「被リンクは悪」「リンクは終わった」……それは大きな勘違いだ
正しいSEOを啓蒙したいウェブライダー松尾氏のツイート(ウェブライダー松尾茂起(松尾シゲオキ)(@seokyoto) on Twitter )
「SEOは変わった」と言われる。昔はリンクがすべてだったのだが、今は良いコンテンツがすべてだと。
では、今はリンクに意味はないのだろうか? 良いコンテンツさえ公開すれば、それだけで検索順位が上がるのだろうか。
某ブログに掲載された「被リンクは悪で、グーグルが被リンクを重視する時代は終わった」というSEO記事を読んだあとの、松尾茂起氏の一連のツイートを紹介する。
最近、SEOのことをきちんと理解できていない方がSEOを啓蒙しようとする傾向がある。記事の質とか、Googleは十分に判断できないし、Googleは記事やブログ、ドメインの人気度を評価するためにリンクを今も評価基準に入れている。お金で買う人口リンクがダメなだけで、被リンクは必要。
— ウェブライダー松尾茂起(松尾シゲオキ) (@seokyoto) 2014, 1月 13
例えば「自分的にはすごく良い記事を書きました」という人がいて、じゃあ、その記事がどれくらい良いかはGoogleには判断できない、Googleは人間じゃない。だから、リンクによる評価が重要になる。その記事が色々な場所で紹介されてるとか、そういうところから記事の人気や信頼性を測る。
— ウェブライダー松尾茂起(松尾シゲオキ) (@seokyoto) 2014, 1月 13
僕はスパム行為が大嫌いだし、うちではリンクの販売とかしたこともないから、「良い記事を書こう」という風潮はとても良いと思う。でも、じゃあ、何をもってして良い記事と判断するのか?という議論もあって良いと思う。SEO的にみれば、ただ良い記事を書けば上位表示される、なんてことはない。
— ウェブライダー松尾茂起(松尾シゲオキ) (@seokyoto) 2014, 1月 13
実は、きっかけとなったSEO記事には被リンク以外にも不適切な内容が多い(正しいことも書いているし、糾弾するつもりはないので具体的なURLにはここでは触れない)。SEOのことを多くの人が知るようになるのは嬉しいことだが、誤解を招くようなSEOは広まってほしくない。
被リンクに関して言えば、松尾氏が言うように、悪とみなされるようになったのは、「順位操作のための人工リンク」であって、「被リンクそのもの」ではない。
大切なのは検索ユーザーのニーズを理解して、そのニーズに応える「価値のあるコンテンツ」を提供することなのだが、その「価値」の判断に、まだ被リンクがそれなりの役割を果たしていることに変わりはないのだ。
もちろん、どこかのタイミングで、検索エンジンが掲載順位を決定する要因のなかでリンクの比重が極度に低くなり、もっと別の要因が主流になることもあり得る。ソーシャルシグナルをグーグルが問題なく処理できるようになるかもしれないし、遠い将来にはコンピュータが文章を理解して判断する能力が飛躍的に向上するかもしれない。しかし、それまではページへの評価を表すシグナルとしての「オーガニックな被リンク」が重要な要因の1つであることに変わりはないだろう。
ちなみに松尾氏はその後「ちゃんとSEOを啓蒙しなければ。そのためには情報発信」といった旨のツイートをしているが、筆者もまったく同じ気持ちだ。このコーナーや個人ブログ、セミナーなどを通じて、正しいSEOを啓蒙していきたいと考えている。
日本語で読めるSEO/SEM情報
ウェブマスターツールの「検索クエリ」が概算ではなく実数になった
キーワード分析にさらに重宝する(Google ウェブマスター向け公式ブログ)
グーグルは、ウェブマスターツールの「検索クエリ」機能を改善した。以前は「検索クエリ」に表示されていたデータは概算だったのだが、対象サイトが検索結果に表示された回数と、クリックして訪問された回数が、1桁まで細かく表示されるようになったのだ。
