Googleアナリティクスに「コンテンツグループ」という機能が追加されている。皆さんのアカウントでも有効になっていないだろうか?
コンテンツグループとは、名前のとおり、「コンテンツをグルーピング」して分析する機能である。通常のレポートでは、コンテンツ(閲覧ページ)は、次のような単位でしか分析に利用できない。
- ディレクトリ
- URL
- ページタイトル
コンテンツグループは、閲覧ページをこれ以外の基準でグルーピングして評価できる機能だ。たとえば、次のような切り口で分析できるようになる。
- 執筆者
- カテゴリ
- 特集ページやランキングなどのページタイプ
- (EC)商品の対象性別・年齢
- (EC)商品の色
- など
ただし、コンテンツグループは、設定を行わないとレポート画面にいっさいそれらしき表示もされないので、気づきにくい機能だ。「編集」権限を持っていれば、アナリティクス設定の画面(図1)のビューの項目に「コンテンツグループ」があるのが確認できるだろう(図1赤枠部分)。これは標準のアナリティクスでも、ユニバーサルアナリティクスでも利用可能な機能だ。
今回は、新機能の目玉の1つである、このコンテンツグループの使い方を説明していこう。
集客系のデータは軸や分類をカスタマイズできる
コンテンツグループは、行動系のデータもカスタマイズ可能にする
「コンテンツグループ」機能は、ひと言でいえば、集客系のレポートで実現しているような軸や分類のカスタマイズを、コンテンツ(行動)系のレポートでも行えるようにするものだ。
「コンテンツグループ」機能を利用していないGoogleアナリティクスでは、コンテンツ閲覧(「行動」セクション)のレポート群で利用できる分析軸(ディメンション)は、「ディレクトリ」「ページ」「ページタイトル」など、URL構造やHTMLファイル内のタグ記述に依存した項目しか選択肢がなかった。
これに対して、今回追加された「コンテンツグループ」機能を使うと、管理画面の設定だけで、簡単にコンテンツを任意にグルーピングした新しい分析軸が追加利用できるようになるのだ。
コンテンツグループの設定方法
それではこの「コンテンツグループ」を実際利用するにはどうしたらよいのか解説していく。まずは管理画面のビューの項目である「コンテンツグループ」(図1赤枠部分)をクリックしよう。
- グローバルナビゲーションの[アナリティクス設定]をクリックする
- ビューの項目である「コンテンツグループ」(図1赤枠部分)をクリックする
新しいコンテンツグループを作成する
コンテンツグループ一覧画面(図2)が現れる。当然、最初は何も設定されてないので、リストには何も表示されていない(図2青枠部分)。
この画面で「新しいコンテンツグループを作成」(図2緑枠部分)をクリックし、コンテンツグループの設定画面に移動しよう(図3)。
コンテンツグループ名を入力する
最初に図3の一番上の「コンテンツグループ名」(図3茶枠部分)を入力しておこう。ここで指定した文字列がいわゆるディメンション名になる。レポート上で、「ページ」や「ディレクトリ」「ページタイトル」と同様のディメンション名になるということだ。
グループ化の設定方法を選択する
その下の「グループ化の設定」というのは、コンテンツグループの設定方法である。設定方法は3つ用意されている。
- トラッキングコードでグループ化を設定する方法(図3赤枠部分)
- 正規表現の抽出機能を使って指定する方法(図3青枠部分)
- ルールを定義して指定する方法(図3緑枠部分)
1は、トラッキングコードのカスタマイズにより、データ収集時点でカスタマイズする方法である。2と3は、管理画面上で指定することで、集計時に反映させる方法だ。
どの方法がお薦めかは、
- どういう分類をしたいのか
- それに対応するURLの構造やページタイトルはどのようになっているのか
- これからコンテンツが増えるときに対応しやすいのかといった拡張性
など、さまざまな要素を考慮しなければいけないので、一概には言えない。今回は、論理的なルールを単純に指定する「3.ルールを定義して指定する方法」について、具体例をもとに設定方法とレポート画面を紹介しよう。
ルールを定義して指定する
まず、図3の画面で、「ルールセットを作成」とあるエリア(図3黒枠部分)をクリックしよう。すると図4のようなルールを定義する画面が出てくる。
一番上にある入力ボックス(図4赤枠部分)は、このディメンションの項目名になる。
「ルールを定義」の下の左側の「スクリーン名」とあるプルダウン(図4青枠部分)は、
- ページ
- ページタイトル
- スクリーン名
の3つから選択できるプルダウンだ。「スクリーン名」はモバイルアプリ解析における「ページ」のような意味合いのディメンションを指す。通常は「ページ」を選択すればよいだろう。
その右隣のプルダウン(図4緑枠部分)は、マッチタイプを選択するプルダウンで、図5のようなバリエーション(図5赤枠部分)から選択できる。
図5では隠れて見えていない「次のいずれでもない」を含めて12個から選択できる。
たとえば、URL内に著者名を含んでいるサイトで、著者名によるグループを作成したい場合は、次のようにする。
- 一番上にある入力ボックス(図4赤枠部分)に「著者A」と指定する。
- ルールの定義には、「ページ」「含む」「writer_a」として設定する。
この指定の意味合いは、URLに「writer_a」が含まれるページは「著者A」という項目名にするということを指定したことになる。
「コンテンツグループ名」(図3茶枠部分)を「執筆者」と指定したとすれば、「執筆者」ディメンションの項目の1つが「著者A」ということだ。同様に「著者B」「著者C」を設定した状態の設定画面の例が、図6だ。
各設定内容を修正したければ、右の方にある鉛筆アイコン(図6赤枠部分)をクリックして設定画面から修正を行えばよい。
設定したコンテンツグループをレポートで確認するには?
