](図9青枠部分)をクリックする
図8:「カスタムレポート」の「サマリー」画面
図9:「カスタムレポートの共有方法の選択」画面

[共有]をクリックすると、URLが表示される(図10赤枠部分)。このURLを転送して、他の人のGoogle アナリティクスに取り込んでもらおう。

図10:設定のURLを共有

セグメントの設定を共有したい場合

新規作成したセグメントの設定の場合は、以下の操作手順で、図10と同様に設定のURLを渡すことが可能だ。

操作手順
  1. セグメント機能のボタン(図11赤枠部分)をクリックする
  2. 「ビュー」の「リスト」ボタン(図11緑枠部分)をクリックする
  3. 「アクション」欄にある歯車マークをクリックし、「共有」をクリックする(図11青枠部分)
  4. 図9のステップはなくて、図10と同様の画面が直接表示される
図11:セグメントの共有

一般閲覧ユーザーは「共有設定」権限に

このように「表示と分析」権限ユーザーと「共有設定」権限ユーザーの差はそれほど大きくない。余計なメモを書いて公開したり、さまざまなマイレポートを作ってどんどん共有するようなことさえしなければ、一般閲覧ユーザーには、より権限の広い「共有設定」権限を与えてあげるのがよいのではないだろうか。

次回は続いて「アカウント」「プロパティ」のレベルでのユーザー管理の話などに触れていく予定だ。

筆者のユニバーサルアナリティクス対応のGoogleアナリティクス本が出版されました。  → 『Google Analyticsによるアクセス解析入門~Universal Analyticsを使ったWebマーケティング実践テクニック100』

この記事の筆者
ユーザー 衣袋 宏美(株式会社クロス・フュージョン) の写真

衣袋 宏美(いぶくろ ひろみ)

1960年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。大手電気メーカー勤務後、日経BP社インターネット視聴率センター長を経て、2000年ネットレイティングス入社、視聴率サービス立ち上げに参画、2006年ネットレイティングス社(現ニールセン株式会社)フェローに就任。株式会社クロス・フュージョン代表取締役。またデジタルハリウッド大学院客員教授、米Digital Analytics Association会員、アクセス解析イニシアチブ副代表。

著書など:
Web担当者Forumでの連載:
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