より正確な数字を見られるようになったことは、キーワード分析にさらに役立つことにつながる。特に、ウェブマスターツールの検索クエリはSSL検索による「(not provided)」の影響を受けない唯一のツールなので、なおさらだ。
モバイル向け別サイトの「検索クエリ」の2つの改善
スマホ検索の分析に役立ちそう(Google ウェブマスター向け公式ブログ)
こちらも、ウェブマスターツールの「検索クエリ」機能改善のニュースだが、モバイル向けサイトの話題だ。
モバイル向けに別のURLを提供しているサイトでのデータ表示が変わった(たとえばモバイル向けに m.example.com、デスクトップ向けに www.example.com といったサイト)。
変わったのは、具体的には以下の2点が表示されるようになったことだ。
モバイル向けページが携帯端末上のブラウザーの検索結果に表示された検索クエリ
リダイレクトスキップが発生した検索クエリ
「リダイレクトスキップ」とは、デスクトップPC向けのURLとモバイル向けのURLが異なる場合に、モバイルの検索ユーザーをモバイル向けページに優先的に誘導するグーグルの仕組み。モバイルユーザーをモバイル向けページにリダイレクトする構成のサイトでは、リダイレクトスキップの処理によって、リダイレクトを挟まずに直接モバイル向けページに着地させる。
これにより、ユーザーは「検索結果→デスクトップ向けページ→モバイル向けページ」と移動するのではなく、「検索結果→モバイル向けページ」と移動するので、アクセスにかかる時間が短くなるというわけだ。
これまではリダイレクトスキップが発生した検索はデスクトップ向けサイトの「検索クエリ」に表示されていたが、今回の改善により、モバイル向けサイトのほうの「検索クエリ」に表示されるようになったというわけだ。
このデータを表示するには、モバイルサイト側の「検索クエリ」で、フィルタを「携帯電話」に設定する。もちろん、モバイル向けサイトを所有者確認しておく必要があるし、リダイレクトスキップが正しく行われるためには、元記事のページでも解説されている「携帯端末に最適化されたウェブサイトの構築方法」に従っている必要がある。
「オリジナル = 質が高い」ではない
あなたのサイトだけの「価値」を提供する(グーグル ウェブマスター向け公式ヘルプフォーラム)
「価値のない質の低いコンテンツ」が理由でグーグルに手動で対策されたサイトの管理者が、公式ヘルプフォーラムに投稿した。
次のように状況を説明している。
他のサイトにはない、オリジナルのグーグルマップを使ったお店までのアクセスを紹介しています。
この相談に対するフォーラムメンバーの指摘は次のようなものだった。
価値が高いコンテンツとはなんでしょうか?
エステサロンに行きたい人にとって一番重要なことは何だと思いますか?
道順とかは重要なことではないですよね。そして、その種のコンテンツというものは、その店を実際には何も知らなくても作れるわけです。
つまりオリジナルコンテンツであったとしても、オリジナルとしての価値が低いと言えます。エステサロンに行く人にとってそのエステサロンはどんな特徴があるのか?
他のサイトから読み取れない情報があって初めて検索ユーザーの役に立つわけです。
上記の内容(アクセス方法)を「オリジナル」と解釈されているようですが、求められているのはページ内の「コンテンツ」に関するオリジナリティです。
グーグルマップを使うこと自体は問題ないですが、それがコンテンツ?かといえば無理があります。たとえば、あなたが店舗を訪問した体験記やインタビューなどを掲載したりすれば、そればあなたしか書けない内容なので オリジナルコンテンツとみなされるのではないでしょうか?
