「マイレポート」はいわゆるダッシュボード機能だ。Googleアナリティクスの複数のレポートを1画面に表示して、一目で全体の状況を概観できるようにするレポートである。一見、便利そうな機能ではあるが、じつは筆者はマイレポートを使っていない。
以前の記事に書いたとおり、筆者が毎日、自分の関連サイトのデータを見るときに使うのは、[ユーザー]>[サマリー]レポートだけだ。
このように、基本的に定点観測はきわめてシンプルにしている。そのかわり、深掘り型の分析を行う場合は、個別のレポートをしっかり見る。ダッシュボード的な中途半端な「マイレポート」は活用しにくいのだ。
ただ、「マイレポート」が有効なケースというのも、もちろんある。
レポートとは、誰に向けて何を見せたいのかというのを意識して作成する。ダッシュボード的な見せ方が有効なのは、現場のアナリストではなく、細かいデータを見る時間も分析することもない管理職などの方になるのではないだろうか。週に一度や月に一度、コンパクトにまとまった1枚のPDFをメール添付し、簡単なコメントを付けるといった用途に最適だろう。
そこで今回は、週次の頻度で、管理職がサイトの状況を一瞬で判断できるダッシュボードを作成してみる。
ただし、今回の作成例は、私の情報発信型サイトの場合なので、皆さんが同じものを作ってもそのまま役に立つレポートになるとは限らない。当然、皆さんのサイトの場合は、サイト独自の事情に合わせて、見るべきデータも、視点も、セグメントも異なるので、1つのケースとして参考にしていただきたい。
新しいマイレポートの作り方
「マイレポート」は、ビュー(プロファイル)を新規作成した時点で、すでに1つ、デフォルトでセットされている。これは、[マイレポート一覧]>[非公開]>[マイレポート]レポート(図1赤枠部分)で、以下の手順で見ることができる。
- グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面の左側にあるメニューで、[マイレポート一覧]をクリックする
- メニューが開くので、[非公開]をクリックし、[マイレポート](図1赤枠部分)をクリックする
今回は、新しいマイレポートをゼロから作ってみよう。まず、「+新しいマイレポート」(図1青枠部分)をクリックすると、「マイレポートの作成」(図2)が表示される。
左側の「空白のキャンバス」(図2赤枠部分)がデフォルトで選択されている。そのまま、レポート名(図2青枠部分)を入力し、「マイレポートを作成」(図2緑枠部分)をクリックしよう。すると図3のような「ウィジェットの追加」が出てくる。
「ウィジェット」とは、「マイレポート」に表示する1つ1つの図表(グラフや一覧表データ、単独のデータなど)のことだ。「マイレポート」に表示したい要素は、ウィジェット単位で追加したり、削除したり、配置したりする。
図4はデフォルトの「マイレポート」の上部で、赤枠部分が1つずつのウィジェットだ。
ウィジェットは、1つの「マイレポート」内に、最大12個まで配置できる。
「新しいマイレポートを作る」作業とは、図3の「ウィジェットの追加」で、表示形式と指標を選び、ウィジェットを1つずつ追加していく作業である。
あとは、各自必要なウィジェットを追加していってもらえればいいのだが、たくさんあるウィジェットの中から、どれを選んで追加すべきなのか、最初はとまどってしまうだろう。
そこで、追加すべきウィジェットをどのように選んでいくべきなのか、かんたんに説明しておこう。
追加すべきウィジェットの選び方
基本的に、追加すべきウィジェットは、自分のサイトのKPI(サイトのパフォーマンスを表すおもな指標)を中心に、何がふさわしいかを独自に考えていけばよい。筆者の場合は、
- トレンド確認用
- 明細確認用
の2つを中心に構成すべきと考えた。
トレンドの確認用のウィジェットのタイプは折れ線グラフ形式の「タイムライン」(下に再掲した図3赤枠部分)で、明細確認用は表形式(図3青枠部分)になるだろう。
「棒グラフ」のウィジェットも情報量が多いので捨てがたい選択肢だが、コンパクトに表示するウィジェットとしては荷が重いと感じる。
トレンド確認用のウィジェット
トレント確認用には、どういう内容のレポートがふさわしいだろうか。
まず、期間について。中期トレンドは12か月データを見るのがわかりやすいのだが、マイレポートの場合は基本的に各ウィジェットで自由な集計期間を設定することはできない。よって、デフォルトの「過去31日間の集計データ」を前提として、筆者のサイトにふさわしいと思ってピックアップしたのが、以下のデータだ。