この設定例で、実際どのレポートをどのように見ればよいのだろうか。この設定を行った翌日にでも[行動]>[サイト コンテンツ]>[すべてのページ]レポートを見てみよう。
通常、レポート下部のデータ一覧表示部のプライマリディメンションは「ページ」か「ページタイトル」しか選択肢はないはずだ(図7赤枠部分)。
しかし、コンテンツグループを設定すると、図8のように「コンテンツグループ」という選択肢が加わっているはずだ(図8赤枠部分)。
右側の「なし」と書いてあるプルダウン(図8青枠部分)をクリックすると、図9のように作成したコンテンツグループが選択できるプルダウン表示がされる(図9赤枠部分)。
上記で作成したコンテンツグループ名「執筆者」(図9青枠部分)の他に、筆者がもう1つ設定した「記事名」というコンテンツグループもあるが、ここでは「執筆者」(図9青枠部分)を選択する。「執筆者」ディメンションを選択したレポートが図10だ。
「コンテンツグループ名」(図3茶枠部分)がディメンション名(図10赤枠部分)に該当し、各項目名(図10青枠部分)はルール定義の設定画面における名前(図4赤枠部分、図6青枠部分)であることがわかるだろう。
各項目(図10青枠部分)をクリックすると、図11のように該当コンテンツグループに絞り込まれたページ明細にドリルダウンされる。
この「コンテンツグループ」で作成したディメンションは、セカンダリディメンションやカスタムレポートで指定することも可能だ。このケースであれば、筆者別にページビューをまとめて見ることができるようになるわけだ。
コンテンツグループの活用例
では、自社サイトで具体的にどのような活用ができるだろうか。最終的には皆さんのサイトの特徴や個別の事情に応じて考えてみてほしいのだが、その助けになるようにここでは、いくつかのグルーピングの例を挙げてみる。
メディアサイトの場合のグルーピング例
各種記事によってユーザーを集め、広告収入を主体として運営しているサイトでは、どのようなコンテンツの分類方法があるだろうか。
たとえば、この「Web担当者Forum」のURLは、下記のような構造になっている。
URL例http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2014/01/20/16673
先頭から順に、「ドメイン名」「記事種別」「公開年」「公開月」「公開日」「記事番号」となっているようだ(記事種別は、編集記事なら「e」、ニュースなら「n」など)。
記事公開日付が一目瞭然のURL構造だが、URLからはコンテンツの種類を類推することはできない。「Web担当者Forum」でコンテンツの種類を分類する軸としては、たとえば次のような種類があるのではないだろうか。
コンテンツグループ例 | 区別の種類(ディメンションの項目) |
---|---|
執筆者 | 編集部による記事/外部寄稿の記事/ユーザー投稿記事/記事体広告 |
テーマ | SEO/アクセス解析/CMS/EC/コンテンツ制作/ソーシャル/広告効果測定/検索連動型広告/DMPなど |
記事タイプ | ニュース/解説記事/セミナー報告/マンガ |
こうしたデータを、コンテンツシステムと連携させて、ページ表示時にトラッキングコードでグループ化指定するといいだろう。
ECサイトの場合のグルーピング例
オンラインショッピングのサイトについては、商品ページなら商品のカテゴリ分類をURLのディレクトリ構造の中に入れていることが多いだろう。また商品情報などをデータベース管理している関係でコンテンツを基本的に動的に生成し、多数のパラメータを利用している場合もあるだろう。こうなってくると、ディレクトリやURL、ページタイトルだけではほとんど意味のある分類にならない。
ECサイトでもさまざまな商品が扱っているサイトであればその商品分類の種類だけでも多数あるだろう。いくつか例を挙げてみた。もちろんコンテンツを分けずに同じページで見せている場合もあると思う。
コンテンツグループ例 | 区別の種類(ディメンションの項目) |
---|---|
商品分類軸 | 大分類/中分類/小分類 |
対象者による分類 | 性別/年齢/サイズ |
その他の商品分類 | 価格帯/色 |
売り方による違い | 特集ページ/広告の品/売れ筋商品(ランキング) |
実際はURLとコンテンツ分類の関係で、どのように運用していくのかはサイトによって異なると思うが、なるべく自動的に処理できるように、コンテンツシステムと連携させて、コンテンツグループの設定に合わせて手間暇を掛けずに運用をするなどの工夫は必要になるだろう。
繰り返すが、閲覧ページを分析するにあたって、既存の「ディレクトリ」「URL」「ページタイトル」以外の切り口でグルーピングして評価したいというニーズがあるのならば、このコンテンツグループの機能を使えないか検討してみよう。
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- 内容カテゴリ:アクセス解析
- コーナー:衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:Googleアナリティクスの新機能・コンテンツグループを使って、ページを自由に分類して分析してみよう(第85回) [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum
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