上級者メンバーだけあって核心をついたアドバイスだ。
「オリジナルであること」がすなわち「質が高いこと」であるとは限らない。オリジナルであること、つまり他のサイトにはない情報を掲載していることは当然として、そこでしか得られない「価値がある」情報を掲載しているようなサイトを、グーグルは検索ユーザーに見せたいのだ。
悪徳ホームページリース商法との闘い
絶対にだまされないように(Yahoo!ニュース 個人)
「ホームページのリース」という見せかけの、詐欺まがいの事例を告発した記事。
SEO業界でも価値のないツールをリースすることで顧客をだます悪徳商法があると聞くが、中小企業や個人事業主をターゲットにした「ホームページリース商法」は、リース業界の注意喚起にもかかわらずなくなっていないようだ。
「ホームページリース商法」どんな手口なのか。リース会社が倒産し弁護士を名乗る人物も登場しながらも、契約者をさらにだまし続けようとするその悪質な手口を、こちらの記事で知ってほしい。
自社のホームページ運営やSEOに興味を持ち始めたビジネス仲間がいたら読むように勧めてもいい。
1年以上前にも「詐欺的な悪徳SEO業者の3つの事例」と題して悪質なSEO業者を告発した記事をピックアップしたことがある。
悔しいが、こうした悪徳業者が消滅することはないだろう。自衛するしかないので、こうした情報を多くの人に知ってほしいものだ
海外SEO情報ブログの
掲載記事からピックアップ
重複コンテンツ関する記事と不自然リンクに関する記事を今週はピックアップ。
- 「重複コンテンツはスパムでGoogleにペナルティを受ける」は、なぜ間違いなのか
重複コンテンツについて正しい理解を - Googleのキャッシュページにあるリンクまで不自然リンク扱いになる!?
一時的なリンクをキャッシュで指摘した
- 不自然リンクの手動対策を5分で解除する方法!?
- リンク否認ツールが順位の回復に役立つ:15%――どういうこと?
- サイトの構成ミスを指摘するメールがグーグル社員から個人的に届いた
- Googlebotのクロールとインデックスを100%確実にする方法
- robots.txtの取得は頻繁にされる
- 2013年に姿を消した5つのSEOの常識
- 2014年版 SEOの計画書 – 内部最適化編
海外のSEO/SEM情報を日本語でピックアップ
不自然リンクの手動対策を5分で解除する方法!?
90%のリンクを否認して1行の再審査リクエストを送るだけ(WebmasterWorld)
不自然なリンクに対する手動対策を解除してもらうためには、多大な労力と長い時間を要する。ところが、いとも簡単に解除に成功した例がWebmasterWorldフォーラムに投稿された。
ウェブマスターツールからダウンロードしたリンクの90%を否認した。リンクを削除しようとしてどのサイトにもコンタクトを取っていない。
そして下のようなシンプルな再審査リクエストを送ったところ、手動対策が解除された。
どうにかすべてのバックリンクを削除して否認リストを更新しました。手動による対策を解除してください。
よろしくお願いします。
投稿者は、別のサイトの解除にも取り組んでいる。そちらは何時間もかけて対応し、詳細に説明した再審査リクエストを送ったにもかかわらず、5回も却下されているそうでショックを受けている。実験として試してみたところ、予想とはまったく裏腹に成功してしまったそうだ。
1つだけ鍵になりえることがあるとしたら、それは否認してから再審査リクエストを送るまでの時間だ。否認ファイルをアップロードしてから2~3週間待ってから再審査リクエストを送っている。ひょっとしたらリンクが実際に否認されるまでに十分な期間があったのかもしれない。
そうは言っても、「削除の努力が一切なし」「細かな説明なし」という状態で手動対策が解かれたのは、非常に不可解だ。新米担当者が処理にあたったのだろうか?
なおこの記事のタイトルは目立つように、あえておおげさに書いている。ご容赦いただきたい。
リンク否認ツールが順位の回復に役立つ:15%――どういうこと?
