Googleアナリティクスは、非常に高度な分析ができる無料のアクセス解析ツールだ。無料の反面、正式なサポートサービスというものがないため、ユーザーは自分で情報を集めなくてはならない。Web担当者にとっては結構な手間だ。そこで本連載では、Web担当者の負担を軽減すべく、導入から、運用、活用まで、初めての人でもゼロから学んでいけるように、丁寧に解説していく。
今回は、「離脱ページ」のレポートと、「離脱率」の定義、計算方法を解説する。まずは「離脱ページ」の定義からだ。
離脱ページとは?
離脱ページとは、「訪問」の最後に閲覧されたページを指す(訪問の定義については、「訪問数」を理解する[第11回]で詳しく解説してある)。
「訪問の最後に閲覧した」とはつまり、ユーザーがこのページの次にどこか別のサイトに行ってしまったり、このページを開いたまま30分以上経ったり、ブラウザを閉じてしまったりしたということだ。
アクセス解析ツールによっては、「出口ページ」「退出ページ」などと表現されることもあるが、だいたい意味は同じはずだ。
「離脱ページ」と「離脱数」を確認できるGoogleアナリティクスのレポート
Googleアナリティクスでは、[コンテンツ]>[サイト コンテンツ]>[離脱ページ]レポート(図1)で「離脱ページ」を確認できる。
- ページ上部のオレンジ色のメインメニューで[標準レポート]をクリックする。
- 画面で左側にあるメニューで、[コンテンツ]をクリックする。
- メニューが開くので、[サイト コンテンツ]をクリックし、開いたメニューから[離脱ページ]をクリックする。
これで、「離脱ページ」というページが表示される(図1)。
最初にレポートを開いた状態では、レポート表には、集計期間中の離脱ページがそれぞれ「離脱数」の多い順に表示されている。「離脱数」というのは、そのページが離脱ページになった訪問数のことだ(図1赤枠部分)。
また、上部に表示されているグラフとその下のレポート表の間には、集計期間中のサイト全体の「離脱数」「ページビュー数」「離脱率」が表示されている(図1青枠部分)。
サイト全体の離脱率の計算方法
一番右にある「離脱率」は、集計期間中のサイト全体のページビュー数に対する離脱数の割合を表す指標であり、下記の計算式で算出される。
サイト全体の離脱率=サイト全体の離脱数÷サイト全体のページビュー数
図1の例で計算すると、6,424÷16,607=0.3868となり、これを百分率で表すと38.68%となる。
ついでに言い添えておくと、「離脱数」は通常は「訪問数」と一致する。どのような訪問であれ、必ず最後のページがあるからだ(訪問数の確認のしかたは「訪問数を理解する[第11回]」の「訪問数を確認できるGoogleアナリティクスのレポート」を参照のこと)。
よって、離脱率は、訪問数とページビュー数からも算出できる。
サイト全体の離脱率=サイト全体の訪問数÷サイト全体のページビュー数
各離脱ページの離脱率の計算方法
一方、レポート表で離脱ページ別に表示されている「離脱率」(図1緑枠部分)の指標は、離脱ページとして示されている各ページが見られた数(ページビュー数)のうち、そのページが最後の閲覧ページとなった回数(離脱数)の割合だ。よって下記の計算式で算出される。
各離脱ページの離脱率=
該当ページで閲覧終了したページビュー数÷該当ページ全体のページビュー数
ここで、「該当ページで閲覧終了したページビュー数」は、そのページが離脱ページになった訪問数と等しいはずなので、つまり「離脱数」と等しいということになる。
そこで、上記計算式は、以下のようにも表すことができる。
各離脱ページの離脱率=該当ページの離脱数÷該当ページ全体のページビュー数
該当ページの離脱数とページビュー数は図1のレポート画面でも表示されている。図1の例で一番上の行のトップページ「 / 」の場合を計算してみると、1,250÷2,279=0.5485となり、これを百分率で表すと54.85%、確かに図1の離脱率と一致している。
- 離脱率に仮想ページビューやイベントトラッキングの影響はあるのか?
- 離脱率をどう評価すべきか?
離脱率に仮想ページビューやイベントトラッキングの影響はあるのか?
前回の「直帰率」の解説で、Googleアナリティクスのトラッキングコードをカスタマイズして「仮想ページビュー」や「イベントトラッキング」といった機能を使っている場合は、直帰率の数値に影響が出ることを紹介したが、こうしたカスタマイズは離脱率にも影響があるのだろうか?
結論から言えば、離脱率は「ページビュー」に関連する指標なので、仮想ページビューは離脱率に影響するが、イベントトラッキングは離脱率には影響しない。
具体例で話そう。下の図2と図3を見ていただきたい。図2は外部へのリンクのクリック行為を仮想ページビューで計測した場合、図3は同様のクリック行為をイベントトラッキングで計測した場合だ。
図2のように仮想ページの計測を利用すると、その仮想ページビューが離脱ページとなり、この仮想ページに離脱数1がカウントされる。
この場合、実際にはページAで離脱しているにもかかわらず、Googleアナリティクスのデータ上は仮想ページで離脱していることになるので、ページAの離脱率が実態よりも低くレポートされるという影響がある。つまり離脱数や離脱率が低いページでも、仮想ページビューを使っている場合は、実態はもっと高いケースがあり得ることを注意した方がよいということになる。
一方、図3のようにイベントトラッキングを利用した場合、イベントはここでは「ページ」扱いしてもらえないため、離脱ページはページAとなり、ページAに離脱数1がカウントされる。実際の離脱ページに離脱数がカウントされるので、離脱率には影響がない。
離脱率をどう評価すべきか?
離脱ページというのは、ひとことで言えば、「ユーザーがサイト内でそれ以上読むのをやめてしまったページ」だ。離脱率が高いページは、やめてしまった割合が高いページだということになる。
しかし、離脱率が高いことを、いちがいに良くないことだと評価してもいいものだろうか?
もちろん、ECサイトのショッピングカートのような場合は、離脱率が高いことは問題だということになる。ショッピングカートのページは、ECサイト内で「商品を見て、カートに商品を入れて、購入完了する」といった比較的寄り道が少なく進むプロセスの途中にあるページだからだ。そこが離脱ページになるということは、サイト訪問者が購入プロセスの途中でやめてしまったということを意味する。
しかし、頻繁に見られるトップページなど、ナビゲーションの中心に位置するページであれば、閲覧最後のページになることが悪いという評価をくだすのは難しいだろう。求めていた情報が見つかれば去って行くのは自然な行為だし、頻繁にサイトをチェックしている人は、トップページをチェックしてサイトが更新されていないことがわかれば去っていくだろう。
また、FAQページのような場合も、読んだユーザーが自分の抱えている疑問が解決したら、それ以上そのサイトにとどまることはなく、離脱していくはずだ。
つまり、離脱率が高いからといって、すぐに何か改善しなければならないということにはならない。それぞれのページに割り当てた役割に照らして、離脱率が何を意味しているのかを個別に評価して、必要ならば改善するというように考えるべきだろう。
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- コーナー:衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座
※このコンテンツはWebサイト「Web担当者Forum - 企業ホームページとネットマーケティングの実践情報サイト - SEO/SEM アクセス解析 CMS ユーザビリティなど」で公開されている記事のフィードに含まれているものです。
オリジナル記事:「離脱ページ」と「離脱率」を理解する[第19回] [衣袋教授のGoogleアナリティクス入門講座] | Web担当者Forum
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