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カスタマーエクスペリエンスを高める「レコメンド」をユーザー登録なしのサイトで安価に導入するには [予算200万円から始めるOne to Oneマーケティング] | Web担当者Forum

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200万円から始めるOne to Oneマーケティング 連載アイコン

予算200万円からトライアルとして実行できるOne to Oneマーケティングのアイデアを紹介し、スモールスタートの可能性を探っていく本連載。第2回となる今回は、個々のユーザーに合わせて適切なコンテンツを提示する「レコメンド」を、ユーザー登録やログイン機能のないサイトでも予算200万円以内で始めるやり方について解説する。

一人ひとりに最適なコンテンツを提供するレコメンド

あなたは、「レコメンド」といった言葉から何を思い浮かべるだろうか? ECサイト「Amazon」のおすすめ商品リンクを連想する方も多いのではないだろうか。

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Amazonのレコメンド表示。自分や他のユーザーの購入情報に基づいておすすめを提示する。
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こういった言葉とともに紹介された商品を見て、「今まさに買いたいと思っていた商品だ!」と驚いた経験のある方は少なくないだろう。

こうしたレコメンド機能による商品のおすすめは、多品種の商品を取り扱うWebサイトにおいて、繰り返し購入が想定される場合のみ利用されるものだと考えられてきた。

しかし、「O2O」「オムニチャネル」「カスタマーエクスペリエンス」といったキーワードが注目されたことで、レコメンド機能を使って「自社の顧客データベースやオフラインでの顧客接点から得られる情報に基づいて、一人ひとりに最適なコンテンツを提供しよう」という動きが脚光を浴びつつある。

ただし、CRMシステムや販売管理システムと連動したレコメンドの仕組みを構築するには、巨額の投資が必要となる。そこで今回は、将来的にCRMなどと連携が可能でありながら、予算200万円以内で始められるデジタルチャネル(Webサイト)限定のレコメンド導入について考えてみたい。

ユーザーごとに来訪目的が異なるからこそOne to Oneの発想が必要

当然のことだが、コーポレートサイトであれ、ECサイトであれ、そのサイトに来訪するユーザーの目的はそれぞれ異なっている。さらに同じユーザーであっても、来訪の時期によって目的が変化することは容易に想像できる。

ちなみに、「コーポレートサイト」という名称から会社情報を想起しがちだが、ほとんどの企業サイトでは主な目的が商品やサービスの販売促進なので、本来は「マーケティングサイト」と呼ぶ方が適切だろう。

「One to Oneマーケティング」という概念は、テレビCMや新聞広告などのマス媒体を使って不特定多数の顧客に対して画一的なマーケティングを行う「マスマーケティング」に対するアンチテーゼとして生まれた。しかし、多くのWebサイトでは依然としてマスマーケティングと大差ない情報の提供を行っている

それでは、どうやれば異なるニーズを持つ来訪ユーザーに対してOne to Oneで対応できるのだろうか。

従来は、「情報構造」という名の下にナビゲーションや画面レイアウトを工夫することでさまざまなニーズに対応するというやり方が一般的だった。しかし、それだとユーザーが能動的にリンクをクリックし、自分でページを移動しなければ、目的のコンテンツにたどり着くことはできない。

そこで、「過去の閲覧履歴を活用して一人ひとりに合わせて異なるページを提供することで、One to Oneマーケティングの第一歩とする」というのがレコメンドの基本的な考え方である。「個々のユーザーに対応する」という意味から、「パーソナライズ」と呼ばれることもある。

ページ閲覧履歴に基づいて実現できるOne to Oneの例:
ログインなしのサイトで個人向けと法人向けを自動選択する

ユーザーに会員登録をしてもらい、IDとパスワードでログインしてもらうサイトであれば、そのユーザーの属性情報などからニーズを推測してレコメンドを行うという流れはイメージしやすい。

だが、多くのサイト(特にコーポレートサイト)では、ユーザー登録や認証という機能が用意されていることは非常に少ない。

ログインする仕組みがないサイトでレコメンドを表示できるようにするには、個人情報を使わずに、ユーザーのページ閲覧履歴とクッキー情報のみを使ってレコメンドを実現する必要がある。

ここで、次のような単純な例について考えてみよう。

状況:

個人と法人の両方に向けた商品やサービスを提供している企業のWebサイト。トップページには、個人と法人のどちらかを選択するメニューを設置しているが、アクセス数の多い個人向け商品やサービスのコンテンツを中心に配置している。

BtoBとBtoCの両方の商材を扱っているサイトでは多い表示だろう。

だが、過去に訪問したことのあるユーザーならば、閲覧ページから個人なのか法人なのかを判別することは簡単だ。そのような再訪問のユーザーに対しては、個人なのか法人なのかを推測して、二度目以降はトップページでどちらかのコンテンツを優先して表示させるといった施策が可能になる。

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閲覧履歴から来訪者の属性を法人ユーザーだと推測して法人向けページを表示。
閲覧履歴から来訪者の属性を法人ユーザーだと推測して法人向けページを表示。

レコメンドとしては、「(あなたは個人ユーザーだと思われるので)個人向けページをおすすめ」しただけだが、同時にユーザーにとっては「1クリック分の手間」が省けたことになる。些細なことだが、こうしたこと1つずつ積み重ねていくことでカスタマーエクスペリエンスの向上につながる。

同様のロジックで、次のような判断も考えられる。

  • 若年層向けのブランドページをよく見ている → 若年層?
  • 購買後のサポート情報を中心に閲覧している → 既存顧客?
  • 九州地区の店舗情報を繰り返し見ている → 九州在住?
  • 女性用のランニングシューズ情報を見ている → 女性?

閲覧履歴から来訪者の属性を推測し、クッキーを活用することで一人ひとりに最適なコンテンツを表示できる。

事前に個人情報を登録してもらったりマイページにログインしてもらったりしなくても、ある程度の範囲なら行動履歴から属性を推測することで、One to One対応を実現できるのだ。

将来のOne to Oneは顧客データベースとの連携でさらに進化

こうしたレコメンドによるOne to Oneマーケティングを実現するツールの中には、外部データベース(自社の顧客データやCRMシステムなど)との連携機能を有しているものもある(オプション機能として提供されていることが多い)。

外部データベースと連携するには、ツール側のオプション費用以外にも既存システムと連携するための開発が必要となるため、200万円という予算内ですべてを実現することは厳しいだろう。

だが、前述したようなWebサイト上の接点に限定した施策であれば、以下のような予算規模で実現できる。これなら、十分現実的な数字ではないだろうか。

  • 初期費用: 10万円~数十万円程度
  • 月額利用料: 5万円~20万円程度
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レコメンド機能を備えるCMSも増加中。たとえばOracle WebCenter Sitesでは、レコメンドやセグメントの機能を使ってユーザーごとに個別のコンテンツを表示できる(画面は性別でコンテンツの出し分けを設定しているところ)。

また、最近ではレコメンド機能を備えたCMS(コンテンツ管理システム)も増えている。このようなCMSであれば、レコメンドによって表示させるコンテンツの制作、承認、公開まですべての工程を同一システム上で管理できるため、更新作業の効率化も期待できる。

外部データベースとの連携を次のフェーズとして見据えつつ、まずはWebサイト上の訪問履歴を活用したOne to Oneマーケティングでスモールスタートすることを提案したい。

◇◇◇

カスタマーエクスペリエンスを「ユーザーへのおもてなし」と考えれば、客の望むことに先んじて対応することもその1つだ。わかりきっていることなら、わざわざ選んでもらわずにこちらから提示することで、ユーザーの手間は減り、満足度は高まる。

高度な分析エンジンを駆使して膨大な商品から最適なものを選び出すというレコメンドの目指すゴールだ。ただし、今回挙げた例のように「個人か法人か」「男性か女性か」といったレベルでも、One to Oneへ向けた第一歩としては有効であろう。

この記事の筆者
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田島 学(アンダーワークス株式会社代表取締役社長)の写真

田島 学(たじま まなぶ)

アンダーワークス株式会社
代表取締役社長

早稲田大学政治経済学部卒。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)にてeCRM戦略立案等に従事したのち、独立コンサルタントを経て2006年にアンダーワークス株式会社を創業。金融、情報通信、ヘルスケア、製造業などのWeb戦略/デジタルマーケティング戦略立案、顧客分析、テクノロジー活用、CRMなど多くのプロジェクトに携わる。

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