回復しないのが当然かも(Search Engine Roundtable)
「リンクを否認することで下がった順位が回復するかしないか」、言い換えれば「リンクの否認ツールが役にたつかたたないか」について、WebmasterWorldフォーラムで意見交換が続いている。
Search Engine Roundtableブログが読者にアンケートを取ったときには、次のような結果だったとのこと。
「リンクの否認がランキングの回復に役立つ」と回答した人: 15%
簡易的なアンケートではあるものの、400人が回答して「15%」という数字だ。そのまま信じるわけにはいかない数字だが、リンクを否認してもランキングが回復しないサイトが一定数存在することは確かだ。
リンクの否認が処理されたとしても、ランキングの回復に必ずしも効果をもたらすとは限らないだろう。
なぜなら、それまで評価されていた不正なリンクが見破られ、その効力がなくなっていると考えられるからだ。相応の検索順位に戻ったのだと言える。
不正なリンクの罰としてさらに順位を下げられていたとしたら、そのリンクが否認されることによってある程度は回復するかもしれない。しかしそのままでは上位に位置することは難しいに違いない。
否認ツールは不自然リンクの無効化には役に立つだろう。しかしそれが以前のような上位表示にすぐさま繋がらないとしても当然なのかもしれない。
サイトの構成ミスを指摘するメールがグーグル社員から個人的に届いた
グーグル社員に個別対応してもらえる?(Search Engine Land)
検索エンジンに関するサイトの問題に関して、グーグルの社員から直接メールで送られてきた(ウェブマスターツールへの通知ではなく)ことを、こちらの記事が伝えている。
モバイル向けサイトで最も多い構成ミスの1つが間違ったリダイレクトだ。スマホのリダイレクトに構成ミスがあるかどうかを今はウェブマスターツールでチェックできるようになっている。
ところが、グーグルの社員から直接メールでメッセージが送られてきたというのだ。
自分の名前とグーグルのサーチクオリティチームに所属していることを告げたうえで、管理サイトにリダイレクトの構成ミスがあることを指摘している。そして解決方法を簡単に説明し、詳細を参照できるドキュメントのURLを提示している。
メッセージの最後では、質問があれば尋ねるようにとも言っている。
アドワーズやアドセンスとは異なり、グーグルが検索サービスに対してメールで個別に対応することは極めて稀だ。人手の問題もあり1つひとつのサイトの相手をするのは困難だからだ。
マット・カッツ氏が以前に「試験的に個別対応を試みている」といったことを言っていた記憶があるが、それなのかもしれない。またモバイル対応は特に重要なため、モバイル関係のミスが対象になった可能性もありそうだ。
日本のWeb担当者の方も、ウェブマスターツールにではなくメールが直接送られてきた例があれば、ぜひ教えてほしい。
Googlebotのクロールとインデックスを100%確実にする方法
あったらいいけど存在しない(Google Webmaster Help Forum)
サイトマップは、Googlebotのクロールとインデックスを補助するものであり保証するものではないと前回説明した。それでは、クロールとインデックスを100%確実にする仕組みは存在するのだろうか?
残念ながら存在しない。公式ヘルプフォーラムでも、グーグル社員がきっぱりと否定している。
ウェブ検索においては、インターネットに一般公開されているURLのクロールとインデックスをグーグルは保証できない。URLがいくつインデックスされるかに直接影響を与えるサービスも提供していない。
100%は無理だが、新規公開したURLへのGooglebotのクロールを促進する方法を、筆者からいくつか紹介しておく。
- サイトのトップページからリンクする
- サイトマップに追加する
- Fetch as Googleから「インデックスに送信」を実行する
- PubSubHubbubでPing通知する
- Google+にリンクとして投稿する
ただし、クロールとインデックスは別処理だ。クロールしてもらえたとしても、コンテンツの質が低かったりガイドライン違反があったりすれば、インデックスされないことがある。
robots.txtの取得は頻繁にされる
でも更新は1日1回と思われる(Google Webmaster Help Forum)
グーグル社員のゲイリー・イリーズ氏が、公式ヘルプフォーラムに投稿されたrobots.txt変更の反映についての質問に、次のように説明した。
Googlebotは、robots.txtをかなり頻繁に取得しようとする。通常は1日に数回だ。もしURLをブロックする記述をつい最近に削除したのならば、グーグル側ではかなりすぐに変更が反映されているだろうと思う。
明日になったらウェブマスターツールでrobots.txtの情報が更新されているか確認してみてほしい。
robots.txtの更新はだいたい24時間ごとに実行される。ただ、robots.txtの取得自体は1日に何度も実行されているようだ。
SEO Japanの
掲載記事からピックアップ
検索エンジンの扱いや処理が昔とは変わったSEOと内部SEOの基盤をなす施策をまとめたSEO計画書を今週はピックアップ。
- 2013年に姿を消した5つのSEOの常識
変化するSEOもある - 2014年版 SEOの計画書 – 内部最適化編
1つ1つ着実に実行すべし
- 内容カテゴリ:SEO
- コーナー:海外&国内SEO情報ウォッチ
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オリジナル記事:「被リンクは悪」「リンクは終わった」……それは大きな勘違いだ など10+4記事 [海外&国内SEO情報ウォッチ] | Web担当者Forum
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