- 「ユーザー数」の推移
- 「新規訪問数」と「リピーター訪問数」の推移
- 「検索からの訪問数」と「参照元からの訪問数」と「ノーリファラーからの訪問数」の推移
- 「PCからの訪問数」と「それ以外からの訪問数」の推移
- 「コンバージョン数」と「コンバージョン率」の推移
全体のボリュームと主なユーザーセグメント、成果をトレンドで見る意図だ。
明細確認用のウィジェット
明細確認用にはデータの内訳を見る必要のあるディメンションが中心になるので、次の内容のレポートが相応しいだろう。
- 「参照元/メディア」の明細
- 「人気ページ」の明細
こちらはトラフィック、コンテンツ、成果の明細を見る内容になる。
- 「タイムライン」ウィジェットを追加する
- 「表形式」ウィジェットを追加する
「タイムライン」ウィジェットを追加する
それではまず「タイムライン」ウィジェットを追加する。「タイムライン」(図3赤枠部分、図5赤枠部分)をクリックしたのが図5だ。
まず「タイムライン」(折れ線グラフ形式)で表示したい指標を選択する。比較対象を含めて2つの指標を指定(図5青枠部分)することができる。
- 「ユーザー数」の推移
- 「新規訪問数」と「リピーター訪問数」の推移
この2つをコンパクトに見るために図6のように、指定する2つの指標には「ユーザー数」と「新規訪問の割合」選択してみた(Bは新規訪問の割合で代替した)。
この設定で[保存](図5緑枠部分)をクリックした結果が図7だ。
マイレポートの名前(図2青枠部分)は「衣袋のマイレポート」と入力したので、それがレポート名(図7赤枠部分)となっている。
図6で設定した「ユーザー数」と「新規訪問の割合」の指標が日別に折れ線グラフに表示(図7青枠部分)され、ウィジェットの名前も、選択した指標の通りに自動的に命名(図7緑枠部分)されている。
次はC~Eの設定だ。
- 「検索からの訪問数」と「参照元からの訪問数」と「ノーリファラーからの訪問数」の推移
- 「PCからの訪問数」と「それ以外からの訪問数」の推移
- 「コンバージョン数」と「コンバージョン率」の推移
Cは「オーガニック検索」という指標があったので、全体の訪問数とそれを選択したウィジェットを作成した。
Dは「デバイスカテゴリ」を「desktop」に絞り込んだ「訪問数」(図8の設定)のウィジェットを作成した。というのも、じつは、別々のセグメント(フィルタ)を掛けた2つの指標を折れ線で同時に表示することができないからだ。
その2つが図9だ。左のグラフからは本サイトの訪問の大半がオーガニック検索によるものだということがわかる。また、左右のグラフを見較べることで、訪問はPCからが大半で、スマートフォンからの利用はまだ少ないということがわかる。
Eの表示は省略するが、「コンバージョン率」と「目標の完了数」という2つの指標を選択すればよい。
「表形式」ウィジェットを追加する
次は表形式のウィジェットだ。「 + ウィジェットを追加」(図1緑枠部分、図4青枠部分)で表示された設定画面で「表形式」を選択(図10赤枠部分)したのが図10だ。表形式特有の設定部分が、図10青枠部分になる。
表形式の設定では、表側(ひょうそく:左列の項目)にディメンション(表示項目軸)を1つ、表頭(ひょうとう:最上行の項目)に指標を2つまで指定できる。それぞれの内容に対しては、下記のようにディメンションと指標を選択した。
ディメンション | 1つ目の指標 | 2つ目の指標 | |
---|---|---|---|
F.「参照元/メディア」の明細 | 参照元/メディア | 訪問数 | コンバージョン率 |
G.「人気ページの明細」 | ページ | ページビュー数 | ページの価値 |
表示行数に最大の10行を選択して作成したのが、図11だ。
まとめると図12のように、6つのウィジェットから構成された非常にコンパクトなマイレポートとなった。今回はあえてシンプルな作りにしてみただけなので、各サイトの事情に応じてマイレポートを構成してみてほしい。
表示できる情報が限られているので、それぞれのウィジェットの設定の自由度が限られている部分はあるが、その特性を理解したうえで、コンパクトに見ることのできるレポート形式を考えてみるのもよいだろう。
今回ご紹介しなかった他の機能や細かい補足については、次回解説することにする。
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